「アース・地球環境」30号掲載
インタビュー

容器包装リサイクル法改正を受けて
同志社大学経済学部教授 群嶌 孝
 今回の容器包装リサイクル法の改正法が、どの様な背景・特徴を持ち、どの様な方向を目指しているのか、私達は、どの様な対応をする必要があるのか等について、産業構造審議会の容器包装リサイクルWGで座長を務められた同志社大学経済学部教授群嘉 孝氏に伺った。聞き手は、京都市生活学校連絡会会長の中島 和子さん(収録 平成18年9月30日 同志社大学光塩館に於いて。文中敬称略。文責事務局)


諸外国の制度と実情

(中島さん)今年の6月に容リ法が改正されましたけども、諸外国の制度や実用などを、今度の容リ法に反映されたところがありますんでしょうか?

(群嶌教授)はい。今回の法改正では、容リ法そのものの成果と課題、それから循環型社会形成推進基本法という上位の法律との整合性をとる作業をやってきた訳ですけれども、もう一つ、諸外国における運用も検討させていただきました。
 今回の容リ法の改正の中で注目を受けましたのは、拡大生産者責任ですね。もともとこの拡大生産者責任という政策は、ドイツから始まってます。
 ドイツでも日本の容器包装リサイクル協会と同じ様に、業界団体が協同でDSDというのを立ち上げました。
 ドイツの動きを見ていきますと、リサイクルは非常に進んで高いリサイクル率を誇ってきた訳ですけれども、一方で、高いリサイクル率を支えるために国民が非常に高いコストを払っているということがあります。
 このリサイクルをするために、DSDが、容器包装の回収コストについては、容器包装に上乗せをしているために、実際に回収するときには無料で、回収ボックスを街の中に設置している訳ですけれども、生ゴミは料金をとられると。ところが、少しでも高いコストを負担したくないという形で、生ゴミを無料回収している容器回収箱に入れたために、生ゴミの混入という事態が生じました。農村部では、回収ボックスに、人体20%の生ゴミの混入で、都市部においては、大体50%の生ゴミが混入していると。そうすると、回収してきても生ゴミと容器を分けなくちゃいけない、そのための選別のコストがかかると。そのコストもまたリサイクルの上に上乗せをされますから、また国民の負担が増えてくるという形で、ジレンマに陥ってんですね。
 何故DSDのやり方が高負担になって、高いのか、リサイクルが非効率なのかということがドイツの中で重要な問題として提起されました。
 これは、一つには、DSDというのが回収組織としては、独占で競争がないということからリサイクルのコストを下げようという努力をしなくて、かかった分を全て費用として国民に負担させれば、何ら痛みは感じないという形であるために、その独占的な状況の中で競争が働かないと。
 それで、その競争組織をつくるということで、ヘッセン州のラーンディル郡というところで、ランドベルという会社が、生ゴミと、アルミ缶、スチール缶、それからシート状のプラスチック、これを混ぜて回収しようという形で提案をしたシステムがあります。これは基本的にそれらを一緒に集めまして、スチール缶については磁石で回収すると。それからアルミ缶については風力で、風選別で回収していこうと。残りますのはシート状のプラスチックと生ゴミですから、一緒にして、コンポストみたいに生ゴミを発酵させますと、発熱をしますが大体70度から80度で発熱を抑え、それでプラスチックのシートを乾燥させて、RPFといいますか、ゴミ燃料としてリサイクルしていこうという形でリサイクルすると。
 ヨーロッパでは、サーマルリサイクル(熱回収)は許されたリサイクル手法でありますけれども、そうすることによって残った生ゴミを土壌改良材であるとか、そういう形でリサイクルすると。そうしますと集めてきたうちの98%がリサイクルできると。混入が非常に少なくなっているということと、それからコストがDSDよりも半分の値段でできるということで、次第にDSDのやり方よりもランドベルの方のやり方に切り替える企業が出てきたために、DSDが裁判で訴えたんですね。
 2004年の1月にドイツに行ったときに連邦政府から聞きますと、今は11州にランドベルのやり方が広がっていると。ランドベルの方式を認めることによって、競争的にしてコストを下げようという努力をしているんですね。
 それから、二つ目の高い理由というのは、DSDが1991年5月と9月に倒産の危機を迎えます。実はメーカーが過少申告をして、余りお金を払わなかったとか、ただ乗りをして、お金を払わないという様なことでお金は入らないと。ところが収集業者に収集した量に応じてお金を払ってましたから、沢山集まってくるとそれだけ多くのお金をはらわなくてはいけない、収入は少ないのに費用の方が多くかかってしまったために、お金が足らなくなっちゃったんですね。ところがそのときに、大手の収集企業が何をやったかと言いますと、お金が払えないんだったら借金になりますから、これを借権化して、その債権を盾にしながら自治会に入り込んだんですね。したがって、DSDの実際の決定に大手の収集業者の力が大きく働くことになりまして、2003年の秋、大手の収集業者が談合をするという形で集まったところを警察が全員を逮捕したんです。そういう風に談合組織であったために、コストが高いということで、2004年の入札では、中小企業の処理業者も入れた形で競争入札をしました。それによって随分コストを下げたんです。
 その様に、独占であるとか談合であるとか、分別収集が徹底しないということも含めてコスト高になっているということが明らかで、もう一つ、大きな問題になりましたのは、ドイツでは、再使用ビンについては72%が再使用ビンでなくてはならないというのが規定されてます。72%を回収するために、企業は、デポジット(貯託払戻制度)を掛けて回収をしていた訳ですね。ところが、法律では、2年にわたって72%を切った場合には、その72%を守らせるために、政府が強制的にデポジットを掛けて72%を守るという形の規定があります。これが、丁度2000年前後で2年を通じて72%を切って、最終的には50%台まで落ちちやったんですね。それで法律を作って、2003年にデポジットを掛けました。
 掛けたんですけれども、これも最初大混乱を起こします。と申しますのは、デポジットの大きな課題というのは、精算問題、飲料を買った、Aという小売店にお金を預けている、ところが預けた飲料をA店に戻せば問題はないんですけれどもB店へ戻してしまいますと、これはA店、B店の問では、片方は預かってますし、片方は預かっていないということで、精算をしなくてはいけないんですね。それぞれのお店は、自分のとこで売ったということの証拠を示さないとデポジット返さないよということで、例えば、レシート、そういう中にデポジット代いくら預かりという形で、そのレシートと一緒に待ってきなさいと。あるいは、自分のお店のシールを貼ったものだけは返しますよとか、あるいはコインみたいなメダルを渡して、それと一緒に持ってくれば返しますよということをやっていた訳ですね。そうすると、EUからは非関税障壁だという指摘があって、改善をしなさいということですね。
 それから、消費者の方も不便だということで、大きな問題になったんです。例えば、ケルンの駅のキオスクでビールを買って、デポジットを預けて、そして汽車に来って、ベルリンで降りたときに、ベルリンのキオスクで払い戻してもらおうと思ったら、「いや、これはうちで売ったものじゃないからケルンまで
戻りなさい」と。
 或いは更に悲惨なのは、ドライブの途中、ドライブインに寄って、そこでデポジットを掛けて、そして家路の途中のドライブインにまた寄ってデポジットを返してもらおうと思ったら、「いや、自分のとこじゃない。前に来たところに戻しなさい」ということもありました。
 そうなると、デポジットが掛かった容器というのは、全てDSDに入らなくて、むしろ小売店に行き、小売店でデポジットを返すことによって、その小売店がリサイクルをすると。あるいは、再使用ビンであれば、飲料メーカーヘあるいはビールメーカーヘ返すという形をやり始めたんですね。次第に小売店がリサイクルの拠点になってくると。
 そういう小売店がどういうことをやったかというと、再使用容器に掛かるデポジットと、使い捨て容器に掛かるデポジットというのは、どちらが高いかといったら、使い捨て容器に掛かるデポジットの方が高いんですね。そうすると、次第に街の中で再使用容器が捨てられて使い捨て容器が回収されるという様な形で、再使用容器を必ずしも歓迎する向きはなかったんですね。
 したがって、デポジットが掛かった段階から、一つはスチール缶が戻ってきます。再使用容器じゃなくてですね。
 それから、二つ目にはPETボトル。これは今まで、ビンで売られたものが、PETボトルが急速に導入されます。何故そうなったかというと、例えばコーラなら、PETにしても一つの形ですよね。Aというチェーンスーパーで買ってったのか、Bというスーパーで買ったのか、同じ形ですからどっちか分からない訳ですね。そうすると自分のところはひょうたん型の形をしたものだったら、うちが売ってるということが分かると。Bのスーパーは、それだったら四角の形をしたものにしようと。そうすると、何処のスーパーで売ったかというのははっきりする訳ですね。ビンの形を変えようということになれば、ガラスよりもPETボトルの方が成型し易い訳ですね。ということで、デポジットがPETボトルを氾濫させるということになってきます。
 しかしそういう現象を生みながらも、今年になって、変わります。
 どういう風に変わったかといったら、同じ飲料を売ってるところだったら、どこで返してもいいという形で、本来のデポジット騒動になります。
 そのために、その精算問題をコンピューターを使って全国的な組織を莫大なお金をかけて、小売店業界がそれを整備したと。清涼飲料メーカーと一緒になってやるという形で、一応デポジット騒動としては終わります。騒動は終わるんですけれども、そうすると、デポジットを掛けるいずれの容器についても、使い捨てであれ、再使用容器であれ、デポジットが掛かりますと、全てこれ小売店に行く訳です。
 そうすると、DSDに集まる飲料容器ってなくなるんですね。そうすると、デポジットを導入することによってDSDの役割は終わったということで、今DSDは、容器包装から家電リサイクルの方へ移ってます。
 ということは、ドイツが拡大生産者責任を追求していったとしても、高いリサイクル率を誇ったにしても、非常にリサイクルコストが高いと。したがって、そのリサイクルコストを下げるということが課題であるということがドイツの経験から見えてくるということになります。
 それからEU、これも2005年から廃棄物、リサイクルの戦略を創って、今動かしております。
 テーマ別戦略と呼ばれている10年計画なんですけれども、容器包装に関わるところでは、いわゆる3Rの中で上流対応しなくちゃいけないということ、言い換えると、リデュースであるとかリユースが重要であって、それができなければリサイクルという形で、上位としてリデュース、リユースを優先させなさいということを決めております。
 それから、できるだけ天然資源を使いましょうと。天然資源というのは再生可能なということですけれども、枯渇性の資源から、次第に再生可能な形で、持続的な形での消費を進めて行きましょうという戦略を決めてんですけれども、そこのところで上流対応になってると。そういう減量、あるいは排出抑制、あるいは再使用するという形の上流対応の施策というのは、余りまだヨーロッパでも展開されておりません。
 そういう中で、我々は、自主的な取組という形で取り組んでるベルギーのやり方に注目をしました。ベルギーでは、フレームワークを作って、自らがやる気を出す形で、自主的に取り組むという形をやっている。このベルギーの自主的な取組というのが効果を見せ始めてますので、ここに着目をしました。
 我が国でも、容リ法ができた後、一部再商品化の義務がかかったために、メーカーは肉薄化であるとか、あるいはリサイクルし易い容器であるとか、そういう形の改良をやった訳ですね。
 そういう設計の変更を通じて、ゴミの減量化という目的のために、EPR(Extended Producer Responsibility…拡大生産者責任)という手段を強化して、更にメーカーに義務を負わせるということが目的を達成するのかどうか、ということが問われなくちゃいけない訳ですね。
 それに対してメーカーは、もう肉薄化はかなり努力をしてるんだと。これ以上肉薄化をしたら容器の体をなさないという主張と、メーカーとして費用負担をするその費用というのは、地方自治体の費用の付替であって、ゴミそのものを減らすものにはならないという主張をした訳ですね。
 それに対して、本来は地方自治体がメーカーにEPRの義務を課すことによって、更に容器が減る、容器の減量化に資するという効果があるんだという主張、あるいはコストがどれだけかかっているかという費用を明確にしなくてはいけないんですけれども、地方自治体からは費用が出て来ない。あるいは、そういう主張はされるんですけれども、それを政策的に有効な形では出て来ない。
 そうなって来ると、EPRの目的であろう趣旨を更に展開するために、メーカーにその義務を更に課すということが有効かどうかという証拠は出て乗なかった訳ですね。
 法律の論理では、誰かに何らかの義務を課すときには、義務を課すことによって、効果が上がるんだということが明確にならないと、できませんよということで、その議論が結局はできなくなったと。
 それから二つ目には、海外におけるEPRの議論というのは、実は変質をしてきているんですね。RPRの議論そのものは、これは経済学の観点でありますために、法律的なシステムを創るという形で議論をしていきますので、どうしても費用の公平性とかは、殆ど議論されていないんですね。
 ところが、実際には、リサイクルには費用は掛かるんだから、消費者、あるいは受益者負担の原則、あるいはメーカーが拡大生産者責任によってそのリサイクルに掛かる費用を捻出して、それを基金化して、リサイクルが回る様な費用の捻出の仕方があります。
 例えば、オランダの自動車リサイクル法というのは、新車に上乗せをしまして、それをメーカーが基金として、解体業者であるとか、リサイクル業者にその費用を渡すという様な形で捻出をしてますし、韓国では、メーカーから、国の公社が特別会計として基金化しまして、それをリサイクル業者へ渡しております。アメリカでは、カリフォルニア州なんかでは、家電リサイクルをする上において、メーカーないしは消費者から集まったお金を州政府が徴収をして、家電を回収をする地方自治体にその費用を基金から支出するという形でやってます。
 したがって、本来のEPRの目的であります製品のデザインを変更させるということで、という目的ではなくて、リサイクルをする目的のための費用捻出をやるという形でやったために、リサイクルのためになってるんですね。
 だから、EPRというのは、リサイクルには意味があるけれども、更にリデュース、リユースをするところまでは機能しなくなる。
 したがって、EPRよりも更に進んでいくためには、ベルギーにおける取組であるとか、あるいは、デポジットであるとか、再使用、そういう議論をすべきだったんですけれども、デポジットの議論というのは、今回は深まりませんで、むしろ、「実質的な取組」というものになったというのが、海外から見た場合の導入の社方になってくると思います。
 それから、もう一つ、リサイクルの質を上げるために、みんなが熱心に、より質の高い形で分別をすると、混ざったものから選別をするコストが質が高ければ減りますから、その分だけコストが下がる訳ですね。社会的費用が確実に下がれば、その費用の節約された分をみんなで分け合おうと。実際には、メーカーと地方自治体が半々で、そういう拠出金を創ることによって、地方自治体を支援していこうと。言い換えると質の高いリサイクルする自治体に対して、その住民の努力に対してコストが下がることに対する配当を、拠出金の中から出していったらどうかということで、より社会的コストの小さな効率的なリサイクルを進めていこうという効きというのは、世界的なフレームワークの中では、初めての導入の仕方だろうと思います。

(中島さん)なかなか難しいことですけれど。この頃、PETボトルの形が随分変わってきたんですね。リターナブル(空ビンの回収・再使用)ができなくっても、せめて容器が一律的になってればいいのに、日本では何か、逆に走っているんじゃないかなぁていう感じですね〜。

(群嶌教授)おっしゃるとおりですね。そういう背景を見ていって、理解をしないと。ドイツでもうまくいった部分と、うまくいっていない形もあります。
 ドイツの環境政策ってのは、デンマークを見ればいいですね。デンマークが導入をして、それを5年とか10年かけてドイツに合った形のシステムにしていくんですね。
 したがって、我々が、「ドイツは素晴らしいよ」と言っても、それはドイツの文化、制度のもとにおいて素晴らしいんであって、それをそのまま直ぐに、ドイツは環境先進国だから、日本もドイツの真似をするべきだという様な形で勉強をしてしまいますと、明らかに追ってくるというところがあります。
 したがって、いろいろな制度を、その文化、あるいは制度の中で理解しながら、そして日本の中で本当に意味のあるのは何だろうという様なことをやっていかなくてはいけない。


日本の3Rの実情

 そういう面から言うと、リユースにつきましてもいくつかモデル事業が始まっております。
 例えば、京都では、京都ガラスビン問屋協同組合のもとにおいて、市民それから事業者のリターナブルビン容器に関する認知度を向上させるために、リターナブルピンの拠点回収や、小売の酒屋さんに残る回収システムを充実させようという様な形に対して、国が助成して再使用するという様なこともやってますし、パルシステム生活協同組合連合会では、リターナブルPETボトルを生協及び商店街において導入をして、それが実際に可能かどうかということを調べていくということをやろうとしてます。言い換えると、PETもリターナブルしていこうと。ただ、向こうは大体清涼飲料とミネラルウォーターが中心ですけれども、日本はお茶ですね、これ再使用ビンにしますと、中に茶渋が付いちゃうんですね。それの洗浄がなかなか難しいと。したがって、消費者がそういう面で、茶渋が付いてても衛生的だから大丈夫だよという様なことであれば、導入も可能なのかも知れませんが、おそらく最初はミネラルウォーターのPETボトルに入ったものに再使用のPETボトルを導大してみようと。そしてそれの消費者の便利さであるとか、そういうことを見ていこうとかですね。
 それ以外にも、茅ケ崎市におけるガラスビンの、リターナブルビンの回収を促進するとか、あるいは、沖縄において、地域に密着したリターナブルシステムを創るということで、ビンの規格統一であるとか、各主体間の協働による民間の回収システムを創るとか、あるいは名古屋では、愛知万博で運用されましたエコマネーを使って、リターナブル容器の選択のインセンティブを付けていこうとか、リターナブルについても、デポジット以外に、そういう形で努力をしてみようというという様な形の事業が既に始まっております。
 こういう努力をして、何か有効なのかということを見ていくということは非常に重要だろうと思いますね。

(中島さん)京都でも、PETボトルをリターナブルというか、デポジットを掛けて。

(群嶌教授)愛宕山ですね。

(中島さん)あれが神戸の地震のためにダメになってしまって、今実際に目の前でそういうことをやっている姿が見られないんですけども、水ぐらいだったら、できるんじゃないだろうか。それに、地域でなかったらなかなかできない。全国統一で創るってことになってくると、現在の法律の中では難しいところが
沢山ある訳ですね。

(群嶌教授)小売店にとって精算問題が非常に大きな問題になりますかね。

(中島さん)システムの問題っていうのが難しいんでしょうし、リデュースとリユースということを優先していくっていう社会構造を少しずつ創っていかないと。創ったからってすっとできるもんじゃないと思いますけれども。
 確かに京都のリターナブルのビンについてだって、まだ一部であって、ビンにシール貼るだけという辺りしかまだいかない訳で、製ビン会社が作っている。Rビン(Rマーク(リターナブルビン識別マーク)がついたビン)でやるっていう風な形にはまだなってきてない。
 時間がかかるんじゃないかなぁて思いますね〜。

(群嶌教授)そういう面から言うと、やれるところからやってみようと。はじめからいきなり全国で統一的にやろうとしても、一つには、そのシステムを創っていくためのコストが莫大なものになるということ。二つ目には、全国一律にやっても、地域によって環境問題とかそういうものに対する意識の温度差というのが非常に大きい訳ですね。すると莫大なシステムを動かしながら、それに掛かる費用は大きいのに効果が少ないということではダメだと。
 そうすると、地域の中で環境意識の高いところから先ずやって行こうと。そして次第にそれを広げていくという形の考え方をしていくというのは非常に重要なことだろうと思うんですね。
 最近、話題になっている「ハチドリの一しずく」という物語は、アンデスの森の中に火事が起こると森の動物達はみんな逃げ出しましたが一羽のクリキンディーというハチドリが、小さな口ばしで一滴ずつ水を汲みながら火に掛けると。他の森の動物達は、「そんなことやっていったい何になるんだい」と言ってクリキンディーを笑いましたと。しかしクリキンディーは、「そうじゃない。私は私が出来ることをやってるんです」と。なんやかんや言う前に、自ら取り組んでみようと。自分のできることから。そしてそれを少しずつ周りに共感を呼んで。そしたら社会が変わってくると。
 今は、昔以上に、一本の政策で全てが解決する時代じゃない訳ですよね。すべて政策でやればうまくいくと、国に期待し、あるいは地方自治体に期待しながらやるということではないだろうと思います。
 むしろ、自分達がやっていく、やっていく中から不都合を見出していく、それをどう改善するかということでやっていかなくちやいけないと思います。
 それからもう一つ重要なことは、次第に規制緩和をしてきてますが、私が考えます規制緩和というのは、公的規制を自己規制、自分でやるべきこと、やってはならないことですね、自らが規制をしていかなくちゃいけない。それは、やるべきこと、社会のためにやっていいことと、やっていけないことというのを自ら考えるという形でもあると思います。
 ヨーロッパでは、1990年代頃から、再帰的社会論という議論が出てきます。
 近代社会というのは、自由というものを、あるいは民主主義というものを大事にしていた、価値として追求してきたところだと。あるいは個人を大事にすると。ところが近代化の中で個人を自由にするというところの個人というのは、一方ではコミュニティを破壊し、あるいは家庭を破壊しながら過剰な個人を生み出した。自由というのも、格差社会を創り出して、その中へ、特定の個人、いわゆる勝ち組の自由といいますか、強者の自由だけになって、あまねく全ての人が自由になった訳ではない。
 それから民主主義も、圧力団体を創って談合をして、自分達の利益だけを追求する利益社会になってしまったと。
 そういう形でやっていったら本来の近代的な社会の原則が出て来ない。本当に自分達が自由で個人であろうとすれば、当然それは自らがやっていいこととやっていけないことを、自らが自主的に考えていく。言い換えると、社会的な課題を、どう自分の問題として考え、内在化をさせ、主体的に取り組んでそれをどう社会的に解決するかというフレームワークが今求められているんですね。
 だから、企業の社会的責任というのは、政府ができない社会的課題を自らの課題として、企業の社会的責任として経営していく、これがCSRの活動ですし、それから消費者がそれぞれ自らの問題として社会的課題を解決するという仕組みを創っていく、それがご近所の底力というやつですね。
 全てを、政府あるいは自治体に解決を委ねるんではなくて、自らご近所の力を合わせて、その中でお互いに話し合いながら協働していこうと。これは今までに、生活学校の皆さん方が考えられてきたことなんですよね。
 私この議論の中に関わらせていただいて、今からの社会の中で、まじめに、一所懸命社会の問題に取り組んでこられた解決策が、本当の解決策につながるんだと。そういう形の、フレームワークをつくるということが重要だなとつくづく実感をさせられた気がします。


実質的な取組と連携

(中島さん)今、政省令を作っているところですね。私たちが、どの辺りのところを注目していったらいいんですか。

(群嶌教授)そうですね。一つは、実質的な取組という形と、今回連携ということをやっておりますので。
 京都を中心にして今実質的な協定を結ぼうということでレジ袋の有料化をやってますけれども。そういう形で、自らできる問題を、事業者と消費者団体あるいは環境団体が一緒に連携をしながら、これを解決していくかということが重要だと思います。
 循環型社会形成推進基本法に基づいた基本計画の中でも、今からの主役というのは、生産者と事業者ですよと。環境を守るためには、産業構造を見直していく、生産システムを見直すということを企業は求められますよと。あるいは、消費者はライフスタイルを変更することが求められますよ。それを、地方自治体とか行政は、それを支援する様な形ですね、やる気を起した人達を支援しなさいという形になっております。
 だから、事業者と消費者は、問題の解決の仕組みを創るための連携をどう創っていくかという形、それから、実質的な取組を企業に促して、その中で、どう支援をしながら、お互いに一緒にやっていくか、そして有効な方策とは何かということを、発信をするというのが一つあると思います。
 それから、二つ目は、地方自治体がより質の高い分別をすれば、その分だけ選別のコストが減りますから、そのコストの削減の部分を拠出金の形で分配をしましょうという形の拠出金制度に、関心を持っていただきたいですし、またもう一つ、実はその他プラスチックの中で、今のところ再商品化の手法としましては、マテリアルリサイクル(回収されたものを原材料として(他品目に)再利用)と、ケミカルリサイクル(回収されたものを化学分解法により、同品目(ボトルtoボトル)に再利用)という形の二つが認められますけれども、今回、サーマルリサイクルの一部でありますRPFを中心とした燃料化については、限定的に考えて導入をしましょうという言い方をしています。
 これは、背景というのは何かというと、今その他プラスチックの再商品化については、マテリアルが優先になっている訳ですね。
 ところが、マテリアルが優先になっていても、そこの問題点というのは一つは、地方自治体の皆さん方は、集めていって自分のところはマテリアルになっているから、全て資源としてリサイクルされているだろうと思われているかも知れませんけれども、実はマテリアルとして集められたものの‘半分’をマテ
リアルにして、‘半分’は今産業廃棄物になっているんですね。
 そして二番目にそのマテリアルにされたものが、必ずしも質の高いリサイクルになっていないですね。大部分が、荷物を運ぶためのパレットになっているんですね。ところがそのパレットも、日本では質が悪いために使えないということで、中国に行って1〜2回それが使われて、後ゴミになっていると。これ
がマテリアルの実態なんですね。
 何故優先されたかということを見ていきますと、これを決めた当時マテリアルとして、その他プラスチックの中で原材料として使えるものというのはトレーですね、これを前提にしてたんですね。トレーを中心としていけば、ある程度マテリアルができると。今後、更にマテリアル優先をするということであれば、何でもかんでもその他でくくるんではなくて、PETボトル以外の中で、例えばプラスチックトレーだけについては、これを更に分けましょうとか、あるいは、PP(ポリプロピレン) であるとか、PE(ポリエチレン)であるとか、あるいはPS(ポリスチレン)でもいいかも知れませんが、そういう風にもうちょっときめ細かくその他プラの分類の仕方を考えながら、マテリアル優先の形が本当にいいのかっていうのは、もう一度考えていかなくてはいけない問題だと思います。
 特に、マテリアルとして集められたものの半分がゴミとして埋め立てられているという現状というのは、実態的には余り報道されたり、理解されなかった部分ですから、少しづつ今回の容リ法の、議論の中で明らかになり始めた点だろうと思います。

(中島さん)サーマルについてはその、熱資源としていける方向に、段々なってきているんですか。

(群馬教授)限定付です。今のところ優先順位がありますので、マテリアル、あるいは、ケミカルができない緊急時であるとか、そういう形のときに使うということで、一般的手法としては今のところは認められない。
 ただ、再商品化手法として本当にサーマルが、環境負荷を掛けてるのかというと、外国の事例の中では、むしろサーマルリサイクルは、マテリアルリサイクルと環境負荷の観点で、必ずしも劣ってる手法ではないという様な報告もちらほら出て来始めていますので、もう少し知見を集めながら、判断をしていくことが必要だろうと思いますけれどね。

(中島さん)家庭ゴミの中で、京都も来年10月頃から全部の区で市民から集めることを言ってる訳ですけれども、実際に集めてきたものが本当にマテリアルとして使えるのでしょうか。

(群嶌教授)そうですね、プラスチックの場合も、それ自身市民がきちっと分けてたらマテリアルに近い形で利用できると思います。ところが、例えばマヨネーズの中身をそのまま入れたりしますと、これは、燃料化かできないんですよね。一番恐れますのは、その他プラで集めながら、最終的には消費者の、あるいは住民の協力が得られなかったために、結局は、地方自治体のゴミとして燃やされることなんですね。
 もうちょっと合理的なことを言えば、そういうものを地方自治体で燃やすのは致し方ないとしましても、それを洗ってくれたものについては、それなりのカロリーが高い訳ですから、マテリアルにしていただく。
 そういう面から言うと、マテリアルになるのか、サーマルになるのか、あるいは地方自治体のゴミになるのかというのは、市民の努力だろうと思いますね。そこのところで質のいいものにしないと。
 大都市においては、なかなか住民の協力が得られないために、結局は業界でDランク(要改善ベール(キャップがほとんど外されていない。中身が残りボトルが汚い。ベールの側面が大変汚れている。ポリ袋など異物が混入している。))と言いますけれども、資源としては利用できないという形の分け方でしかないですよというレッテルを貼られるところが多うございますので、マテリアルを望んでいたら、しっかり分けましょうという形が重要なことになるの
ですね。

(中島さん)来年の10月から一斉にプラを取るということになってきたときのプラスチックの類型は、マテリアルとケミカルに中心を置くという様になる訳ですか。

(群嶌教授)一番いいのは、プラスチックトレーですね、これは質のいい形で集めましたのは、スーパーの拠点回収なんですよね。今回容リ法の中では、スーパーが自分のところで拠点回収をしてリサイクルすれば自主ルートということになりますけれども、その基準を緩めたのと、再使用容器については、今90%以上の回収をしないと認めませんよというのを少し規制緩和をしまして、数値はまだはっきりしませんけれども、70%ぐらいまで落としていこうと。そうすると、自主回収の形でもう少し頑張ることができるかも知れないという形で取り組んでくれる企業も出てくるはずですね。小売店も。
 それからもう一つは、プラスチックトレーも集めましたら、集めた分だけ、初めから容リ協会に払う費用をその分だけ最初から控除するということになりますから、容リ協へ払わないでいいインセンティブが出てくるんですね。
 そういう面からいうと、プラスチックトレーは、拠点回収をして、質のいいものを集めていくということをやればいい。それがスーパーにとっても、決して損ではなくて、容リ協に払う費用、お金が、自らが集めましたということで減るという、そういう形になると、より質の高いものが出てきます。

(中島さん)トレーについては、拠点回収で見てると、異物が入っているのは見ますけれども、それでも目に余る様な、

(群嶌教授)Dランクには少なくともならないですね。

(中島さん)大分いい様になってきていますし、私はトレーについては拠点回収は成功だったんじゃないかなあと思うんですけど、例えば、PETボトルを回収しているときに、イチゴの入れ物とか、それから、タマゴの入れ物が、結構入ってきてる訳ですね。だから将来的に全部統一されてくれば、拠点回収にしても、消費者の意識が高まっていいんじゃないかなぁと思うんですけれども。やっぱり一番難しいのは、このプラスチックの分別だと思いますね〜。

(群嶌教授)みりんとかが、ご承知の様に、PETに変わり始めてんですね。今までその他プラだったのをPETに入れましょうということで、現実的に合わせながらPETの方に入れていると。
 ただ依然としてその他プラについては、まだどうするかということについての法改正というのはなされなかった。だから、その他プラでも、先程言いました様に、PSとかPPとか、いくつかのものに限っては、分けたらいいんじゃないかと。
 あるいは、先程お話しました、ヘッセン州のランドベルの方式と同じ様に、シート状のものとボトル状のものという様な形で、きめ細かい分け方をしていったら、おそらくその他プラのリサイクルの方向性は見えてくるんだろうと思います。
 ただ、問題は、一つはその表示の方法と、それからプラスチックの材質が余りにも多様なものになっていますので、例えばPETボトルの中でも、保温できるものとできないものとかいろいろなPETがございますからね。それから、外国のビールのPETにしましても、中に密閉をするために他の工夫をしていると、その材質とを分けなくちゃいけないとかいうものがありましてね、分けるだけでも大変ですので、そこのところである程度大雑把にその他プラを分別することが容易になる様な工夫がある程度できてくれば、その他プラから外して、PETと同じ様に、マテリアルやりましょうと、そして量的に少ないとか、分けにくいとか、あるいは材質が複合であるとか、そういうものについては、マテリアルが不可能であるんであったら、そこのところはという、そういう合理性を少し求めていかないと、その他プラで全てをひっくくりにして、これで解決つけろということになると、なかなかアイデアというのは出にくいんじゃないかという気がします。

(中島さん)今クリーニングの方の包装も問題ですけれども、省令の中でもう少し詳しく説明が出てくる訳ですか。

(群嶌教授)クリーニングは、既に省令の前に、クリーニング業界の方から「私達は自主的な取組をします」という計画が出てますので、その経過を見ることでやっております。


レジ袋の有料化と削減

 レジ袋も同じでしてね、自主的な取組という形ですから、スーパーは何らかの形で有料化の方向を求めてますけれども、コンビニは、有料化を一律的には反対でして、したがって、その一部のところで、例えばローソン(平成18年9月12日、(株)ローソン及び、(株)モスフードサービスと環境省は、「もったいない」精神にのっとり、「国と事業者による環境保全に向けた」自主協定を締結した。)なんかは、環境省と自主協定を結んで、そして更に、彼らが創った自主計画を前倒しするという様な形の取組をするとか、業界によっていろいろな温度差がありますからね。一律に決めるということが国の法律ではできない。それぞれに合わせた形で確実に、減らしていくという方法になると思います。
 今回、二つの問題でしぼりがある訳ですね。一つは、今までレジ袋はどれだけ使っても、容リ協にはお金払ってなかったんですね。今回から含む様になりました。
 だから、レジ袋を出せば出すほど、容リ協にお金を払わなくちゃいけなくなるんですね。

(中島さん)そうなんですか。

(群嶌教授)今までは無料だったんですね。言い換えると、容リ協の中に入らなかった。だから、今回は、使った分は、有料化されても、それがゴミとしてリサイクルの方で回収されて容リ協に回るかも知れない。その他プラの中で回るかも知れませんので。そういう意味だと、減らした方が「私のところはこれだけしか出していませんから」ということで、容リ協に対する支払が少なくなります。これが違います。
 新聞では、いくつか間違った記事を出してますけれども、今度はむしろ厳しくなってるんです。だから沢山のレジ袋を出しているところは、容リ協に払いたくなければ、それだけ努力をしなくちゃいけないということになりますから、有料化っていうのは非常に重要な意味を持つ訳ですね。
 それからもう一つは、実質的な取組の中で計画を出して、これを国の方へ報告をしなくてはいけませんし、あるいはそれぞれのホームページ等を通じてですね、一般的に公表されるということになりますから、しかも1年ごとに報告の義務がありますから、余りにも取組が遅れているところは公表をし、そして最終的には罰金ということになりますから、自主的といいながら、実はそういう縛りがあります。
 そういう面から言うと、一つの取組の枠組み、フレームワークを創って、その中では自由に自主的だけれども、フレームワークそのものは、かなり縛りがかかってますから、メーカーにとってもしんどい話なんですね。
 EPRの議論がされなかったから自主的な取組では効果がないんじゃないかという向きがありますけれども、決してそうではないということが理解していただけるだろうと思いますけどね。

(中島さん)今度有料化する場合、その店が環境に対して考えている店なんだということを一つのPRとしてなさる部分がありますから、消費者側も、レジ袋を有料化したから、あちらの店行こうというんじゃなくって、この店は環境を考えてやっているんだから、みんなが行きましょうという消費者の意識改革がどこまでできるかって思うんですけどね。

(群嶌教授)おっしゃるとおりですね。

(中島さん)今回京都方式(事業者、消費者、環境団体等で京都市レジ袋有料化推進懇談会を編成。イオン(ジャスコ)の1店舗が来月1月からレジ袋を有料化)というのか分かりませんけども、イオンが始めるときに、みんなが「あそこはいいよ」っていう、イメージを持たせなけりゃ、折角なさっても売上げが下がっていくわ、じゃ、もうやめようじゃないかっていってしまうので、何とかこのお店を生きて続けていただける様なことを考えていかないと。今1店だけですからね、もう少し地域に広がってくると、意識も変わると思うんですけれども。

(群嶌教授)おっしゃるとおりですね。今メーカーが有料化に踏み込めないという事情というのは、消費者が他の店へ逃げていくと、これはアンケートの調査において、20%は逃げるということははっきりしてますから、メーカー、スーパーにとって見れば死活問題になってくると。
 しかし、かと言って、みんなでそれをやれば談合問題になると。そういう社会的なジレンマを持っている訳ですね。チェーンストア協会としては、レジ袋の売上げ分について社会的な還元をするという形をやられている。
 これを個人的な還元をしてほしいという形もあるのかも知れませんけどね、これは消費者は、自分達は変わらないけども、企業には変わってほしいという話でしてね。

(中島さん)その分安くせよっていうのは、消費者のエゴ的なところがよくありますからね。

(群嶌教授)ただ、この問題は解決するだろうと思いますのは、例えば、今世界中のスーパーの中で第3位の売上高を誇っているイギリスのテスコっていうところが、レジ袋20%削減をするという自主的な計画を立ててですね、「自社のクレジットカードを持ってる人で、レジ袋は要らないと断った人については、レジ袋代を払い戻しますよ」ということをやろうとしてんですね。それから自社のクレジットカードを持ってる人に限りポイントカードを続けていきますよと。そしてレジ袋は有料化ですよと。だからマイ袋を待ってきて下さいと。という形をうまく組み合わせればですね、言い換えると、クレジットカードを持たないでレジ袋を断っている人にはポイントが付きませんので、消費者が支援をするという意味から言うと、そしてそのメリットを得ようとすれば、クレジットカードによって顧客化していくという形の戦略というのは、お互いにメリットのあることになってきますよね。
 そういう工夫をやっていけば、お客は逃げないで有料化ということはできる。なおかつ、買い物袋を持参するという形が選択肢としてありますので、レジ袋の有料化が全ての人に対してマイナスに働く訳じゃない、環境には良くなっていくという形になりますから、有料化というのは、スーパーが考えられているほど深刻な事態はもたらさないんではないかと思いますね。

(中島さん)そうですね。

(群嶌教授)渡り鳥みたいにいろんなスーパーに行ってレジ袋をもらうという環境に悪いことをすることが得をする仕組みを創ってますから、こうなっちゃうんで。

(中島さん)広告が出たら安いところを流れ歩くと言う様な消費者もおりますからね(笑)、それからスーパーは食が中心でものを売っていらっしゃるときに、自分のところで採れたものを売ってるとか、近辺のものを売っているとか、国産のものを中心にしているとかいう風な形で、少しずつ差別化してきてる、そういう意味で、レジ袋もここへ行けば有料にはなってるけども、食の安全とレジ袋の環境問題とが合致していく様な消費者が育っていってほしいなあと思うんですよね。
 食の安全という厳しい考え方を持って買い物していらっしゃる方も、レジ袋の問題になって来ると、「まあ貰えるもんは貰おう」というところで財布一つ持って買い物に行く人がいっぱいおりますからね。
 せめて、今回京都も何とかレジ袋は、そういう意味でも減っていってほしいと思うし、ジャスコがなさるこの有料化については周囲の買い物に行く者が支援していく様な形にやっていかなかったら、相当厳しい。

(群馬教授)ただ、やりやすいところはあるんですよね。地域にライバル店がないんですよね。環境意識の高い地域で、しかもライバル店が競合している、そこで成功するかどうかが、次のステップヘ進むための最初の関門だと思いますね。
 コンビニも少しずつ今業態が変わり初めてましてね、ローソンなんかでもですね、それぞれ高年齢の人達向けの配慮をしたりという様な、いろいろな形になってきてますので、環境配慮というのも、ローソン全体では難しいかも知れないけれども、一部の地域から導入しながら全体に広がっていくと。
 今日みたいに多様な社会の中でいろいろなニーズとかそういうものがあるのを、一つではなかなか出来ませんので、一つずつ工夫をしながら、どうやっていくかだろうという気がしますですね。
 やはりみんなが自分達の問題として考えながら、レジ袋はなくてもそういう心懸けをすればという、これが正にライフスタイルを変える話ですからね。そういう形の意識を創ることが、強制的にやるよりも意味を待つ、また、日本社会の成熱度を示すものだろうという気がしますね。
 外国と比べたら、日本の国民の分別意識というのは非常に高いところですし、こういうのは、日本人のいいところですから、日本人に合ったあれを創っていくという形が重要だろうと思いますね。
 それでもレジ袋がやはり15%から20%しか下がらないということで、今日的にその目標を高めようとしたら、せめてレジ袋を50%、半分は減らしていく、あるいは更に目標を高めていくという様な形が重要なことだろうと思います。
 次の段階として、有料化だけが解決策の特効薬ではありませんけれども、そういうものを試しながら、できるだけ削減をしながら、循環型社会に向けていく、あるいは環境負荷の少ない持続的社会に向けていく次のステップに踏み出せたんじゃないかという気がします。
 そういう面では、生活学校(女性を中心に、身近な暮らしの中の問題を、学び、調べ、企業や行政と話し合い、ほかのグループとも協力しながら、実践活動の中で解決し、生活や地域や社会のあり方を変えていく活動グループ)を始めとした運動がこういう国を動かすところまで大きな流れを創っていったという気がします。
 もう一つ、連携という形からいうと、長年牛乳パックを回収されたパック運ですね、彼らも法律があった訳ではない。その中で、山梨県の平井さんをはじめとした主婦の方々が‘もったいない’という形の中で、事業者と消費者が連携をして、その中に行政が入ってくると。
 こういう見本というのは、長年の運動の積み重ねの中で出来ていますから、これを更に拡大をしていこうという意味で、先人の貴重な経験と取組があって初めて少しずつ進んでいくものだろうという風に考えていますけれど。

(中島さん)確かに牛乳パックは広がりましたね〜。現在牛乳パックはもう、自然と皆さん開けて乾かして出すってのが当たり前になって、平井さん達の成果っていうのは素靖らしいなって思いますね〜。
 京都が発信したこのレジ袋の有料化というのは、生活学校がマイバッグの運動を本当に何年という長い月日、全国的にやってまいりましたんですけど、そこから一歩先に行くっていうこの有料化っていう問題にはなかなか踏み切れなかったんですけれども、一度これをやってみて、いろんな結果が分かってきて、全国に発信ができる様になってくると、また、どこかでやってみようかとか、あるいはもっともっとマイバッグ運動を強めて行こうじゃないかとか、そういう起点になってくれたら有り難いと思いますし、そういうことから考えるとこの京都の来年の1月の中頃から始まるこの有料化っていうのは、その意味からも頑張らなくってはと。

(群馬教授)おっしゃるとおりですね。

(中島さん)イオンは、まだ5ヵ所か6ヵ所でしようと考えていらっしゃいますからね。

(群嶌教授)イオンの取組としては、関東の方ですね、横浜と思います。それから東北の方では仙台ですね、チェーンストア協会の今会長をされてます名古屋に本店がありますユニーですね、あそこの地域ですね、名古屋、あるいは万博をやりました瀬戸市ですね、そこでも動きがありますし、それから、私のところに取組の話し合いの仕組み創りを手伝ってくれないかという様な形から言いますと、北阪神地域ですね、これは宝塚であるとか、川西であるとかの地域ですけれども、ここは関西スーパーあたりが中心になるだろうと思いますので、そういう意味から言いますと、スーパーの中でも、少しずつは広がってくるんではないかという気がします。
 それから、もう一つ、追い風になりましたのは、資源問題として今石油が高くなってきていると。今後石油の需給が緩和するというのは考えられない話でして、そういう面から言うと、レジ袋もかなり高くついてくるということになると見直しをしていかなくてはいけない、この際一気に削減をするということでもありますし。
 もう一つ、再生可能なという意味から言うと、生物由来のものですね、生分解性のプラスチックも、今のところ土に還る形が考えられていますけれども、日本では更に、可能な限り、もう一度生分解性のプラスチックを化学分解をして、もう一回原料として使って行こうと。そういう面で、使い捨てのレジ袋というのは、時代的な流れの中では、我々の生活の質の向上に繋がるものではないという様なことが言えるんじゃないでしょうかね。


ライフスタイルの変化と対応

(中島さん)ただ、容器は確かに増えてますね。中食〜。

(群嶌教授)そうですね、中食、個化がありますからね。

(中島さん)蓋まで要りますからね。下だけで済まないから。
 実際に、中食が増える、お弁当が増える、やっぱり手軽で簡単にできるプラスチックのもので、みなやってくる。プラの問題ちゅうのは、深刻になってくるんじゃないかな、容器の中で。

(群嶌教授)90年にドイツヘ行きますと、最初の頃ですね、彼ら「缶詰を止めよう」と。タッパーウェアを持って行こうと。タッパーウェアってのはブランド名なのかな。タッパーウェアを持って行こうという様な運動をしていたのが大体90年代ですね。よく聞かされました。
 それから、面白いのは、我々の大学の先生達でも集まりの中で立食パーティーなんかやるんですけれども、アメリカ人の先生達は、どうせ日本の立食パーティーっていうのは余るだろうと。ドギーバッグという形で、余したのもは犬の餌にするからって、実際にはそうじゃないんですけれども(笑)、犬の餌にするからともう始めからタッパーウェアを用意して来てですね(笑)、そろそろ立食パーティーが終わるときには、ちゃんと。
 こういう合理性は、われわれもっと見習ってもいいような気がするんですね。そういう面から言うとですね、タッパーウェアの様な。

(中島さん)密閉容器をね。

(群嶌教授)持って行く。あるいは結婚式のときは、大抵祈詰めを父や母が持って帰ってきたのを、我々もお裾分けの形で、子供のときに食べさせられたが、ああいう食文化っていいますか、そういうものは大切にしたいですよね。
 そういう面からいうと、もっともっと見直す様なあれがありますので、是非とも生活学校でも、そういう食のライススタイルと言いますか、それは決して我々の生活の質を下げるものではないんだという形で、そういう形の展開もやっていただけたら。

(中島さん)ちょっと活かそれて悪いんですけれども、商店街がもう少し活発になってもらわないと。今シャッターを降ろしたところばっかり増えてきてます。
 密閉容器っていうのが非常に役に立って、それをそのまま冷蔵庫に入れておけば保存できるんですけれども、小売店あたりが余りにもセルフサービスの大きなスーパーの真似をなさって、結局それが容器を使わなくなったりと社会の中がもう変わってきてる。 高齢者が増えて来ると、スーパーまで買い物に行けない様な高齢者のためには、ご用聞きがあったり、そういう形に小売りが転換していくいいチャンスと思うんですけれども。
 一方でまた専業主婦が減って、殆どの方が職業を持ってるっていう今の時代になってくると、今度はまた中食に近い様なものを皆買って帰って子供達に食べさせる。この少子化と高齢化が、容器の問題にも反映してきているんじゃないかなっていうのを思うんですけどね。
 コンビニが30%ぐらい2010年までに減らすってことを目標にやってらっしゃるっていうのは、買い物に行って分かります。紙のコーヒーなんか買ったら、そのまま持って帰って下さいますかって声を掛けられるんですね、レジから。そしたら、シールを貼って渡してる。こういう姿勢は早いなあと思って感心したんですけれどね。
 うちの方で対話集会を開いて、この間まとめてみたんですけれども、法制化してほしいという声が二番多かったんです。レジ袋有料化法制化にしてもらえばうちの方もそれに倣うと言われたのと、うちらみたいに小さいところがレジ袋を止めたら、即お客さんが逃げてしまう、そんなこわいことできんとかね、いろんなことをおっしゃったんですけども。

(群嶌教授)法律から言うと、レジ袋有料化しなさいではないんですよね。有料化も一つの手段ですけれども、貨したやつのデポジット分を返して上げますよという、回収するという形も有り得る訳ですよね。だから、お店が、いろいろな工夫をすれば、レジ袋の削減というのは必ずしも有料化だけではなくて、いろいろな形ができるだろうと思います。
 普通の商店街というのは、スーパーがやってる様な対面販売をなくした様な形じゃなくて、コミュニティの中心にあるんだという形の中で、買い物を楽しむ様な、それが本当の私は豊かさだし生活の質だと思うんですよね。

(中島さん)そうですね。

(群嶌教授)そういう形のアメニティーを提供する様に、ならなくてはいけないですよね。場合によっては、レジ袋を断った人に対して、商店街だったら地域通貨を渡せばいい訳ですよね。

(中島さん)そうですね。

(群馬教授)そして地域通貨で割引をするとか、その分だけ割引するかと例えばスチール缶とか、あるいはアルミ缶を自動販売機の逆の方で回収をしてという早稲田商店街やってますよね、ああいう空き缶の回収して売却をした収益なんかを還元するという形でやっていったら、もっとできると思いますね。一番いいのは、空き缶回取扱で割引券が出てくる様な(笑)ですね、先程の、自分に還元をしてくれという人達にとっては、そういう形が有効になるのかも知れません。
 もうちょっといろいろな形の、工夫というのをそれぞれ考えて地域の中で智恵を出していかなくちゃいけないんじゃないかと思います。
 生活学校の皆さん方は、そういう面で現場で取り組みながらいろいろやられているので、その話合いの中で、その地域の中の、いろいろなアイデアの中で、これが我々の方式だっていう形で、いろいろな形の方式を提案していただいて、最終的に残るのがいいシステムだろうと思いますので、是非とも頑張っていただくとして、先ず京都ではこれを提案したということになるだろうと思いますね。

(中島さん)本当に長い間、いろいろと外国のお話から容リ法のお話に至るまで聞かしていただきまして有難うございました。私なりに勉強させていただいて、本当によかったと思います。