平成17年度あしたのまち・くらしづくり全国フォーラムの内容
分科会
第1分科会・今からでも始められる子育て支援!―私たちはどんなことをする?―
“子どもが主役”を忘れずに

【問題提起】
中 村 富 子  和歌山県・NPO法人WACわかやま理事長、実行委員
松 本 雅 子  群馬県・前橋市駒形地区生活学校代表
黒 田 洋 子  千葉県・かつしか生活学校副委員長
川 口 道 子  福岡県生活学校連絡協議会会長
【助言者・中央推進委員】
松 田 宣 子  フリージャーナリスト
【司会者】
幡 井 政 子  兵庫県・仮屋生活学校代表、実行委員
【実行委員】
福 山 美 智  奈良県・あやめ池生活学校
竹 内 嘉 子  岡山県・津島生活学校

 子育て支援の分科会では、「私たちはどんなことをする?」をテーマに、子育て支援に取り組んでいるNPOや生活学校から問題提起をしてもらい、さらにグループに分かれて自分たちがやるべきことや行政・企業に要望すべきことなどを討議した。その結果、生活学校としては、「子どもが主役」ということを問題の根本に考えつつ、男女共同参画の視点に立ち、多世代による子育て支援を積極的に取り組むことを確認した。また国・地方自治体の子育て支援関連予算の増加や地域社会や従業員への子育て支援の充実を企業に対して要望するなどを決議した。(協会・藤田)


様々な取り組み事例からの問題提起

群馬県・前橋市駒形地区生活学校 松本雅子さん
「寺子屋での活動」
 市内45の小学校の中で今年度は16校でスタートした寺子屋活動。1〜3年始を対象にした、放課後の学習支援活動。高齢者が小学生のドリルを見てあげることにより、子どもたちの学習支援と高齢者自身の脳の活性化につなげる“一石二鳥”の取り組み。
 この取り組みは上記の主旨のもと6月からスタートしたが、「地域と学校のつながりをつくりたい」と考えていた生活学校にとってはもってこいの話だった。
 市内で一番最初の取り組みとなった同校では、「始めた、終わった」では意味がない、始めたからには継続する、後継の方たちを見つけることをすでに考えている。そのために、今は生活学校メンバー中心の取り組みだが、男性にも参加してもらうために自治会に声をかけている。これは2007年問題(団塊の世代の定年退職)を視野に入れたものである。
 この事例は、子どもたちが学習に使うプリントと会場となる教室は学校で用意してくれる。メンバーは子どもたちに教えるだけ。市の予算は1校につき2万円。むずかしいようでいて、案外簡単にどこでも始められる取り組みではないだろうか、ということで発表と問題提起をお願いした。

千葉県・船橋市生活学校連絡協議会 黒田洋子さん
「市内全校での子育て教室」
 平成15年度全国大会での子育て分科会の申し合わせに「子育てサロンを作ろう」というものがあり、同連絡協議会では早速市内全生活学校で「子育て教室」を開催した。今年が2年目。
 教室の内容は、乳幼児の心肺蘇生法など。参加者から「一度やってみたかった」「実技ができてよかった」などの声があった。また、「友だちの子どもがプールに溺れたときに役立ったのでもう一度勉強しにきた」という参加者もいた。
 運営面では、公民館を会場にしているが、借りるのがむずかしいうえに、公民館にポスターを掲示してもなかなか申し込みがない。しかし、市の広報に載せると申し込みが殺到する。公園で若い親に参加を呼びかけてもみたが、尻込みする親が多かった。
 生活学校メンバーは親が受講中に子どもたちの面倒を見ている。対象は6か月〜3歳児までだが、兄姉を連れてくる親も多く、今後の課題はそのような年齢の高い子どもたちの対応も考えないといけない。
 この事例は、大会申し合わせをすぐに実行した例の2年目の取り組みから新しい課題を報告してもらうためにお願いした。

和歌山県・NPO法人WACわかやま 中村富子さん
「子育て支援のバリアフリーを」
 気軽に子どもを預けられる場所がほしい、というのが働く母親、専業主婦両方のニーズ。地域活動として簡単に取り組めるものではない。しかし深く考えずに「私たちにもできるんちゃう」と託児を始めた。その後託児のための講座を開くなどグループ作りの手伝いもしてきた。すると、「やりたいという人がこんなにいるの!」ということが分かった。
 「子育て支援」を掲げて活動をしていると、「資格を持っているの?」と聞かれることが多い。国も資格にこだわる。しかし、資格を持っていなくても子育て支援をしたい人はいっぱいいる。資格が子育て支援のバリアーになっている。やりたい気持ちがあればいいじゃない。ニーズに応えるスタッフがいればいいじゃないか。
 働く女性が増え、子どもとのふれあいが減ってきた。ふれあいがないのなら私たちがいっぱいふれあってあげよう、という考えで託児をしている。
 地域にはニーズがいっぱいある。生活学校はそれを掘り起こして、自分たちの老後の面倒を見てくれる世代のサポートをしてほしい。
 この事例は、実行委員メンバー唯一のNPOとして、生活学校以外の視点から生活学校ならこんなことができるのでは?という提起をお願いした。

福岡県・生活学校連絡協議会 川口道子さん
「子どもと一緒に考える新生活運動」
 縦の関係でも横の関係でもなく斜めの関係を調査したかった。近隣のおじさん・おばさんとのつながりを再構築する必要性を感じたため。
 若い親と子どもは地域とのかかわりといえば、イベント・お祭りなど一過性のものが中心という結果。近所のおじさん・おばさんの存在が必要だと思う。そこにこそ生活学校・生活会議の役割があるのではないか。特におやじの会は各地にできつつあるが、おばさんの会がない。
 若い親は、既存のグループに対して「閉ざされている」「入り込みにくい」という印象を持っている。体験入会などの工夫が必要。
 この事例は、昨年度実施した「少子化に対応する地域活動調査」をそのままに終わらせるのではなく、県独自でさらに詳細な調査をしたことから見えてくる子どもと親の問題を提起してもらうためにお願いした。


こんな問題にこんなふうに取り組む

グループ討議
 グループ討議は、どんな課題があるかを考え、その課題をどう解決していくか二つに分けて討議した。出された意見を箇条書きにしてみると、
【課題発見】
・悩みの相談相手がいない。
・遊び場がない。
・隣近所の付き合いがない
・地域でのふれあい、かかわりあいが少ない。
・拠点の確保がむずかしい。
・メンバーをどう増やすか。
・遊びを知らない。
・好きなものだけを与える親
・子どもとのかかわり方が分からない。
・資金が足りない。
・企業への働きかけ。
・学校との連携が壁が高くてむずかしい。
・親の社会参加が少ない。
・男性(定年退職者を中心に)の力の活用。
・市町村合併でなんでもかんでも予算がカットされる。
【なにをどうやるか】
・子どもが忙しく遊びを知らないので、昔遊びを教える。
・子どもと1対1で悩む親のケアをする。その場合、地域とのかかわりをつくるために自治会・町内会などと連携する。
・企業の子育て支援を促進するために、子育て支援について優良な企業を表彰する。
・商店街の空き店舗を利用して子どもの居場所を作る。
・中高年の技能を活かし、もの作りの喜びを教えてもらう。
・企業による子育て支援として、遊びの場や高齢者の生活経験を伝える場を作ってもらう。
・保育者養成講習会を開く。
・障害児などの居場所づくり。
・ホームページ、ケーブルテレビなどを通じて活動をPRし、参加を促す。
・行政に頼らない運営をする。
・親育てをする。
・企業に子育て支援の重要性を認識させる。子育て支援は国の最重要課題。
 などであるが、自分たちでできること以外でも、行政や企業にやってもらわなければできないことも出された。あとは、生活学校としてどれだけ要望していくか、なのかもしれない。


将来のためにも子育て支援は必要

 最後に松田中央推進委員からは次のような助言があった。
 『少子化白書』が初めて出され、そういう時代になった。先進国のなかでも日本の子育てに関する予算は低い。自分の地域の子育て支援施策関連の予算と使われ方を調査してほしい。
 子育て支援はあくまでも子どもが“主役”。親の都合で支援内容を決めるのではない。例えば、24時間保育は本当に子どもにとって良いことなのか? 労働時間を短くして子どもとのふれあう時間を長くするような働きかけをする必要がある。
 母親が大変だから手助けをするために子育て支援をするのではない。子どもの数が減れば将来的な労働人口も減り、国力の低下を招く。日本の経済、日本の将来のために必要なことだからやる。
 子どもは国の宝。だからこそ子育て支援は必要だ。
第2分科会・シニアの地域活動等への参加機会をどのようにつくるか
豊富な知識・技能を持つシニアを地域リーダーに

【パネリスト】
柴   俊 男  東京都・玉上上水の自然保護を考える会生活会議
小 玉 文 吾  兵庫県・NPO芦屋17℃倶楽部、滋賀県レイカディア大学
【助言者・中央推進委員】
勝 部 三枝子 生活評論家
【司会者】
菅 谷 正 子  滋賀県・おおがや生活学校、実行委員
【実行委員】
木 内 喜久子 奈良県・学園大和生活学校
仁 志 恵 子  岡山県・さくら生活学校
小 川   都  広島県・金江生活学校
高 岡 歌 子  全国生活学校連絡協議会

 第2分科会「シニアの地域活動等への参加機会をどのようにつくるか」をテーマに討議した。討議の結果、「仕事を通じて豊富な知識や技能などを持っているシニアを実戦的な地域リーダーとしていくことが必要である」などとまとめ決議とした。
 この分科会では、@シニアの地域活動等への参加プロセスは、どのようにすればよいか。Aシニアが地域活動等に参加するために整備すべき条件とその実現のために生活学校や生活会議などの地域活動が果たすべき役割は何か。B生涯学習等における各種講座の受講終了者が地域活動等に参加しやすするためには、どのような仕掛けや仕組みづくりをすればよいか―を狙いに討議を進めた。
 今回の分科会には、十数人の男性シニアが参加した。昨年度の分科会は2人であったので大幅に参加者が増えたことになり、地域活動を充実いくために、シニアの期待が年々大きくなっている現れであろう。特に、数年後には団塊の世代が定年退職となり、地域に戻ってくる。こうした年代への地域社会の期待も高い。分科会は、「シニアの地域活動への参加」をテーマに前半は、パネルディスカッション、後半が、ワークショップを行った。(協会・浜村)


3事例から地域活動の重要性を強調

 この分科会の前半では、「シニアの地域活動への参加」をテーマにパネルディスカッションを行った。パネリストは、柴俊男さん(東京都立川市・玉川上水の自然保護を考える会生活会議)と楠亀清司さん(滋賀県レイカディア大学卒業生、びわこシニアネットITボランティアリーダー)、そして、パネリストとコーディネーターを兼ねた小玉文吾さん(兵庫県芦屋市・NPO17℃)であった。
 まず、柴さんは同生活会議が自然保護活動に取り組んでいるいきさつについて「まちづくりアンケートの結果、住民の希望によって生まれ、玉川上水の問題に取り組むことになった」と述べた。当時、玉川上水には、柵が設けられ、この柵がバイク、自転車、たて看板、ビニール袋などあらゆるごみを不法投棄する結果となっていた。また、土手には、貴重な野草が自生していたが、水道局の管理では、委託業者が根こそぎ刈っていくため、耐える可能性が生まれていた。
 このように当時は、玉川上水が“ごみ捨て場”となっていたが、同生活会議を中心に玉川上水を蘇らせていった。同生活会議のもう一つ大きな特徴は、活動を通じて新しい地域リーダーが生まれ、そして、生活会議運動に発展したことである。玉川上水生活会議を母体に“河川を守る”活動をはじめ“子育て支援”“食文化を考える”“手づくり公園をつくる”“蛍を呼び戻す”と6つの生活会議が誕生したのである。この生活会議のリーダーは「シニアによって支えられている」のである。
 さらに、このリーダーらは「なんでも遊び塾」という講座も開催している。各生活会議のリーダーが講師や世話役などになってこの塾が開かれている。主な内容は“ヤゴ救出作戦”“ホタル観察会”“残堀川探検”“昔遊びを楽しむ”など33事業を小学生以上の親子などを対象に開いている。
 玉川上水生活会議を中心する生活会議の活動は、シニアに地域活動の場を提供しており、シニアは、永年にわたる仕事の経験で培った技術や知識などを、地域活動に開花させているケースである。
 続いて、楠亀さんは、まず「『会社をやめたら何をする』と友人に言われ、これがきっけとなり、定年退職後活動ができるようになった」と自己紹介をした。
 滋賀県レイカディア大学については、「この大学は、60歳以上のシニアが、毎年200人の定員で募集している。県内には、相当数のシニアがいるため、この大学への入学は、3倍の難関を突破しなければならない」と披露した。
 そして、この大学の特徴は、「大学終了後、地域活動に参加していることである」と強調。現にこの5年間の1000人の卒業生が「なんらかのかたちで地域活動に参加している」と答えたのが86パーセントに上っている。毎年の入学定員は少ないが、地域活動を通じて多くの人を巻き込んでいる。高齢者大学などは、学んだことが地域活動に活かされていないなどの問題点の指摘があるが、レイカディア大学が、このことをクリアしている。
 地域活動の事例として、@手づくり紙芝居で施設訪問、A庭木勢定と刈り込み、G車椅子レクダンスの実施、Cホームページの作成と運用などがある。
 つづいて、小玉さんは、“NPO芦屋17℃倶楽部”について紹介した。「17℃とは、17世帯のマンション居住者1世帯が1℃ずつ持ち寄る」というユニークなネーミングを説明。この活動は、若い人からお年寄りまでそれぞれの世代が助け合い、知恵を出しあたっている。また、マンションの共用部分を地域社会に開放して地域の人々と一緒に住んでいこうという活動に参加している。
 また、“地域力”が弱くなっているが、男性の地域活動への参加意識が希薄なのもその一因である。地域活動について@やりたい人がやる、Aやりたい人は、やりたくない人に強制しない、Bやりたくない人は、やりたい人の足を引っ張らない、こうした考え方から、シニアの地域活動への参加を促している。


実戦的な地域リーダー養成

 後半は、「シニアの地域活動へどのように参加できるか」をテーマに6グループに別れワークショップを行った。このなかで、@「シニア自身」と「生活学校や生活会議等の支援側」の問題点を出し、問題点の中から1つ選び、その解決と改善策をまとめた。
 シニア自身の問題点では、次のようなことが挙げられていた。シニアに地域活動へ参加しようとする意思がない。また、意思はあるが、どのような活動をするか、その方法などが分からない。男性シニアは、内弁慶だ。地域に仲問がいない。
 こうした問題点をどのように解決・改善策をつくるか。まず、地域やボランティア活動の楽しさを味合う機会をつくる。シニアの特技を活かす場所をつくる。喜びを経験してもらう。これらのことは、地域活動を通じて経験できることであり、地域リーダーがこうした企画を進めていくとによってシニアの参加が得られるという考え方である。
 また、保育師として参加した人が、次のよう述べた。「これまで、私の勤めている保育所では、シニアの参加がなかった。今後、シニアを巻き込み、子育てに参加してほしいと願っている。最終的には、子どもとシニアが一緒にボランティアができるようにしたい」と具体的な目的を明らかにした。
 また、高齢者のための各種講座については、「受講者は、地域で活動する」ことを前提に募集することという提案があり、そのためには、「実戦的に地域活動を経験する機会」をつくることだという指摘もあった。同様な意見として地域リーダーの養成が行われているが、講座等の修了者が「地域活動をする人が少ない」という現状も披露された。講座を通じて学習し、その学習が地域活動に繋いくことの必要性とそうした内容で講座が開催されることが強調されていた。さらに、「シニアの特技発掘が急務である。この発掘のために自治会に働きかけていくことが必要だ」という提案あった。
 最後に、「脆弱となっている地域カを回復するためには、仕事を通じて豊富な知識や技能などを持っているシニアを実戦的な地域リーダーに養成していくことが必要である。その際、シニアが学習とともに実戦的な活動を経験することが必要である。行政においても地域活動団体においても協働して、こうした具体的な工夫を行うなどの積極的な養成策を講ずる必要がる」と決議した。
 これまでの地域のリーダー養成が、分科会討議にあったように、地域活動の実践に活かされていないという側面是正していくことをめざしているものである。この決議が、今後実現していくためには、各地域での積極的な活動がなければならない。
 最後の締め括りとして実行委員の小玉さんは、シニアの地域活動への参加には「情熱、知恵、遊び心」が必要である。そして「地域活動においてもアイデアが勝負となる」と述べた。
 また、勝部生活学校中央推進委員長は「シニアを地域に引っ張り出し、活動するためにどんなことが必要か早急に明らかにする必要がある」と述べたのち、シニアの情報がまとめられていない現状であるため「シニアの地域活動を具体化するために全国各地の情報を収集していく必要がる」とも提案した。
第3分科会・地域が学校との連携を深めるために
学校との信頼関係を築いて

【問題提起・事例発表】
壷 坂 敏 子  兵庫県・前菅生小学校校長
田 丸 せつ子 東京都・あすか生活学校代表
中 村 卓 子  大阪府・如是第2生活学校代表、実行委員
【助言者・中央推進委員】
加 田 純 一  経済評論家
【司会者】
服 部 富久美 愛知県・瀬戸消費生活クラブ生活学校代表、実行委員
【実行委員】
加 茂 繁 行  兵庫県・小坪地区生活会議代表
川 上 洋 一  岡山県・岡輝公民館館長

 「学校は地域の支援を求めている。地域の団体として学校に積極的に働きかけていこう」。分科会では、こんな意見が多く出された。これまで「敷居が高い」「働きかける方法が分からない」など、学校との関わりあいを躊躇するところが見受けられた。しかし、「地域との連携」を学校の経営方針に打ち出している学校も多くなっている。これは単に謳い文句ではなく、実際に地域の協力・支援を求めているという校長経験者の意見も出された。そこで、地域も学校側からの要請に応えるだけでなく、積極的に学校側に参加していくことが求められている時代だとした。そのために、@自分たちには何ができるかを明確にすること、A校長を始めとする学校側との話し合いを行なうなかで信頼関係を築いていくこと、B自分たちのグループだけでなく、地域の人材の発掘に努め、その人たちと協力して推し進めること、さらに、C保護者による学校評価制度を導入している学校が出てきているように、単に授業の先生役、お手伝い役だけに終始するのではなく、授業内容などにも目を配り、そのなかで、子育てはもちろんのこと、親育て、教師育ても視野に入れて活動していこうという提言もなされた。(協会・新井)


分科会参加者の8割が学校と関わる

 地域と学校との関わりをテーマにした分科会が設けられるのは初めてのことでもあり、学校に向けての活動がどの程度あるのかなどを明らかにするために、分科会参加者を対象にアンケート調査を実施した。回答者のうち、おおむね8割程度が何らかの形で学校との関わりを持っていた。関わりの主なものとしては、総合的な学習やクラブ活動などで教える、あるいは教える手伝いをするものが多かった。具体的には、環境問題の授業、家庭科、生活科、などの授業や自然体験・観察、稲作体験、花づくり、農村歌舞伎や盆踊りの踊りの指導、戦争体験の話など多岐にわたった。そのほかには、子どもたちの安全確保のため、校庭開放、見回り、あいさつ運動が見られた。
 その活動をするに至った動機・きっかけの面では、「学校側からの要請」というものが多かったが、グループ・団体から学校側に働きかけ実現したものも数例見られた。また、学校側の要請という回答でも、長年の活動が認められてというものが見られた。さらに、県や市町村が進めている事業に参画し、学校と連携しているケースなど報告された。
 学校との関わりあいを進める上でのネック、隘路については、「先生方の理解がなかなか得られない」「異動に伴う引継ぎができていない」「担当教師との話し合いの場があると、こちらの要望等が理解してもらいやすいのですが、双方の接点がないのでむずかしい」など、学校側の姿勢を問題にするものが見られた。反面、「校長先生はじめ、職員の方が積極的に働きかけてくださる」「学校側の理解があり生活学校が関わることを喜んでくれた」などの学校側の対応を評価する意見も寄せられた。一方、学校側からの要請を受け、周辺の住民に協力を呼びかけたが賛同者が得られず、学校への協力ができなかったという体験や、自分たちのグループが高齢化し、体力的にも続かないなどの声も寄せられていた。
 分科会では、地域と学校との関わりあいを積極的に進めている三つの事例発表が行なわれた。


保護者による学校評価を導入

 昨年まで菅生小学校の校長であった壷坂敏子さんは、「地域に開かれた学校」ということを学校の経営方針として謳っている学校は多いが、今ほどそのことを強力に推し進めることが求められる時代はないとし、同校が進めている事業を紹介した。
 その一つが「保護者による学校評価」の導入。同校では、学校の教育方針やその具体的な推進策について、保護者や地域の人たちに説明責任とその評価を受けることが必要として、保護者による学校評価制度を平成14年度から実施している。項目としては、学校目標がどの程度達成されているか、教師の学習指導、生徒指導などの項目について、自分の子どもの様子から4段階評価を親たちに評価してもらうというもの。この評価制度を導入したことで、保護者と教師、学校との信頼関係が強くなり、保護者の協力が得られやすくなっていると壷坂さん。
 また、生活科、家庭科、総合的な学習の講師や教師の援助者として、さらに、図書の読み聞かせなど図書館教育のなかで、地域の人材を取り込む活動も同時にしていることも報告した。
 一方、校長在任中に老人会から、「孫や近所の子どもたちの育成をしたい」という希望があり、自然・文化体験活動などの教育事業を進める「あおぞら会」という組織が立ち上がり、自然観察、竹細工などを行なっている活動が報告された。このなかでは、地域の人たちが企画運営を行ない、参加者募集などは学校側が行なうなどを連携して進めていると報告した。
 次に、東京都北区あすか生活学校の田丸せつ子さんが小学校との関わりを報告した。同校では、地元の小学校に関わり7年を経過し、現在、1年生から6年生までの授業を受け持ったり、放課後の校庭開放やプールでの授業の補助をしているが、単に学校に入ろうと思ってもすぐできるものではないとした。まず自分たちで何ができるのか、企画書を持って校長と話し合うことが重要だとした。そして、実際に授業を受け持つ場合にも、周到な準備をすることが必要とした。また、自分たちが関わっている小学校がコミュニティ・スクールに指定され、その準備をしていると報告。指定された要因として、同生活学校の学校への関わりが評価された結果とした。


学校との信頼関係が基本

 大阪府高槻市如是第二生活学校の中村卓子さんは、生活学校の運営委員長であると同時に、老人クラブや自治会で構成される地区福祉委員会の代表も努めており、そのなかでの学校との関わりを報告した。具体的には、生活学校、老人クラブ、自治会などが交代で通学路の安全確保のための見守りなど、生活学校による茶道体験などを福祉委員会の参加団体がそれぞれの特徴を生かした活動をしているとした。このなかで、地域と学校の連携を深めるには信頼関係が大切であると強調した。
 次に、グループ協議、全体会討議へと移っていった。ここでは次のような意見が出された。
 出席者のなかの学校長経験者からは、在任当時地域の関わりあいを考えていたが、生活学校の存在を知らなかった。学校も大きく変わり、地域の支援を受け入れる状況になってきている。学校からの要請を持つ、受け身の姿勢ではなく、もっと積極的な対応が必要。あわせて生活学校のPRも必要とした。


人生の先輩として教師にアドバイス

 また、親に叱られたことがない子どもが先生に叱られ、その話を聞いた母親が、先生を中傷するメールを仲間たちに送り、その先生への批判が瞬く間に広がってしまうということがおきているとし、そんななかで、まじめな先生ほど悩んでいる。この分科会に参加さているような人たちが、「ちょっと違うのではない」と言えるように、地域の人が支援することを訴えた。事例発表にたった田丸さんは、子どもへの支援だけでなく、若い先生たちに対し、人生の先輩として、子育てのアドバイスなどもしている。そのような付き合いができる関係になっていることを披露した。
 学校評議員制度やコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)も話題になった。それぞれの内容や違いについて質問が出たと同時に、評議員に就任している人でも、何をするのか分からない人もいる。評議員は、学校長の経営方針に意見をするという役目を持っている。発言をした以上、それを支援する役目もある。そのようなことは今問われている。

 最後に、加田さんは、まとめとして、事前の調査では、実に8割もの人たちが学校との関わりをもっていることは評価するが、しかし、その多くは、総合的な学習のなどの先生役やそのお手伝い役が中心のようだ。もう少し踏み込んだ活動を期待したいとした。現在の子こどもは、学力や体力が低下している。「しつけ」もできていない状況だ。その改善に向けての活動が必要ではないか。具体的には、保護者が「読み書き算数」をキチンとやって欲しいと要望を出す。学校側もそれを受け、子どもたちを指導する。そして、教師、学校側もちゃんと子どもたちが宿題をするようにと、指導してほしいと親たちに要望を出す。といった保護者と親の緊張関係が生まれているというコミュニティ・スクールの事例を引き合いに出した。また、現在、家庭機能の低下が指摘されているが、これについても、子どもたちが通う学校が持っている機能を活用することにより是正できる面があるのではないかとした。そしてこのように学校に関わることが、地域活動自体の活発化にもつながるとした。
第4分科会・地域で取り組む食生活の改善
食に触れる場をつくり、地域の交流を深めよう

【問題提起】
白 井 裕 子  滋賀県・高島市マキノ支所地域福祉課保健師、実行委員
【事例発表】
内 藤 さき枝 滋賀県・新旭エルダー女性の会会長
能登山 明 美 東京都・遊新育生活学校代表
【助言者・中央推進委員】
白 水 忠 隆  読売新聞東京本社生活情報部次長
渡 辺 満利子 昭和女子大学大学院生活機構研究科教授
【司会者】
久 原 加寿子 和歌山県・太地生活学校、実行委員
【実行委員】
井 谷 カヨコ 愛媛県・かつやま生活学校
小 杉 弘 子  奈良県・桜井市生活学校
高 宮 一 代  兵庫県・上郡生活学校

 食の分科会では、これまで「食の安全の確保」の視点から表示や添加物の問題などを取り上げてきたが、一人ひとりの健康を考えた時に「食生活のあり方」への視点も重要となってくるのではないか。そこでこの分科会では、@「何を食べるのか」だけでなく「どういう食べ方をするのか」、A食生活を家庭内や個人の問題とするのではなく、地域の人でどうやってサポートしていけるのか、B食生活の改善に取り組む活動が、地域全体にどのような影響をもたらすのか、C食生活の改善について、生活学校等の地域活動がどのような取り組みができるのか、というねらいを持って協議を深めていった。
 協議では、一人ひとりの食生活をいかに変えていくかが活動のポイントとしてあげられ、そのために「地域の食文化や生活習慣などを伝えるとともに、食に触れる様々な機会を提供し、食を通じて地域全体に活力が生まれるような活動に取り組む」ことなどを申し合わせた。(協会・川越)


今、私たちの健康について何が起こっているのか?

 はじめに白井さんより、健康上の課題と食生活の実態について問題提起がされた。
 高島市(旧新旭町)で平成12年度に行なった栄養調査の結果、肥満者やコレステロール値の高い人の割合が、平成6年度の10・8%から12年度には21・8%に急増しており、小児の肥満の増加も顕著であった。これは高島市に限らず国全体でも増加傾向にあった。原因としてはエネルギーの過剰摂取が考えられ、特に20〜40歳代で脂肪の摂取割合が多く、野菜の摂取が少ない状況にあった。
 そこで、町内の子ども料理教室や乳幼児健診、保育園訪問等の機会を通じて食生活の実態把握に努めた。すると、野菜嫌いが多く生鮮野菜の摂取が少ないこと、乳製品とパン食の朝食が多いこと、天然だしの利用が少ないこと等の状況が明らかとなった。また全国的にも幼児期からの朝食の欠食が多く見られた。
 そこで、全町的に食生活改善に取り組むことが必要と考えられ、「食育」「地産地消」「料理教室」などの参加実践型の活動を始めた。また、学校や地域のボランティア、農業関係者等で構成する「食育と農のネットワーク会議」を発足し、食育と地産地消の取り組みの拡大を図った。
 この問題提起を受けて、渡辺さんからは「高島市で行なわれた具体的なプラン〜石臼をひいて作るきな粉、土つきの大根、かつお一本を下ろすことなど、子どもと親が一緒にやっていることが成果に結びついている。素材に命あるものを使って体験することは食育にとって大事なことだ」と指摘があった。
 また白水さんからの「行政として現場のどのレベルまで突っ込んで問題把握をしているのか?」との質問には、「食の問題の把握は、アンケートだけでなく幼稚園などの現場の話で分かる部分が多い」「食育計画を実践する上では、教育委員会とも連携して取り組むなど地域の幅広い連携が必要」「行政では問題点に気づいても解決策はなかなか出せないが、地域活動ができる可能性は大きい」と答えた。
 また会場からも、富山県の高岡万葉生活学校からは「地元では高齢者の朝食について、県全体では小中高の朝食の摂取状況についてそれぞれアンケートを行なった。高齢者は一汁三菜和食中心の食事だった。小中高は欠食が目立ち中身が洋食に傾いていた」という報告があり、「親や学校を巻き込んで食生活の改善に取り組みたいが、親は共働きで子どもは習い事、学校も行事などに追われる現状で、地域で取り組む時間がない。ゆとりのない生活を送っている日本の問題が、食生活にも凝縮されてしまっている」という問題提起もされた。
 兵庫県の川西ビスタ生活学校からは「最近、市内の学校給食で牛乳がビンから紙パックに変わった。ビンよりもおいしさは落ちるし洗う手間もかかる。そこで親を対象に牛乳に関するアンケートをとり、そこで親たちは学校給食で何があったかを具体的に知った。食生活の問題でも、親たちが忙しくても問題を投げかけ、子どもたちがどうしたら食べられるのか、地域で何ができるのかを考えたい」と話した。


アイデアを持って学校や行政に働きかけよう

 それでは、一人ひとりの食生活を、地域でどうやったらフォローしていけるのか、そのヒントとして二つの事例発表が行なわれた。
 内藤さんからは、高島市内の中学校における料理実習への取り組みが報告され、「実習は中学校が経費を計上しており、地場産の良い食材を安く仕入れている」「子どもたちが味に触れる機会を設けることで、地元の食材を使う大切さを知るとともに、世代間のコミュニケーションが地域で活発になっている」などの成果が話された。
 能登山さんからは、学校の空き地を借りて子どもたちに自然体験の場を提供している活動が紹介され「子どもたちが責任を持って野菜を育て、収穫・料理して食べることで、仲間づくりや子ども自らが考える力が育っている」「児童館の幼児グループの受け入れや、行政・ボランティアグループとの連携を深めている」「幼児から大学生までが野菜づくりに一緒に参加するなど、地域の交流の輪も広がっている」「学校や教育委員会には、メンバーの中で学校の評議員や行政に関わる人がそれぞれ協力を働きかけている」と話した。
 白水さんからは「事件が頻発する最近の状況から、学校は部外者を入れることに対して慎重になっている。地域の団体から『学校と連携して料理実習をやりたい』と呼びかけてもハードルが高いのではないか。克服したノウハウがあれば教えてほしい」との呼びかけに、能登山さんからは「学校は地域の教育力を望んでいる面もある。総合学習の時間で生き物について学ぼうとしても学校の教材では足りない。そのときに地域から場所の提供や授業の進め方を提案すると学校の反応もいい。学校のニーズに合ったものを提供していくのもポイントではないか」とあげた。
 事例発表を受けて、和歌山県の和歌の浦生活学校からは「各地で調理実習をしている話が多かったが、地元の学校では器具が古くて使えない状態。学校評議員会で、使える調理室にしてほしいと持ちかけている」という問題が紹介され、この他にも「料理教室の募集を工夫するのは意外に難しい。食の大切さを本当に伝えたい人が集まらない」「学校と連携するにも、1か所だけを選ぶのはなかなか難しい」といった悩みの声も寄せられた。


活動を継続していくために

 活動を続けるためにはある程度の資金は欠かせない。そこで食をきっかけに活動資金をどのように調達しているのか、参加者から様々なアイデアが相次いだ。
 静岡県の沼津松の実生活学校からは「農家と提携して毎月一日に開く地場産物の朝市を、昨年まで24年に渡って続けてきた。ここで得た若干の手数料は活動費に使うことができた」と発表。
 愛媛県のかつやま生活学校からは「農家と提携して安全な農産物の共同購入をしていたが、さらに松山のデパートに有機農産物を売るお店を持たせてもらえないかと働きかけ実現した。そこで店を開いた13年間はいつも完売状態で、まとまったお金を貯めることができた」と報告した。
 三重県の鈴鹿市生活学校からは、「活動資金としては、イオンの『イエローレシートキャンペーン』制度を利用してボランティア団体として登録し、毎年数万円を調達している」との事例も紹介された。
 この他「業者と提携して有機の醤油を安く販売して利益を得ている。農協祭りに手作りの品を販売している」等の事例も報告された。


実際の食生活の行動を変える活動を

 こうした活発な発表を受けて、渡辺さんからは「大学でも地域との連携を求めている。例えば食育の分野で研究を進めるときに、家庭や地域との連携がないと本当の研果が得られないし行動にも繋がらない。生活学校に意欲があれば必ず門戸は開けるし連携していけると思う」「学校への出前授業でも助成金を受ける機会は多いので、積極的に働きかけてほしい」「活動をきちんと自己評価してほしい。例えば食について活動する前とその1年後で、『旬の野菜を食べているか』『朝ごはんを食べているか』『子どもは包丁を使えるか』など、5項目ぐらいの同じアンケートをとってみよう。成果は世間にもアピールができる」と呼びかけた。
 最後に白水さんから「食の知識や数値の説明だけでは、実際の食生活は変わらない。事例発表の中で、郷土料理の実習や農業体験をした参加者が『おいしい』『触れてみて楽しい』という話があったが、このような人間の五感に触れる『心地よさの発見』をしてはじめて、一人ひとりの食生活の行動が変わるのではないか。その体験の場を各地で作っていくことが大事だ」と指摘した。
 また「今日は、食生活の話を入り口に、生活習慣やマナー、地域づくりの話まで自然とつながっていった。生活学校としては、食生活への取り組みをきっかけにして地域全体を元気にすることを目的に活動を展開してほしい」「活動の工夫については、資金調達の話や人脈をどう広げていくか、学校との折衝といった具体的なアイデアが多く出された。また、生活学校は小中学校に出て行って子どもに教える活動が中心だったが、渡辺さんから提案があったように大学でも地域の団体と組みたがっている。自分たちの活動が大きな可能性を十分持っていることをぜひ認識してほしい」と結んだ。
第5分科会・地球環境を食卓から守ろう
行政・事業者とともに地域でのシステムづくり

【事例発表】
小 野 ひさえ 大分県生活学校運動推進協議会会長、実行委員
上 村 文 乃  鳥取県・義方みどり生活学校代表
蛭 川 卓 三  三重県・NPO法人“輪”リサイクル思考
【助言者・中央推進委員】
瘁@本 育 生  NPO法人環境市民代表
金 森 房 子  生活評論家
【司会者】
中 島 和 子  京都市生活学校連絡会会長、実行委員
小 野 ひさえ 大分県生活学校運動推進協議会会長
【実行委員】
河 野 さかゑ 兵庫県・山水生活学校代表
福 元 千 鶴  和歌山県・上岩出生活学校代表

 このテーマを選定した理由は、
(1) 温暖化現象が叫ばれて久しいのに、現状では歯止めが掛かっていないこと、
(2) 環境分科会においては、過去数年間循環型社会形成のための仕組みづくりに取り組んできた経緯を踏まえ、さらに前進あるステップを踏む必要があること、から、行政、事業者とともに地域でのより効果的なシステムづくりを急ぐ必要があるとの認識によるものである。
 第5分科会には、日頃環境活動を展開している生活学校等から90名強のメンバーが参加した。(協会・酒井)


3000万人分の食料品が廃棄へ

 癘{育生さんの話は、QA.日本の食糧自給率は約何パーセントでしょうか(キロカロリーで)?@約40%、A約45%、B約50%、C約60%。というクイズから始まった。この設問については、会場内の多くが@約40%と正解を言い当てたが、次のQB.日本で毎日廃棄されている食料品は、何人が健康に生きていくことができる分量になるでしょうか?@約300万人分、A約700人分、B約1500万人分、C約3000万人分については、回答が分かれた。参加者の多くは自信なげ。癘{さんから「正解はC約3000万人分です」と言われると、皆「え〜っ!」とびっくり。いかに日本が食材をムダにしているかを強く認識させた設問だった。
 癘{さんは、「地球温暖化は、農業、漁業等へ影響することで将来食糧の減産を来たし、食糧自給率の低い日本は深刻な影響を受ける恐れがあること、そうした問題を少しでも避けるため、食糧の購入に当たっては、旬の野菜等を採り(地産地消)、食べ残しゴミ、容器ゴミをなくすことが重要(無駄なエネルギー消費は、CO2排出量を増やすことにもなる)であること、買い物に当たっては、買い物ガイドを活用し、エコショップを活用する必要があること」等を助言された。
 次に、金森房子さんは「この後のグループ討議では、生活学校等における環境活動が行政や事業者と連携・協働するものとするにはどのような方策が考えられるか、また、今の世代だけでなく、子どもたちの世代に環境問題を残さないようにするために、環境教育に力を注ぐ必要があるが、それにはどのような方策が考えられるか、といった視点から討議するよう」等を助言された。


環境活動に向けて認定制度をつくる

 四つの先進的な事例について、中心的役割を担っている3名の方から発表があった。
 小野ひさえさんからは、
1.エコショップ事業について行政、事業者との協働システムづくりについて
・本システムは、大分市内の小売店舗等が、ゴミの減量、リサイクル及び環境保全に積極的に取り組むよう、大分市がエコショップとして認定した小売店舗等に「認定証」及び「認定証」を交付し掲示してもらい、また、広報を利用して公表することで市民にアピールできるようにする行政と事業者が協働して行なうシステムであること。
・エコショップの認定を受けた店舗は、簡易包装、量り売り、詰め替え商品、リサイクル商品の販売等環境活動に努め、一方、消費者もマイバッグを持参する等これに応え、積極的に利用する等、本システムを通して販売者側と消費者側の双方が協働して、環境にやさしい取り組みを実施していること。
・本システムは、当初実施から5年を経過し、認定の更新期に当たっているが、市の担当者が代わってもシステムが継続していることは評価される。今後は、合併による新大分市地域の事業者を参加させることが課題となることの発表があった。
 また、もう一つの事例発表
2.食卓から進める環境保全に関する調査結果について
・家庭や地域における省エネや地球温暖化対策が急がれていることから、行政、事業者と協働できるシステムづくりに生かすため、大分県内の生活学校所在市町村においてアンケート調査を実施したこと(調査期間:平成17年7月1日〜20日、回収状況1100枚(回収率100%)。
・調査結果から、多くの人が環境保全に気を付け、できることから実践していること、例えば、地産地消、量り売りの利用等が判明した。ただし、生活排水が川や海の汚染源となっていることについて、まだまだ関心を高め、具体的な取り組みをする必要があること。
・地球温暖化については、「関心がある」と「ある程度関心がある」で約90%となっているので、具体的にどのような取り組みをしたら良いか、環境学習を続けることが大切であること。
の発表があった。
 次に、上村文乃さんからは
3.環境紙芝居について
・当生活学校においては、永年家庭からゴミを出さない運動を進めてきたが、循環型社会を構築するには将来を担う子どもたちにも理解を深めてもらうことが大切であることに気付き、それも子どもたちを集めるのでなく、こちらから地域の小学校に出向いてできるものをと環境紙芝居を企画したこと。
・紙芝居を作った経験がなく大変だったが、作絵に父親の協力を、また学校(校長会)の協力を得、監修してもらった結果の開演は、子どもたちだけでなく先生方にも好評であったこと。
・現在では、学校以外に公民館活動や老人クラブでも利用して、活動の輪が広がっていること。
の発表があった。
 最後に、蛭川卓三さんからは
4.捨てる時代から活かす時代へについて
・生ゴミリサイクルは、生ゴミを堆肥にして健康な土を作ることで、健康な作物、健康な人間という循環ができる。桑名市では、市民が一気に堆肥化することが難しいことの解消法として、家庭での一次処理と堆肥舎での二次処理の二段階処理を実施していること。
・まず、家庭での一次処理は、透明なプラスチック製の衣装ケースに生ゴミを投入し軽く撹拌するだけの簡単な方式である。発酵熱により水分が蒸発しゴミが著しく減量することから、ゴミ出し回数が1か月に1度程度に減少する。腐敗しないので臭気などの不快感がない。経費も共同で行なっているので極めて安いこと。
・桑名市が行なう二次処理では、家庭で一次処理した品を堆肥舎に運搬し、副資材を加え積み上げ数か月かけて堆肥化する。出来上がった堆肥は消費者に還元し家庭菜園等で活用していること。
・現在、本システムには約1000世帯が参加しているが、市町村合併に伴う新市域にこの方法を拡大することが今後の行政の課題となること。
の発表があった。


グループ討議

 ここで後半に入り、参加者は8人ずつ11のグループに分かれ、以上の趣旨説明及び事例発表を踏まえ、次の三つの討議テーマについて討議した。
討議テーマ@…買い物から、地球環境を変える具体的方策を考える。
討議テーマA…料理から、地球環境を変える具体的方策を考える。
討議テーマB…生ごみ処理から、地球環境を変える具体的方策を考える。
 およそ1時間ほどの討議の後、全グループから討議結果の発表が行なわれたが、紙面の都合上報告内容は省略し、次の助言者によるまとめをご覧いただく。


研究討議まとめ

 助言者の癘{さんから「問題は、生活学校の人々から一般の人々に、『地球環境を食卓から守ろう』ということをどう伝えるかということ」「国、地方公共団体、事業者は、買い物でゴミが出ない社会をつくる必要。一例をあげれば、今のホテル・旅館の料理は概して作り過ぎであり、結果として大量の食べ残しを生んでいる。消費者も『ご飯を半分にして下さい』とはっきり伝える必要がある。そうすることでホテル・旅館側に、顧客が望む量を提供することがサービスであり、顧客満足を得るものであることが理解され、実践される。そうした対話の積み重ねにより社会の仕組みを変えていくことが必要」との講評があった。
 次いで助言者の金森さんから「今回の事例発表は、いずれも生活学校等が行政と協働して環境負荷を減らす効果を上げている良い事例であるので、他の生活学校等はこれを応用してほしい」「『食』は毎日の暮らしにおける環境負荷の1/3と大きく、そのうち食材の負荷が57%。さらにそのうち廃棄が22%。地産地消は環境面からも大事。地元産の野菜は値段が高いというマイナスを超える新しい評価が得られれば農家の増産意欲を生む活力になる」「生活学校等は、家庭教育の中で、食べ物の旬がいつか?ということや、注文するときに発生抑制をするよう食べ残ししないことの大切さを教えてほしい。また、調理器具の選び方(eマーク)や調理方法(エコクッキング)についても、一口メモといった形で、消費者が得になることを紹介してほしい。そうすることがグループの参加者を増やす手掛かりになる。高齢者がコンビニを利用するのも、多くは要らないからで、スーパーやデパートがそうしたことに気付かないのであれば、行政や商工会の仲立ちとなって情報を提供することが必要」との講評があった。
第6分科会・安全なコミュニティづくりを進める地域活動―犯罪から子どもを守るには―
信頼のネットワークを広めよう

【実践事例発表者】
村 上 徳 也  岩手県・水沢市南地区安心・安全まちづくり委員会
村 上   實  京都府・亀岡市住みよい西別院をつくる会、実行委員
坂 本 津留代 兵庫県・NPO法人ニューいぶき、実行委員
【助言者・中央推進委員】
江 上   渉  立教大学教授
【司会者】
清 水 光 久  兵庫県・真野地区まちづくり推進会、実行委員

 この分科会では、大都市、地方都市、農村部の実践事例を発表したあと、「犯罪から子どもを守るには」をテーマにワークショップを行なった。
 ニュータウンで市民が連携して役割分担しながらパトロールを実施しているとの神戸市西区の活動に続いて、「通学路に木や草が生い茂り、通学距離も長く、通学路の安全と防犯に問題がある」「女の子が連れ込まれそうになったこともある」と農村部からの報告があり、地区の16団体で「子どもたちと一緒に遊べる公園にしよう会」を作り、公園交番の設置、公園の夜間パトロールなどをして物騒な公園を安心して利用できる公園にした岩手県水沢市の活動が紹介された。
 ワークショップでは「団体がバラバラに活動している。協働体制が必要だ」「子どもと顔なじみになることだ」「警察官OB、先生OB、郵便配達、新聞配達、宅配などの協力を得て子ども見守り隊を増やそう」等の意見が相次いだ。
 こうした議論を踏まえて、行政に対して、治安対策の充実強化と、通学路や公園等の安全・安心のまちづくりの推進を要望することを決議するとともに、地域に信頼関係が失われ、地域の安全性を損なう一因にもなっていることから、人と人との信頼のネットワークを広めていくことを申し合わせた。(協会・峯)


ネットワークは理念より役割分担

 神戸市西区のニュータウンで活躍する坂本さんは「13年前に入居した。入居早々、須磨の少年殺傷事件が起こり、他団体の人たちが街の要所に立ってくれた。他団体に頼らないで、自分たちの子どもは自分たちの手で守ろうと保護者会のお母さんに呼びかけ、初め10人が集まり、その10人がさらに10人を集めて3日で100人のパトロール隊を作った。これが保護者会活動の始まりだった」。
 「自治会活動を進める上で大きな事件が二つある。一つは、毒グモの生息が確認されたことだ。区役所から一報を受け、警告チラシを作成し、緊急回覧で情報伝達することができたことで、井吹台住民はパニックになることなく、冷静、迅速に対応できた。もう一つはテレクラ出店反対運動だ。命の危険を感じながらも取り組んだ。20日間で3万名分の署名を集め、市長と知事に提出した。同時に街頭活動、看板設置、現場の監視を行なった。テレクラ出店反対で一つの意思をもって行動できたことで、条例が改正され、業者は出店を断念した。この運動は私たちの大きな財産となっている」。
 「まちは誰かにまかせておけばよいというものでは決してない。子どもたちのためのパトロールだけでなく、まち全体のパトロールをする。その中に子どももいる。お年寄りもいる。若い人もいる。みんなでやるべきだ。一部の人だけがやるのはまちづくりではない」「民生委員、保健師、ボランティアが役割分担して高齢者の見守りをしている。ネットワークの成否は役割分担だ」「まとまれる地域にすることだ」として日常的なコミュニティ活動を活発に行なっていると報告した。


子どもと缶拾いしながら危険箇所調べ

 農村部で取り組む村上さんは「住みよい西別院をつくる会が西別院小学校に働きかけ、小学生に西別院町の夢を作文にしてもらった。子どもたちの夢をまちづくりに活かそうと、町の自治会や婦人会、老人会などの各種団体に呼びかけ『小学生の作文を聞いて、みんなで語ろう西別院を』を開催した。作文の中にいろいろあったが、餅をついたことのない子どもが多いことから地域団体が連携して餅つき大会をした。また、地主の協力を得て公園作りに取り組んだ。現在も小学校4年生を中心に竹やぶを公園にする活動を続けている」「山に囲まれているため、通学路に木や草が生い茂り、通学距離も長く、通学路の安全と防犯に問題がある。女の子が連れ込まれそうになったこともあり、啓発看板を立てたり、巡回パトロールのステッカーを作り、農家の軽自動車に貼ってもらい、歩いている子どもを見てもらっている。空き缶拾いを活用して、子どもたちに危険箇所を聞き出し、安全マップも作った」「運動を継続するには黒子に徹し、次の世代を育てることが大事だ」と話した。


物騒な公園を安心できる公園に

 地方都市である岩手県水沢市の村上さんは「平成15年に地区の小学校に児童殺人を予告する脅迫電話がり、防犯協会が中心になって防犯広報車による巡回、登下校の児童見守りパトロール、学校周辺のパトロールを実施した。幸い事件に至らなかったが、これを契機に地域ぐるみの児童の安全を考えようと『あんあんみなみっ子防犯教室』の開催や登下校時の児童の安全を見守る『あんあんパトロール』を行なった。
 昨年からボランティアを募り『ふれあいパトロール』として登下校時間帯・昼休み・散歩・田畑仕事・買物等のときもグリーンの腕章を着けたボランティアが児童を見守る活動をしている。11月に全校児童が集まり『ふれあいボランティア感謝の会』があった」。
 「市民に親しまれてきた水沢公園が物騒な公園になってしまったことから、防犯協会が中心となって町内会・子ども会育成会・交通安全協会・老人クラブ等16団体で『子どもたちと一緒に遊べる公園にしよう会』を結成した。公園内の『管理員詰所』をパトロール活動の拠点として、入口に回転灯(燈色)を設置、「警察官立寄所/公園交番=愛称」の看板を掲げた。毎年、公園の夜間パトロールの実施、今年は4月〜8月、毎週金・土曜日の午後8〜午後10時に実施した。町内会ごとに輪番制で出動、駐在所員も交替で毎回参加してくれる」「財政面では、賛助会員制度を作り、年会費1000円の会員が300人いる」と発表した。
 こうした事例発表を受けて、参加者から「地域の寺を活用してはどうか」、清水さんも「マスコミを上手く活用することも大事だ」と指摘した。
 江上先生は「世の中が変わっている。非常識には非常識で対応することだ。地域活動を面白いものにするには旧来の枠にとらわれないで、新しい工夫を加えてほしい」「人は1人では生きられない。まちづくりとは暮らし合っているまちをつくることだ。暮らし合っていることを忘れがちなまちは犯罪者も入りやすい」と述べた。


失われた信頼関係を取り戻そう

 「犯罪から子どもを守るにはどうすればいいのか」をテーマにしたワークショップでは、「子どもと顔なじみになることだ」「子どもと大人のコミュニケーションが大事だ」との指摘に「行事を通じて顔なじみになることだ」「子どもと地域を回り、地域を知る活動をしてはどうか」「親子3世代のまちづくりをしてはどうか」「わが町探検隊を実施している」との声に加えて、「子どもが自分を守る力を付けることが大事だ」「親育てをすることが大切だ」とする意見もあった。
 地域での取り組みについて「地域の子どもたちは自分たちで守るのだという意識が大事だ」「子どもを見守る活動をしていることを情報発信することが犯罪抑止にもなるのではないか」「おまわりさんOB、先生OB、郵便配達、新聞配達、宅配などの協力を得て子ども見守り隊を増やすことだ」「団体がバラバラに活動している。協働体制が必要だ」などの意見が相次いだ。
 安全情報について「行政・学校との情報交換が必要だ」「出前駐在所を実施して情報を得ることだ」「行政の縦割りが弊害となって地域に情報が伝わっていない」との声に「協働するためには行政の体質改善が必要だ」との意見も出た。
 江上先生は「人と人とのコミュニケーションが活発になることが地域の力を付け、子どもを守ることになる」として「信頼関係が失われている。信頼関係を取り戻すには、人と人とのコミュニケーションしかない。信頼のネットワークは社会関係資本といわれ、地域活動の元手となる。信頼のネットワークが増えれば、豊かな住み合うまちになる」と、人と人とのコミュニケーションで信頼のネットワークを広めてほしいと話した。
 そこで、分科会では、子どもたちが地域で犯罪の危険に晒されていることから、子どもたちの被害の把握と対策、地域の危険箇所の改善、住民のネットワークによる子どもが困ったときの支援体制づくり、通学路や公園の子どもを見守る活動など、子どもたちが安心して過ごせる地域にするための活動を積極的に進めていくこと。そして地域住民の信頼のネットワークを広めていくことを申し合わせた。
 また、行政に対して、治安対策の充実強化と、通学路や公園等の安全・安心のまちづくりの推進を要望することにした。
第7分科会・おもろいょー! まちづくり分科会
みんなが主役のまちづくりを!

【鼎談会】
〔司会者〕
安 藤 周 治  広島県・NPO法人ひろしまね理事長、実行委員
〔出席者〕
及 川 ひろみ ふるさとづくり賞(集団の部)内閣総理大臣賞受賞団体・NPO法人宍塚の自然と歴史の会理事長
江 口 貴 之  NHK番組制作局情報番組センター(生活・食料番組)専任ディレクター(NHKテレビ番組「難問解決!ご近所の底力」デ
スク)
和 崎   宏  インフォミーム株式会社代表取締役
【司会者】
篠 原 悌 三  兵庫県・宝塚市雲雀丘山手緑化推進委員会委員長、実行委員
【中央推進委員】
 岡 完 治  (財)あしたの日本を創る協会理事長
【実行委員】
中 村 英 雄  徳島県・NPO法人新町川を守る会理事長
野 村 昭 子  岐阜県・大垣市生活学校代表

 第7分科会では、誰もが気軽に参加し、楽しみながら活動できる魅力的な「まちづくり」をとのもとに「おもろいょ! まちづくり」をテーマに、前半はいろんな活動事例を聞き、まちづくりについてのワークショップを行ない、後半は、ワークショップの討論などを踏まえながら、まちづくりへの取り組みなどについて専門家による鼎談会を行なった。(協会・今泉)


ワークショップ

 本年度ふるさとづくり賞の内閣総理大臣賞、内閣官房長官賞、主催者賞の受賞団体が11のグループに分かれ、そこに参加者が希望するテーマごとに集まった。初めに受賞団体の活動発表があり、まちづくりの「思い」、「悩み」、「喜び」、「課題」などについて討議に入り、ほぼ2時間熱心に討議が行なわれた。その後で各グループは「 まちづくりでみんなに伝えたいことは何か」をテーマに絞って討議をまとめた。「地域とのコミュニケーション」、「居場所づくり」、「子育て社会」、「最期を抱きしめる看取りの介護」、「マスコミの活用」、「地域づくりは市民を信ずる」、「行政・企業と市民の協働によるまちづくり」、「まちづくりは幸・夢づくり」「地域の特性を活かす」、「燃えるリーダー」、「まちづくりは10年たってほんまもん」などが出された。


鼎談会

和崎氏 ITによるまちづくりを阪神淡路大地震の教訓を経て考えた。阪神淡路大地震では支援物資の配布などをボランティアが集まって支援活動を行なったが、避難所となった学校が情報拠点としての機能をまったく持っていなかった。その体験から情報拠点の必要性を思い、地域がつながるもととして学校を中心にしたネットデイ(校内情報ネットワーク・校内LAN)を子ども、先生、親、地域住民も参加するイベント的な形でつくっていった。これは学校だけでなく地域と学校の新たな協力・共同の関係が始まり、子どもたちを中心に地域のいろいろな人々がバランスよくつながり、心の絆のネットワークがひろがっていった。今は全国の学校でネットデイを推進しており、ネットデイは学校を中心とした地域づくり、まちづくりに役立っている。
及川氏 都市近郊にある宍塚の里山は人々の暮らしの中でつくられてきた歴史的な産物である。40年以上前から開発計画があったが実現しなかったので非常にいい形で残されている。100haの里山はほとんどが私有地であり、自分たちは活動するたび毎に地元の人とコミュニケーションを図っている。まず始めに行なったことは里山の良さを分かってもらうために、動植物の生態やかつての里山の暮らしなど徹底して調査を行ない、それを本にしたり、観察会・宍塚に因んだサミットなど開催し、みんなに知ってもらった。
 また、観察路の整備やため池の手入れ、休耕田を借り海外援助のための米を作ったり、農家の谷津田での耕作が継続できるよう市民が出資し、米を買い取る谷津田米オーナー制度を作ったり、子どもたち、学生たちの学習の場としても活用・協力している。里山サミットなどを通じて都市近郊の里山は壊滅状態であることが分かってきた。これからは里山の持つ公益性を地元やこれを支える人々とともに大事に育てていきたい。
江口氏 難問解決ご近所の底力の番組に地域のお困りごとを持ち込まれる方はほとんどがビギナーの人たちであって、自分たちは番組を通じて第一歩を踏み出していただくための押しをしている。本来なら問題解決するために行政や警察、消防、必要な経費を調達することで解決することもたくさんある。しかし、それを待っているといつまでも解決しないことが多い。番組の中では、お金がなくても体の動く人はたくさんいるじゃないかと。一人では何もできなくとも同じ仲間が集まり知恵を出し合えば、全面解決は無理としても、ちょっとだけなら解決するかもしれないよ、というのが番組づくりの狙い。番組では、問題解決の答えを持ち帰った皆さんが、その後どんな活動をされているか、フォローもしっかり行なっている。


活動するために調査・記録が必要

及川氏 なぜ宍塚の調査をやることになったかというと、ある人に「宍塚は本当にいいところよ、気持ちがよくてとさんざん言っていた。そうしたら、その人が「いいところってどういうところって?」いきなり言った。いいだけでは駄目かなと思い、それで、宍塚の調査を徹底的にやった。地元の方からの聞き取りや、専門家やボランティアなどの力を借りて、そうすると里山のいろんなことが分かり、人にも分かってもらうことができ自信もわいてきた。自分たちの活動もある程度理解してもらえた。また人とのつながりができ、一石何鳥かの効果があった。


お金がなくとも活動はできる

舘氏(新庄区まちづくり委員会) 案山子とこの手紙風の川柳を書いて展示し、川柳大会を盛り上げようと企画した。まちの実行委員会に行き、こんなことがしたいんだけどと言ったらいいよということになった。お金がないので材料費をもらえないかお願いしたら、もらうことができた。それでみんなが盛り上がり、活動も注目してもらった。アイデアと行動が大事。
和崎氏 金はどこかにある。それを上手に出させる気持ちにさせることが大切。そのためには仲間に引き入れる、人の輪づくりをまずする。お金をどうやって引っ張り出すか皆で考えることが大切。最初からまとまったお金があればその金額の範囲で計画書を作って、実行して、決算して、合った、合ったとなる。お金がないと何ができるか分からん。だから私はこれができるよといろんなものを持ち寄ってくる。自分ができるものを寄せ集めるから面白いものができる。そこにいろんな人たちが自分も一緒にやろうと自発的に集まってくる。このような活動がまちおこしにつながる。みんなが自発的に集まるからお金もかからない。そこにちょっとお金を出してくれると活動がパッと花開く。
江口氏 マスコミをうまく利用して活動の輪を広げてほしい。テレビを見ていて、なぜあの人たちが取り上げられて、自分たちが取り上げられないのかの違いは、声を上げているかいないかの違いだ。マスコミに出たことの反響は大きいと思うので利用してほしい。


活動を継続するために後継者・人材育成

江口氏 交通渋滞を何とか解決したいという番組だった。70代の地域の会長さんが30年も40年も渋滞解決のためにいろいろやってきたがだめだったと、だから若いやつが何を言おうが、何をやろうが絶対に解決しないと言い切った方がおられた。こういうことだとなかなか後継者が見つからないのではないだろうか。
林氏(参加者) 自分のまちにホールができたのを記念して町民劇団をつくった。人が集まるか心配したが80人集まった。その中に親子の12組があった。子ども30人、大人30人の劇団で子どもを中心にした劇をやって9年目になるが、ここで活動した子どもたちが、高校では演劇部に入ったり、脚本を書いたり、演出までやるようになった。
長谷川氏(あまわり浪漫の会) 行政が人づくりということで始めた地元中高生(約100人)による史実に基づく現代版組踊が、子どもたちの感動を呼び、今まで約70回の公演をやり、7万人の人に観てもらった。出演、演出、舞台づくり、公演など全て自分たちの力でやっている。子ども、親、地域の人たちが一緒になって活動している。また、ここを巣立った若者が、後輩の指導をしたり、事務局で働くなどいろんな形で支えてくれている。
柴田氏(なごみの里) 人が人間らしく最期を迎えられるように死の看取りの介護を行なっている。外からの援助は受けてないが、いろんな工夫をしながら心豊かな場を創っている。本とか講演などにより知って活動に参加してくれる若い人たちがいる。
司会者 まちづくりの活動は、いろいろなとらえ方があるだろうと思う。強制されてやるものでなく、自由さがあっていい。最初の分科会でグループ毎に座っていただいたが、皆さんの興味や関心はもうバラバラだった。多少の不安もあったがそこが狙いでもあった。
 これからの時代は、いろんな人がいろんな形で、いろんな思いで、いろんなことをやる。このことをお互い大事にしていくことを心がけていかなければいけないと思う。そういう人たちでちょっとでも良くしたい動きが一歩でも二歩でも出てくれば、私たちが目指している「ふるさとをもっとよくしょう」ということに必ずつながっていくと思う。
第8分科会・レジ袋の有料化に向けて
なぜレジ袋を削減しなければいけないのか

【パネリスト】
辰 巳 菊 子  (社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会環境委員会
大 川 龍 郎  経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課課長補佐
上 山 静 一  イオン(株)環境・社会貢献部部長
井 山 利 秋  東京都杉並区区民生活部生活経済課長
太 田 和 子  愛知県・吉良町生活学校、実行委員
井 上 園 子  京都市・アリス生活学校
祝 前 清 美  宮城県・泉ひまわり生活学校
【司会者】
門 橋 政 子  広島県・向原生活学校、実行委員
【実行委員】
坂 本 幸 子  埼玉県・横瀬町やまびこ生活学校
我 妻 み と  船橋市・つかだ生活学校
熊 代 聖 子  東京都・汝の花生活学校
河 野 智 子  兵庫県・大和生活学校
西 迫 雅 子  鹿児島県・加治木町生活学校
鈴 木 和 子  全国生活学校連絡協議会事務局長

 環境問題を象徴する身近なレジ袋の削減に、生活学校が、長年にわたってノーレジ袋・マイバック運動などで取り組んできたが、普及には厚い壁がある。この壁を打ち破り、レジ袋の削減を実現するためには、レジ袋の有料化が非常に有力な方法ではないかと考えられる。そこで、この分科会では、現状を明らかにし、次いで、有料化を実現するにはどのような方法があり、また、それぞれの方法にはどのような問題があるかなどについて、私たちが実施した調査結果を参考にしていただきながら、パネルディスカッションで大いに議論をし、具体的な方法や問題点、今後の方向などを探った。
 各パネリストから出された「レジ袋の有料化に向けて」の考えと現状についてまとめた。(全国連協・鈴木)


経産省 大川氏

 われわれが問題としているのは、レジ袋をなぜ減らさなければならないか、どうやって減らしていくかである。
 まず、レジ袋を減らさなければならない理由として話題に乗るのは、
一、めだつから
二、ただでもらっちゃっているよな
三、もしかして本当は価値あるものかもしれない
四、有料なら、マイバッグ持参で行く
 このようなことから、特殊なものかもしれないぞと見る人もいるかもしれないが、われわれのほうから見ると、資源であり容器包装全体の中でどれだけ使ってしまっているのかという観点がある。正確な統計は出てないが「ゴミ」の中では0・数%の値だが、プラスチック容器包装の中でいうと10%ちょっと切るくらいである。このような量的観点、めだっているというシンボル的観点から、減らすべきではないか、というところがあるのかもしれない。しかし、どうやって減らすのかという問題があるので、たぶんこの後、レジ袋の有料化を法律で決めないのかと詰め寄る方もいるかもしれない。覚悟して来たつもりである。
 では、なぜ法律で縛らないのかというところもその次に考えなくてはいけないと思っている。減らす努力はイオンを始め、いろいろな小売店でもしていると思う。減らす方法はいくらでもある中で、なぜ、有料化で減らさなければならないのか、その次に有料化はいいとして、なぜ法律で縛るのか、いろいろな考えがなければならないと思う。例えば他にも袋はある。タバコのパック、トレー、菓子の袋等、その中で10%未満のレジ袋だけを狙い打ちしてやる必要があるのか、このようなジレンマに陥っている。
 法律の中では、公平性が極めて求められるのである。
 このレジ袋は、減らし得る袋として考えている。それには使う人の協力が必要である。


杉並区 井山氏

 地方自治体として、土台である現場から話したい。
一、たかがレジ袋、されどレジ袋
 人口52万人の杉並区で年間に使われるレジ袋は約1億5200万枚で、1週間に1世帯あたり約10枚のレジ袋を受け取っていることとなる。ゴミ処理費用はレジ袋だけで年間約1億5400万円(2004年度)である。
二、「レジ袋税」正式名称は「すぎなみ環境目的税」
 2002年3月に条例は成立させたが、当面施行せずにまず削減運動を進めていくこととした。これは一人ひとりの生活スタイル転換のきっかけに、また、「税収が減ることを目的とする税」である。
三、地域住民が削減運動の主体
 杉並区レジ袋削減推進協議会を2002年5月16日設立した。これは、住民・事業者・行政が、意見の違いを超えて運動を展開する。理事構成の特色としては、環境団体、消費者団体、地域自治体、教育団体はさることながら商工会議所、商店会連合会、全国組織であるチェーンストア協会やフランチャイズ協会を含め、こういう場では嗚咽増収といっているが、激論をとばすことも多々ある。この「レジ協」の活動は普及啓発で考えられるものはほとんど実施している。
四、削減目標は60%、しかし、30%台で足踏み状態。意識と行動のギャップがあり、ポイ捨て、放置自転車、レジ袋、いけないことと思っても、自分だけは…ということがある。
 杉並区では「目からウロコ賞」を出している。何か啓発で新しいものがあれば表彰したいと思っている。
五、海外の常識、日本の非常識
 杉並区の海外視察調査
 レジ協2004年11月のレジ袋有料化要請を受け、レジ協、議会、行政一体で調査(2005年8月〜9月にかけて実施)調査訪問国・アイルランド(レジ袋税を実施)、ドイツ(ゴミ全体のシステムとレジ袋)、台湾(法制度によるレジ袋有料化実施)、韓国(法制度によるレジ袋有料化実施)。


イオン(株) 上山氏

 レジ袋発生抑制とイオンの環境への取り組みとしては、
一、何のために(目的)
@イオンは、京都議定書の精神を尊重し、その目標達成に貢献する。
Aイオンは、CO2の具体的削減について、本業の中でCO2等の排出削減に取り組むことを第一とし、不足分を京都メカニズム活用で補う。
二、「レジ袋削減」については「有料化の法制化」が絶対に必要。ポイントは「実効性」をどう担保するかである。チェーン協として8月に台湾・韓国の調査を行なった。韓国では「無料配布の禁止」の法制化をしたが、それだけでは守らない事業者が出てしまい、新たに市民からの「申告制度」を追加して、現在は発生抑制が進んでいる。やはり市民(社会)のモニタリングという仕組みを取り入れ、お金(税金)を掛けないで「実効性」を向上させる策を「法制化」と合わせて導入すべきである。
三、「レジ袋有料化の法制化」について
@「実効性」を高めるには市民のモニタリングに加え、農水省、経産省及び環境省の各地方組織と地方公共団体の指導の実効をあげる仕組みづくりが必要になる。
A「法制化」は「実効性」を上げることと、独禁法や憲法との関連を整理することが必要であるが、その際「公共の福祉」「公益」とのバランスの観点で検討すべきである。
B「法制化」に加え「地域」での問題解決力を高める仕組みづくりも必要である。そこには市民、NPO、地方自治体、企業等の参画があり「ただ乗り事業者」「過少申告者」対策にもモニタリングの役割を担う方向が必要である(個別特定事業者の廃棄物排出量の情報開示とともに)。


(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 辰巳氏

@「レジ袋」は大量消費される象徴的包装ゴミであるが、「レジ袋」の何が問題であるかは、十分理解されていない。A「レジ袋」には、燃やしても有毒ガスを発生しませんと書いてある。もっと問題点が分る説明が必要だと思う。
Bただより高いものはないというのが世の常。「レジ袋」こそ、一時は得をしたと思っても、あとで高くつくという言葉通りのもの。自分に(地球環境へ)「つけ」が返ってくる。そこが見えてないから、ただでもらうならもらっちゃえ、ということになる。
C有料化は消費削減の切り札であることに違いないが、派生するさまざまな問題点の予測とその対応が必要である。
・有料化すると商品となり、容器包装リサイクル法の対象物ではなくなる。購入されたレジ袋が、ゴミとして排出された時の容リ法上の対応は? 消費者は違いを考えないで排出すること必至であろうと思う。
・販売責任上、有料レジ袋の販売店回収があり得るのか?
・販売店のレジ袋売り上げがどのような形で回るか。商品値下げ? 環境活動支援?
・場合によっては紙袋など別の形態の無料袋に変ることがある。そのときの消費者の店選びはどうなる。
・価格がいくらなら消費者の反対なくマイバッグ持参につながるか?
・現在のマイバッグ持参者にはレジ袋が有料化になっても購入するということはない。しかし、スタンプ方式などで還元されているシステムをどうするか?


生活者代表 宮城県・祝前氏

「レジ袋の有料化に向けて」アンケート調査報告
 この調査から見えることは、レジ袋削減に対する意識は男性の方が低い。行きつけの店がレジ袋を有料にした場合、他の店に行きますかの問いに、20%の人が行くと答えている。その他さまざまな問題が提示されていると思う。この報告書を十分に検討した上で、これからどう活動すべきか考えていきたい。


生活者代表 愛知県・太田氏

「レジ袋削減運動」の現状と問題点について
 生活学校は10年前からレジ袋削減に向けてはどこも運動を展開してきた。平成15年には全国の企業(305社)について調査し、その結果をもとに、今年度は生活者の調査へと移行した。あたかも今年の6月に中央環境審議会・産業構造審議会合同部会において「レジ袋を有料にすることなどを通して、レジ袋の削減を図ることが望ましい」との考えで一致したと、新聞にも報道された。
 私たちは、今日まだまだ増え続けるレジ袋を、何とか減量しなくてはならない。一歩でも今までの運動を前進させるためにも、是非にも「レジ袋有料化」の法制化を進めてほしい。


生活者代表 京都市・井上氏

 今年度に入り、京都市生活学校連絡会会長の中島和子氏が京都市廃棄物減量等推進審議会委員ということもあり、レジ袋有料化推進運動の呼びかけがあった。そこで「レジ袋有料化の懇談会」を同志社大学の郡嶌孝先生ご指導のもとに立ち上げた。学識経験者・行政・企業・地域住民というメンバー構成である。今日までに5回ほど開催してきたが、やはり有料化実現に向けては全国で有料化に向けて動いていかなければならない。それには是非法制化を図ってほしい。
 実践活動としても、スーパー7店舗に押しかけ、有料化の実験をしてもらいたいと頼んだが4店は了解してくれて「実験と言わず本気でやらなくては」とまで言ってくれたが、3店は消極的であった。こういう運動を進めていくためには意識の高い人が地域を動かさなくてはいけない。
 また、「市」がバックアップしてくれなくては駄目で、市長に要望書を提出する準備をしている。


まとめ 辰巳氏

 根本的な話から、これからの構造の話まで広く出てきた気がする。法制化というのは一気には難しいのではないか。有料化はいいと思うが、プラスチックで作られたレジ袋が有料化すると、プラスチックでない物から作るように変る気がする。その時消費者はどういう行動をとらなくてはいけないか。
 一人ひとりに声を掛けていく地道な活動も大事。根本で何をしなきゃいけないか、というところが確立できていれば、法制化しようがしまいが社会は変わっていくと思う。仮に法制化したとしても、必ずルールを守らない人が出てきて、それをまた、取り締まるためにお金がかかる。あれこれ考えてもやはり消費者が賢くならなくてはならない。なぜ、レジ袋を減らさなくてはならないのかが、分っていないのではないか。たいがいレジ袋の下の方に「燃やしても有毒ガスがでません」と書いてある。レジ袋は環境にこんなに負荷がかかります、みんなでもっと削減しましょう、と表示すれば消費者の気持ちが変わると思う。確かに消費者の意識が変ってきているのも事実であるが、それでもこうだというふうに袋にちゃんと書いて、持って歩くのが恥ずかしくなるような袋にしたら、なかなか持ち歩きにくくなる、そんな方法もあるのかなと思う。こうしたことも事業者の方へお願いしたらいいし、事業者は本当にレジ袋を減らす気があるのなら有料化すべきで、そういうがんばっている事業者を皆がサポートしていかなくてはいけない。
 何度も言うようだが、消費者が自分でなぜにこういう行動をしなくてはならないのか、ということをきちんと確立させてやれば、別に、レジ袋だけでなく全て同じ行動ができるはずである。ついつい人間は早い結果を望みがちだが、大きな「キー」を動かすのはなかなか難しい。法制化がその一つであるかなと思うが、有料化はぜひやってほしい。
 有料化への働き掛けは企業にしてほしいし、なおかつ地域から動いていくことの大切さを今日、この分科会で強く感じた。
 京都市でも「市」がなかなか動いてくれないのであれば、強力な杉並区というサポーターがいる。ネットワークを太くしながらやっていけば良いと思う。
 力の有る方々なのでこれからもぜひ、がんばって欲しい。サポートできるところはさせていただきたい。