平成16年度あしたのまち・くらしづくり全国フォーラムの内容
分科会
第1分科会・少子化に対応する地域活動―生活学校は、子育て評価隊? それとも子育て応援隊?―
経験いかして応援する「場」をつくろう

事例発表
鈴 木 三枝子  東京・わか草生活学校
弥 永 佐智子  千葉・船橋市生活学校連絡協議会
助言者
宮 沢 由 佳  山梨・NPO法人子育て支援センターちびっこはうす代表
千 田 洋 子  東京・西多摩・昭島のあすを創る運動推進協議会会長/いずみの会生活学校会長
長 尾 晴 彦  東京・北区子ども家庭部参事
生活学校運動中央推進委員
松 田 宣 子  フリージャーナリスト
司会者
田 丸 せつ子  東京・あすか生活学校
実行委員
柚 木 正 子  栃木・富士見が丘生活学校
大 西 智 子  千葉・船橋市生活学校連絡協議会
松 川 豊 子  山梨・山梨市生活学校
福 山 美 智  全国生活学校連絡協議会


 午前中は二つの事例発表。東京都のわか草生活学校からは「学校開放型児童健全育成モデル事業」について、千葉県の船橋市生活学校連絡協議会からは市内全校が順次開催した「子育て教室」についてそれぞれ発表があった。
 午後はパネルディスカッションで、地域社会に求められる子育て支援、生活学校としてどのような子育て支援をしていかなどについて討議した。この中から今後、生活学校として「現在の子育てを評価するのではなく、よきアドバイスをし応援する『場』をつくる」などの申し合わせを作ることとなった。(協会・藤田)


学校開放型児童健全育成モデル事業「わくわくチャレンジ広場」―わか草生活学校

 葛飾区では平成14年9月から学校開放型児童健全育成モデル事業「わくわくチャレンジ広場」を開始した。区内に49ある小学校のうち、今年10月末現在19校が参加している。3年間で全校での開始を目標としている。
 この事業の目的は、@子どもたちが安全に遊べる場所を提供する。A異年齢の子ども、地域住民と交流することで自主性や社会性、創造性を育む、など。
 わか草生活学校が参加している「わくわくチャレンジ広場」は、東綾瀬小学校で開催している。平成15年11月にスタートしたもの。地域の自治町会、婦人会、生活学校、PTAなど関係団体に呼びかけ、35名で発足した。生活学校からは16人が参加している。
 対象児童は、4〜6年生で、現在は153人が参加している。登録率は、4年生95・6%、5年生88・7%、6年生78・2%である。実施は、月〜土、平日は2時半から夏は6時、冬は5時まで。土曜日は9時から一日中活動している。生活学校は、主に月、火曜日と第一・第三土曜日を担当。お手玉、折り紙、けん玉などの遊びやあいさつの仕方、しつけ等を主に指導する。
 今後の課題としては、学校と地域とわくわくチャレンジ広場の児童の保護者との話し合いだという。交流を持ち、お互いの立場の理解を深めることが現在はいささか十分ではないとのことだった。


全生活学校で「子育て教室」を開催―船橋市生活学校連絡協議会

 船橋市生活学校連絡協議会では、昨年の全国大会の子育て支援についての分科会の申し合わせに、子育てサロンなどの実践活動に取り組もうとあったことから、早速今年度「子育て教室」を市内9校全校で開催することになった。これは乳幼児を持つパパママの講座。「幼児救急」「乳幼児の心肺蘇生法」「安心して子育てするために」などのテーマで実技体験や育児相談などを盛り込んだ。講座の間メンバーは託児を担当した。
 スタートするに当たって、中央推進委員の松田さんを講師に、事前のリーダー研修も実施し、「批判するのではなく応援することの必要性」についてアドバイスを受けた。
 「教室」の参加者からは、「夫婦で参加できてよかった」「子どもを預ってもらえて安心して受講できた」「同じ悩みを持った人と話ができてホッとした」「実家が遠いために親に聞けないことなどを親世代の生活学校の人たちに教えてもらえてよかった」などの声があったという。
 主体メンバーの感想としては、子どもの命と真剣に向き合う親の姿を見られたことが最もよかった、また、子育て世代に向けた取り組みは生活学校運動のPRにもなるのではないか、というものがあった。
 分科会参加者からは、単位校だけで取り組むよりも連絡協議会で一斉に取り組むという効果的な事例を知ることができたなどの意見が出された。
 また、兵庫県の仮屋生活学校から、生活学校が中心になって30にのぼる関係団体で子育て支援体制を作り上げたという事例の紹介があった。まず地域の子育ての実情を知るために事前調査を実施し、結果を行政に報告するとともに子育て支援の必要性を訴えた。子育ては女性だけの特権ではないと男も女も高齢者も若者の含めた地域全体での子育て支援体制としてスタートさせているとのことだった。


地域社会に求められる子育て支援

 パネルディスカッションでは、まず宮沢さんから、「今の子育て支援はサービスに偏っている。もちろん経済的な補助も大切だが、そればかりだと子育て中の人の依存性を増長することも懸念される」「地域活動としては、親が育つ機会をつくってほしい。今の親は体験不足のまま親になっている。保育士を目指す人でさえ赤ちゃんや子どもと接するのは実習の機会だけという現実がある」などの話しがあった。
 こうしたことを踏まえて生活学校には、「最初の企画・運営という仕組みは先輩たちがつくってあげてほしいが、次第に企画・運営にも若い人に参加してもらうという仕掛けをつくってほしい。若いお母さんたちを『お客さん』にしないために必要な工夫だ」とのアドバイスがあった。
 生活学校として子育て支援に取り組んでいる千田さんは、「どこで誰が何を必要としているか、地域のニーズをつかむ。行政はどういう方向に行こうとしているのかをつかむ。地域資源を把握することと生活学校メンバーの能力を発揮させる工夫をすることが大切」と話した。
 長尾さんは、現在策定中の北区の次世代育成支援行動計画の骨子について説明した。その中で@“子育て”から“子育ち”への支援(子どもの人権を尊重して)、A“すべて”の子育て家庭への支援、B“まちぐるみ”での子育て支援、C“顔がみえる”子育てネットワークづくり、の四つの基本方針をあげた。次世代育成支援行動計画とは昨年成立した次世代育成支援対策推進法で地方自治体と従業員300人以上の企業に策定が義務付けられたもの。そこで、長尾さんは「地元自治体の次世代育成支援行動計画の進捗具合を見てほしい。数値目標も掲げているので、10年計画が見えてくるはず。先を見通しながら地域住民としてもどんどん意見を出していって」と話した。また、生活学校への期待として「子育て中の親に必要な情報が届いていない。情報のコーディネーターが必要だと思う」と述べた。
 参加者からは次のような意見が出された。
@これまで妊産婦への支援があまり重視されてこなかった。もっと問題として取り上げられるようにするべきではないか。
A朝食を抜く子どもが多い。親が食べないから子どもにもつくらない、ということのようだ。もっと親への食育が必要ではないか。
B生活学校は自分たちの活動をPRするのがあまりうまくない。知名度も低い。しかし今回「少子化に対応する地域活動」のアンケートをやって子育て中の親に生活学校を説明することができた。


これからの子育て支援のあり方

 引き続き宮沢さんから、行政との付き合い方についてヒントが出された。「活動を始めて数年は行政に対して『何とかしてくれるんじゃないか』という期待があった。その後の数年で『行政は何もしてくれない』という思いに変わった。そして自分たちで活動を進めるうちに『行政は後からついてくるんだ』ということがわかった。NPO法人となった今は『協働するもの』と思っている。行政は予算を持っているが使い方がわからない。私たちが予算の使い方まで意見ができるようになることが重要であり、それも協働ではないか」。
 千田さんは、「子どもにも親にも地域の一員であるという思いを抱かせたい。そのためにも連携・ネットワークをつくっていきたい」と今後の生活学校としての取り組みについて考えを述べた。
 長尾さんは、「行政が地域ニーズをすべて吸い上げられるわけではない。協働がなければニーズもわからないだろう。行政も生活学校もPRが下手という話があった。そこを協働で乗り越えられないか」と提案があった。
 最後に司会の田丸さんが、「子育て中の親、子どもをぜひほめてあげてほしい。たった一言が一人で悩むお母さんには心の救いになる。そういうことからコミュニケーションが生まれてくる」と呼びかけた。


子育ての「主役」は誰か?

 松田さんからの助言の主な内容は次のようなもの。
@子育ての主役は誰か? あくまでも「子ども」が主役ではないか。そのことを忘れないで活動の方向を考えてほしい。
A今行政や企業では次世代育成支援行動計画を作成している。どのような社会をつくろうとしているのか、わからなければ対話集会をやって確認する必要があるだろう。
B若い人(短大生、大学生など直に親となる年代)に赤ちゃんとのふれあいの「場」をつくってほしい。子どもと接することのないまま、体験不足で親になってしまうことでいろいろな問題が生じている。また、きちんとした食生活を習慣づけるよう食育活動にも取り組んでほしい。
C子育て世代はインターネットで情報を集めるのは上手だが、体温のある情報を集めるのは下手ではないか。やはりフェイス・トゥ・フェイスが大事で、そのことを活動にも活かしてほしい。
第2分科会・シニアの知識や能力等を地域に活かす
シニアを地域活動につなぐ 活動団体がコーディネーターの役割

生活学校運動中央推進委員
江 上   渉  立教大学教授
勝 部 三枝子  生活評論家
司会者
大 塚 良 子  東京・つくし生活学校
実行委員
国 安 忠 男  東京・永福の会生活学校
高 田 れい子  埼玉・蕨中央生活学校
平 松 いつ子  東京・学園東町生活学校
高 岡 歌 子  全国生活学校連絡協議会


 豊かな経験や知識等を活かしながら地域活動に参加しているシニアは、それほど多くない。この現状に対し、シニアがもっと地域活動に参加するために、どのようなきっかけや活動があるか。こうした方法などを早期に整えていく必要がる。このため分科会の討議では「どのようにシニアと地域活動をつなぐか」をテーマに考え方や仕組みについてワークショップなどを通じて検討した。その結果、シニアと地域活動をつなぐには、コーディネーターの役割の重要性が確認された。また、パソコン、民話などの読み聞かせなどを行なう場として、空き店舗を利用し、シニアの活躍の場とするという提案などがあった。さらに、技術や知識などを持っているシニアを探し出し、グループをつくり、このグループの輪を広げていく。その役割を担うのは、生活学校であるなどがまとめられた。(協会・浜村)


参加条件を整える

 「シニアがたくわえてきた豊かな知識、経験や技術等を地域で活かすことができるように、地域活動団体の情報提供や参加のきっかけづくりなどを行ない、シニアの人たちが積極的に地域活動へ参加できる条件を整えていきましょう」と申し合わせ、これらが、今後の各地の活動指針となった。
 ワークショップでは、@既成概念にとらわれず討議を進めた、A自由に考えを出し合いながら、これまでにない新しいものをつくりだすことにつとめた、Bグループ全員の意見を大切にするようにした、Cワークショップという方法をとったため、活動事例の紹介はなかったが、参加者は様々な意見やアイデアなどを出し合った。さらに、参加者が、これまでの既成の考え方にとらわれないようにするために、「大都市郊外にある住宅地」「農村的な田園風景が残る、地方都市の周辺に位置する地域」「地方都市の駅前商店街でだんだんさびれている地域」の三つの架空の地域設定をした。この地域設定をもとにワークショップを行なったのも今回の特徴。もう一つの約束事は、今回のシニアは、“定年退職前後の55〜65歳くらいの男性”としたことである。これは、数年後には“団塊の世代”が大量に定年退職する。地域活動にとって貴重な人材となる背景もあった。
 そして、ワークショップの結果、@シニアが参加しにくい条件を克服するには、どのようにすればよいか、A地域にどのような条件整備をすれば、シニアの参加を促すことができるか、B具体的に、どのような“しくみ”を地域につくることができるかを、9グループでそれぞれまとめた。
 今回挙げられた、シニアが地域活動に参加しにくいのは、「きっかけがない」ことや「参加を促すコーディネーターがいない」、「既存の組織には、入りにくい」など、シニアを迎える側の地域の問題点も数多く出された。その一方、シニア自身の問題としては「地域を知らない」「地域活動の重要性が認識していない」「現役時代の肩書きをひきずっている」などがあった。


迎え入れる“体制”をつくる

 このような現状に対して、参加しにくい条件をどのように克服するか―。
 克服する方法として、「地域を知ってもらう機会をつくる」「地域社会は、シニアを迎え入れることができる体制をしっかりつくる」などをまとめた。また、シニアと地域活動をつなぐ「コーディネーター」の必要性も強調された。
 つぎに、「地域にどのような条件を整備すれば、シニアの参加を促すことができるか」では、地域設定によって違いが出たが、特徴的な提案だけ挙げると……。「大都市郊外にある住宅地」では、地域内のグループ活動を収集し、それを紹介する。シニアのキャリアを活かせる場をつくる。
 また、「農村的な田園風景が残る、地方都市の周辺に位置する地域」では、農家から畑を借りて野菜をつくりにシニアが参加。こうした活動を通じて参加のきっかけをつくり、地域の人々との相互交流図る。
 そして、「地方都市の駅前商店街でだんだんさびれている地域」では、空き店舗の活用がある。“シャッター通り”は、全国共通な深刻な問題となっており、街の活性化のためにシニアの“力”を利用するという考え方である。
 最後に、「具体的に、どのような“しくみ”を地域につくるか」では、いくつかの提案があった。それは、今後の各地の生活学校や生活会議の活動目標となった。
 第一は、災害や病気などの助け合いネットワークをシニアの参加によってつくる。また、同様な具体策として、近隣の助け合い、支え合い、つながり合いの体験談などを語り合う会を企画する。こうした活動を通じて地域社会では、対等に付き合えることをシニアに十分に分かってもらう。
 第二は、シニアが参加したくなるような魅力ある活動を提案する。そして、活動状況や成果などを発表する機会をつくり、シニアの能力を地域活動において活かしていく。また、アンケートや討論会を企画し、主体的な参加を促す。
 さらに、すでに活動をしているグループが、新しい参加者をつのるためには、もっと活動の目的を具体化していく必要がある。


空き店舗の活用で場づくり

 第三に、“場づくり”によって活動を具体化するという方法を打ち出したグループもあった。具体的には、パソコン、民話などの読み聞かせなどを行なう場として、空き店舗を利用し、シニアの活躍の場とするというものであった。
 また、地域活動へのきっかけをつくるために情報提供の重要性も強調されていた。
 第四に、すぐ実行できる提案では、生活学校の活動に配偶者も参加してもらったらというユニークなものもあった。
 第五は、シニアと地域活動をつなぐのは、コーディネーター。この役割は、必要性を合意したグループがあった。しかし、誰が、どのように、コーディネーターの役割を果たすかにまではいたらなかったが、生活学校が当面その役割を果たす、という提案もあった。
 最後に、より具体的には、技術や知識などを持っている人を探し出し、グループをつくり、このグループの輪を広げていく。その役割を担うのは、生活学校であるとまとめた。
 生活学校運動中央推進委員は「シニアは知識や能力を持っているが、これまではそれが引き出せなかった。今日のワークショップの結果を地域に持ち帰って何ができるか。シニアが、地域に引き出すのが生活学校の役割である」と述べた。
 また、「今日のワークショップを出発点にしてほしい。架空の地域設定で行なったので多少抽象的になった。地域ではできるだけ具体的に考えることが必要だ。さらに、地域活動についてシニアに、どのような方法で、どのように伝えるか。それも、具体化することである」と締めくくった。
第3分科会・安全な食品を確保する地域活動―地産地消の推進を中心に―
地域で生産者や流通業者との話し合い活動を

講師
一 色 賢 司  内閣府食品安全委員会事務局事務局次長
事例発表
吉 田 三 恵  福井県生活学校運動推進委員/一乗生活学校
福 元 千 鶴  和歌山・上岩出生活学校
生活学校運動中央推進委員
大 島 綏 子  農山漁村女性活動推進機構理事長
白 水 忠 隆  読売新聞東京本社編集局生活情報部次長
司会者
岩 谷 藤 子  島根・和田生活学校
実行委員
岩 口 好 子  千葉・船橋市生活学校連絡協議会
藤 岡 あき子  東京・日の出生活学校
遠 藤 重 子  全国生活学校連絡協議会

 講演の中で一色さんは「生産業者と消費者団体のコミュニケーションが不足している」と指摘、「アメリカ牛の輸入交渉の推移を注目し、意見があれば積極的に出してほしい」と注文した。白水さんは「地産地消は食問題を考える入り口である」と指摘、地域での実践活動に対して「地域で生産者や流通業者と話し合う地道な活動は、食の最前線でリスクコミュニケーションする大事な活動だ」と評価した。
 話し合いをもとに「国・地方自治体は、学校給食で地場産食材の活用を図るなど地産地消を進めるとともに、食農教育に力を入れる」ことを決議し、「安全な食品を確保するために行政、生産者、流通業者と話し合う活動を積極的に進める」ことを申し合わせた。(協会・峯)


生産者とのコミュニケーションが不足

 この分科会では、午前に食品安全委員会の一色さんのBSE(牛海綿状脳症)と鳥インフルエンザについての講演があり、午後は、学校給食に地場産物の活用を図る活動、地元の農産物を売る「ふるさとに店」の運営、食の安全確保について生産者や流通業者との話し合い活動など、生活学校が地域で取り組んでいる活動を持ち寄り話し合った。
 一色さんは「危険部位の除去とBSE検査で人へのBSE感染リスクを低減させ、検出限界以下の牛を検査対象から除外してもリスクを高めることはない」「鶏肉・鶏卵は安全である」と説明したあと、食品安全基本法の制定前に比べて「行政機関の間のコミュニケーション」「専門家と行政との間のコミュニケーション」「行政機関の正確な情報開示と透明性の確保」は改善されたが、「正確で分かりやすい報道」「消費者の理解を深めるための支援」「関係者のコミュニケーション」はまだ不十分であると話した。特に「食品の専門家が少ない」「生産業者と消費者団体のコミュニケーションが不足している」と指摘した。
 会場からの「地方が行なう全頭検査に財政的支援をしてほしい」との要望に「財政的支援は食品安全委員会ではなく、リスク管理部門が所管している」と答え、「アメリカの牛の月齢判定は疑問だ」との意見に「交渉の推移を見守り、意見があれば積極的に出してほしい」「生産者が正しい記録をとることが大事だ。正しい記録がないと、トレーサビリティの仕組みができても安心につながらない」と述べた。


子どもたちが野菜に関心を寄せるように

 午後は実践発表が行なわれ、福井県の吉田さんは、まず学校給食に地場産の食材を活用していくための問題点と解決策をKJ法で整理し、その結果を踏まえて学習会を開く一方で、先進地視察、市町村を対象にした学校給食に関する調査の実施といった事前活動を重ね、活動を集約する形で対話集会を開くなどの、学校給食に地場産の食材の活用を求めて取り組んできた一連の活動を紹介したあと、「事後活動として今年、追跡調査をしたところ、地産地消運動の高まりもあって学校給食に地場産食材を活用している市町村が増えていた。今年は活動を一歩進めて食育をテーマに活動している」と発表した。
 また会場からの「学校給食に地場産食材を活用するようになって何が変わったのか」との質問に「子どもたちの農業体験や生産者との交流の機会が増え、生産者を身近に感じるようになった。野菜に関心を寄せるようにもなった」と答えた。
 続いて、和歌山県の福元さんは「メンバーのサポートを得て地元の農産物を売る『ふるさとの店』を開店した。店には地元の農家が市場に出せない野菜、花、果物などを出してくれる」「調理師の知識を生かして、野菜を売ると同時に、お客さんに野菜の調理方法や食べ方の工夫も教えている。店は、お年寄りのたまり場にもなっており、ときには悩みごとの相談にものる。店は地域の情報センターとなり、よろず相談所にもなっている」「美味しい郷土食の伝承に力を入れたい。地元の食材を使った郷土料理の出前教室を開いており、こうした取り組みを通して若いメンバーを増やしていきたい」と話した。


声を出さないと、相手に届かない

 会場からも、大阪府河内長野市の千代田南町生活学校から「南河内地区では多くの農産物が収穫されているが、地元スーパーであまり販売されていないことから、松原市生活学校、はびきの生活学校と合同で、南河内農と緑の総合事務所、農業改良普及センター、農協、生産者と地場農産物の朝市や直売所での販売について話し合っている。空き店舗の活用も考えている」「これまでも有機栽培の現地見学会や河南町で低農薬、有機栽培に取り組んでいる生産者から苦労話を聞いた」と活動を報告。
 和歌山県の太地生活学校からは「買い手と売り手のコミュニケーションを持つことで、スーパーとのパイプもでき、買い手として注文を付けている。今、隠密裏にリサーチ活動をしており、データが整えば、それをもとにスーパーと話し合いを持つ予定だ。農家とも話し合っている。声を出さないと、相手に届かない。給食に地元のクジラの活用と季節の農産物を使ってほしい、教育の中に食育をいれてほしいと要望している」と発表。
 長崎県の西海生活学校からも「薬より食が大事だ。トラフグへのホルマリン使用問題で水産関係者から話をきいた。トラフグだけではなく、ヒラメ等の養殖魚にもホルマリンが使われている。ホルマリンの多量使用も困るが、養殖場からホルマリンが海に流出するのも怖い。海が汚れ、魚が弱っている」と報告した。


「地産地消」は食を考える入り口

 活動発表を受けて会場から、学校給食に地場産食材を活用してもらうには「調理がセンター方式か自校方式かの問題もある」「教育予算がネックになる」「納入業者との問題もある」「学校給食に地場産食材を活用していても、市町村合併で影響を受ける」などの意見が出された。また「青空市場を開いている」「伝統食や郷土食を伝える活動を考えている」「朝食を取らない子どもが多い」「食農教育が必要だ」「漁業の問題も忘れないでほしい」「第1次産業の振興も問題だ」などの意見が相次いだ。
 こうした活発な発表を受けて、白水さんは「学校給食に地場産食材を活用することが目的ではなく、食の安全に取り組むきっかけのひとつで、日本の食問題や農業問題を考える入り口だ。そこから活動をどう展開するかは生活学校のアイデアによる」「きょう報告のあった学校給食に地場産食材を活用するための活動や、安全な農産物の栽培について農家との話し合い、食品の安全性について流通業者との話し合いなどの地道な活動は、正に食の最戦線でリスクコミュニケーションをしている意味ある活動だ」「学校給食に地場産食材の活用に取り組んでいると、市町村合併の問題や子どもの食事の問題が見えてきたように、次のステップが見えてくるのではないか」と助言した。
 また「ふるさとの店は食や農業の情報センターになっている点が面白い。しかも行政や業者に依頼する活動でなく、自分たちで始めた活動で、専門知識を持った人材を集めて運営している。団体の財政的基盤をも持つことになり、これからの生活学校のあり方のひとつとして参考になる事例だ」と指摘した。
第4分科会・循環型社会形成のためのしくみづくり
グリーンコンシューマー活動と保育所等との連携活動を推進


講師
吉 田   元  環境省廃棄物・リサイクル対策部企画課
舟 木 賢 徳  東京学芸大学講師
事例発表
大 内 康 子  栃木・黒磯市生活学校
齊 藤 サツ子  青森・弘前生活学校
吉 岡 幸 子  東京・日野第3生活学校
生活学校運動中央推進委員
金 森 房 子  評論家
瘁@本 育 生  NPO法人環境市民代表
司会者
藤 原 正 子  茨城・延方生活学校
実行委員
泉 山 高 子  埼玉・蕨みなみ生活学校
谷 村 雅 子  東京・馬込生活学校
中 島 マ サ  東京・横川生活学校
門 橋 政 子  全国生活学校連絡協議会


 第4分科会では、各地域において循環型社会を形成しこれを推進、拡大するには、どのような取り組みが必要か。行政、企業等の取り組みや生活学校、市民グループの活動事例を参考として、具体的な方策を検討した。
 最初に、2人の講師からミニ講演を行なった。1人目は、「循環型社会形成のための地域や家庭の役割について」をテーマに、環境省廃棄物・リサイクル対策部企画課の吉田元さんが講演。2人目は、「レジ袋削減の方策と容器リサイクルの方向性について」をテーマに、東京学芸大学講師の舟木賢徳さんが講演。
 次いで、「レジ袋の有料化について」事務局から事例紹介を行なった。
 その後、3人の生活学校リーダーから、「グリーンコンシューマー活動」「保育園と連携した循環型社会環境づくり」「市民グループによるリサイクルショップの運営」の三つの事例発表を行なった。
 次いで、参加者が6班に分かれ、「レジ袋削減の推進拡大策」「ゴミの発生抑制と資源の再利用の推進拡大策」「循環型社会を形成するための地域や家庭の役割」をテーマとして、グループ討議を行なった。
 最後に、参加者と助言者による研究討議を行なって、今後の地域活動の方向性や重点項目について、取りまとめた。
 また、第4分科会会場において、全国の生活学校から応募があった「マイバッグ展示とコンテスト」を実施した。(協会・篠河)


廃棄物等の排出者と自覚し、ライフスタイルの変革を

 環境省の吉田さんの講演要旨は、以下のとおり。
 循環型社会の基本になる法体系、循環型社会基本計画の概要、同計画に基づく数値目標(国民1人1日ごみの排出を20%減)の説明後、循環型社会基本計画では国民の役割として「自らも廃棄物等の排出者であることを自覚し、ライフスタイルを変革すること」の呼び掛けがあった。また、NPOやNGOの役割として、「行政・国民・事業者等各主体の環境活動のつなぎ手となること」を期待していることを強調した。


無料配付がレジ袋乱用の原因

 舟木さんの講演要旨は、以下のとおり。
 わが国のレジ袋問題点は、「レジ袋の無料配付が乱用を促進している」ことに集約できる(わが国のレジ袋使用量:年間375億枚、1人1日1枚)。諸外国の取り扱い内容について紹介があり、これらを参考として、わが国のレジ袋問題の解決策は、@製造・販売業者の再商品化委託料の引き上げ、A拡大生産者責任を課し、収集・運搬・圧縮の経費を負担させる、Bレジ袋に課税、C無料配付の禁止の提案があった。


首都圏のスーパーが「レジ袋の商品化・マイバッグ持参率80%」

 事例紹介要旨は、以下のとおり。
 昨年8月〜9月に実施した「レジ袋についての企業調査」において、全国で唯一「レジ袋を商品」として取り扱っているスーパーマーケットがあることが判明(潟Iーケー)。
 このスーパーでは、経営方針「高品質商品を毎日低価格で消費者へ提供する」、このため、コストは削減を徹底しており、その一環として「レジ袋の商品化」を実施。首都圏31店舗の2004年8月時点のマイバッグ持参率は、約80%。
 3人の方からの事例発表の要旨は、以下のとおり。


「買い物から社会を変える」を実践

 黒磯市生活学校の大内康子さんからは、同校が長年取り組んできた「グリーンコンシューマー活動」を紹介しながら、問題解決には消費者、販売店、製造元が変わらなければならないことを実感、活動のきっかけにするため、「買い物ガイドブックくろいそ」を発行したことを説明。このガイドブックは、黒磯市内22店舗(スーパー、コンビニ、ホームセンター等)を調査し、環境配慮に関連する品揃えや取り組みの情報と評価内容をレーダーチャート等で表示し、市民に配付。「買い物から社会を変える」ことを呼びかけている。


保育園児童と共に「遊び・学び・教える」

 弘前生活学校の齊藤サツ子さんからは、環境を守るため地域の保育園とともに「遊び・学び・教える」活動を説明。生活学校メンバーが先生役を担い、保育園のカリキュラムを月1回のペースで引き受け、「ゴミの分別収集・藍染めを通じて水資源の大切さ・牛乳パックの再利用・有機栽培農法等」の体験学習を実施。12年間の活動を通じて、「成長した子どもたちが確実に地域を支える主体になりつつある」とその成果を強調した。


「リサイクルショップ」から3R運動を推進

 日野第3生活学校の吉岡幸子さんからは、12年前から生活学校を含む市民グループが、日野市内で「リサイクルショップ」2店舗を運営していることを紹介。取り扱い品は、衣類、日用雑貨、本等。2003年度実績は、商品提供者:5168名、購入者:2万1212名。12年間の活動を通じて、@モノを大切にする暮らし、Aゴミを買わない暮らし、Bゴミを出さない暮らしが、確実に市民に浸透、定着した成果を強調。
 グループ討議の結果は、以下のとおり。
討議テーマ@:レジ袋削減の推進拡大策
・消費者、企業、行政が有料化を目標に話し合いながら進めるのが近道。
・まず、生活学校が全国的に手を結び「ノーレジ袋・買物袋持参運動」を展開。その後、各地域で他団体と連携した活動に発展させ、行政を動かし全国的な「ノーレジ袋運動」に拡大させる。
討議テーマA:ゴミの発生抑制と資源の再利用の推進拡大策
・生活学校の運動として、デポジット制度の実現運動を展開。
・消費者、企業、行政の話し合いを活発化し、循環型社会のシステムづくりの進展を図る。併行して、子どもたちへの環境学習を活発化させる。
討議テーマB:循環型社会を形成するための地域や家庭の役割
・ペットボトルの再生品利用は不十分。ペットボトルの存在そのものを考えることも必要。
・グリーンコンシューマー活動の実践は、循環型社会づくりにつながる。


保育所等と連携した環境学習の活発化

 参加者と助言者との意見交換を通じて、今後の活動のあり方を以下のとおり取りまとめた。
・循環型社会を形成するために、地域版の買い物ガイドブックの作成に取り組むなど、グリーンコンシューマー活動を各地で盛んにする。
・子どもと家庭における環境活動をすすめるために、幼稚園、保育所等に働きかけ、これまでの実践的な活動を活かした環境学習をともに実施する。



92個の手作りマイバッグを展示
 マイバッグ展示とコンテストは、北は北海道から南は鹿児島県まで、全国各地の生活学校から積極的な応募があった。応募のあったマイバッグは、傘、古着、カーテン地、風呂敷、Gパン、紙紐等を再利用した手作りバッグが92個を数えた。どのマイバッグもデザインや使いやすさを工夫した労作ばかりで、参加者から「格好良い」「買い物に便利」「実用的だ」など、参考になったという声が多く聞こえた。
 併行して実施したコンテストは、参加者に「@デザイン等を工夫して格好良いもの」「A日常的に使う買物袋として使いやすいもの」を基準として、各1点を選び投票してもらう方法で実施し、二つの部門でベスト5を選んだ。
 ベスト5に選ばれたマイバッグを製作した生活学校は、以下のとおり。
○「デザイン等を工夫して格好よいもの」の部
茨城県・ひたちなか生活学校
富山県・高岡万葉生活学校
長野県・古牧生活学校
東京都・横川生活学校
東京都・初台生活学校
○「日常的に使う買物袋として使いやすいもの」の部
東京都・横川生活学校
三重県・鈴鹿市生活学校
長野県・さざんか生活学校
宮城県・仙台市泉ひまわり生活学校
青森県・530歩の会
第5分科会・これからの地域活動のあり方
多様化する住民のニーズに地域ぐるみで対応していこう


事例発表
佐 藤 良 子  東京・大山団地自治会
現 田 さだ子  富山・上市町相ノ木生活学校
田 中 厚 子  富山・上市町相ノ木生活学校
花 谷 富 子  富山・上市町相ノ木生活学校
生活学校運動中央推進委員
 岡 完 治  あしたの日本を創る協会理事長
司会者
関   良 策 あしたの新潟県を創る運動協会
実行委員
坂 本 幸 子  埼玉・やまびこ生活学校
佐 藤 さく子  東京・昭和町生活学校
武 田 春 子  東京・角筈生活学校
宮 崎 啓 子  東京・北多摩自然環境連絡会生活会議

 この分科会では、申し合わせで「多様化する住民のニーズに応えるためにも、住民一人一人が地域の身近な課題を、地域ぐるみで解決していくコミュニティをめざしていきましょう」と示したように、これからの地域活動では、行政や企業では対応しきれなくなった多様な地域の課題に対して、地域の様々な人を巻き込んできめ細かく対応してくこと、また、事例発表でも紹介されたように、行政から積極的に支援を引き出していくことが確認された。
 また行政に対しては、「財政的支援や情報の提供などによって、地域活動を推進する支援策を講ずること」を要望事項としてあげ、地域活動団体が責任を持って活動できるような環境整備を求めた。(協会・川越)


住民に安心を与える自治会活動

 午前中の事例発表では、地域の人のニーズをどう受け止め、何を活動テーマとし、その解決にどのように取り組んだかについて発表してもらった。
 大山団地自治会の佐藤さんは「行政が動けるのは限られた時間だけ。夜や土日は行政は動けない。その時地域で何ができるのか。行政に頼らなくても、住民でできる地域の安心・安全なまちづくりに取り組んでいこう」という思いから、自治会活動に取り組んだという。そこでまず、「従来は自治会役員が一部の人々に偏っていたので、住民の声を広く拾える自治会をめざしたい」と、区制を敷いて世代別役員制を導入し、幅広い層の住民が参加できる自治会へと変えていった。
 大山団地では、高齢者と子どもたちを合わせると住民の半数近くにものぼり、「シルバーピア」という高齢者住宅もある。住民のニーズに応えて「自治会が、住民が持つ悩みや困りごとの相談センター的な活動を担うことで、住む人に安心を与えよう」と次のような活動を行なっている。高齢者については、防犯・防災面の緊急時への対応として名簿登録の義務付けや、高齢者見守り協力員のネットワークをつくり、自治会事務所には相談窓口を設けている。また、子どもについては「ママさんサポートセンター(大山MSC)」を立ち上げ、自治会を超えた小学校区の範囲で、一時保育、育児相談、児童の虐待防止の活動を行なっている。
 こうした活動を継続するには、土日だけでは対応しきれない。そのため年間予算120万円を充てて、自治会事務所には専従職員を1人置いている。
 こうした活動費は、住民から集める月400円の自治会費以外に、都や市から駐車場の管理に386万円、公園の管理費に40万円の業務委託収入を受けており、これが大きな財源となっている。佐藤さんは「自治会はサイドビジネスで収入を得よう!」と呼びかけた。
 また、行政と付き合い方のポイントとして、@必要と思えることは、遠慮なく行政に持ち込もう。A協働の仕掛けは、住民の側から仕掛けていく。B住民ができることは住民自身がやり、できないことは具体的に行政に持ちこみ、行政にやってもらおう、というアドバイスがあった。


地域ぐるみで運営する「ふれあいサロン」

 相ノ木生活学校の花谷さんからは、「ふれあいサロン」の取り組みについて発表があった。「若い年代の核家族が多く、子育てについての悩みや不安を抱えている人が多かったこと、また、高齢者が生きがいを感じる場がほしい」という要望が住民から多かったことが、サロンを立ち上げたきっかけとのこと。地域に住む子どもや高齢者が気軽に集えるように、健康料理教室や陶芸教室、健康相談など様々な企画を実施しているほか、学校の要望に応じて、生活科の授業も行なっている。
 また「ふれあいサロン」の場を生かして、「料理実習に参加した若い親子と一緒に、小学校長や町議会議員、町職員、民生委員を招いて会食会を開き、食後に『延長保育』『通学路危険箇所の改善』『町営巡回バスの改善』など、身近なくらしの問題について話し合う対話集会も行なっている」とのこと。これまで問題意識を持たなかった人たちも、サロンの料理実習を契機として、ごく自然と地域の問題に関心を示すようになってきたようだ。
 サロンの運営には、生活学校のメンバーに加えて、地域の学校の親や子どもたち、高齢者のほか、行政や学校の職員も加わり、地域ぐるみの幅広い連携をとっている。何より発表者の花谷さん自身が「小学校の母親クラブのメンバーとしてサロンに参加したが、その後も引き続いてサロンの運営に関わりたかった」ので生活学校メンバーにもなったと述べた。
 こうした活動費には、町から介護予防事業の一環としてサロンが位置づけられ、委託金の助成を受けていることが大きい。サロンの開催は毎週土曜日、年間50回に及んでいる。
 佐藤さん、花谷さんから発表があった活動に共通しているのは、@地域住民のニーズを拾い上げ、行政に頼らない住民ができるサービスを提供していること。Aメンバー以外にも地域の多くの人が活動に関わる仕組みにしていること。B活動を継続するために行政からの委託金の助成等を受けており、その金額はかなり大きいこと、が挙げられるだろう。こうした発表をもとにして、午後のグループ討議が行なわれた。


住民の力でできることをやろう

 はじめに、グループ討議のもととなるテーマについて話し合ってもらった。「世代間交流の場作り」「高齢者の子育て支援・高齢者の防犯」「地域活動を他団体とどうつなげるか」「会の維持、拡大、継続をどう進めるか」というテーマが挙げられ、これらの活動テーマをもとに、次の3項目について討議をしてもらった。
 @「地域住民が抱えている問題、ニーズについて」では、「行政との繋がりが強いが、合併する市町村が多く、見通しがつかない」「子どもが地域とふれ合う場が少ない」「自治会と地域の関わりが希薄」「行政だけでは住民のニーズは埋められない」といった問題点が挙げられた。
 これらの問題について、A「どのような活動を組み立てていくか」について話し合ってもらい、「地域に世代間で交流できる場づくり」「子どもの活動に親も参加する」「地域での声かけ運動の実施」「介護保険に頼らない高齢者の健康管理」が挙げられた。
 そして、B「地域に活動の輪を広げていくには。連携のとり方など」については、「子育て支援センターなどの団体との連携」「イベントを企画する際に、各団体へ呼びかけ、日時・場所等を広く告知し、参加者を主役にする」「地域活動の人材バンクの設置」「電力、新聞販売店等とも連携した、独居老人の見守り体制づくり」が挙げられ、「高齢者や子育てのネットワークづくりなど、行政に頼らない地域住民の自主的な活動をしていこう」などの呼びかけもあった。
 参加者それぞれの地域事情は異なるが、世代を超えた住民の交流を進め、行政に頼らずに地域のコミュニティの力で住民をサポートしていこうとする意識が、参加者の間に強かったようだ。


住民のニーズも活動の担い手も多様化していく

 全体協議では、「生活学校が活動する上で、地域での認知度を上げる努力をもっと意識しよう」「自分たちが地域でやれることは、少々頑張ってでもやろう。その上で行政をうまく利用していこう。協働といっても、仕掛けていくのは住民であるべきだ」「それぞれの活動する団体において、自分の意見を伝えよう」といった意見が出された。
 最後に高岡さんから次のようなまとめと提案があった。
 地域活動に取り組む上で、テーマも、広報の仕方も、活動の進め方も、『時代の多様化』を踏まえて活動しているだろうか。今後急増する定年退職者を地域活動に迎え入れ、能力を発揮してもらうには、活動テーマにも多様性が求められる。また、広報のやり方でも、地域と接点をもてない人を対象に住民から働きかけていく必要がある。
 また、地域では様々なグループをまとめるネットワークづくりが必要だ。市民、行政が地域で果たすことができるそれぞれの役割がある。公設民営方式によって地域活動団体に責任と運営を任せるといった、行政側からの制度改正も一層必要とされる。
 会社組織にいない人にとっては、地域活動は社会的なステップを踏み出す場として重要な存在だ。多様化した住民のニーズを拾い上げ、多くの人を地域活動の担い手にするには、活動の仕組みと運営の仕方の工夫が必要だ、と結んだ。
第6分科会・子育て・親育てのコミュニティ戦略―小学生、中学生、高校生、そして大学生の青少年を―
親育て、学校運営に関わり、子どもの生活体験を豊かに


基調講演
北 川 博 敏  香川短期大学学長
生活学校運動中央推進委員・生活会議運動中央推進委員
加 田 純 一  あしたの日本を創る協会副会長
福 留   強  聖徳大学生涯学習研究所所長
司会者
西 村 ミチ江  茨城・塙山学区住みよいまちをつくる会
実行委員
大 嶋 繁 幸  静岡・夢倶楽部あしたか
高 橋 由 蔵  東京・手づくり公園の会生活会議
長 岡 幸 江  島根・ひやま女性会議生活会議

 今、子どもや若者のあり方については、多くのことが指摘されている。いわく「他人とのコミュニケーションをはかるのが苦手」「生活体験が不足している」「運動能力が低下している」さらには、「野菜が食べられない」といった健康面、生活面全般にわたる実に様々な問題である。
 では、今の子どもや若者の状況を改善していくには、地域活動としてどのような活動をしていったら良いのか、その活動の組み立て方、戦略を考えていこうというのが、この分科会のねらいであった。
 では、分科会の結論はどうであったろうか?
 第一に出されたのが、子育てならぬ親育ての必要性である。今の親は子育ての技術や知識が十分ではない。だから、親にその技術、知識を教えていく必要があると言うわけである。その親育てで顕著に効果をあげた事例として香川県の食生活の指導に関する事例が紹介された。生活習慣病に罹患する子どもが増加している中で、学校がその親を呼び、食生活の改善を指導したところ、大半の子どもが治癒したという事例である。ここでのミソは、学校が、血液検査の結果という具体的なデータをもとに食生活の改善を親たちに指導したということであろう。
 第二に出されたのは、前の問題とも関連するのだが、学校の運営に積極的に関わっていこうということが出された。学校評議員制度、総合的な学習の導入、さらに来年度からはじまる学校運営協議会など、これまで閉鎖的といわれていた学校も地域の声や力を取り入れる動きが立て続けてでている。これはとりもなおさず学校だけでは教育はできないという反映であろうが、地域活動としても、これに参加し、学校側と議論を重ね、互いに切磋琢磨して、子育て、親育てに努めていこうというもの。
 第三に、子どもたちの生活体験を豊かにしていくための方策も検討された。これまでも地域活動として、進められてきた三世代などの交流をはかる目的をもった自然や野外体験活動を積極的に進めていくことや、若者を海外に派遣し、異なる環境での生活を体験したなかで、若者が見違えるほど成長した事例から、行政に対しこのような若者を海外に派遣する事業を積極的に進めるべきという提言もなされた。
 分科会では、このような結果をふまえ、3項目を決議として、5項目を申し合わせ事項としてまとめた。(協会・新井)


3割の子どもが生活習慣病にり患

 分科会では、最初に北川さんが子どもの生活習慣病を減らすためにという観点から基調講演を行なった。このなかで、香川県内の小学生・中学生9000人の血液検査の結果から、実にその3割が生活習慣病になっているという驚愕すべき実態を述べた。具体的に言えば、高脂血症20%、肝障害15%、肥満12%などで、複数の生活習慣病に罹患している子どももいるので、全体としては、何らかの異常を抱えている子どもは3割にのぼるという。この子どもたちをこのまま放置すれば、将来、脳梗塞、心筋梗塞、がんなどが発病する可能性が大だと警鐘を鳴らした。そして、この傾向は、何も香川県内のものだけでなく、全国共通の現象であろうとした。
 北川さんは、その解決策、処方箋も提示した。異常が発見された子どもの親御さんを学校に呼び、養護教諭と栄養士が、家庭の食生活の改善を中心に指導した結果、3か月後に再度血液検査をすると、その指導したうちの6割近くが回復していたという。北川さんは、子どもの場合、食習慣を改善すると回復も早いとしている(詳細な内容については、本号のP〇〇、テーマ解説「子どもの生活習慣病を減らすために」参照)。
 この事例を受けて、加田さんは、次のように分析した。香川の事例では、親たちは、子どもが生活習慣病になるようなものをたべさせていたということを如実に物語っているとした。また、ある調査で、幼稚園に通う子どもの親御さんに、「あなたは、お子さんをちゃんと『しつけ』ていますか」とアンケートをすると、みんなちゃんと、「しつけ」ていますと答える。一方、保育士さんに「お宅の幼稚園に通われる園児たちは、ちゃんとしつけがされていますか」と聞くと、まったく「しつけ」がされていませんと、逆の回答をする。これは、親がしつけたつもりでも、本当のことを知らないからしつけになっていないといことだ。子育てのためには親育てが必要だということだ。しかし、そのようなことを親に言ってもなかなか聞いてはくれない。香川の場合、学校を活用して、動いていくと効果があるということだと指摘した。


住民と学校がお互いに切磋琢磨し親育て・子育てを

 学校の問題では会場から「学校評議員に任命されたが、具体的に何をして良いのか分からない」との発言があった。これに対し、福留さんは、学校で教えられることには限界があり、学校だけで子どもの教育はできないことがはっきりしている。例えば、郷土料理のことを教えるにしても教師よりも地域のおばあちゃんの方がはるかに詳しい。そんななかで、総合的な学習や学校評議員制度も導入されてきた。学校も地域に開き始めているといえる。しかし、これまで地域に対し、閉鎖的だったから、地域の人材や力の情報が分からない状況であり、地域と学校との相互に信頼する関係づくりが必要だとした。
 また、加田さんは、来年度から始まる学校運営協議会(コミュニティスクール)について、モデル地区として先行的に実施されている事例を引き合いに出し、学校、PTA、住民の代表が協議会を設けて、子どもたちの育て方を話し合っている。その例をみると、住民側が「読み書き算数」をキチンとやって欲しいと要望を出す。学校側もそれを受け、子どもたちを指導する。一方、教師、学校側もちゃんと子どもたちが宿題をするようにと、指導してほしいと親たちに要望を出す。お互いが緊張関係を持ち、切磋琢磨する関係になり、子どもの教育をよくしていく関係が生まれている。地域活動としても、この協議会には参加して、積極的に発言をしていくべきだ。その中で、子育て、親育てをしてほしいと要望した。さらに、このように学校に関わることが、地域活動自体の活発化にもつながるし、つなげて欲しいと述べた。
 また、教師の採用のあり方も話題になった。生活体験、社会体験の少ない人が教師になるケースがあるが、教員の選考制度自体も考えるべきという指摘もされた。福留さんは、ペーパーテストは優秀だが、ボランティア活動はもちろんのこと部活動さえもしていなかった学生が採用されなかったケースを引き合いに出し、選考方法も変わってきているとした。


若者を発展途上国へ派遣する事業も

 子どもたちに豊かな生活体験をもたらす方策、あるいは、他人との交流を深める方策については、主にワークショップのなかで出された。若者が得意とするコンピューターを高齢者に教える。それも若者が高齢者宅に赴き教える。子どもにはある程度の指導料を払う。教えた後もメールなどのやり取りを恒常化するという活動を立ち上げたら、あるいは、子ども、親が参加する自然体験活動の方法、さらにおばあちゃん、おじいちゃんと孫たちの交流の方法などのアイデアが出された。子どもたちにもっと集団生活を経験させるべきなどの意見も出されたが、むしろ日本国内ではなく、あしなが基金が実施している発展途上国への学生の派遣制度の事例を引き合いに出し、日本とは全く違った生活環境のなかで、若者を生活させることが、若者の成長にとっては有効だとの指摘があった。
第7分科会・ふるさとづくり運動をどうすすめるか
ネットワークでコミュニケーションが生まれ地域が元気になる


事例発表
山 口 乃 子  福島・アネッサクラブ顧問
今 野 豊 喜  岩手、宮城・北上川流域市町村連携協議会事務局長
坂 本 和 昭  北海道・北の起業広場協同組合(北の屋台)専務理事
石 河 智 舒  栃木・ゆずの里かおり村会長
山 下 幸 一  長崎・崎戸町教育委員会主事
コーディネーター
高 橋 勇 悦  大妻女子大学教授

 第7分科会は「ふるさとづくり運動をどうすすめるか」をテーマに1部と2部に分け、第1部は、「平成16年度ふるさとづくり賞」受賞者の代表による活動の紹介を行なった。また、第2部では、同受賞者代表によるパネルディスカッションを行ない、受賞団体が地域の活性化に果した役割、ネットワーク化や今後の展望について討論した。(協会・今泉)


第1部 ふるさとづくり賞受賞者の代表による活動実績の紹介

 ふるさとづくり賞内閣総理大臣賞を受賞した、集団の部の「アネッサクラブ」、市町村の部の「北上川流域市町村連携協議会」及び企業の部の「北の起業広場協同組合」と同内閣官房長官賞を受賞した、集団の部の「ゆずの里かおり村」並びに市町村の部の「崎戸町」により、活動の概要を画像等を交えて紹介した。


第2部 パネルディスカッション

 大妻女子大学教授の高橋勇悦先生をコーディネーターに、アネッサクラブ顧問の山口乃子さん、北上川流域市町村連携協議会事務局長の今野豊喜さん、北の起業広場協同組合専務理事の坂本和昭さん、ゆずの里かおり村会長の石河智舒さんの4人のパネリストにより、パネルディスカッションが行なわれた。概要は次のとおりである。


既成概念にとらわれず

高橋先生 第1部の活動紹介を聞き、地方や活動の自立を高めていこう、また自然環境を大切にしようという意識が強く感じられるようになるとともに、その活動に創意、工夫があり、広報や口コミの利用がうまくなってきている。また、ネーミングにより地域の再生を進めたいということが強く感じられ、ネーミングの重要性を感じた。そのうえで、各集団が自負したい点、強調したい点を話してほしい。

山口さん 根本的な原動力は、自分と店とまちづくりという目標があったこと。一生懸命やっていれば、行政も含めた地域でサポーターができ、活動が広がっていく。だから、何をするにもあきらめないで、みんなでよく話し合って、小さなこと、無理しないでできることといった形を残していくことが重要と考えている。

今野さん 地域づくりで重要なことは、地域をよくみること、地域以外の外部からの応援を役立てること、同時に地域の歴史、風土の価値観を認め、共有できるパートナーを持つこと、キーマンの存在があると考えている。また、行政との協力は必要だが、人事異動で行政の対応が変わることもあり、頼りすぎることはよくない。また、今は女性の時代で女性を対象に事象を考えることが大切である。

坂本さん 地域づくりで行なう事業では、地域の持つ特性、また人の個性を輝かせることが重要である。屋台は南のものといった既成概念や、現代人的な知恵で解決するのではなく、思い込みをやめ、また先人の知恵を生かした事業をしないと苦労する。北の屋台は、屋台の歴史などを見直す中で、なぜ北ではだめなのかという発想から生まれた。
石河さん ふるさとづくりは、人や地域を一列にならべ、その自慢比べをさせることで、みんな面白さを覚えていく。また、嫁不足で嫁さんが来る町にしたいと、山の木を切り、ゆずを作るということが生まれたように、地域が恵まれなかったからまちづくりができた。また、民間で失敗したら、方向転換すればいいということで、まちづくりに取り組むことができた。ただ、まちづくりには統率力のあるリーダーが必要だと考える。


女性が変わると男性も変わる

高橋先生 現在のまちづくりはネットワークとコミュニケーションをどう進めていくかにかかっている。まちづくりに対する様々な成果や問題点が出されてきたが、そうした問題に対応するにはどのようなことを考えたらよいか。

坂本さん 便利優先の現在にあって、屋台は店より不便であるが、そのためかえってコミュニケーションが生まれ、それが、商売の原点であると考えた。

石河さん ゆずの里のネットワークで、周辺にそばの里づくりなどが進んでいるが、話しているのは、ネットワークは重要であるがまねではだめだ、ということを話している。

山口さん 町村交流が大事である。村が健康であれば町も健康になる。

今野さん チャレンジ精神は人の持つ特性で、子どもたちも持っている。そうした本能を生かす活動も重要である。

高橋先生 まちづくりには家庭の協力が必要と考えるが、特に女性ががんばることによりどのように家庭が変わったか。

山口さん 当初は、男性の3〜4倍がんばらなければできなかったが、そのことにより自分自身が変わった。また、実績が生まれるようになり、地域や家庭が活動を認めてくれ、また活動が進んだ。今は、女性が変わると男性も変わると考えている。

会場の質問 各事業で行政とはどのようにかかわっているか。

北の起業広場協同組合のメンバー 1年で事業をやめようと思ったが、行政が途中から入り、北の屋台を続けようということになった。

今野さん 動機は民間の活動であったが、途中から行政が入ってきた。ただ、事業は民間型となっている。事業に学校に参加してもらうには行政のかかわりがないとできないので、大きな役割を持っている。そうした、官と民の協働は重要だと考える。

会場の質問 危機感があったからまちづくりができたというであったが、地域に危機感がないので困っている。

坂本さん まず、面白いことやろう、地域に貢献したいということが、活動のきっかけである。そうした発想も大事である。

高橋先生 ネットワークを作ることによりコミュニケーションが生まれ、情報の交流が積極的に進み、地域全体の元気につながっていく。
 地域活動を進めるとき、地域において何が地域の活動テーマかということを見極めることが重要で、問題のない地域はないと思う。地域のことを知る、調べる、そのことにより、問題は見つかるはずである。テーマをどうするかが出発点であり、終着点でもある。


申し合わせ

 質疑を含め約3時間にわたる討論を終え、高橋先生より、今までの討論を踏まえ「ふるさとづくり運動の指針」となるようなものをまとめてはとの提案があり、申し合わせ案が朗読された。これに対し、会場から男女共同参画社会についての文言を加えたらどうかとの提案があり、これを含め申し合わせをすることで了承された。