「アース・地球環境」27号掲載
特集

平成17年あしたのくらし・ふるさとづくり全国フォーラム実施報告
第8分科会「レジ袋の有料化に向けて」の概要報告
 生活学校では、環境問題を象徴する身近な活動として、長年にわたってノーレジ袋(レジ袋の削減)・マイバッグ運動などで取り組んでいるが、普及には厚い壁がある。この壁を打ち破り、レジ袋の削減を実現するためには、レジ袋の有料化が非常に有力な方法ではないかと考えられる。そこで、あしたのくらし・ふるさとづくり全国フオーラム第8分科会では、レジ袋の現状を明らかにし、次いで、有料化を実現するにはどのような方法があり、また、それぞれの方法にはどのような問題があるかなどについて、私たちが実施した調査結果(別添参照:問い番号及び図番号は、調査資料における番号)を参考にして頂きながら、パネルディスカッションで大いに議論をし、具体的な方法や問題点、今後の方向などを明らかにした。


討議の進め方

 第8分科会は、パネリストとして、経済産業省から産業技術環境局リサイクル推進課の課長補佐大川龍郎氏、東京都杉並区から区民生活部生活経済課長の井山利秋氏、(社)日本消費者生活アドバイザー・コンサルタント協会から環境委員会の辰巳菊子氏、イオン株式会社から環境・社会貢献部部長の上山静一氏、及び生活学校から3名の代表(太田和子氏、井上園子氏、祝前清美氏)が出席し、生活学校代表の門橋政子氏の司会で討議が行われた。なお、分科会には、150名に近いメンバーが参加した。


討議における主な発言(要旨)

@業者の自主方式(有料化・スタンプ制)について
 有料化に向けては、レジ袋を有料にした場合、他の無料でレジ袋を出している店にまだ20パーセントの人が行くと答えている。この現状で自主的に有料にするのは無理である。チェーンストア協会・その他の業界では有料化は賛成であるが、「有料化の法制化」が確立し、全国一斉に有料化するのでなければ出来ないとの意見である。
 スタンプ制については、さまざまな方法を用いて実施しているのだが、現在のところでは、レジ袋削減にはあまり効果的でなく、マイバッグ持参率は30パーセント以下で止まっている。今回の調査にも表れているが、いつも・ときどき貰うと答えた人が80パーセントを上廻っている。
A法制化について
 レジ袋を減らす方法はいろいろあると思う。なぜ有料化で減らさなければならないのか。
 なぜ法律で縛らなくてはならないのか。例えば他にも袋はある、そうした中でプラスチック容器の10パーセント未満のレジ袋だけを狙い打ちしてやる必要があるのか、その点についてジレンマに陥っている。法律の中では、公平性が極めて求められる。
 法制化しなくてもこのレジ袋は減らし得ると考える。
B課税方式について
 杉並区における「レジ袋税」、正式名称は「すぎなみ環境目的税」である。2002年3月に条例は成立させたが、当面施行せずにまず削減運動を進めていくこととした。これは一人ひとりがレジ袋を使用しない生活スタイルに転換することを促進する「税収が減ることを目的」とする税でもある。
C業者・行政・消費者の地域自主協定について
 今年度に入り、京都市生活学校連絡会では、レジ袋有料化推進運動の呼びかけを受けて、「レジ袋有料化の懇談会」を同志社大学 郡嶌先生ご指導のもとに立ち上げた。学識経験者・行政・企業・地域住民という構成メンバーである。今日までに5回ほど開催して来たが、その話し合いの方向としては、
1、レジ袋の法制化を進めたい。
2、業界同士及び業界と市民の間で自主協定を結んで進めていく。
 特区という考え方もあるので、それについて「市」が調べたところ、全国に10箇所しかなく、認められ難いとのこと。特区でなくとも、住民と業界が手を繋ぎ行政にも協力を願い、知恵を出し合っていけば推進する事が可能ではないか。(地域自主協定へ)


まとめ

 根本的な話からこれからの構造の話まで幅広い意見が出て来たと思う。法制化というのは一気には難しいのではないか。有料化はいいと思うが、プラスチックで作られたレジ袋が有料化すると、プラスチックでない物から作る様に変る気がする。その時消費者はどういう行動をとらなくてはいけないか。一人ひとり声を掛けていく地道な活動も大事だが、根本で何をしなければいけないか、というところが確立できていれば法制化しようがしまいが社会は変わって行くと思う。仮に法制化したとしても必ずルールを守らない人が出てきて、それをまた取り締まるのにお金がかかる。あれこれ考えてもやはり消費者が賢くならなくてはならない。何度も言うようであるが、消費者が、自分で何故にこういう行動をしなくてはならないのか、ということをきちんと確立させてやれば、別にレジ袋だけでなく全て同じ行動が出来るはずである。


決議

1.増え続けるレジ袋削減のため、有料化の声が大きくなっている今日、国は早急に法制化の検討を進める。
2.事業者は拡大生産者責任のもとに、容器類の減量に努めるとともに「レジ袋有料化に向けて」地域自主協定を確立させる。


申し合わせ事項

1.私たちは、増加する「ごみ」の減量や、省資源化を図るためにレジ袋の有料化について、住民意識の啓発・販売店の自主的有料化について働き掛けをしましょう。
2.私たちは、他団体、企業や行政と連携して「レジ袋の有料化に向けて」地域自主協定を結ぶよう最善の努力をしましょう。


調査報告結果

 全国生活学校連絡協議会では、昨年夏全国の生活学校メンバーを動員して13,000人の聞き取り調査を行った。それによれば、レジ袋を賞っている人は80%強もいるという結果を得た。また、行きつけの店がレジ袋を有料にした場合、他の店に行きますかの質問に、行くと答えた人は20%でぁった。しかしこの20%の人が他の店に行くと答えている現状では、チェーンストア協会等は自主的有料化をしたら経営不振に陥るという。
 本稿では、討議においてポイントとなったデータを掲載している。調査の全容をお知りになりたい場合は、全国生活学校連絡協議会事務局までご連絡下さい(連絡先(財)あしたの日本を創る協会内)