「アース・地球環境」30号掲載
ルポ

“山梨県は世界初の持続可能な社会を目指す”との意気込み
「第20回牛乳パックの再利用を考える全国大会」分科会より
“山梨県は世界初の持続可能な社会を目指す”との意気込み

「第20回牛乳パックの再利用を考える全国大会」分科会より

 7月29日(土)〜30日(日)開催の第20回牛乳パックの再利用を考える全国大会(於:甲府市総合市民会館)2日目の分科会から、一端を紹介する。筆者が参加した第1分科会の進行役は、鈴木嘉彦氏(山梨大学工学部長、やまなしエコネットワーク代表)。サブタイトル「もったいないじゃん ぐるぐるまわして使うじゃん」で、地域の様々な資源を再生活用して循環型社会を作ろうと活動している発表が行われた。本橋は、前半の概要である。
(事務局 酒井)

(参考)
 牛乳パックの再利用を考える活動は、20年前に山梨県大月市の市民グループが、「牛乳パックをゴミとして捨てることは‘もったいない’。洗って、乾かして、開けば、手漉きのはがきなどを作ることができる。そのことを子供達に教
えて実践させよう」という牛乳パックの回収運動を始めたことが最初で、その後ティッシュペーパーやトイレットペーパーの原料(古紙)として再生使用(リサイクル)する道を開き、全国に発展拡大して今日に至っている。

@生ゴミは、回収しただけでは焼却処分せざるを得なくなることを「もったいない」と感じ、地域内の生ゴミを100%資源化して、循環させようという目標を立てた活動を始めたのは、NPO法人なんぶ農援隊。設立して5年目。

このプロジェクトの特徴は、EM菌(有用微生物群)のメリットを最大限に生かすことにある。企業や一般家庭から集めた生ゴミをEM菌で発酵させ、月10tの生ゴミを1,000羽の鶏に与えると、一日に500個の卵(アレルギーを起こさない安心・安全な卵)を産み、鶏糞もEMで発酵させると悪臭を出さないので、おいしい野菜ができ、その上、畑は窒素過多を起こさないというものである。
 EM活性液を活用した河川、下水施設等の浄化に係る業務委託事業などを行いつつ、今後、生ゴミの取扱量を増やし、地域の生ゴミの資源化を更に進めていくことを目指しているという。

A廃食油は、家庭の調理で残る廃食油を、地域生協(コープやまなし)が回収して、地元企業(向山塗料(株))のプラントでBDF(バイオディーゼルフューエル)に精製して、軽油に替わる燃料として使用するという事業である。
 菜の花等の栽培にこだわらず、廃食油の処理という当面の課題に続ってBDF事業を開始したことが、事業を順調にスタートさせることができた一因とされており、また、複数団体で協同化して立ち上げたこと、廃食油の収集が行政
や企業などの協力を得て手広くできたこと、BDFの使用先として、行政、企業、個人ユーザーの協力が得られたことなど、事業の環境が揃ったことから、回収量・販売量とも増加している。
 今後は、原油精製燃料よりコスト高であることの問題、BDFの品質の確保、需給の安定、事業の収益性などの問題解決を目指し、事業を継続している。

B使い捨て食器をリユース食器に転換しようと思い立ったのは、NPO法人スペースふう。
 1年間の調査・研究の後、リユース食器のレンタルシステムを構築し、事業化した。その特徴は、
@汚れたまま返すとしたこと、
Aデポジット(預かり金)制を導入したこと、
B紛失・破損したときの弁償制度を導大したこと、
C食器にイベント企業の広告を入れたこと、
D利用時期に変動のあるJリーグ等のイベントだけでなく、通年需要が見込まれる映画館にも導入したこと
にあり、徐々に利用の対象・場所を拡大してきている。今後は、食器の種類増と品質の向上等を図りつつ、利用対象を拡大することで、C02の削減効果が上がることを期待している。

 スペースの都合で、概要紹介にとどめるが、第1分科会のまとめの言葉は、「山梨は、世界初の持続可能な社会を目指す」というもの。関係者の熱意と努力は、その可能性を充分伺わせるものであった。