「アース・地球環境」29号掲載
事例発表

エコショップ認定事業
大分市環境部清掃管理課 主査 藤田 修治
■大分市におけるゴミ減量・リサイクル推進の施策

 大分市においては、平成12年をピークに事業系のゴミは減少しつつありますが、ゴミ問題の解決に当たりましては、ゴミを可能な限り資源として再生、再利用していくことの重要性を認識する必要がございました。
 本市では、平成6年4月1日施行の大分市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例で、大規模事業所をゴミ減量推進事業所として指定し、廃棄物管理責任者の選任や、ゴミ減量計画書の作成・提出を求めることにより、事業系廃棄物の減量推進を図っております。
■エコショップ認定の流れ

 さて、本日の主題でありますエコショップ認定事業に入りますが、これはゴミ減量推進事業所の指定基準以下で、ゴミ減量やリサイクル環境保全に積極的に取り組んでおり認定基準を満たしている小売店舗等をエコショップとして認定し、事業者及び市民のゴミ減量リサイクル意識の高揚を図る事業でございます。
 エコショップの認定には、図のような流れがございます。先ず、事業者が申請書を提出し、次に、申請事業所へ訪問し、認定基準を満たしているか調査確認をいたします。確認後、問題がなければ認定し、認定証、認定票の交付及び市報等への公表を行います。
 その後、認定期間中は、実績報告書及び次年度計画書を年に一度提出して頂きます。
■認定基準

 エコショップの認定基準は、●廃棄物の減量、●リサイクルの推進、●その他の取組み、の3つに大きく分かれており、このそれぞれに5つの実践項目を設けております。各分野で1つ以上実施し、且つ全部で5項目以上実施していることが必要となります。ただし、小売業以外の職種につきましては、全ての項目のうち3つ以上を実施していることが必要です。
 では、このそれぞれについて説明をしていきます。
 ●廃棄物の減量 これは、資源物を含めてゴミをなるべく出さない様な工夫や努力をしているかという項目です。これには、「過剰包装の自粛」、「量り売りの積極的推進」、「ばら売り」等も含んでおります。「買物袋持参の推奨」、「詰替え商品の販売・促進」、「その他独白の創意工夫による取組み」、の5つがございます。
 次に、●リサイクルの推進 これは、消費者と事業者・従業員双方に対して、リサイクルに関する工夫や努力をしているかという項目です。これには、「リサイクルできる廃棄物の自主回収」、「リサイクル商品・グリーン商品の販売」、「業務でのリサイクル商品の使用」、「業務により発生した廃棄物の再資源化」、そして、「その他独白の創意工夫による取組み」の5点です。
 最後に、●その他の取組み 「従業員に対する環境教育・研修等の実施」、「消費者に対する啓発活動の実施」、「ゴミの分別排出の徹底」、「節電等の省エネルギーの推進」、そして「その他独白の創意工夫による取組み」、の5つがございます。

■現地確認・調査

 次に、現地確認について説明します。
 事業者からの申請に基づき、事業所を訪問して、認定基準を満たしているかどうかを調査確認する作業です。
 本市では、この調査に際して市民団体に委託しております。これには、現地単語業務を市民団体が行うことによって、行政と事業者、並びに市民が三位一体となって事業を展開することができ、また、市民団体が訪問することによって、事業者としても、自社の活動を直接市民にアピールする機会として利用することができる、そういう目的がございました。
 市内全域が対象で、なおかつ、ゴミ減量・リサイクルや環境問題に積極的な活動をしております大分市消費者団体連絡協議会に委託することとなった次第です。
 この大分市消費者団体連絡協議会は、市民・消費生活の安定と向上の発展を推進することを目的とした5団体、会員数4千名を超える程の会です。
 現地確認では、この大分市消費者団体進絡協議会かち2名、行政から2名が同行し、事業所内や事務所、ゴミを分別排出している場所までくまなく調音しております。先程紹介しました基準に対して一つひとつ聞き取りをし、中を見て歩く訳です。それぞれの担当者が、どれだけ自分のところのゴミの流れに対して把握しているかどうかがはっきりと分かるところでございます。
■認定〜公表

 次に、認定について説明いたします。現地確認の終了後、市民団体からの報告に基づき、認定に至ります。認定後は、認定証と認定票を交付します。この認定証と認定票につきましては、事業所内の目立つところに置いて頂く様お願いしています。
 認定終了後は、本市のホームページや、広報紙で公表します。
■実績報告

 エコショップとして認定されますと、その後は、毎年度初めに廃棄物の減量、リサイクルに関する計画書及び実績報告書というものを提出して頂きます。この報告書は、総排出量と資源化された量の前年度実績及び今年度計画として、紙類や、ガン、ビン、ペットボトル、可燃ゴミ、不燃ゴミ等13種類に分け、それぞれ数値をトン単位で記入して頂く様になっております。
 しっかりとした報告書提出の例として、一つご紹介いたします。Tという小売店がございますが、ここでは、環境対策室という部所を新たに設け、ゴミの減量やリサイクルの推進等の方策を計画し、全店に対して指導や指示を行い、報告書を取りまとめるところまで一貫してやっております。毎年きちんとした報告書を提出してくれるのは勿論のこと、各店舗の店長が異動してもゴミの分別方法が突然変わったという様なこともございません。
■事業所数等

 このエコショップ認定事業は、平成12年度から開始しましたが、実績につきましては図のとおりです。平成17年度現在で、小売業が77事業所、リサイクル業が10事業所、その他が6事業所と合計93事業所が認定されております。
 次に、資源化量については、図のとおりでございます。平成12年度から始まりましたので、年度途中で認定した事業所も多く、翌13年には、それ程資源化量も多くありませんでした。次の14年からは急に増えておりますが、その後はだんだんと減少していっております。これは、各事業所がゴミの減量をやっている成果だと思います。

■事業所例@

 それでは次に、ゴミ減量やリサイクル等に関して様々な工夫をしている事業所の例をいくつか紹介します。
 Fという事業所は、冷暖房、給排水設備の工事やガラス製品の製造をしている会社です。左側か工場の天井部分の写真です。
 建築時に天井に据え付けられてた照明を使用してたんですけれども、節電のため、作業している場所だけを照らせる様にということで、右両面の方ですね、移動式の照明器具をその工場で製作して使用している訳です。また、ゴミの分別についても、工場内で分別ボックスというのを製作しまして使用しております。これは将来、商品として販売できるかどうか検討しているというところだそうです。
■事業所例A

 ここは百貨店です。社員食堂に大きな分別箱を置いて、可燃物や、カン、ビン、ペットボトル、紙コップその他のプラスチック容器類まで7種類に分別排出を指導しております。弁当や惣菜の容器は、食べ残し等残流を取り除いた上で排出する様徹底指導しているそうですけれども、それでも残渣の残ったものを、担当者がご自分で確認して綺麗にして、出す様にしているという苦労話がございました。
 また、系列の各店舗で、牛乳パックや白色トレーを集めておるんですけれども、集計表を作成しまして、回収量が標準木、国産の20年杉で直径14cm高さ8mのものだそうですが、この木とか、ナフサに換算するとどれだけ環境保全に貢献できたかという様な資料を全店舗に配付して、従業員の意識を高めているそうです。
 消費者への啓発活動としましては、図の様に簡易包装をお願いする看板を、店内の精算場所に数箇所貼り付けてあるそうです。ここの看板も、さっきお見せしたエコショップの看板よりも更に大きめのやつで、見易いところに置いてありました。

■事業所例B

 先程のT系列の小売店です。本店とは別に、環境対策室という部所を設けて、独自の方法をやっております。その一例として、オリジナルのマイバッグを作っております。これは、色と模様を組み替えることで数パターンのバッグがあって、消費者の好みで選ぶことができます。1つ500円で、購入後、このバッグを持参して買物をすると、1日に1回だけ、専用カードにスタンプを押してくれます。これが30個貯まると500円のキャッシュバックがあって、消費者は結果として無料でマイバッグを手に入れることになります。
 今年度は、エコショップ認定事業が始まりまして5年目となります。開始年度に認定した事業所は、来年度更新の手続きが必要となりますので、この店にも行きまして、マイバッグの話も伺いましたけども、いずれも消費者の評判は良くて、実際に使用している人も見かけるということでした。
■事業所例C

 ここは百貨店ですけれども、映画館等も併設しておりまして、大型複合施設という様なところです。施設が大きなため、従業員専用の場所も広く、節電等にはかなり気を付けている様でした。図の様に、蛍光灯の一つひとつに紐が降りておりまして、名札が付いております。これがその蛍光灯の責任者ですね、別の誰かが付けて、消し忘れても、最終的にその方が必ずチェックする様になっているということでした。
 店内には飲食店や惣菜店も10数店舗入っておりますが、廃棄しなくてはならなくなった生ゴミを、大型の処理機械を導入しまして、堆肥にする前段階の生成物を作っております。その燃料はやはり店内の惣菜店から出される廃油を使用しているそうです。できた生成物は別の業者が買い取って堆肥化し、それをまた販売している、そういうことでございました。
■事業所例D

 ここも飲食店やテナントの多い百貨店です。ここでは、先ず、各階のエレベーター脇に可燃物と不燃物を分別するボックスが置いてあります。この図は飲食店のコーナーに置いてある分別ボックスです。
 6種類に絹かく分けた上に、ジュース類の飲み残しを入れるバケツまで置いてありました。この周りに机、椅子が置いてあって、食べ抑圧さんが何店かある訳ですね、そこで消費者が買って食べて、最後にこちらのボックスの中に分けて入れて頂くことをお願いしているそうです。
■事業所例E

 この小売店も、消費者に対して分別の啓発、工夫をしております。図の様に、買った後袋に入れる台の下なんですけれども、ここに6種類の分別ボックスを設けておりまして、直ぐに引き出して入れられる様になってます。
■認定事業の課題

 次に、エコショップの課題ということでお話をさせて頂きます。エコショップとして認定されますと、メリットとして宣伝効果があるということが言えると思います。認定後、市のホームページや広報紙で、全市民に事業所名をお知らせします。また、市民団体が事業所の現地確認をすることにより、この団体を通じて、他の団体や多くの市民に業務の内容を含めて伝えられます。次に、従業員への啓発、意識付けに役立つと思われます。「うちはゴミの減量やリサイクルに関して、行政からも認定されたところだ。我々はこれまで以上に気を付けなければいけない。その姿勢が消費者から良いイメージを持たれることにつながり、事業所の経費節減にもつながっていくんですよ」という風に従業員に対して教育指導ができるんだそうです。
 逆に、デメリットとしては、認定されたからといって利益に直接つながるかどうかが見えないということです。宣伝効果があっても、それが売上げに結びついたという数値が分かりませんし、行政からの補助はありません。
 本市では、昨年1月に2つの町と合併しました。それで早速、この認定事業の説明会を開きました。説明が一通り終えたところで一番最初に言われたのが、「これに入ったら税金安くなるの?」という一言。毎日一体どれだけのお客さんが来るか来ないか分からない様な事業者にとっては、環境問題よりも目の前の生活を最優先して考えるというのも仕方のないことだと思っております。
 更には、認定後に課せられる実績報告書の提出も、二の足を踏む原因の一つであると思われます。割と規模が大きく支店もある様な事業所というのは、エコショップの話をする以前に、事業所独自でゴミの減量やリサイクルに対していろいろな方策を実施しているところが多うございますので、初めて伺って報告書の話をしても、「あ、これに書けばいいんですね」ということで終わってしまうんです。
 ところが、家族が従業員の様なお店では、エコショップどころか家庭内のゴミも店から出るゴミも一緒にして、それで家庭内のゴミとして出しているところもあります。そういった事業所に、実績報告書出してっていうことは、これまで何十年も日記など書く気もなかった人に「今日から日記書きなさい。採点するから持って来なさい」という様なもんでしょうか。
■今後の取組み

 ではどうするかということで、このエコショップ認定事業の今後の取組みについてお話します。
 簡単に言ってしまえば、認定されることのメリットを増やしてデメリットを減らすということです。
 メリット面から言いますと、事業所の情報提供の場を増やし、宣伝を助成するということでしょうか。
 例えば広聴広報課というテレビ局と契約して、市政の広報を流せる様な仕事を持って部所を利用しまして、更に情報提供できるのではないかと思っております。また現在市のホームページに事業所名だけを公表しておりますけれども、各事業所のホームページとつなぎまして、市のホームページ閲覧者が事業所の名前をクリックすると、そのまま事業所の情報を見ることができる様なことになれば、これまた助成の1つになろうかと思われます。
デメリット面から申し上げますと、実績報告書につきましては、記入することに慣れて
もらうしかないんですけれども、先ずは環境問題に対して啓発活動が大事だろうと思います。認定中の事業所ではこの様な方法でゴミを減量し、経費の節減に成功しましたよという様な話を紹介できれば、環境問題に取り組むことも大事なことなんかなと考えてもらえると思っております。
 そのためにも、我々担当者の事業者に対しての接し方が「認定しました、報告して下さいました、後は5年後にお会いしましょう」では駄目なんですね。
 エコショップが増えるということは、環境問題に取り組む仲間を増やすことです。認定中の事業者の取組みにも注意し、情報の交換を良く行うことによって、行政からの啓発もやり易くなると思われますし、新たに依頼する事業者へ紹介する話も増えていくんじゃないかと思っております。
 また、市民への広報も、まだ足りないと思われます。
 昨年の7月に、大分市消費者団体連絡協議会が、環境問題についてアンケートを行っております中に、エコショップの認知度と利用度を聞いた問があるんですけれども、知っていると答えた人は全体で51%、利用していると答えた人は全体で影%でした。これにつきましても消費者団体の協力を得ながら、認知度と利用度を増やしていかなければならないと思います。
■終わりに

 最後になりますけれども、私、少林寺拳法を今も修行中であります。少林寺拳法って護身術です。修行する者、拳玉は技術とともにその理念も学び、実践しなければならないと教えられております。その理念の一つに「半ばは我が身の幸せを。半ばは他人の幸せを。」という言葉がございます。これは、人間誰しも自分や家族の幸せを願い行動するのは当たり前のことだから、それを否定はしません。けれども、拳玉は、そうするのと同じくらい、他人の幸せを願い、行動できる様な人間になろうじゃないか、そういう仲間を増やしていこうじゃないか、そんな人間が世界中に増えていけば、争いなんかも無くなってしまうだろう、こういったものでございます。私はエコショップの担当となり、環境問題を考えるときに、正に少林寺拳法の敦えと相通ずるものがあると思っております。そういうことを訴え、実践しながら今後も市民団体の協力を得て、エコショップ認定事業の拡充に努力していきたいと思っております。ご静聴有難うございました。
(文責 事務局)