「アース・地球環境」27号掲載
事例紹介

「ドイツでの買物」情報
熊代聖子(汝の花生活学校)
@私の住む街

 2005年8月より私は、日本と夫の仕事先のあるドイツを往復しています。ドイツの住居はフランクフルトに近い街で典型的なベッドタウン。近くに大きな国際空港があることもあって、外国人が多く(人口の3割近くが外国人という国際都市)忙しそうに行き来しています。ドイツでは、夫と息子夫婦(嫁はドイツ人)と一緒に暮らしています。
 住いの近辺には(ドイツにとっては例外ではありませんが)森や公園が多く、サイクリングや散歩、スポーツをするには恵まれた環境と言えます。市民は、ゴミやタバコの吸殻の投げ捨てに対する罰金制度が導入されたことにより、益々町の美化を心掛けています。


A買物

 森林公園が美しいドイツという国は、敗戦後日本と同様に何もない焼け野原から再出発した国ですが、その国産品には長く使用できる丈夫なものが多く、使い捨て消費社会とは大きく異なる特徴が見られます。日本の以前(私の子供時代)と同じく物を大切にする精神は今も残っていて、一般市民もちょっとした故障等は自分で修理して再利用しています。また、買い求める際にも、修理可能なものを選びます(嫁のバッグの中に、ソーイングセットとマシン用ドライバーセットが入れてあるのに驚きました)。セカンドハンドショップ等は社会に大きく受け入れられ、多くの人が利用してとても賑わっています。
 これはドイツに限らずヨーロッパ共通のことですが、国外の製品が信頼を得るまでには時間が掛かります。地続きである大陸の長年の歴史からこの様になったのでしょうが、多くの一般市民は、どんなに便利のいい高性能製品が売られる様になっても、自国の製品を好んで買う(使用する)様です。これは私(便利さと高性能製品を好む日本人)から見れば不思議に見えますが、彼らの言い分は「信用できるもの」に尽きる様です。
 買物では、食料品も例外ではありません。外国からの輸入食品(他の先進ヨーロッパ諸国もドイツ同様自給自足率100%以上を目標)は、野菜、果実、肉等をどこの産品か大きく記載し(日本も表示するようになりましたが)、消費者に分かりやすい表示をしており、買物客は金額を天秤にかけ、やはり国産品を選んでいます。
 先日、こんなことがありました。私と嫁はスーパーで安いイチゴを見つけました。見掛けもよく新しくておいしそう。私は早速「おいしそう。ほしい。」と買おうとしたのですが、嫁は「これ○○国産よ。どの程度安全か分からない。買うならドイツ産のイチゴにしましょう」とさっさと返品されてしまいました。帰宅後、嫁に「どうして○○国産のイチゴはダメなの?」と聞いて見ました。「EUの農薬に関する法律だって一律になっているのではないの?」という私の質問に対して曰く「規制は一様一律になっているかもしれないけれど、何処までチェックしているか分からない。ドイツのチェックの方が信用できる。」とあっさり外国製品のチェックは信用がないと返答。確かに信用度に関して言えば他のヨーロッパ諸国よりドイツのほうがまだ信用できると私も感じていたため、なるほどと納得した次第です。


Bゴミを出さない生活は買物から

 余談ではありますが、一般家庭の一般教養とも言えるこの様な知識は一体どこから来るのでしょうか(生活学校メンバーならともかく)? 嫁曰く「テレビのドキュメンタリー番組」という答が返って来ました。ドイツの番組は「ルポタージュ」「フォーカス」などといったドキュメンタリー番組が多く、日本で生まれ育った私には「硬い」の一言に尽きます。しかしここでも、視聴率ばかり狙った番組作りよりも国・市民の生活を守ろうという意識が感じられます。
 ではゴミを出さない様にする買物生活習慣は何処から来るのでしょうか? 大変興味深い話なのですが、特別に法律などで規制している訳ではなく、これも一般常識として生活に浸透している様です。解りやすく説明すると、スーパーやお店で食品等を買うと必ず店員が「ビニール袋は要りますか?」と聞いて来ます(アメリカ系のファストフード店では自動的に付いて来ます)。常識として無駄を嫌うドイツ人はできるだけ余計なものは「要らない。買わない」としている様です。嫁に「ビニールに入れてもらえば?」とわざと聞いたことがあります。嫁は「もらったところで捨てるだけでしょう。ゴミになるだけ。タグ?この料金は別にサービスしている訳でなくサービス料金として価格に含まれているのよ。使えば使うほど価格が上がり消費者がそれを払うことになるだけ。お金をゴミにする理由はないでしょう?」と答が返って来ました。
 全くそのとおり。この企業システムを誰もが知っていて、知っているがため無駄な買物はしない、ゴミを増やさない、ゴミ収集の無駄な労力を減らし無駄なお金を使わない様にするのが常識になっているのです。
 ゴミの分別についても同じことが言えます。「あれ?黄色の瓶はどこに捨てればいいの?」「赤い瓶、緑の瓶は?」と分別に迷ってしまいます。このゴミの分別を間違って捨てたらどうなるのか聞いてみました。「勿論、2重3重のチェックがあり、最終的には人の手で分けられるので、いい加減な分別であればあるほど手作業の労働コストが上がり、一般市民のゴミ収集料金が高く請求されるだけです。」という答でした。
 戦後、ドイツは環境問題に重点を置き、日本は働き続け経済大国になりましたが、
無駄ということに対して意識が足りなく、この無駄をなくするための買物上手になることが大切ではないでしょうか?努力しましょう。