「アース・地球環境」27号掲載
特集

平成17年あしたのくらし・ふるさとづくり全国フォーラム実施報告
第5分科会「地球環境を食卓から守ろう」の概要報告
―コミュニティ活動が真に豊かな地域社会を実現する―これが財団法人あしたの日本を創る協会(以下「協会」という)が開催する平成17年度あしたのくらし・ふるさとづくり全国フォーラムin兵庫のメーンテーマである。
 今年度の全国フォーラム(平成17年11月18日〜19日)は、初めて東京を離れ、兵庫県淡路市の淡路夢舞台国際会議場で開催した。
 これは、阪神・淡路大震災から10年が経ったことを記念して、あすの兵庫を創る生活運動協議会などの協力を得て開催したものである。
 フォーラム第1日は、8つの分科会が開かれ、全国から参加した700名以上の人々が各分科会に参加したが、本誌では、その中から環境をテーマにした第5分科会の「地球環境を食卓から守ろう」、そして第3分科会の「レジ袋の有料化に向けて」の二つについて、以下に概要を紹介する。
(参考)このテーマは、(1)温暖化現象が叫ばれて久しいのに現状では歯止めが掛かっていないこと、(2)環境分科会においては、過去数年間循環型社会形成のための仕組みづくりに取り組んできた経緯を踏まえ、更にこれを広め前進させるステップを踏む必要があること、の背景から、行政、事業者と共に地域でのより効果的なシステムづくりが急がれているとの認識のもとに定められたものである。
 第5分科会には、90名強のメンバーが参加した。

趣旨説明
説明者 生活学校運動中央推進委員 癘{育生さん
 癘{さんの話は、「環境と食」の二問のクイズから始まった。QA.日本の食糧自給率は約何パーセントでしょうか(カロリーベースで)?(4択)@約40%、A約45%、B約50%、C約60%。この問いについては、会場内の多くが@約40%と正解を言い当てたが、次のQB.日本で毎日廃棄されている食料品は、何人が健康に生きていくことができる分量になるでしょうか?(4択)@約300万人分、A約700人分、B約1,500万人分、C約3,000万人分については、回答が分かれた。参加者の多くは自信なげ。癘{さんから「正解はC約3,000万人分です。」といわれると、皆「え〜っ!」とびっくり。いかに日本が食材をムグにしているかを強く認識させた設問だった。
 癘{さんは、第5分科会が「地球環境を食卓から守ろう」をテーマとした趣旨について、「地球温暖化は、農業、漁業等へ影響することで将来食糧の減産を来たし、食糧自給率の低い日本は深刻な影響を受ける恐れがあること、そうした問題を少しでも避けるため、食糧の購入に当たっては、旬の野菜等地域で採れる食材を利用する(地産地消)、食べ残しゴミ、容器ゴミをなくすことが重要(無駄なエネルギー消費は、C02排出量を増やすことにもなる)であること、買い物に当たっては、買い物ガイドを参照し、エコショップを活用する必要があること」等を助言された。

説明者 生活学校運動中央推進委員 金森房子さん
 次に、金森房子さんから「この後のグループ討議では、生活学校等における地域の環境活動について行政や事業者と連携・協働するにはどのような方策が考えられるか、また、成人だけでなく、子供たちへの環境教育にも力を注ぐ必要があるが、それにはどのような方策が考えられるか、といった視点から討議するよう」助言があった。


事例発表

 次に4つの先進的な事例について、中心的役割を担っている3名の方からそれぞれ次のような概要の発表があった。

1.エコショップ事業について行政、事業者との協働システムづくり
発表者 大分県生活学校運動推進協議会会長 小野ひさえさん

・システムの概要:本システムは、大分市内の小売店舗等が、ゴミの減量、リサイクル及び環境保全に積極的に取り組むよう、大分市がエコショップの基準を、満たしているとして認定した小売店舗等に「認定証」及び「認定票」を交付し掲示してもらい、また、広報を利用して公表することで市民にアピールできるようにする行政と事業者が協働して行うシステムである。
・エコショップの認定を受けた店舗は、簡易包装、量り売り、詰め替え商品、リサイクル商品の販売等環境活動に努め、一方、消費者もマイバッグを持参したり、認定店を積極的に利用する等、本システムを通して販売者側と消費者側の双方が協働して、環境にやさしい取組みを実施している。
・本システムは、当初実施から5年を経過し、認定の更新期に当たっているが、市の担当者が代わってもシステムが継続していることは評価される。今後は、合併による新大分市地域の事業者を参加させることが課題となる。

2.食卓から進める環境保全に関する調査結果
発表者 大分県生活学校運動推進協議会会長 小野ひさえさん

・家庭や地域における省エネや地球温暖化対策が急がれていることから、行政、事業者と協働できるシステムづくりに生かすため、大分県内の生活学校所在市町村においてアンケート調査を実施した(調査期間:平成17年7月1日〜20日、回収状況1,100枚(回収率100%)。
・調査結果から、多くの人が環境保全に気を付け、できることから実践していること、例えば、地産地消、量り売りの利用等が判明した。ただし、生活排水が川や海の汚染源となっていることについて、まだまだ関心を高め、具体的な取組みをする必要がある。
・地球温暖化については、「関心がある」と「ある程度関心がある」で約90%となっているので、具体的にどのような取組みをしたら良いか環境学習を続けることが大切である。

3.環境紙芝居
発表者 米子市義方みどり生活学校代表 上村文乃さん

・当生活学校においては、永年家庭からゴミを出さない運動を進めて来たが、循環型社会を構築するには将来を担う子供たちにも理解を深めてもらうことが大切であることに気付き、それも子供たちを集めるのでなく、こちらから地域の小学校に出向いてできるものをと環境紙芝居を企画した。

・紙芝居を作った経験がなく大変だったが、作絵に父親の協力を、また学校(校長会)の協力を得て、監修してもらった作品の上演は、子供たちだけでなく先生方にも好評であった。
・現在では、学校以外に公民館活動や老人クラブでも利用して、活動の輪が広がっている。

4.捨てる時代から活かす時代ヘ
発表者 桑名市NPO法人“輪”リサイクル思考 蛭川卓三さん

・生ゴミリサイクルは、生ゴミを推肥にして健康な土を作ることで、健康な作物、健康な人間という循環ができる。桑名市では、市民が一気に堆肥化することが難しいことの解消法として、家庭での一次処理と堆肥舎での二次処理の二段階処理を実施している。
・先ず、家庭での一次処理は、透明なプラスチック製の衣装ケースに生ゴミを投入し軽く撹拌するだけの簡単な方式である。発酵熱により水分が蒸発しゴミが著しく減量することから、ゴミ出し回数がlヶ月に1度程度に減少する。腐敗しないので臭気などの不快感がない。経費も共同で行っているので極めて安い。
・次に、桑名市が行う二次処理では、家庭で一次処理した品を堆肥舎に運搬し、副資材を加え積み上げ数ヶ月かけて堆肥化する。出来上がった堆肥は消費者に還元し、家庭菜園等で活用している。
・現在、本システムには約1,000世帯が参加しているが、市町村合併に伴う新市域にこの方法を拡大することが今後の行政の課題となる。


グループ討議

 以上の趣旨説明及び事例発表を踏まえ、参加者は11のグループに分かれ、次の3つの討議テーマについて討議した。各グループとも地元参加者を含めて初顔合わせの人達が多かったが、凡そ1時間ほどの討議の後、全グループから討議結果の発表が行われた。
(注)討議結果の要旨…順不同。第8分科会関連は、記載省略

討議テーマ@
買い物から、地球環境を変える具体的方策を考える。


・自給率を高めるため、また、旬のものを食べるため、地産地消に即した環境負荷の少ない食材を食べる(一年中、同じ種類の野菜を食べなくても良いではないか)。
・ばら売りや量り売りで購入する。生活学校等の活動により、青果物にはトレーを使わず、店頭で回収できる篭盛り等が増えている。
・輸入品かどうか、ラベル表示を良く見る。
・有機野菜が普及するよう、行政が検査方法の見直し等検討してほしい。また消費者に有機野菜の成分やおいしさが分かるような表示はできないか。
・安売りに惑わされず、必要なものを必要な量だけ買う。
・産直の場としてスーパーの協力を得て広場を使用。
・朝採り直売マップを作り、市民に配布する。
・(生産者の立場から)曲がったものを真っ直ぐに作る苦労は大変なことを理解してほしい(食材の価値観の見直しが必要)。

討議テーマA
料理から、地球環境を変える具体的方策を考える。


・食材は余すことなく使い切り、エネルギーを無駄に使わない調理方法を心掛ける。
・外食では食べきれるだけ注文し、食べ残ししない(ダイエット等を理由に残さない)。
・エコクッキングを実施し、野菜や魚の調理くずとして捨てる部分を減らすように工夫する(例:骨せんべい)。
・残ったご飯を干し飯にする等残り物の再利用方法を普及させる。
・過剰生産のキャベツを廃棄処分しているが、行政は有効利用を考えてほしい。

討議テーマB
生ごみ処理から、地球環境を変える具体的方策を考える。


・生ゴミの排出を極力減らすよう、先ず家庭でできる減量処理をする。
・家庭用生ゴミ処理機は、電気式が多いが、購入の際は、性能や消費電力等に注意して選ぶ。
・家庭排水による環境汚染防止に心掛ける。廃油石鹸、アクリルたわしを活用する。


研究討議まとめ

・助言者の癘{さんから「問題は、生活学校の人々から一般の人々に、「地球環境を食卓から守ろう」ということをどう伝えるかということ」「国、地方公共団体、事業者は、買い物でゴミが出ない社会をつくる必要。一例を挙げれば、今のホテル・旅館の料理は概して作り過ぎであり、結果として大量の食べ残しを生んでいる。消費者も「ご飯を半分にして下さい」とはっきり伝える必要がある。そうすることでホテル・旅館側に、顧客が望む量を提供することがサービスであり、顧客満足を得るものであることが理解され、実践される。そうした対話の積重ねにより社会の仕組みを変えていくことが必要」の講評があった。
・次いで助言者の金森さんから「今回の事例発表は、いずれも生活学校等が行政や事業者と協働して環境負荷を減らす成果を上げている例であるので、他の地域でもこれを参考にしてほしい」「生ゴミの推肥化は、食べ物を残す免罪符に陥ることのないよう基本的に注意する。桑名市の事例は、生ゴミの一次処理を家庭で行わせる方法に特色がある」「大分市のエコショップは、行政・事業者と育て上げたもの。5年間継続できた絆にもなっている」「環境アンケート調査は、市民の実態把握と問題点を明確にする上で内容も工夫されているが、何より回収率の高さは取組みへの熱意を示すものである」「米子市の義方みどり生活学校の紙芝居は、教育界を動かし、連携した貴重な事例。他の地域での取組みに参考になる点も少なくない」「「食」は毎日の暮らしにおける環境負荷の1/3と大きく、そのうち食材の負荷が57%、廃棄が22%を占めている。地産地消は環境面からも大事。地元産の野菜は値段が輸入品に比べて高いということで売れなくなった地域でも地場産の新しい評価が得られれば農家の生産意欲を高める力になる」「生活学校等は、家庭教育の中で、食べ物の旬がいつか?ということや、家庭での食事や外食、あるいは学校給食でも食べ残ししないことの大切さを教えてほしい。また、省エネ型の調理機器の選び方(eマーク等)や調理方法(エコクッキング)についての具体的な情報も、広く地域の人達に紹介してほしい。そうすることがグループの参加者を増やす手掛かりになる」「高齢者がコンビニを利用するのも、多くは要らないからで、スーパーやデパートがそうしたことに気付かないのであれば、行政や商工会の仲立ちとなって情報を提供することが必要になる」との講評があった。


決議文・申し合わせ等

 各分科会の討議結果は、フォーラム第2日の全体会において平成17年度「あしたのくらし・ふるさとづくり全国フォーラムin兵庫」の決議文及び申し合わせ等として提案され、会場参加者の拍手によって承認された。
 この決議文は、11月21日協会及び全国生活学校連絡協議会から関係各省庁に配布し決議内容の実現を要望したところである。
 第5分科会関係分を紹介すると次のとおり。
(決議文)
 第5分科会:地球環境を食卓から守ろう
 地球温暖化防止を世界的枠組みで進める京都議定書が本年2月発効し、地球環境を大切にする食生活の構築がますます重要な課題となっている。
 したがって、国、地方自治体及びこれらの関係機関は、この視点に立った諸施策について更に一層の拡充整備を図る。
1.国、地方自治体は、「3R」の促進が図られるよう、環境負荷の少ない食材の生産・販売を拡充する必要な措置を講ずる。
2.国、地方自治体及び事業者は、消費者が環境を大切にする買い物が容易にできるよう、協働システムの構築を図る。
3.国、地方自治体及び事業者は、ゴミの分別方法、収集方法及び収集後の肥料化又は燃料化等について一層の研究開発を促進し、具体的措置を講ずる。
(申し合わせ等)
1.私たちは、「買い物」を通して地球温暖化防止を促進するため、旬のもの、露地ものなど環境負荷の少ない食材を購入する地産地消に努め、必要量を買い、調理方法を工夫し食材の全量を使い切り、エネルギーの効率的使用に努め、食べ残しのない食事スタイルを定着させるよう心掛けましょう。
2.私たちは、発生した生ゴミを資源化するため、分別を徹底し、家庭や地域の協働で肥料化等を進め、循環型社会の形成に寄与するよう努めましょう。