「アース・地球環境」22号掲載
レポート

レジ袋の商品化について
オーケー株式会社(本社東京都)
経営方針「高品質・Everyday Low Price」

 私どもオーケー株式会社は、東京、神奈川、千葉、宮城(仙台)に34店舗(平成16年9月末現在)を展開している食品スーパーマーケットである。「オーケーがそばにあって本当によかったわ!」お客様にこういっていただけるようなお店になろうと日々努力している。
 経営方針「高品質・Everyday Low Price」のもと、品質の良い商品の中から、価値ある商品、美味しい商品、鮮度の良い商品、健康に良い商品、便利な商品を慎重に選び、毎日が特売価格で販売させていただいている。中堅スーパーである当社が「高品質・Everyday Low Price」の商品をお客様に提供するためには、少しでも経費を節約していかなければならない。


経費節減の一環として「レジ袋有料化」

 そこで当社の社長が考えだのが、レジ袋の有料化に踏み切ることであった。
 ちょうどそのころ、平成元年(1989年)4月1日から消費税法が施行されることになった。
 消費者から消費税導入反対の声が高まり、本当に導入できるのであろうか?という危惧を抱きながらも、導入されたら消費税3%相当分を割引し、お客様には実質的な負担のないようにしようと考えていた。
 そのためには、何か経費を節約しなくてはと考え、普通どこのスーパーでも無料で配布しているレジ袋を有料とさせていただくことにしたのである。
 「低価格維持のため、袋はご持参くださいますようお願い申し上げます。袋がご入用のときは、レジでお買い求め下さい。1枚6円(税込6.3円)です。」のポスターを掲示し、お客様にお知らせしている。
 経費削減の一環として、業界の常識をくつがえし、レジ袋有料化を断行したのだが、当初はお客様から不満の声が多かった。
 しかし、折からのエコロジーブームも手伝い、プラスチックごみの減量化につながるものとして、予期せぬ評価を受けることになったのである。
 これによって浮いた分の経費はお客様に「高品質・Everyday Low Price」で還元することができたのである。


1枚6円・首都圏31店舗で実施

 レジ袋の大きさはLサイズ(60cm×50cm)、レジ袋をレジ横にフックに吊るして陳列し、宮城県内店舗を除く31店舗で商品化を実施している。
 新店が開店する際は、事前に配布する新聞折込チラシに買い物袋の有料化を実施している旨の表示をし、また常時レジにてお客様に「袋はご持参いただけましたでしょうか」の声かけをするのである。店内放送、レジでの声かけ、POPでの表示等を行うことでお客様にお知らせをする。
 開店して1ケ月を過ぎれば、ほとんどのお客様に周知していただける。


マイバッグ持参率約80%

 現在来店されるお客様の79.6%(平成16年8月、全店平均)は、レジ袋を購入なさらないで、何らかのマイバッグを持参していただいている。小売各社のマイバッグ持参率平均が10%弱という事実から、当社の持参率は群を抜く高さであると自負している。レジ袋を有料割にすることが良いのか、持参者にスタンプ等で金券として利用してもらうことが良いのか一概には言えないが、本来必要のないものをむだにしていることは良くないことである。
 商売上の発想で始めたレジ袋有料化が環境問題で思わぬ評価を受けたというのが当社としての正直な感想である。


トレーを止め簡易な包装へ

 レジ袋に限らず、その他のごみ減量化も、私たちはまず経費削減の面から考えて実施している。
 レジ袋が削減されている現状では、次に多いものは精肉や鮮魚で使用されているプラスチックトレーである。容器包装リサイクル法上でも、リサイクル委託金が一番多い品目だ。私たちは店内に設置されているごみ箱の中を時々覗いて不要なものがないかをチェックする。
 ある日のこと、そのごみ箱にプラスチックトレーが多数捨てられていることを発見した。お客様の行動を良く観察すると、その場でプラスチックトレーをはずして捨てていくお客様が意外と多いことに気が付いたのだ。
「ということは、実はトレーは必要ないのではないか?」と考えたのである。
 そこで、取り組みとして精肉、鮮魚といった、従来プラスチックトレーに並べて販売していた商品の一部を、ラップ巻きにしたり、ポリ袋に入れたりすることで、トレーを極力使用しない販売方法を始めてみた。
 肉類はほとんどこの販売方法が使えるが、鮮魚は水分が多いため、ばら売り、はだか売りにしている。この販売方法は従来の機械作業と比較し、すべてが手作業となるため、かなりの手間がかかる。これは単に、経費削減のためだけではなく、ごみ箱にプラスチックトレーが捨てられているという事実から、消費者ニーズに応えるために始めたものなのである。
 もう一つ発生量が大きいのはロールのポリ袋である。
 当社は経費削減のために袋詰をするサッカー台にはポリ袋を設置せず、代わりにレジにて適量をお渡ししていた。
 ところがある日お客様から「ポリ袋を多くもらいすぎる」というクレームがあったため、これを機に、サッカー台にポリ袋を設置したところ、一人あたりの使用量はむしろ削減することができ、経費削減、ごみの減量につながったのである。
 このようにお客様に「いいものを安く提供したい」という発想から始めた取り組みが、結果として環境配慮に貢献できたという証明にもなったのである。
(オーケー(株)総務部 本田 潤一郎)