「アース・地球環境」26号掲載 |
特集 環境にやさしい交通をめざして |
自治体報告 「スムーズ東京21−拡大作戦−」について |
東京都青少年・治安対策本部違法駐車対策担当課長 滝澤 達 |
東京都の現状 東京都内の慢性的な渋滞は、都民の日常生活や企業活動等にも時間的・経済的損失を与えるばかりでなく、排気ガスの増加など環境悪化や交通事故の原因ともなっており、渋滞対策は緊急の課題となっています。 渋滞の解消に向けて、環状道路等の道路ネットワークの整備や交通需要マネジメント(TDM)などが不可欠となっておりますが、整備等には膨大な期間と費用が必要となります。「スムーズ東京21−拡大作戦−」ではこの緊急課題に対して、即効性の観点から、既存道路を有効に活用した渋滞対策を実施しております。 事業概要 事業年度 平成15年度から平成19年度(5ヵ年間) 対象箇所 東京都内で特に渋滞の激しい交差点を中心に ・都道 30路線 100交差点 ・国道 11路線 40交差点において対象路線・区間の特性に応じた対策を実施しています。 対策内容 ・道路施設の改善 ・駐車場の有効利用 ・違法駐車の排除 ・渋滞対策の普及啓発 以上の4つの対策を柱として、警視庁・国土交通省(東京国道事務所)と連携して一体的に対策を進めています。 対策の詳細 ・道路施設の改善 右折レーンの延伸、左折レーンの設置、バスベイの設置、信号表示時間、車線構成の見直し等・駐車場の有効利用駐車場誘導案内の拡充、駐車場の短時間駐車料金無料化促進、路外荷さばきスペースの設置、タクシーの客待ち列解消(タクシープール整備)等 ・違法駐車の排除 赤系カラー舗装(ギラギラ舗装)による駐停車禁止区間の明示、駐車抑止テレビシステムによる警告、交通指導員の配置等 ・渋滞対策の普及啓発 駐停車禁止表示の設置、事業の普及・啓発、広報キャンペーンの開催等 以上の対策を、対象路線・区間の特性に応じて、複数を組み合わせて実施しています。 事業の効果について (明治通り・都道415号線の例) 平成15年度に実施した、明治通り・都進415号線(渋谷橋〜六本木二丁目:4.6q)では、7交差点で対策を実施しました。 主要な環状道路である明治通りから、都心部に接続する放射道路の都進415号線は交差する複数の幹線道路から交通が集中し、混雑時には旅行速度が16q/hまで低下していました。 主な幹線道路が交差する渋谷橋(駒沢通り)、天現寺橋(外苑西通り)、新一の橋(環状3号線)、飯倉片町(外苑乗通り)の4交差点、交通の阻害要因のある新古川橋、三の橋、六本木二丁目の3交差点で赤系カラー舗装(ギラギラ舗装)、右左折レーン、バスベイ等の設置、隣接交差点との信号連携最適化などの対策を実施しました。 この結果、対策区間4.6kmの所用時間が約3割短縮(対策前18分日々対策後13分)しました。また、道路利用者へのアンケートによっても、 とても走りやすくなった 2% 走りやすくなった 19% 多少走りやすくなった 45% 合計約6割の方が走りやすくなったと回答しています。 その他の期待される効果 ・経済損失の改善 走行時間の短縮による経費の節減 ・都市環境の改善 大気汚染物質であるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)の減少 ・交通事故の減少 渋滞が引き起こす交通事故の防止などの効果が期待されます。 皆さんも協力を ・短時間でも路上駐車をせず、駐車場やパーキングメーターを利用しましょう。 ・タクシー乗り場以外でのタクシー乗降は避けましょう。 違法駐車は渋滞の主な原因となっています。赤系カラー舗装(ギラギラ舗装) の区間は、荷捌きや客の乗降も禁止されています。 皆さんの協力により渋滞の原因となる違法駐車をなくし、文字通りスムーズに移動できる東京を目指していきます。
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