| 「アース・地球環境」22号掲載 |
| らしんばん |
| 自然再生は安全農業から |
| NPO法人 農山漁村 女性活動推進機構理事長 大島 綾子 |
| 今年の夏の異常ともいえる暑さの真っ只中で、畑いじりを始めることになった。 私の属するNPO法人農山漁村女性活動推進機構として、千葉県南部の夷隅町(いすみまち)というところの約600平方メートルの元農地(?)をお借りした。あたりは一面水田を中心とする平地農村。ところどころに小さな山や森がある。今時、東京から2時間程度で来ることができる距離でありながら、落ち着いた純農村である。 しかしよく見ると、農家の後継者がいないのか、田畑のみならず家屋敷まで使われないままになっているお宅も出てきている様子である。私たちの借りた農地も元は田んぼであったに違いない。何年も使用されずに放置され、草ぼうぼう、ぎっしりと雑草に覆われていた。もちろん立派な家に地主さんは不在である。やはり都市部から時々帰って村役をやっている紹介者のYさんが草刈をして耕してくださらなければどうなったことか。 1ケ月で小松菜が立派に育ち、初めて自分で育てた野菜を収穫することができた。 今は、キュウリ、キャベツ、ブロッコリー、大根、白菜などがまぜこぜの状態で植えられている。昨日はキュウリを収穫した。これからまだまだチンゲンサイ、ニンジンなどの移植が続く。 苗は都会のマンションのベランダでどんどん作っている。 私たちの農業の特徴はいくつかある。 もっとも大切なことであるが、農薬も有機肥料も使わない。海水(塩分濃度を低くしたもの。)を撒くだけである。今年は大型台風が各地で被害をもたらしたが、秋田県などでは塩害で米の収量に大きく影響したと聞く。海水というとほとんどの人から塩害を起こさないかと聞かれる。答えはNO。塩害どころか、一定の条件下ですごい威力を発揮する。 いつ、どこで、誰が、どのような方法でこれを使ってもうまく作物を育てられる。難しいことはないし、まったく安全である。水をかければかけるほど効果は良く、根ぐされの心配などない。どんな種類の作物でも共通に使える。 私たちは畝など作らない。作る必要がない。豊富な酸素が窒素の循環も完全にする。 これまでの実証結果から、出来上がった農作物に農薬などの残留は一切認められていない。今回の野菜たちもきっとそうであろう。本物の安全食品である。 今夜乗ったタクシーで聞いたラジオ、化学物質過敏症の子供さんのために、無農薬の有機野菜を買うが、微量でも化学物質が入っているために反応してしまうとの声であった。微量だから害が少ないといえないことはすでに専門家によって指摘されているとおりである。環境ホルモンと呼ばれるものが超微量で問題を起こすことは周知のことではないか。 農業者が農薬の怖さを一番知っている。直接、さまざまな健康被害を目の当たりにしているからである。 エコファーマーに認定されているといっても化学肥料や農薬をその地域の慣行の半分以下にするという程度で、その数も全体の一割にも満たない状況である。 有機肥料も問題になっている。亜硝酸窒素が川や湖沼を汚し、水進水や地下水にまで入ってくる。これまで企業活動に規制がかけられていたが、これからは農業や家庭排水まで何とかしなければならなくなっている。 昨今の環境問題をみるともう一刻の猶予もないのではないかと思う。既定路線の延長では間に合わない。 方法がないのではなく、認めようとしないならそのことこそ問題である。農業者も消費者も知れば知るほど迷いと悩みが大きくなる。 もう理屈だけでなく行動、しかも生ぬるい方法では取り返しがつかなくなると理解すべきであると思う。 |