| 全体会 |
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| パネルディスカッション これからどうするコミュニティ |
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住民主体で子育てなどにきめ細かなサービスの提供を
パネリスト
佐 藤 良 子 東京・大山自治会会長/大山MSC(ママさんサポートセンター)会長
金 山 富士子 岐阜・土岐市生活学校運営委員長
今 木 仁 恵 東京・ウイズ代表
コーディネーター
江 上 渉 生活学校運動中央推進委員/立教大学教授
“これからどうするコミュニティ”をテーマにパネルディスカッションを進めました。この中で、地域住民が、地域課題を発見し、それを解決していく“自治的コミュニティづくり”の必要性が強調されました。そして、子育てや高齢者支援等の住民ニーズは、多様化し、個別化しており、こうしたニーズに応える地域活動の役割が大きくなっていることを各パネリストが明らかにしました。つまり、行政にサービスを依存するだけでなく、地域の人たちが、地域の人々のためにきめ細かいサービスを住民相互で提供していく。このようなコミュニティづくりの目標が、このパネルディスカッションで明らかになりました。(協会・浜村)
地域の力が問われる
江上 パネルディスカッションでは、@これからの社会に相応しいコミュニティ活動の方向性を探る、A先進事例に学ぶ、Bこれからの行政と地域活動の役割は何なのか、今後、住民と行政がどういう関係をとっていけばよいのか―をねらいに討議します。
討議に入る前に、“コミュニティづくりとはどういうことか”ということを確認しておきます。
コミュニティづくりが、言われるようになって35年が経過しました。コミュニティづくりとは、二つの意味で使われています。一つは、“親交的コミュニティづくり”です。1970年代から都会でも、農村地域でも人と人との付き合いが薄くなり、隣近所にどんな方がいるかよく分からない。このように地域の人間関係が薄くなっています。失われた地域での“人間関係を取り戻したい”という目的のもとにコミュニティづくりが考えられたもので、様々なイベントなどを開き、地域の人々が顔見知りになるということでした。これが“親交的コミュニティづくり”です。
もう一つが、“自治的コミュニティづくり”です。これは、地域住民が、地域課題を発見し、それを解決していこうというものです。
大雑把に、これまでのコミュニティづくりを振り返ってみると、親交的コミュニティづくりは、ずいぶん成果をあげてきましたが、自治的コミュニティづくりは、親交的コミュニティづくりに比べて遅れています。いま求められているのが、自治的コミュニティづくりです。生活の中に様々な不安や課題、ニーズが、地域の課題としてあります。地域の力が問われている状況です。
これまでは、これらの住民のニーズには、広く薄く対応していけば、だいたいみんなの幸せが維持できました。しかし、今日の不安を解消しようと考えたときに、今までの対応の仕方では、その不安などは解消しません。不安などは、細分化し、ニーズも多様化しているからです。また、家族の力が弱くなっています。かつては、家族で乗り切れた問題も、家族だけでは対応しきれなくなっています。今日では、個別に手厚い対応がないと私たちの生活は、幸せになっていけない状況となっています。
行政のサービスは、一律に広く、薄く提供しており、効率的な対応となっています。ごみ処理などは、一律に行なえばいい問題と言えます。これに対し子育てや高齢者等の問題は、多様なニーズを個々の家庭が抱えています。個別に手厚く、サービスが提供されないと、個々の問題が解決しません。個別に手厚くニーズに対応できるのは、地域の支援です。つまり、地域の力が問われているということです。このため、自治的なコミュニティづくりに取り組んでいくことが求められていることになります。本日、出席のパネリストは、自分たちの活動を中心にサービスを提供している人たちです。
商店街の活性化
江上 土岐市生活学校の“商店街の活性化”の活動をまず私から紹介します。
“シャッター通りを解消し、街に賑わいを取り戻そう”という活動に取り組み始めたのは、平成12年の対話集会からでした。
生活学校が参加するようになって、朝市をはじめフリーマーケット、子ども縁日を開くようになりました。また、空き店舗を活用して“はいって小屋”という市民ふれあいの場がつくられました。ここでは、高校生が先生役となり市民を対象にパソコン教室が開かれています。さらに、ボックスショップも、空き店舗の利用です。活性化のために様々な工夫がされています。
来年には“ゆのみ館”が完成する予定です。これは行政との協働で建設準備にとりかかっています。
シャッター通りの解消をめざしたいきさつをもう少し詳しくお願いします。
金山 駅前の商店街が、大変さびれ、これをなんとかしたいというのが私たち生活学校メンバーの願いです。かつて商店街には、“生活の臭い”がありました。子どもたちは、駄菓子でよく買い物をしていました。そこで、子どもたちは、おばあちゃんと何を買おうかと一生懸命に会話をするのです。そこに、子どもたちの生活がありました。
また、私たちにとっても、商店街に行くと、医者、銀行、郵便局、店があり、なんでも揃っていました。そして、情報も得られました。八百屋さんでは、「あの人が風邪を引いて寝ている」という街の情報がありました。しかし、最近は、こうした情報がありません。
昨年、孤独死がありましたが、街の情報があれば、こうしたこともなくなるはずです。
私たちは、商店街をなんとかしたいと対話集会を開き、対話集会に出席した商店街の自治会長が「生活学校はわれわれの商売の応援をしてくれるのか」と感心し、これを契機に、商店街や商工会議所との連携ができました。
この当時、市町村合併の問題がありましたが、(その後、解消した)合併すると市役所が遠くなる。そうすると“行政手続き”などが大変不便になる。駅前商店街に行政手続きが場所をつくろうということにも一時なったのです。対話集会で出席した関係者と生活学校との“想い”が一致し、活性化への第一歩を踏み込んでいったのです。
楽しく子育て支援
江上 立川市の大山自治会の活動を紹介します。この自治会は、1,200世帯、3,000人で構成されています。平屋から高層の団地に9年前に建て替えられました。そして、元の住民と新しい住民が入居しています。このため新旧住民の様々なギャップが生じ、コミュニケーションを図る必要性が生まれたのです。
自治会の役員を中心に“いつまでも住み続けたい団地”を目標に様々な活動に取り組んでいます。
大山団地には高齢者住棟が3棟あるなど、高齢者の多い団地です。かつて、ボヤ騒ぎがあり、高齢者の安全と安心を図るために、名前等を登録してもらい、名簿を整備して、非常事態の発生に備えています。名簿の扱いは、プライバシーの保護に務めています。
また、ここでは、“ペットと一緒に暮らせる団地”としてモデル事業に取り組んでいます。団地ではペット禁止が多い中で全国的に注目されています。また、犬を飼っている人を対象に“あいあいパトロール隊”をつくり、地域のことに目を配りながら散歩をしています。これも、地域の安全・安心の確保に務めるための活動です。
さらに、団地内の路上駐車の禁止にも取り組んでいます。これは、緊急車両の交通障害にならないための方策です。このため、取り締まりだけでなく、団地内の駐車場を都と交渉して増やし、これでは、すべての車の駐車場が確保できないので周辺にも団地内と同じ料金で駐車場を借りています。そして“路上駐車ゼロ”となっています。
このほかにいろいろな活動がありますが、このなかで大山MSC(ママさんサポートセンター)の活動があります。近隣で支え合うことで安心して子育てができる活動です。これは、自治会活動とは別に進められています。
この活動の内容は、@家庭における子育ての支援、A虐待の防止、B高齢者との対話、C子育てで悩んでいるお母さんの相談、D講座、研修会の開催、E子育て支援情報の提供となっています。
こうしたことを行政に依頼しないでなぜ地域で支援をするのかと佐藤さんに尋ねたら「行政の仕事は、8時半から17時まで。地域のニーズは、この時間とは限らない。いつ、どんなことが起きても対応するのは、地域です」と答えたのが印象に残っています。
MSCを立ち上げるには、地域にどんなニーズがあったのですか。
佐藤 親の子育ての態度や言葉づかいなどに問題がありました。子どもに向かって「てめぇ、このやろう」と言って引っ叩いている親もおり、これが子育てかと感じました。また、住民から「異常な泣き声が聞こえる。なんとかしないといけない」という通報があった。現場に駆けつけると、女子2人に親が熱湯を掛けていた。幼児虐待だと察知して、学校、児童相談所、警察に連絡。この親は、子どもを育てることができないと判断して、子どもたちを保護し、施設に預けました。
もう1件は、酒乱のお母さんが、4歳の子どもの頬に噛み付き、血だらけになっていました。これも虐待ということから保護をしました。
団地には、0歳から中学生まで710人の子どもがいます。子どもたちを見守っていきたいと、平成11年に、5人の信頼できるメンバーでMSCを立ち上げました。そして、この活動は、プライバシー問題があるのでそれが守れて、明るくて、信頼のおける人たちに働きかけメンバーを増やし、現在、24人のメンバーで活動しています。
支援は、出産の時や入院などの時に、個人の家に子どもを預かり、また、PTAや学校の行事などでは、大勢の子どもたちを預かっています。楽しく子育て支援をしていくのがモットーです。
これからは、非行少年、少女もいるので、そうした子どもたちの居場所づくり、また、中学生の交際が、おかしくなっているのできちんと教えていきたいと思っています。
障害者にとって暮らしやすい街
江上 東京都武蔵野市のウイズの活動を紹介します。
ウイズの活動は、知的障害を持っている子どもの放課後をサポートしています。武蔵野市においても地域ごとに地区社会福祉協議会(地区社協、武蔵野市では福祉の会)があり、地域の福祉活動を担っています。吉祥寺南町福祉の会の懇談会を開き、住民ニーズに応える活動をしています。この懇談会に出席した障害児を抱えているお母さんからの切切な訴えに応え、ウイズの活動が立ち上がりました。
このボランティアは、知的障害児と午後のひと時を一緒に暮らしています。部屋の中でお世話するだけでなく、公園の散歩や街中に出ていくこともあります。このお子さんは、多動でお世話をするのに苦労があるようです。ボランティアは交代でサポートしています。また、この子の弟が骨折して入院したことがありました。お母さんは、弟の面倒を見なくてはならない、障害児を誰が面倒を見るか。この時もボランティアが、交代でケアをしたという実績もあります。
今木さん、懇談会の話などをもう少し詳しくお願いします。
今木 吉祥寺南町は、広いので丁目ごとに懇談会を開いて、そこで出たニーズに応えてきました。“障害者にとって暮らしやすい街”をテーマに、平成9年から年3回懇談会を開いています。この会に、いま面倒を見ている子のお母さんが見えて発言がありました。保育園は近かったが、小学校は遠くに行かざるをえない状況。お母さんは「この子が地域で暮らす一生の時間が終わった」と嘆いていました。お母さんは、ボランティアに面倒を見てくれと言ったわけではないが、参加者は感じることがありました。
出席者の1人から、「離れを使ってください」という話があり、場所の提供があったので、「地域の人たちで見ましょう」ということを懇談会の場で決めました。
コミュニティセンターと福祉の会では、全戸配布の広報紙を発行しています。これを活用して、ウイズが活動を始めることを広報しました。放課後活動は、子どもが2人に、ボランティア6人が関わっています。“地域で暮らす”がニーズだったので、いろいろな体験をさせてあげようと、買い物やレストランなどに行ったり、電車に乗ったりと家庭ではできない経験をさせてあげています。また、コミュニティセンター(当初の個人宅の拠点からコミュニティセンターに移す)で過ごすことも多いので、この子どもたちを知ってくれて、行動パターンも理解してくれる人が増えています。
今後も、地域で見守っていきたいと思っています。
江上 お母さんの反応は、いかがですか。
今木 お母さんは、「この地域から離れなくなった」と喜んでいます。
私たちボランティアにお返しするというのでなく、他の人に回していきたいと外国人に日本語を教えるボランティアになるための勉強を始めています。
行政依存ではなく、地域住人同士が相互にサービスを提供していく
江上 自治的なコミュニティ活動を進める時に、地域のニーズを拾い上げ、@行政に要望して解決する方法、A自分たちで解決していく、Bこの二つを噛み合わせて解決する―という三つの方法があります。このあたりをどう考えますか。
金山 平成12年4月に中心市街地活性化委員会が、商工会議所を中心に立ち上がり、私は委員として入りました。対話集会などで“弱者にやさしい街”という提案をしました。提案の中には、道路の段差をなくすこと、街中に休憩場所がほしいなどがありました。委員会にワーキンググループができ、それは、はいって小屋、空き地利用、ボックスショップの三つです。はいって小屋と空き地利用に生活学校のメンバーが参加しました。
空き地利用では、夢がないので“ゆのみの里”とネーミングをつけました。それが、ゆのみ館を建設することになっています。
江上 土岐市生活学校の活動は、住民の立場を守りながら、行政、商工会議所、商店街とうまく連携しながら商店街の活性化に取り組んでいるということですね。
そこで、佐藤さんと今木さんには、行政が当てにならない部分、期待することをお願いします。
佐藤 行政に対し平成11年度に「子育て支援センターをつくってください」と要望しました。市の回答は「お金がかかる」ということで要望に応えてくれませんでした。
私たちでつくってしまおうと、MSCを立ち上げました。翌年、行政は、子ども支援センターをつくりました。行政は、この間何度か私どものところに視察にきました。
自治会では、サイドビジネスの必要性から都にお願いして駐車場の管理・委託業務を受けて、673台の駐車場の管理をしています。公園の清掃の委託を市から受けています。これでお金を生み出し、自治会員に還元しています。
地域活動は、自分たちでできることは、自分たちでやるという考え方で進めており、これには地域の人たちが賛同してくれています。
今木 行政のサービスが充実すれば安心して暮らせるかもしれません。けれどもそれだけでは、本当の意味で元気に暮らせないのではないでしょうか。それは受身の姿勢だからです。自分の気持ちで、動いた時に初めて生き生き暮らすことができ、本当の喜びが得られるのだと私は常日頃思っています。
もうひとつ、行政のサービスは、公平でなくてはならないので動きにくいところがあります。しかし、民間の場合は個々のニーズに応え、そして、柔軟に行動できるので、きめこまかなサービスを提供することもできると思います。
「たった1人のニーズにも応え、すぐ行動する」ということをモットーにしたら、1人のニーズからいろいろな活動が始まり、そこから次々と広がりができていき、いい結果が得られました。
江上 今後は、行政にサービスを依存するだけでなく、地域の人たちが、地域の人々のために相互にサービスを提供していくことが必要です。地域活動には、サービスの担い手となることが求められています。コミュニティづくりは、担い手づくりであり、自治的コミュニティは、そうした活動からつくりあげられます。
今日はありがとうございました。 |
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