「アース・地球環境」27号掲載
事例紹介

廃棄物会計の調査活動でわかったこと
容器包装リサイクル法の改正を求めるごみ研究会 山本義美
はじめに

 容器包装リサイクル法の改正を求めるごみ研究会(以下、ごみ研究会)は、2002年春に、“自治体のごみ処理やリサイクルに関する賃幣・非貨幣の情報”を調査するため、「廃棄物会計」という手法を発案しました。「廃棄物会計」は、国の本格的な調査が行われる3年も前に市民が手探りで始めたものですが、熱心な自治体担当者等の協力により、毎年、改良を重ね、3年目となった2004年度には調査用ワークシートを標準化することができました。このシートにより、“ますます進む自治体のリサイクル貧乏”が明らかになりましたので簡単に報告します。


廃棄物会計の誕生からワークシートの標準化まで

 ごみ研究会は、「税負担でリサイクルを進める容器包装リサイクル法には問題がある」との共通の思いから、市民や環境NGO、自治体議員等々が個人の立場で参加し、2000年11月に発足しました。
 容器包装リサイクル法の問題とは、「リサイクルを進めても発生抑制(リデュース)にはつながらず、逆に環境にやさしいリターナブルびんを冷遇している」ことです。図@のように、ワンウエイびんの利用メーカーは1本25円の負担で済むのに、リターナブルびんの利用メーカーは30円の負担をしなければならず、事業者には『リターナブルびんを使わないようにしよう』という動機付けが働いてしまうのです。
 この例では、名古屋市の2000年度単価で計算していますが、当時、他のほとんどの自治体ではリサイクルの収集費用が明らかにされていませんでした。ごみ問題の象徴となったPETボトル1本の収集費用を、誰もわからなかったのです。このため、ごみ研究会では、2002年春に「廃棄物会計」という調査用ワークシートを発案し、自治体のリサイクル収集費の調査を始めたのです。そして、毎年、熱心な自治体担当者の協力を得ながらワークシートを改良し、3年目となった2004年度の調査でワークシートを標準化したのです。


標準化したワークシート調査からわかったこと

 2004年度(対象2002事業年度)の調査では、分析対象として180自治体から協力があり、人口規模計は3,717万人となりました。
 また、「廃棄物会計」作成のノウハウが蓄積されることでデータ精度も向上し、分析の中で容器包装別の収集コストも提示することができました。
 注目された、容器包装リサイクルのための負担割合については、収集・選別・保管を担う自治体が85.1%で、再商品化を担う事業者が14.9%となり、まさしく“税金でリサイクルが進められている実態”が浮かび上がりました。過去の調査より自治体の負担割合が高くなりましたが、その理由としては、@再商品化単価が低下した品目が多いため、業者の費用負担が低減したこと、A自治体による間接費や減価償却費などの捕捉精度が向上し、自治体の費用負担が明確化されたこと、B缶や段ボールなどの収集費も確実に計算され、自治体の費用負担が明確化されたこと等が考えられます。
 参考として、環境省が2005年春に公表した「平成16年度効果検証に関する評価事業調査(市区町村等における分別収集・選別保管費用に関する調査)」では、自治体負担は4,200億円(管理費除3,000億円)でした。再商品化費用の事業者負担の合計は400億円ですから、リサイクルのおおよその負担割合は、自治体90%、事業者10%となっています。廃棄物会計の負担割合よりも自治体負担が高い理由としては、環境省の調査では自治体の決算書には計上されない退職引当金などをきちんと捕捉していたり、一定条件にある自治体の未記入欄に平均値を代入したりしているなどのためではないかと考えられます。
 ワークシート記入が優秀な自治体を89事例セレクトし、容器包装リサイクル法の対象容器別に平均収集費を算出し、容器一本あたりを計算したのが下表です。「その他プラスチック製容器包装」については、発泡トレイのみや一部モデル地域でのみ分別収集している24自治体を別にしました。「その他紙製容器包装」については、多くの自治体が雑紙として他の古紙類と共に収集しているため、ここでは7自治体のみの集計となっています。こうして容器包装別の収集費を算出してみると、“ますますリサイクル貧乏が進む”理由が見えてきます。やはり、ごみを減らすためには、リサイクル収集を税負担で行うのではなく、製品価格に含めて、それを購入する(ごみにする)消費者が負担するようにすべきではないでしょうか。
 詳細は、『廃棄物会計調査報告書(2002事業年度版)』(2005年3月発行)をご覧ください。送料のみのご負担で差し上げております。詳しくは取りまとめを行っている、びん再使用ネットワークのホームページをご覧下さい。http://www.alpha-net.ne.jp/users2/binnet/
表1 分析対象180自治体
地域 自治体数 人口合計
北海道・東北 12自治体 4,110,693
関東 112自治体 23,171,589
中部 37自治体 6,025,775
近畿 19自治体 3,858,828
合計 180自治体 37,166,885

品目・項目 1本あたり費用
(円/本)
容器重量設定値(g)
(推定に用いた容器)
平均収集費 負担比率
円/kg (自治体数)
ガラス無色 10.5 195(500ml) 53,639 84 93.7%
ガラス茶色 10.9 195(500ml) 56,085 84 87.8%
ガラスその他 10.9 195(500ml) 55,667 83 85.9%
アルミ缶 1.7 15(500ml) 113,531 89
スチール缶 4.3 43(500ml(2ピース)) 100,087 89
PETボトル 4.5 26(500ml) 173,384 87 69.8%
その他プラスチック製容器包装
(トレイのみやモデル事業を除く)
1.9 18(マヨネーズ500g) 105,790 29 56.3%
トレイのみ、またはプラ容器モデル事業 3.9 5(小トレイ1枚) 771,693 24 90.4%
その他紙製容器包装 28,928 7 40.8%