「アース・地球環境」24号掲載 |
パネルディスカッション |
広げよう「食卓から進める地域環境を大切にするライフスタイル」を |
パネリスト 勝野 美江 さん (農林水産省消費・安全局消費者情報官補佐) 斉藤 文子 さん (神奈川ゆめコープ理事長) 粟生 美世 さん (社団法人栄養改善普及会理事) 竹腰 里子 さん (NPO法人北区リサイクラー活動機構理事長) コーディネーター 金森 房子 さん (生活評論家・(財)あしたの日本を創る協会副会長) CO2排出量の1/3を占める食関係 金森 「環境にやさしいライフスタイル検討委員会」では、平成14年度に「家庭におけるライフスタイルの実態調査」を実施しました。このなかで、1人1日当たりのCO2排出量は、約6,700g、このうち食に関する排出が全体の約1/3を占めるという結果がでました。食生活と環境問題は密接な関わりがあるといえます。そこで、今回の全国集会では、食生活で環境負荷をどうやって減らすのか、その行動をどのように地域で広めていくのかをテーマにしました。その観点からパネリストの方に発言をお願いします。 勝野 農林水産省で「食育」を担当していますが、食育のめざすところは、国民一人一人が自ら食について考え、判断する能力を持っていただくことにあります。こんなことは当たり前ではと思われるかも知れませんが、若い方を中心に「食べる力がない」「食べる技術がない」、もっといえば「食べる意欲がない」という状況です。食欲は人間の本能で重要なものですけれど、その食欲がないという状況に陥っております。 平成12年3月、当時の文部省や厚生省と連携して「食生活指針」を作りました。この中に「食文化や地域の産物を活かし、時には新しい料理も」「調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なくしていきましょう」という項目があります。しかし、こういうことをただ唱えていても、生活様式は変わりません。では、どのようにしていけば良いのかということを考えて行かなければと思っております。 食料の約3/1を廃棄 食料が供給している子芋ルギー量を調査した食料需給表と、エネルギー摂取量を調査した国民栄養調査を比較してみると、直近のデーターでは、供給が2,600キロカロリー、摂取が1,825キロカロリーと約700キロカロリーの差があります。この差は、おおよそ食べ残しと廃棄されるものと推定されています。この差を減らそうという政策目標を掲げていますが、残念ながら年々開いていく傾向にあります。 農水省では、世帯ごとの食品ロス率の統計をとっていますが、ロス率が最も高いのは単身世帯という結果が出ています。一方、食事管理者の年齢別のロス率では、意外にも若い人が低いという結果が出ています。この理由は、若い世代が食品素材を買って自ら調理するという食生活をしていないということではないかと考えられます。業種別の食品ロス率をみると、結婚披露宴が一番で、都道府県別では愛知県が多い。韓国では、このロス率が非常に高い。韓国では、おもてなしとして「沢山の食べ物を出さないと恥」との習慣があるようですが、国として、このような習慣を止め、強制的に減らす方向にしているということを聞きました。 食品リサイクル法では、平成18年度までにすべての食品関連事業社が再生利用等の実施率を20%以上にすることを目標にしています。あわせて、このような問題は、国民の1人1人が変わらないと総体として変わっていきません。そこで、「作りすぎない」「買いすぎない」「頼みすぎない」という消費者の責務も謳われています。 バイオマスタウンを500か所に 平成14年にバイオマス総合戦略を立ち上げ、家畜の糞尿や食品廃棄物を肥料や飼料として活用するバイオマスにも取り組んでいます。家畜の糞尿がメタンガスとなり電力として使われるなどの取り組みが生まれています。2010年までに全国市町村で500か所でバイオマスタウンを作ることを進めています。 食べ残しがある一方で、世界には、飢えている人も多くいます。でも話だけでは実感としてわかない。そこで、新潟県上越市の大手町小学校では、自分たちが1年間かけて作った米や野菜を、三学期に1泊2日の合宿で食べるということをしています。クラス全員に分けるので、1人分の量は少ししか食べられない。最初の食事で人参を残した子どもも、次の夕食では、食べるようになるそうです。お腹がすいているので素材の味がわかって美味しく感じられる。夜には戦争体験をお年寄りから聞いたり、途上国の飢餓の子どもたちのビデオを見て、実際に自分の空腹体験と照らし合わせ実感する。そして食べ方・生活のあり様を見直していくということです。このような試みは、むしろ子どもだけでなく、大人たちにも必要ではないかという意見も聞かれます。 日本の食料自給率は40%で、60%は海外から来ています。内閣府の調査では、そのことに対し、「不安を感じ」「なるべく、国産のものを選びたい」という人が8〜9割います。しかし、スーパーで夫婦で買い物をしている方を観察していると、ご主人が国産のしいたけに手を伸ばすと、「こっちの中国産の方が安くていいのよ」と、国産品は振り落とされてしまう。実際の行動とアンケートとでは、違うのではないか。 旬のものを食べることが、やはり環境にもやさしいし、栄養価も高い。例えば、ほうれん草は1年中スーパーに並んでいますが、夏探りと冬探りを比較すると、冬探りの方がビタミンCの含有量が倍になっています。 農水省では、食育の推進に関して、さまざまな支援事業をやっております。体験から分かる食という事業があり、その中に「環境配慮系」のメニューがあります。都道府県・市町村・農協・消費者団体などで活用していただきたい。 栄養三色をバランス良く摂取 粟生 私は、20数年間これから家庭生活を営む方と一緒に食の問題を考えてきました。栄養改善普及協会では、栄養三色運動を展開しています。食物を分類する時に、「赤は血や肉になるところ、緑は体の調子を整えるところ、黄色は体の力になるところ」と、体に取り入れてからの働きによって分けました。そしてこの三色をバランス良く摂取することを進めてきました。 三色ポスターの下欄に、「体にやさしい、食村のわかりやすい合言葉」を掲載しております。1日に1回は取ることが適当な食村の頭文字を集めて「マゴタチワヤサシイ」という合言葉を創り、これを使って食材のチェックをすることを勧めています。 大根で葉っぱと白いところがありますが、栄養素が違います。生産者は消費者がそれを望んでいるからと言って、青いところをちょん切って販売しています。これは流通商で切った方が便利だからと聞いております。しかし栄養的に考えると、青いところと白いところと両方をとりたいのです。 私は、料理は愛情と科学だと思っています。食べ物の作り手が食べる人の状況を念頭において、食べやすいようにする責任や愛情が大事ではないかと思います。農業者も、漁業者もそれぞれ苦労されて作っているわけです。大量生産しているメーカーも食べる私たちのことを考えて作ってくれるといいのかなと思います。例えば、農水谷の会議で、牛乳パックに切り欠きを付けようということが決まりました。これは眼のご不自由な方がパックのあけ目がわからず困るのだそうです。それで切り欠きを付けることになったわけです。パックの山を触るとデコボコがあって、その反対側があけ目になっているのです。こういうことが決められているのに、意外と皆さん知らない。これはメーカーの責任だと思うのです。やっぱり食べる人のことを考えた時に愛情が足りないかなと思います。 科学については、例えば、大根1本丸ごと食べてしまうように利用する。(丸ごと食)調理や洗い方の工夫で熱や水を無駄にしない。ゴミをできるだけ少なくして環境を汚さないということです。 食育というのは会議室では出来ないと言うことです。食の現場である台所を預かっている人が次代の担い手に伝えて行くもので、行き着くところは家庭食が一番だと思うのです。もちろん現在、これでだけ進歩してしまった生活を元に戻すことはできません。外食、中食を否定はしません。ただこれに愛情をふり掛けてもらいたいですね。食べ方に工夫をしていただきたい。市販のトンカツを買って来ても、キャベツを添えたり、たとえ、インスタントであってもみそ汁をつけたりすると一つの家の食事になるわけです。 水も使う時は考えなければいけないなあと実感しました。何げなく台所の水を流していましたが、多い日は1日に3回、料理教室に行けば、調理台が4、5台ありますから物凄い量の水を流していたわけです。そこで、洗い桶に水をためて、適量の洗剤を入れて、そこで洗ってそれから最低限の水で洗いながしました。そうしたら、使用量が減り、水道局から、「最近、料理してないのですか」と言われました。家庭をもっている者が、水の使い方を少し変えるだけでもずいぶん無駄がはぶけるのだなと痛感しました。 環境保全から生まれた無洗米 無洗米がなぜ考えられたかわかりますか。忙しい人のために出来たのではないのです。滋賀県に住むある男性が、琵琶湖が家庭排水で汚れる、これは何とかしなければいけない、と考えだされたのが無洗米だそうです。環境を守ろうということでできたので、手間を省くためではない。そういうところを考えてやっていくことが家庭食なのですね。このようなことを考え、料理を含めた食の問題を考えていきたいと思っております。 竹腰 平成3年頃から住民主体でリサイクルシステムづくりを進めています。いまは北区から委託を受けて、公設民営のエコー広場館という拠点で、リサイクルの活動を展開しています。 都市と農村が連携した循環システムを推進 本日お話する学校給食の生ゴミ堆肥化活動もその一つで、堆肥化するまでは北区の仕事で、私どもは堆肥の活用面を担当しております。学校では、調理残さなどが出ます。区では、これを堆肥化のルートに乗せようと平成5年から進めています。当時、ゴミ処理機の性能に問題が多く、臭い、発酵能力、騒音などについて、1年間2校で試験をしました。まあこれなら大丈夫と言う処理機を2種類選定しました。そして、3か年間で区内の64校の小学校すべてに、処理機を設置しました。一台2〜300万円もするものを、導入するのには、トップの決断があったと思います。「生ゴミ処理機で生ゴミは減量する。それも大切だが、食の循環、食の大切さ、微生物の存在、そういったことを子どもたちの見えるところで、示すことができる。だから、一石二鳥の教育効果がある」という区長の言葉に感激しました。 コンポストから生ゴミ堆肥が出来、これを学校の菜園や花壇に使っていましたが、使いきれないところが出てきました。良質の堆肥だから、有機農業に使ってもらえないかとなりました。北区は群馬県甘楽町と、自然休暇村協定や災害協定を結んでいますが、市民レベルでも交流があり、その一つに野菜の宅配オーナー制度があります。この担い手が甘楽町の有機農業研究会で、そこで、この堆肥を使ってもらえないかと、打診いたしました。 使って見ようということになり、最初、ブロッコリーが全滅したとか、紆余曲折がありましたが、じゃがいも、玉ねぎが出来、これを利用してエコー広場館でいも煮会をやりました。来館者に好評で、北区の堆肥でできた野菜を買えば、ほんとうの循環になるということで定例化しました。毎月第2日曜日にトラック一杯の野菜が、エコー広場館に運ばれ、帰りのトラックで堆肥を積んで帰ります。これを「平成のリサイクル便」と呼んでいます。みなさんは、この野菜を楽しみにしています。ほうれん草などはビタミンCが豊富で、少々値段は高いのですが、それには変えられないものがあります。ほんとうは学校給食で使ってもらいたいのですが、供給量の問題で、根菜類以外は、使われていません。もっと学校で使われれば教育効果が上がるかなと思います。 このようにある程度の循環の輪が出来たのは、甘楽町も北区も行政と住民が一体となって、力を合わせたからで、作り手と使い手の顔が見える活動か大切かなと思います。甘楽町の人たちと友達になって食を通じての交流も出来ています。 体験から就農までのプログラムで 斉藤 1999年に農業基本法が改定されたのを機に、小田原の農業者と、「小田原食料と農業に関する基本協定」を結び、農業体験などの活動を進めています。農業者が都市住民と交流する場合、お客様を招くという姿勢になりがちです。そうではなく、参加者が主体的に取り組める体験から就農までのステップアッププログラムを組んでいます。さらに、商品開発も組み込んでいます。 年間に4つの大きな「お祭り」を開催しており、最初は体験イベントヘの参加がきっかけとなります。その一つである「オニオン祭り」には700人ほどが参加しています。組合員に声をかけますと倍の応募があり半分位お断りするという状況です。プログラムでは、田んぼとはたけの二つの学校を設けています。田んぼの学校では、最初が初級コース。ここでは、地元伝来の農具や田植え用の定規を使って田植えなどをしています。参加費は、家族グループ単位で8,000円〜20,000円ですが、それでも定員いっぱい集まりました。そして、草取りなどのつらい作業に出た方には、収穫時に多めにお米をお渡しするなどの差を設けています。そうしないとイベント的なところだけ参加し、農の苦しさを知ると言うところになかなか行きつかないものですから。差をつけることにより出席率が良くなっています。初級が終わったら今度は、もう少し主体的にということで本格コースを設けています。籾まき、苗床づくりから始めています。さらに、自給コース、自前農場コースを設けており、最終的には「就農」を視野に入れております。はたけの学校では、「野菜コース」や「ハーブコース」を設けています。その上にウィークエンドファーマーという制度があり、1組のご夫婦が週末農業に参加されています。今年はトータルで、63家族、22O人の人が通年で小田原に通っています。これまで6ケ所、40アールの畑を復元しました。 農業体験だけでなく、案山子作りや、鰹の放流、終業式には昔ながらのきねと臼で餅つきなど行ない親子のコミュニケーションづくりにも役立てています。また、田んぼでは、生き物観察のプログラムも取り入れています。単なる虫取りだけで終わるのではなく、虫たちが棲息する背景環境まで掘り下げ知ってもらうということです。こうして農を通して食や環境を考え歴史や先人の知恵を学び、豊かな生き方を知っていただけるようなプログラムを組んでいます。 体験学習で目覚しい成長をする子ども この活動の中で子どもたちが成長していく様は感動的です。その成長振りを紹介します。3年前に5歳だったこの子は、田んぼの中で無邪気に鯉なんか手でつかんでいたのですが、次の年はコンバインを使えるようになり、さらに次の年には鎌で稲刈りをする姿は1人前となり、そして、感心するのは絶対に鎌をその辺には置かないで、田んぼにバサッと刺しておくまでになりました。このような教育効果もあります。 商品開発では、小田原特産の「十郎梅」という品種がありますが、他の梅におされ存続の危機にありました。生産者から相談され、生梅を50s預かり、漬けて50人に食べてもらいました。そうしたら、80%の人が十郎梅がおいしいということで、二年目は、生梅を配り実際に漬けてもらい梅干コンテストもしました。その結果三年目には、大々的にカタログに掲載し販売することになりました。このようなブランド化もはかっています。もう一つ、小田原はブルーベリーの生産地で、ジャムを作りました。これがスーパーに並んでいたら、価格とラベルから手が出しにくいでしょうが、商品を買うことで環境活動に参加しているという意識を持って購入する方かおり、手づくりの無農薬商品として支持されています。売上の3%が協議会にバックする仕組みになっており、こうした活動に役立っています。昨年は、15,000個販売しました。 私たちの事業は、このように持産物もブランド化しましたし、地域農業の振興に多少貢献したかなと思っています。年間3,000名ほどの消費者が小田原に通って農の価値が高まり、地域も活性化し、小田原に共鳴してファンが増えました。 この体験交流では、オリエンテーションが大事だと思います。参加者はお金を払って来るお客さん感覚です。なぜこのようなことをするのかを理解してもらう必要があり、ルールを説明します。責任範囲、イベントの目的、参加費、収穫物の所有権などについて車座になって話し合います。職員・ボランティア・インストラクターなどのスタッフの責任範囲をきちんとしておくことも大事です。そして、あまり面倒を見すぎないこと。学び、遊び、労働とを組み合わせて、楽しさと、つらさと、喜びをうまくミックスして、参加者がさまざまなことを発見する手助けをする、という姿勢でやっています。生産者に天災があったりすると組合員はカンパもし、こんなところにも交流事業の効果が出ています。 金森 環境にやさしいライフスタイルの検討委員会で2005年版のパンフレットを作成し、ここにも多くの事例が紹介されています。協会にご連絡いただければ送付いたしますので、興味のある方は申し込んでください。会場の皆さんからご質問をお受けします。 (質問) 北区の資料の中に、「公園や道路緑化に生ごみ堆肥として利用できないか」とありますが、これは堆肥が余っていてどうするかということですか?私どももゴミの問題から道を守る会というのを作り、国道筋の緑化をしています。そこで堆肥を道路の緑化に使用できたら良いのではと考え、徐々に進めています。 金森 それではこれから、質問への回答を含めて、発言をお願いします。 竹腰 公園や道路の花壇に堆肥を使えないかということで、都市で農のある暮らしを考えようと「東京の田舎っぺ集まれ」というフォーラムを開いたのです。その時にこんなことができたらいいなあと提言をしたのです。公園を住民参加型管理にしたり、廃校になった跡地を農園にしたらと提言した。今のところ実現していませんが、今までとは違った市民農園ができるのではと思います。 食文化の伝承は家庭から アフリカではエイズが蔓延しています。お母さんが自分の子どもに飢え死にさせないために、自分のからだを売るのだと聞きました。エイズではしばらく死なないけれども飢えではすぐ死んでしまうから。そのようにしてエイズが広がっていくのだと。このお話をされた方が、今のコンビニなどで時間を過ぎたお弁当を捨てるのは、もうこれは犯罪、罪悪だと指摘された。万人ひとりがそういうことを教育の中で生かしていかなければいけないと思います。いまの日本では、文化が、とくに食文化が伝承されていません。これはもう学校教育ももちろんですけれども、家庭の中でもしっかりと受け継いでいかなければいけないと思います。 勝野 多くの実践事例のご紹介がありましたが、お持ち帰りになり、地域で実践をしていただくというのが、一番重要だなと思います。役所が手取り、足取り、お手伝いしすぎるのはよくないし、まずは皆さま自身が立ち上がっていただくというのが一番近道と思います。みなさんの自主的な活動を、私たちはうしろからお手伝いするというのがいいのかなあと考えます。 「捨てる」と「返す」 農家の方は、生ゴミや調理くずを、畑に戻すとき、「捨てる」とは言いません。「返す」「戻す」と言われる。その発想はすばらしいことだなと思います。都会に住んでいると、ゴミは捨てるものだと思っています。農家の方はゴミと認識されていない。そういった知恵をぜひ次世代につなげていく必要があるのではないかと思います。ぜひ地域の農家の方などと連携して各地で取り組みをしていただきたいと思います。そのためにご支援をさせていただきたいです。 金森 ありがとうございました。農水省も支援の準備がある、体制はできているという情報も本日のお土産の一つではないでしょうか。 粟生 今日、ご参加の方はすでに関心のある方なのです。だから、家庭からできるだけゴミを出さない、リサイクルできるものはその流れに沿って出すことを既に実践されている。しかし、現実は、関心を持っていない方がほとんどなのです。ですから私たちは、関心のない人たちに関心を持ってもらうための突破を考えていきたい。 漁村との連携した取組も大事 斎藤 人々の価値観やライフスタイルは多様化しています。私たちが、今どんな暮らしをするかで未来に残す環境は大きく違ってきます。食と環境は切っても切り離せません。最近、グリーンツーリズムと並び、ブルーツーリズムといわれますが、海を守る運動も必要です。都市と漁村との人的交流や連携も大事なのではないでしょうか。また、食を支える第1次産業の農業をきちんと育て持続可能な社会を創っていくことは、国土を守り命をつないでいくことです。そのことを踏まえて活動し運動を広げていきたいと思います。 金森 環境負荷の削減を目指すライフスタイルの改善を食卓から取り組もうということで、貴重な情報や事例の紹介がありました。まだ議論が充分にできなかった分野もありますが、循環型というところを中心にしては議論が深められたように思います。 ある県の消費生活センターの調査では大型冷蔵庫を使っている家庭では、食品の捨てる割合が多いという結果が出ています。便利さに惹かれて、大きな容量の冷蔵庫を買っても適正な管理ができないと、食品ゴミを増やすことにつながるのではないでしょか。食の暮らしを見直すことは、食の安全や健康づくりと結びつくことであり、またこれが地域の活性化の手掛りにもなることを本日のお話から感じました。家庭や地域で皆さんが、身近な食卓から地球環境を大切にするライフスタイルを広めようという取り組みが、今後ますます活発に取り組まれることを期待しまして、本日のパネルディスカッションを終わりにさせていただきます。 (文責・事務局) |