| 「アース・地球環境」23号掲載 |
| らしんばん |
| 「感じ」を研ぎ澄ます |
| あしたの新潟県を創る運動協会 副会長 関 良策 |
| パリの蚊 昨夏、パリに勤務する友人から一通の手紙が届いた。“パリのホテルで蚊に刺された”と言う。蚊に刺されるなんてどうってことはないと思った。しかし、読むうちにその文面に引き込まれた。 緯度の高いパリは、市内も郊外の森にもこれまで蚊はいなかった。パリ市民は蚊に刺された痒みを知らない人が多い。ところが昨年夏頃から出現しだしたという。今後、蚊が森やあの地下の巨大下水溝に生息したらどうなるだろう?蚊の北限が進みマラリヤや汚染地帯も移動するのではないか?蚊に刺された“小さな感じ”は決して小さな問題でない。こんなどうでもいいような小さな問題の中に地球環境の大きな問題が潜んでいないかと、彼は真剣に言う。 越後平野のカエル 早苗が植え終わった5月、見渡す限り広い越後平野に毎年カエルの声が夜空に大きく響く。これは、越後に初夏を告げる“時の徴であり越後の風物詩”でもあった。 ところが、平成に入りその声が次第にか細くなり、遂に3年前からビタリと止んだ。これは、民間の生物同好会の調査で分かった。私も会員の一人として、夜毎車を走らせた。行けども行けども無言の水田が続いた。“沈黙の春”ならぬ「沈黙の初夏」は不気味だ。 今、仲間達は実態把握に取り組み始めた。 このような生物の異変や気象の異常は、今世界各地で起きている。この異常に気付いた「小さな感じ」をどうみんなで共有し、行動につなげたらよいのだろう。 「感じ」の共有が行動の原動力 昭和52年、県内の巻生活学校が行政や他団体に先駆けて古紙の集団回収を実施した。そのきっかけは、大量の古紙がごみとして焼却されるのを目の当たりに見て、“もったいない!”その強烈な「感じ」であった。その感じをメンバーが共有し合い、400人の婦人会を動かし、全町規模のリサイクル運動を展開し、今日に至っている。一人の感じを二人の感じに、二人を三人へと繋ぐ感じの共有化こそ、活動の原動力であった。 その後、巻町のごみの重量比で1/3を占めるガラスビンが、無下に埋められていることが分かり、彼女達はやり切れなさを感じた。解決策を考えあぐんだ末、ガラスビンリサイクル会社の誘致しかないと考えた。しかし、それは簡単ではない。近隣町村の団体に呼びかけ中央のビン商と何度も交渉した結果、遂に東京からガラスビンリサイクル会社を誘致した。 この会社は今年で25年を迎える。経営者は、「民間の任意団体の力で設立した会社は、いくら不況でも絶対潰せない。交渉時に聞かされた代表者の“やりきれなさ”の思いが今でも身にしみている」と言っている。 これらの活動実践を発表し、運動の輪を広げるために当時から今日まで、県生活学校達協と当協会は、毎年「地球環境と資源エネルギー」の全県集会を実施し、活動を積み重ねている。 行動の起爆剤となる「感じ」を研く ある謂査によると、「あなたは地球環境に関心がありますか」の問いに、8割の日本人が「関心あり」と答えている。しかし、実際行動を起すのは僅かである。その理由は、「面倒くさい」「自分1人でやっても」等で、意識と行動の隔たりが大きいことがわかる。この意識が「感じ」から出発したとしても、いつのまにか「知」としての「理解」になっていないか、「感じ」は時間とともに鈍磨する。今更ながら、レーチェル・力ーソンの「知ることは感じることの半分も重要でない」という箴言を噛み締める。 時折、「感じ」を研ぎ澄まさせておかねばならない。 |