| 「アース・地球環境」24号掲載 |
| 事例紹介 |
| 第4回環境首都コンテスト |
| NPO法人環境市民 代表理事 癘{ 育生 |
「日本のフライブルク」を創ろうという目標を掲げて実施している「持続可能な地域社会をつくる 日本の環境首都コンテスト」の第4回が、多くの成果をあげて3月末に終了しました。今年の第1位は熊本県水俣市、第2位に愛知県新城市、第3位に岐阜県多治見市が輝きました(表)。
このコンテストは、2001年から10年間にわたり実施中で、自治体が切磋琢磨しながら、かつNGOを含めて互いに人と情報の交流をすすめ、住民参画で地域から持続可能な地域社会を創出し、全国の自治体に波及的な効果を生み出していこうという趣旨です。環境市民が主幹事団体となり全国11のNGOが「環境首都コンテスト全国ネットワーク」をつくって運営しています(他に4NGOが参加協力)。 コンテストの仕組み 日本の環境首都コンテストは、主催者である私たちが作成した質問票に自主的に参加意思を表した自治体が回答し、その回答に対してあらかじめ決めておいた点数を与え、その合計点数で評価するものです。このようなシステムは1990年代に実施されたドイツのコンテストに見習ったものです。対象は全国の市区(東京の区のみ)町村ですが、周知は全市区町村の代表メールないしファクシミリに送信したほか、新聞報道によって行っています。質問票は環境基本条例・アジェンダ・環境基本計画、マネジメントシステム、情報公開、率先行動、自治体交流、政策能力向上・環境行政の総合化、住民力の向上と協働、環境学習、自然環境、水循環、景観と公園、交通、地球温暖化防止、ゴミ減量、環境に配慮した産業と15項目90問にわたって構成しています。現在における自治体行政を、環境というテーマから全面的にカバーしたものになっていると自負しています。 参加自治体と市町村合併 第4回の参加自治体数は75で昨年の83より少し減少しています。その原因として最も大きいものが市町村合併で、合併事務の発生や、合併直後でデータが把握できていないという理由で、コンテストに参加できないという声をかなり聞きました。その一方で合併後の施策展開や全体把握に生かそうと応募された自治体もありました。 また自治体数そのものが大きく減少しているため、参加率そのものは減少していません。人口規模別に見ると最も小さい徳島県上勝町の2196人から百万都市である広島市まででバラエティに富んでいます。ただ政令指定都市が広島市のみで、他の都市の参加を強く求めたいと思います。 上位自治体の特徴 入賞された自治体、順位が急上昇している自治体の多くに共通する特徴として、行政の基礎力向上、住民参画を本格化させてきている、独自のアイデアを大切にしながら他の自治体に学ぶという姿勢を併せ持っている、ということがあげられます。 行政の基礎力としても最も重要なのは、職員資質とやる気の向上でしょう。そのひとつの例が尼崎市の「YAAるぞ運動」です。職場ごとに、本来の業務や職場環境の向上を職員自らが提案し実行する、それを遊び心も入れて互いに競い合う方法で開催されていて、すでに経費削減や事業目的の達成などに大きな効果が現れています。 住民参画、パートナーシップはどの自治体でも唱えられるようになりましたが、まだ表層的な取り組みが多いようです。しかし、本質的な事例もかなり現れるようになってきました。その中から、予算化に対する住民参加を一部紹介します。神奈川県大和市では「新しい公共を創造する市民活動推進条例」を制定し、市民からのパートナーシップ事業を公募し、公開での審査の上で採択したものを、予算化も含めて事業化を始めています。愛媛県内子町、熊本県宮原町などでは住民が地区毎に計画を策定し、その推進のための事業を予算化する制度を各々実施しています。埼玉県志木市は、全員が公募委員による志木肌市民委員会によって、行政とは別に予算案を作成し、それを行政が作った予算案と対比させて予算編成を行っています。 各地で次々と先進事例 私たちが当初予測していた以上に先進的な事例や積極的な取り組みを、各地の自治体で実施されていることが、コンテストの回答やヒアリングを通じて明らかになってきました。毎回、他の自治体の参考になる約60〜70事例を集めた「先進事例集」を作成していますが、掲載事例の選出に困ることはありません。このことは日本社会において各地で持続可能な地域社会づくりへの実践がすすみつつあることを意味し、将来への希望が膨らむものです。閉塞的な社会状況の中でこのことは、とても大切なことだと考えます。また、先進事例をまとめて毎年発行している「先進事例集」も自治体間の視察交流に用いられるなど、有意義に使われています。 第1位水俣市の取り組み 水俣市は第1回からの連続参加で、毎回順位を上げてきました。「水俣病事件」という「負の遺産」をベースに、市民、市、漁業者、農業者、事業者、地元NGOが各々の思いで地域に目を向け、それぞれの主体でできることに取り組んできたことの積み重ねが、1位という結果につながったと考えられます。先進事例集で、水俣市は毎年かつ計12事例が掲載され、アイデアと実行力の多様性が証明されています。 さらに取り組みの深さにも注目をすべきであると考えます。例えば水俣市では、小規模、市民総参加、地域循環型という理念を掲げて小都市エコタウンを推進していますが、その事業の一環として、エコボ(田中商店)との連携で900mlのリユース瓶の回収システムが市域を超えて構築されつつあります。また多くの自治体で取り組まれるようになった環境ISOも、自己宣言方式という一歩進んだシステムにし、かつ紙、ゴミ、電気、水だけではなく、施策全般に対する環境対応を求めるシステムとしても活用し、さらに施策全般に対する環境対応を求めるシステムとしても活用し、さらに学校版、家庭販、旅館ホテル版に加え、畜産版の環境マネジメントシステムを独自展開しています。 目標としての環境首都 環境首都という称号は、第1位になるだけではなく、総合点で70%以上獲得するなどの条件をクリアする必要があり、今回まで、まだ現れていません。しかし、上位自治体の総合点、全国平均点ともかなり伸びてきています。 さらに「環境首都」を目標として考える自治体が現れてきました。安城市では総合計画の目標として環境首都をあげています。また水俣市、第2位の新城市などでは市長が「環境首都をめざそう」と公に宣言され、他にも環境首都をめざした施策展開を促したりしている自治体が複数にのぼっています。また、このコンテストを環境基本計画の指標や目標として使おうという自治体も現れています。このような動きは「環境首都」が、日本のまちづくりのビジョン、コンセプトとして自治体にも積極的に受け入れられてきたことを示し、環境首都が出現することに一歩近づいたと言えます。 * ここにあげた事例は、一部にすぎません。他にも多くの事例があります ** この活動には、地球環境基金の助成をいただいています |
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