「アース・地球環境」23号掲載
イベント報告

ライフスタイル見直しフォーラム2004「快く楽しいエコロジー」を開催
ライフスタイル見直しフォーラム2004実行委員会・環境省
 ライフスタイル見直しフォーラム2004実行委員会と環境省が主催する「ライフスタイル見直しフォーラム2004」(以下「見直しフォーラム」という。)は、東京都港区の「東京都産業貿易センター浜松町館」を会場として、平成16年11月6日・7日の2日間の日程で開催した。
 今年で5回目を迎える見直しフォーラムは、内容を一新し、参加者が自由に希望するイベントを参加・楽しむことができるように、同じ会場内でいろいろなイベントを同時開催する方法を採用。見直しフォーラムのテーマは、「快く楽しいエコロジー」として、メインフォーラム、課題別フォーラム、NGO/NPOと企業の活動アピール展示、エコロジーマーケット等を開催し、期間中約1,200名の参加があった。
 本稿では、メインフォーラムと(財)あしたの日本を創る協会が出展したNGO/NP
Oと企業の活動アピール展示の内容を中心として、その概要を紹介する。(事務局 篠河)


快楽エコロジー〜新しい豊かさの物語へ〜

 メインフォーラムは、11月7日(日)に「快楽エコロジー〜新しい豊かさの物語へ〜」をテーマとして、ゲストとコーディネーターによる公開討論会の方式で開催した。
 ゲストには、慶応義塾大学総合政策学部教授の加藤秀樹さん、女優の中嶋朋子さん、写真家で映画監督の本橋成一さん、コーディネーターには、文化人類学者、環境運動家で明治学院大学教授の辻信一さんが出席した。
 メインフォーラムにおけるゲストとコーディネーターの発言内容を要約すると、以下のとおり。


その瞬間を大事にするのが豊かさの源泉

(加藤秀樹さん)
・慶応大学の学生達がベトナムで枯葉剤問題を調査した。ベトナム戦争当時、米軍が散布した枯葉剤(ダイオキシン)によって土壌が汚染され、ダイオキシン中毒で奇形児が生れる等の問題は、解決せずむしろ拡人中。
 カンボジア国境に近い地域では、国が土壌汚染していると警告をしているが、住民はそこで生活をしている。汚染された畑で野菜を作り、それを食べて懸命に生活している。そこの住民はそこでしか生活ができない境遇にある。
 学生達がそこで見たのは、大人も子供もその目はキラキラし、皆楽しそうだ。それまで学生達は、選択肢が多い方が、豊かさの源泉と思っていたが、そうではないことを体験した。自分達は、良い学校を出て、良い会社に入り、社長になることを目指し、いつも将来のため何かをやり、今の瞬間をおろそかにしている“途中経過人生”であることも実感したという。
 私はこれを聞いて、学生達は良いところ見ていると感じたし、自分も同感だ。その瞬間瞬間を大事にする。それが豊かさの源泉ではないか。
・一つのことを最初から最後までやると本質が見えてくる。例えば、大根を単に“できたものを食べる”のでなく、大根を剥いて、煮て、竹串で刺して、火の通りはどうか、今年のできはどうか、今年はどういう気候だったか等が見えてくる。
 われわれは、お金を出して、最終的なところを買ってくるから、いろんなことが断片的になり、選択肢が増えた分、浅くなり、薄くなり、水っぽくなった。
・お国言葉を使い豊かな表現力を養うと、言葉からいろいろなものが見えてくる。豊かな言葉は、世代を超えてつないでいく重要な道具だ。


シェア、分かち合う事が大事

(中嶋朋子さん)
・おじいちゃんやおばあちゃんは、知っていることがいっぱいある。古い智恵をシェアしてもらい、シェアしてもらった人達が、次の人にシェアする。
 学校の授業でも、知恵者から学ぶ時間が増えれば、次世代につなげるし、残すこともできる。さらに未来を見通すことができる。
・「足りない」「満たされない」時に、例えば欲望を買物で満たすというのではなく、私達が本来持っていて埋没しているものを、掘り出したり、生み出したりする。こちらの方が、簡単で、身近で、喜びに通じると思う。そういう快楽を追求したい。


命をいただく大切さを伝えよう

(本橋成一さん)
・映画「アレクセイの泉」の最初のシーンで、主人公のアレクセイが「働くことは食べること」と言うのです。とにかく食べるために働く、それが原点にあって豊かさを選んでいることだ。
・現在は、いつでも鶏肉が食べられるから、人は神経が麻痺して、鶏を食べるために殺すのは残酷だとなる。生きているものを食べることは、命をいただくことだ。今このことを学習するのは難しくなっているが、伝えていくことは大切だ。
・新潟地震のときに、スイッチをひねると電灯がつき、ガスが出るものが突然壊れた。人はそれに対する抵抗力が小さかったし、知恵も少なかった。百年前の日本人だったら、もっと強かったと思う。人間不便な方が強くなれるし、教育を含めて不便な方が易しいと思う。


「命のつながり」が快楽の根元にある

(辻信一さん)
・私が子供の一番楽しかったのは、水辺での遊びです。海、きれいな川、せせらぎの中で水と一緒に遊ぶ。この大きな楽しみを次世代に伝えることに、失敗している。環境教育とか言っているけど、実は、このようなことを淡々と伝えていくのがいいと思う。
・“命のつながり”が快楽の根元にある。アウトソーシングしていくと、どんどん快楽が少なくなる。命をいただいて、自分の命を育んでいることが、遠いところへ追いやられ、虚しさだけが残る。
・グルメ番組では、「食慾」とか「食材」という言葉が多用されている。
 人参は煮ると「食べ物」になる、大根でも鶏肉でも「食べ物」なのだ。それを材料としか言わない。
「食慾」と言うのは、本来なら「歯応え」「のど越し」「舌触り」などいろいろな表現がある。
 言葉を含めいろんなものを捨てると、本質的なことが見えなくなる。
快楽エコロジーへようこそ

(辻信一さんのメッセージ)
 スローに生きることは、環境にいいエコロジカルな暮らしをすること。ぼくは環境にいいことをしたい。だから、スローに生きる。それもある。でもそれだけじゃない。
 ぼくはスローに生きたいのは、それがまず何よりも、愉しく、美しく、安らかで、おいしいから。そういう快楽のために生きている。ぼくはスロー快楽主義なのだ。
 スローな暮らしには、スローな社会には、愉しさ、美しさ、やすらぎ、おいしさが満ちている。なぜか?その理由は簡単。スローとは「つながる」ということだから。
 それなしには人間が人間であることさえできないような、本質的なつながりというものがあるはず。人と人とのつながり(エロス=愛)や、人と自然のつながり(エコ)という、涸れることのない豊かな井戸から快楽をくみ上げて生きている。スローライフとは、そんな生き方のことだと思う。そしてそれがまた、環境にもいいし、社会にもいい。
 ぼくにとっての愉しさ美しさや安らぎやおいしさが、世界をもっといい場所にしてゆくのだ。快楽エコロジーへようこそ。(見直しフォーラム資料から掲載)


オープンな会場設営で賑わった展示

 当協会が出展した「NGO/NPOと企業の活動アピール展示」は、2日間の開催期間中、メイン会場の都立産業貿易センター5階イベント場で開催した。会場の中央部には2つオープンフォーラム会場を配置し、その両側に展示会場とエコロジーマーケットを配置した。
 参加者は、展示を見たり、買い物をしながら、オープンフォーラムの様子も横目で見て、希望するイベントに自由に参加できるような会場配置をした。
 展示とエコロジーマーケットヘの参加団体は当協会を含め、35団体等に及んだ。参加団体は、パネル、ポスター、写真、リサイクル物品や商品等の展示を始め、パンフレット・資料の配付、体験コーナーやアンケートコーナー等を設けるなど、それぞれ工夫した展示を行った。
 予期したとおり大部分の参加者はフォーラムの合間に展示を見たり、買い物をしたり、カフェで休憩をするなど、いろいろな体験をしながら楽しんでいる様子が覗えた。
 開催期間の2日間を通じて多くの展示見学者があり、特にメインフォーラムの行われた2日目は、終日どの展示場も賑わっていた。多くの展示参加団体では、展示物の説明や見学者からの質問に答えられるように職員を配置し、多くの展示場で見学者との間で活発なやり取りのシーンも見られた。


「環境にやさしい買物」をテーマにマイバッグ等を展示

 当協会の展示は、「環境にやさしい買物」をメインテーマとして、マイバッグ(買物袋)の展示やパンフレットの配付を行った。
・マイバッグ:不用になった傘の布地や古くなったジーンズの布地、カーテンの残り布や紙テープを使用して、全国の生活学校メンバーが製作したマイバッグを展示
・ポスター:「環境にやさしい買物」を呼びかけ、生活学校の活動内容等も紹介
・マイバッグの作り方(ちらし):傘の布地で作る手提げ型、「はぎれ」で作るリックサッ ク型の2種類の“ちらし”を配付
・パンフレット:協会パンフレット、「地球環境を大切にするライフスタイルブック」「地球環境を大切にする地域活動のいろいろ」の3種類を配付
・広報誌:「アース・地球環境」「わたしたちの生活学校」等5種類を配付
 当協会の展示場へも多くの参加者が訪れ、マイバッグやその作り方、パンフレットに掲載した活動事例に興味を持つ人が多かった。
 参加者から次のような声が寄せられた。
・不用になった傘から格好良いマイバッグが作れることが分かった。自分も挑戦してみたい。
・デザインも良く使いやすい。買物以外でも使える。
・食材の生産、輸送、廃棄の時に、随分エネルギーを使っていることがよく分かった。これから気を付けたい。
・茅ヶ崎のリターナーブルワインのことを、始めて知った。