「アース・地球環境」22号掲載
参加団体の声

「地域づくり」の一環として「環境問題の活動」に取り組む
日本青年団協議会事務局長 渋谷 隆
 地方都市とりわけ農山村を中心に活動してきた青年団にとって、環境問題に対する活動は、その多くが地域づくりの一環として取り組まれています。
 戦後まもなく、農村の近代化が十分でなかった反面、公害による環境問題も表面化していなかった時代、生活改善普及運動とも連動し、環境衛生の改善や地域の美化といった取り組みが盛んに行われていました。
 高度成長の時代には、一転、巨大な企業活動や大量消費によって、自分たちが暮らす町や村の自然や生活が脅かされる事態が突きつけられています。モノの豊かさが定着する一方、地域の観光地化や工場進出によって水質汚染や森林伐採が進み、ゴルフ場の建設や座高施設の問題が地域の環境を脅かすようになり、青年団の活動だけでは太刀打ちできないほど、問題は大きく複雑なものになっていきました。車がなくてはならないものとなり、あふれるような化学物質の中で暮らす生活スタイルを青年自身が見つめ直す必要が出てきたのもこのころです。公害問題の学習や公害追放運動に積極的に参加し、合成洗剤の追放運動などに取り組む青年団も数多くみられました。
 その後、地球温暖化問題のように、一人一人の生活が地球規模での環境悪化につながっているという考え方が広まる中で、青年団が取り組む環境活動も、身近なところから取り組む活動が全国に定着していきます。空き缶の回収からゴミの分別、廃油や牛乳パックの再利用学習、リサイクル社会の啓蒙など、青年団だけでなく、地域の子どもたちやお年寄りも巻き込んだ活動が展開されています。
 沙漠化防止に向けた植林活動など日本青年団協議会の活動のほか、各地の青年団の取り組みについてもいくつかご紹介します。


ふるさと運動推進大会(富山)

 富山県青年団協議会が毎年夏に行っている「ふるさと運動推進大会(環境保護啓発活動)」は、1962年に立山美化行進としてスタートし、40年以上にわたって続いている環境活動です。「立山」という地元の誇る自然環境について学ぶとともに、環境保護への関心を高めるためのプログラムがくまれ、今では、青年だけでなく年配の方や親子連れの参加も多くなっています。
 今年の夏は、およそ30人が参加して、地元のナチュラリストの協力を得ながら、2つのテーマで学習・啓蒙に取り組みました。1つは、富山を代表する観光地である「立山」の環境配慮型「簡易水洗式公衆トイレ」の視察と学習により、観光地開発と環境保全の両立を学び、もう一つは「立山」の生態系に大きな影響を及ぼしている「外来植物」の状況を観察するとともに、実際に除去活動を行うというものです。
 近年は、「立山」に放置されているゴミの清掃作業に取り組むことが多かったのですが、今年は環境保全についての学習と啓発に重点おいた活動として取り組まれました。プログラム内容は時代の中で変化していますが、ふるさとの自然を次の世代にきちんと残していきたいという願いは今も変わらず、全国の青年団の中でももっとも長い間取り組まれてきた環境活動の一つです。


水から学ぶ会〜自ら学ぶかい?(滋賀)

 滋賀県青年団体連合会は、環境問題に関する学習会を継続的に行っているところの一つです。もちろん、日本最大の湖である「琵琶湖」の水質問題を取り上げることが最大の目的です。水質悪化がすすみ水辺で遊ぶこともままならないような地域もある中、青年団員が琵琶湖を泳いで環境保護を訴えるという、「実力行使」的な事業に取り組んだこともありました。
 今年は、琵琶湖に隣接している地域だけでなく、滋賀県全域が琵琶湖の水質に関心を寄せることが必要だと考え、県内各地の青年団リーダーに呼びかけて、学習合を行いました。専門家を招いて、水辺の植物ョシと環境の関係について講義を聴くとともに、琵琶湖近くの集落に張り巡らされている「水郷」を実際に訪ねて、水質に与える影響を考えました。また、市町村や集落単位で琵琶湖の水質保全のために何かできるのか、青年団としての活動に結びつけるためのグループディスカッションを行っています。
 前述の富山県と同様に、ふるさとの自然や環境を守りたいという思いからスタートしている息の長い取り組みは、青年団の環境保全活動が地域づくりの視点と切り離すことができないことを物語っています。


子どもたちとの体験学習の中で

 青年団の活動には、子どもたちとともに行うものが少なくありません。環境保全をテーマにした体験学習もその一つです。
 近年、日本青年団協議会や地域の青年団が、文部科学省の補助や委託を受けながら「子ども体験事業」に取り組む中で、環境問題を子どもたちと一緒になって考えようという取り組みがいくつもみられます。岩手県青年団体協議会では、高校生と青年団の若いリーダーが一緒になって、廃油を使った「エコキャンドル」づくりを行い、町おこしやイベントで活用しようという活動が行われました。高校生に教える前には、青年団員自身がキャンドルづくりや環境問題について学ぶ場を持っています。福島県東和町青年団では、子どもたちとともに農業体験を通じて食と自然を考える活動「ふれあいの杜−農学園」を行い、地元の田んぼを活用して田植えや稲刈りなど四季を通じた営みを子どもたちに伝えてきました。これも、地域の自然と環境を考えるきっかけになった取り組みといえます。
 一方で、産業廃棄物の問題と正面から向き合った取り組みもあります。香川県連合青年会では、当時マスコミも大きく取り上げた豊島の産業廃棄物処理問題を肌で実感するため、子どもたちとともに豊島に渡り、現場を視察する活動にも取り組んでいます。当時、青年団員も子どもたちも大きな衝撃を受けましたが、地域で同じようなことがあってはならない、ゴミの問題を普段から考えよう、という感想が報告されました。


ふるさと運動推進大会(富山)

 日本青年団協議会では、13年前から、中国の内モンゴル自治区などで、沙漠緑化にむけた植林活動に取り組んできました。毎年10名から20名の青年団員あるいは一般参加も含めたボランティアが参加しています。参加した日本人が植林する苗木はそれほど多いものではありませんが、近年では、地元の子どもたちや大学生、青年たちがボランティアとして数多く加わり、質的にも量的にも一定の成果が出始めています。この活動の参加者の中には、その後、国内での植林や緑化の活動に携わる人もあり、森林保全や温暖化防止が地球規模での早急な課題であるという啓発活動としても、青年団活動の中に定着してきています。


「地域づくり」と「グローバル」な活動を目指す

 ふるさとに根を下ろし、私たち自身の暮らしを見つめながら活動する一方で、社会全体あるいは地球規模の問題としても考える。青年団の環境活動はそんな「地域づくり」と「グローバル」な視点を常にあわせ持ちながら普及に努めて行きたいと考えます。