| 「アース・地球環境」31号掲載 |
| パネルディスカッション |
| 日本の「つつむ」文化を考える |
| 出席者 ●パネリスト(五十音順) 高月 絃さん(石川県立大学生物資源工学研究所教授) 崎田 裕子さん(ジャーナリスト・環境カウンセラー) 田口 邦子さん((株)西武百貨店店舗運営部環境推進担当) 水口眞一さん(水口技術士事務所所長) ●コーディネーター 織 朱實さん(関東学院大学法学部助教授) ■活動の紹介 (織さん)これから「つつむ」文化を考えながら、省資源・省エネルギーという問題について議論を深めていきたいと思います。先ず崎田さんから宜しくお願いします。 (崎田さん)今高月先生のお話を伺ったら、難しいお話をやさしくお話いただきまして有難うございます。私はやさしい話を難しく書いている様ですね。10分という時間ですので、この(資料)の中から私が中心的にお伝えしたいことをお話していきますので、後でざっと見ていただければと思います。 私自身環境分野のジャーナリストとして取材執筆活動をしてきたんですけれども、その中で、特にこのゴミ問題、エネルギー問題は、広い視野を持ちながらも、私達一人ひとりが暮らしの中でちゃんと取り組んで行かなければいけない問題だと強く感じるようになりました。そこで10数年前から自分のゴミを減らして自分のゴミダイエットというのを、きちんと記録にとる様になって、そういうことをしているうちに、すっかリゴミ小母さん化いたしまして、この(会場)中にはそれぞれの地域でそういう様な役割を担って活動されている方も大勢いらっしゃるのではないかと思いますけれども、今日はそういう方達のお気持を代表して、いろいろ発言させていただこうという気持でまいっております。 私子供は二人おりまして大学生と社会人になりました。小さいときからの子供との接し方で一つだけ良かったなと思うことがあります。それは、ものを大切にしてほしいなという想いがありましたので、例えばお兄ちゃんの着ていたセーターをきちんと弟に着てもらうとか、お兄ちゃんが使っていた鞄、なかなか壊れませんから、弟がちゃんと使う様に渡すとかいうことを当たり前の様にやっていました。そうしましたら、学校で弟は、お兄ちゃんのお下がりをいつも大切に使っている崎田君っていうのを、縮めて「お下がりの崎田」って言われていたらしいんですね。ちょっと考えるといじめに繋がっちゃったらどうしようという様な言われ方なんですが、言ってるお友達も素直に言って下さってて、息子も、本当に素直に「そうだよね」と言って使っていたものですから、良かったなと思っております。 その弟が、小学校の頃に、「ちょっと買い物に行って」って頼んだときに、私が何気なくマイバツグを渡しました。そうしましたら、「あ分かった」って言ってマイバッグを持ってお買い物に行ってくれて、行ったときよりも笑顔がにこにこという感じで戻って来ました。「どうしたの?」って聞いたら、「小学生でマイバッグでお買い物に来たの、うちの店で初めてだ」と言っていお店の方がものすごく褒めて下さったということで、そういうきっかけがあって、今も何となくそういうことを自然に暮らしの中に採り入れてくれている様な感じで嬉しいなと思っております。 実は、こういうデータをお見せしたのは、皆さんも最近いろいろなところでご覧になっていると思うんですけれども、私達本当に一人ひとりが取り組まなくてはいけないって思っているんですけれども、「まあ誰かがやってくれればいい。或いは、大きな企業の皆さんがやってくれればいい。行政が仕組みを作ってくれればい。」 |
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| 勿論そういうことも大事なんですけれども、今私達市民や町の中の事業者の皆さんの環境配慮が大変強く求められているのを、このデータを拝見するといつも感じます。どういうことかと言いますと、日本の二酸化炭素の排出量の移り変わりというデータも、産業界は排出量の総量は多い、んですけれども、かなり減らしてきていて4%ぐらいになっています。 ところが運輸部門とか、私達の暮らしや家庭部門、そして近所の商店街とかオフィスビル、デパートとか、そういう様な町の中のいろいろなエネルギー消費というのが、最近4割近く90年比上がっています。こういう風に、私達の暮らしや地域できちんと取り組んでいく様々な省エネも大切です。そして私達の買い物行動とか、暮し方で変えていくのがとっても大切だといつも思います。 けれど、いろんな処でお話すると、「先ず、大きな会社がやらなきゃいけないんだ」と思い込んでいたという町の方が結構多いんですね。是非、「私達の家の中でやれることいっぱいあるんだ。」ということを強く伝えていただくと嬉しいなという風に思っています。 |
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| これは先程(高月)先生のお話にありました私達のゴミの中ではプラスチックとかそういうのが多いですし、嵩も多い。特に容器包装の嵩が多いということで、先生がおっしゃった様に、使い捨て文化に慣らされてしまっているんですが、もっともっと何度も使ったりということを大切にしたいなと思っています。 |
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| 私達三つのRというのを盛んにお話をして、今日お集まりの方はよ〜くご存知でいらっしゃると思うんですが、町の方にお話をすると、まだまだ聞いたことがないって方が大変大勢いらっしゃいます。リデュース、リユース、リサイクル、頭の頭文字が全部Rなので3Rと言われていますけれども、先ずゴミを出さない暮し方、そして何度も使う、最後にリサイクルに回していくっていうライフスタイルを採り入れたいなと思っています。 |
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| 実は、もっともっとと言われても結構私達真面目にやつているよと言われるかと思うんですけれども、このグラフを見ていただくと、横浜市でリサイクルのシステムを徹底するということで、若い市長さんが頑張ってやってらっしゃって、何と5年間でゴミが30%減って、資源は増えたんですけれども、ゴミと資源の総量が11%も減るという大きな変化が出てきました。それだけまだまだ町の中には資源回収に参加していない人も大勢いるんだということで、是非広めていただきたいなと思っています。 そしてこのマイナス11%という数字は何かと言いますと、私達が買い物のときに過剰包装でないものを選ぶとかいうことで、ゴミと資源の総量が減り、リデュースの効果がちゃんと出ているんだという風に思っています。 |
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| そういう効果が、名古屋市の場合も、平成11年から12年の1年間に、ゴミ23%減り、発生抑制という部分も8%減ったというデータが出ています。最近ちょっとリバウンドしているという話を聞くんですけれども。 実はその下の東京都の日野市では、そういうことがもっと皆の暮らしの中にきちんと定着する様にということで、家庭ゴミ有料化、いわゆる自分の出したゴミに応じて料金を払う、ただ、現金を払うのではなくて、袋を買うときに普通10円20円なのが、日野市は80円なんですけど、こういう風に家庭ゴミの有料化で市民のやる気を起こそうということが全国に広がっています。そういうやる気を起こす、そして努力した人には減らすという費用負担の公平感ですね。 三つ目は、私達の買い物行動が変わる、消費者の買い物行動が変わればお店の売り方も変わるし、ものの作り方も変わるだろうということで、もし自治体の方で話し合いが始まったら、皆さんも是非関心を持っていただければと思います。 この日野市はたった1年でゴミが半分に減って、ゴミと資源の総量が25%減るという、やればできるんだという数字が出ているという、私は大変驚いて、今日は皆さんにお伝えしようと思います。 |
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| 今の様なデータだけではなく、地域の中で皆さんの様な様々な活動をされている方が大勢いらっしゃいます。私も今そういう方達とよくお付き合いをしているんですが、特に「もったいない精神で買い物を見直す」という様なグループもいらっしゃいまして、先日、水俣の方にいろいろとお話を伺ったところ、市内の全部の女性団体が集まって女性連絡会議を開いたそうです。そしてスーパーの買い物調査をしたところ、トレーが付いてる食品が何と100品目あったそうです。それを、付いていないとやっぱり衛生的に困るもの、どっちでもいいもの、なくてもいいものという3つに分けたそうです。そうしたら、3分の1、3分の1、3分の1に分かれたそうで、市の方のコーディネートで、業界、販売店の代表者の方と消費者とが協定を結がということをやって、1年で3分の1減らしたそうです。2年目に3分の1、どっちでもいいというものも減らして、今残っているのは3分の1だと伺っています。 |
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| これは、持続可能な社会をつくる元気ネットという団体で、全国の循環型地域を広げようというグループを応援する表彰制度をしています。2006年度の元気大賞は、与論町の地域女性団体連絡協議会で、非常に歴史が長くやってらっしゃいますが、何せ島ですので、水のこと、ゴミのこと、食のこと、全てにわたって取り組んで、島民の10分の1が会員だという団体です。 先日お会いしたときには、大きな葉っぱでお土産をくるんできて下さいまして、大変有り難いと思っております。 |
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| これは京都の、廃食油を皆で市内にシステムを創って集めて、それをバイオディーゼル燃料に生かして、パッカー車の燃料に使うという動きをしていらっしゃいます。 |
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| またこういう商店街では、地域グループと連携して、空き店舗でマイバッグ展を開いて、普及啓発の呼び掛けをする様な取組を広げていらっしゃるところもあります。 |
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| これは、生ゴミも一緒に堆肥化をして、できた堆肥を町の人に配ったり、できたキュウリを配って意識啓発する様な活動をしていらっしゃいます。 |
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| これは、仙台のJリーグの会場ですけれども、ああいう処は1万人から何万人という方がいらっしゃいますと、皆が紙コップを使うとゴミが山の様になります。ここでは、皆に先ず最初に500円でコツプを買ってもらって、いつもそれを持って来ていただくと安くするというシステムです。他の会場では、リユースカップを皆で配って回収する処もありますが、最近は、町のお祭りとかイベント会場、音楽イベント、サッカー場などで若い人達がゴミゼロのイベントや夏祭りをしようという動きも出ていますので、是非いろいろな処で、私の地域でも今やろうとしていますが、広げられるといいなと思っています。 |
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| こういう(元気に活動している)処に伺いますと、どこも大変大きな特徴があります。元気のいい方がいらっしゃるという感じなんですね。そういう方達が繋ぎ手になって、多くの市民だけではなく、企業の方や行政の方をうまく繋いで、自分達の関心を持った活動からいろいろな町の方の活動に広げたり、環境教育に広げたり、地域おこしに繋げたりということで、活力のある町に繋がる活動に広げていただければ嬉しいなと思います。全国にはそういう気持を持った方も大勢いらっしゃいます。私もこれから一緒に歩いていきたいと思いますので、皆さんも是非広げていただければと思います。ありがとうございました。 |
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(田□さん)西武百貨店で環境推進と社会貢献活動を担当しております田口と申します。本日は、事業者の立場でということでこちらに座らせていただいておりますので、個人的には、消費者であり、地域の町会の役員ですとかPTAの役員であったり、主婦であったり、母親であったりする訳ですが、その立場でお話をさせていただきたいと思います。 先ず始めに、私共の環境活動の取組について簡単にご説明をさせていただければと思います。 皆様方のお手許には、資料として小さな三つ折のパンフレツトをお配りさせていただいております。開いていただきますと、西武百貨店がどの様な形で環境問題に取り組んでいるかということが載っています。恐らく他の百貨店さんも同じ様なことをいろいろとやっていらっしゃると思いますが、百貨店というのは、衣食住遊休知美いろいろな商品を扱っており、またお客様だけでなく、お取引先さんですとか物流業者さんですとかステークホルダーの多い業態ですので、こんないろんな局面で環境問題と関わり合っているということを絵にしたものですので、何か機会があるときに見ていただければと思います。 西武百貨店は、1990年ぐらいからいち早く、環境問題ということが非常に重要だということで取り組んでまいりまして、例えば包装紙、今日は「つつむ」というテーマですので、包装紙ですとか、紙の手提げ袋、そういったものについて申し上げますと、再生紙を90年から使い始めまして、当時は紙質もまだあまり良くなくて、茶色くてざらざらして、それを社内の事務用品に使う一方で、デパートの袋にも使っていたのですが、お客様からの評判は決して良くなく、「いくらコストが安くたって」なんていうお声もいただいたんですが、当時はまだ再生紙というのは、コストは決して安いものではなかったのですが、矢張り自分達からそういった環境問題に取り組んでいかなくてはいけない、情報発信をしていかなくてはいけないという様な気持を持って取り組んでまいりました。今では随分紙質も上がりましたし、パンフレツトですとかいろんなところで再生紙を目にする様になってきております。 その他にも、女性社員の制服とか、ネームバッジとか社員証のカードなども、PETボトルの再生プラスチックを使っています。 |
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| お客様へのメッセージということでは、簡易包装を呼び掛けていますが、99年から05年までの6年間で約4割ぐらい、包装紙と手提げ袋の使用量が減っております。10年で半分ぐらいになっておりまして、最終的にはこういったものはゴミになる訳ですけども、百貨店から出るゴミの量も4割ほど減っております。 言葉を変えれば、それまである意味では無駄も多かったということかも知れません。6年間で約160t減というと、2tトラックで80台分ぐらいの量が減ったということです。まだまだ使っていることは使っていますが、右側にある様なポスターなどで、お客様に簡易包装のお呼び掛けをしております。 |
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| いろいろな方法で削減をするということも重要ですが、これは逆に減らすだけではなくて、大げさに言うと再生への取組みという感じなんですが、店頭で、どんぐりの実をお客様にお配りして、それはお貸しするという言い方をしているんですけれども、お客様に育てていただいて、2年ぐらいで50cmぐらいになるんですが、それを戻していただいて植樹に行くという森を再生する活動というのも、これはNPOさんと一緒に、古くからやらせていただいております。 その他にも、私共IS014001という国際的な環境規格認証を百貨店業界ではいち早く取得をしています。ISOというと毎年定期審査というのがありまして、外部の審査機関が来て、この会社は環境にきちんと取り組んでいるかということを定期的に審査していただきますので、活動がマンネリ化したり形骸化したりすることを防ぐことができます。丁度先週そういった外部の審査が入りまして、今年もちゃんとやってるという確認をいただいた時期でした。 百貨店というのは、先程申しました様に毎日たくさんのお客様がいらっしゃいますし、お取引先も多いということで、自分達自身が活動するということも非常に大事ですが、お客様に対してそういった環境問題を訴える、情報発信をしていくということも極めて重要になってきます。先ほど崎田さんからはいろいろな地域の活動の事例だとかイベントの事例がありましたけれども、私共も企業として環境のイベントや、お客様に一緒に環境問題を考えていただくセミナーを開催したり、環境商品を集めて提案をしたり、そういった外へ向かって発信する活動もしております。 |
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| そんな中で、包装ということでは、容器包装リサイクル法に伴って、レジ袋とかマイバッグ運動とかそういったことがマスコミでもよく取り上げられておりますけれども、これは西武百貨店で扱っているエコロジーバッグです。西武のエコバッグは、素材から環境に配慮をしておりまして、再生PETボトルで作られてます。種類はいろいろあり、保冷タイプとかキャリータイプのものなんかもあるんですが、両面使えるということで、このリバーシブルのタイプが一番人気があります。これで2リットルのPETボトル2本分ぐらいの素材を使っているということです。 簡易包装を進めていくということは非常に重要なことで、私共の一つの使命であると思っていますが、一方で、百貨店というものに、お客様がどういった価値を見出して、期待をしているかということも重要なことで、お客様からは、簡易包装について、もっともっとしっかりやりなさいという様なお声もいただく一方で、贈り物のときなんかは、きちんと包装をして、しっかりした手提げ袋に入れてほしいという様な声もまだまだ多いのが実情です。 そういった要望を環境問題と反しますよねといって無視することはできませんので、お客様が百貨店に求めているものは何かということを、そういった価値を大事にしながら、私共も環境問題に取り組んでいきたいと考えております。 今一部でレジ袋が有料化されているというニュースを耳にしますが、私共百貨店は、使っている紙袋については、単に買った品物を持って帰る、運ぶ道具ということだけではなく、商品と一体となって、お客様があそこで買った、どこどこで買ったんだという様な満足感ですとか、或いは人に何かを贈るときの贈る気持みたいなものを包装紙や手提げ袋と一緒にお持ち帰りいただいているのではないかなと考えております。また紙袋自体は、何度もリユースできる優れものだとも思っております。 実際有名ブランドのショッピングバツグですとかリボンなんかになりますと、インターネットでお値段がつく様な時代ですので、そういう意味では単に使い捨ての運ぶ道具ではなくて、百貨店の紙袋は、一つの企業CI※、企業を表す重要なツールと捉えております。 百貨店では、私もそうでしたけれども、新入社員として入社すると、必ず研修の中に包む訓練というのがございまして、もちろん端々をきちんと折るということだけではなくて、最後に企業のマークがこの場所に来るとか、そういうことまできちんと教えられます。そうすると、このぐらいの大きさのときにはこの大きさの包装紙を使って、ここからスタートすると。そのぐらい百貨店という業態と包むという行為は切り離せないということですので、本日のシンポジウムでは、そんなことも含めてお話をさせていただければと思っております。 |
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(水口さん)ただいまご紹介に預かりました水口と申します。私は技術士と同時に、環境カウンセラーということで、いろいろな業界に対する環境問題の指導や教育をしております。今日は、包装の重要性についてのお話をさせていただきます。 「つつむ」は、古代からあります様に、隠すとか遮るということでございまして、外界から内界を守るということです。つつむというのは、日本の文化なんです。欧米は、容器を作ってその中に詰めるとか入れるという文化なんです。ですから基本的に違うんです。例えばラーメンの袋は、ラーメンを乗せて、包み込んで包装するということで、業界では、これを上包み機を使った包装、要するに包む包装だという風に言われてるんです。そのくらいに包むという文化が強い訳です。 包装という言葉なんですけれども、包んで装うという二つが必要なことです。ただ装うという部分については、誇大、過大とかいう評価がございますが、これはあとで(説明)させていただきます。 |
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| これはデトロイトのフオード美術館で、1930年に、もうアメリカでは容器を作ってその中に牛乳を入れようという様な、入れる文化が進んでいたということです。 |
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| これは納豆ですね。納豆を藁で包み込むという包む文化です。これは適当な保温性、保水性、菌が発酵する発酵適性があったりします。しかも、使った後は捨てても上に戻るという非常に優れものの包装材です。 |
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| これ(右の図)金額です。これは10年間をとっていますけれども、簡単に言いますと、紙は大体横並び、プラスチックは増えてます。金属は下がってます。それからガラスも下がってます。木も下がってます。という状態です。 |
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| これは(右の図)重量です。重量ですと紙が殆んどですね。プラスチックも上がってます。金属は下がってガラスも下がってると、こういう状態になっております。 |
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| それでは、ちょっと話を変えまして、食品についての話をさせていただきます。従来の食品は、例えば塩鮭に代表される様に塩漬け、又は乾燥食品、それから糖で固めたものというのが伝統的な食品の保存方法でした。今現在の食生活のニーズというのは、水分の多いもの、塩分の少ないもの、糖分の少ないものという風に逆の方向に来ている訳です。そのギャップを埋めるにはどうしたらいいかということになりますと、ここで包装がなければ、そのギャップが埋まらないということなんです。 |
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| 今現在の包装の役割は、外側にたくさん酸素があります、通常の空気ですけれども、袋の中は、無酸素の状態にすると加工食品が長持する訳です。外界と内界と雰囲気を変えるということによって初めて、食品が長持するということです。 それを支える、包装の機能と包装の技法というのがあります。包装の機能と言うのは、ガスが入らない機能とかいう様なことです。包装の技法と言うのは、殺菌をしたり色々したりする訳です。そういう二つの状態によって包装が長持をするということです。 |
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| ですから表面から見ますと、ただ包んであるだけの様に見えますけれども、そうではなく、例えばここにありますレトルトパウチというのは、中味は、生の状態のものを入れまして120度で30分煮沸をすると、中味が調理された様に出てくる訳です。この袋は、120度で30分の耐熱性がなければいかんということで、1年でも2年でも持たせますので、非常に強靭な密封性が必要だと言うことです。レトルト食品というのは、包装がなければできない食品です。 ではその他はどうなのかと言いますと、包装と言うのはもう食品の中の一部として認められていると言うんですか、例えば薬品の場合も、厚生労働省に申請を出すときに、パッケージが付けられた状態で申請をする。パッケージを変えるとなると、もう1回申請をし直すというくらいに、薬品の中の一部、食品の中の一部として包装されているということになります。ですから包装の重要性はかなり高い訳です。 |
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| 今包装に求められていることは、世界的な流れとして、品質、衛生、安全それから環境という4つのキーワードがあります。更に表示という問題と、社会的弱者に対する配慮、それから簡便性というものがありまして、これらが全部必要になってきます。特に先程からお話あります様に、包装材料は環境を度外視して考えられません。ですから環境を頭に置いて、環境に配慮された商品でなければもう商品にならないという様なことから包装が動いているということになります。 |
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■容器と包装の違い (織さん)それでは、パネルディスカッションに入っていきたいと思いますけれども、本日ここにお集まりの皆様方は、地域で実際に廃棄物の分別、リサイクル、省資源化いろいろな取組をしていらっしゃる方ばかりですので、今回は、少し突っ込んだお話をしていきたいと思っております。と言うのは、皆さん実際に活動していらして、皆さんのグループの中では一所懸命やってきている。ところがそれがなかなか広がらないとか、或いはこれだけやつていても、これで本当に地球環境が良くなるのかなという疑問を、ある意味では限界を少し感じていらっしゃるところもお有りかと思います。 それで、今日は「つつむ」と言う切り口で、一体どうやって活動を広げて行くのか、そのキーワードは何か、或いは家庭だけの取組ではなくて、企業の方と一緒に協力して、先程高月先生の最後のパワーポイントにありましたけれども、企業、行政、消費者が、どうやって連携をとって行くのか、どうやって協力していくのかというのが一つのキーワードになっていくかと思います。 このことは、パートナーシップという形で良く言われてるんですけれども、一体何をどうやって企業の人と話し合っていけばいいの?或いは、企業の人にこういうことを言っても無駄なんじゃないかしら、という気持が皆さんの中にもお有りになるかと思うんですね。 ですから、今日は、皆さんの活動を少しでも進めていくキーワードを「つつむ」という切り口から、容器包装、廃棄物について、少し考えていきたいなと思っております。 今迄パネリストの方にいろいろお話をしていただいたんですけれども、今水口さんのお話では、容器と包装というのは違うということで、日本は包装文化だということなんですが、先ずその辺りのお話伺わせていただいてよろしいですか? (水口さん)はい。今迄は、ずっと包装という言葉で通ってきたんですけれども、容器包装リサイクル法ができてから、容器と包装というのは分けられた形になっています。容器と言うのは、容器を作ってその中に入れるというものですね。包装と言うのは、包むということでありまして、今デパートの方で言われました包みを含めたもの。ですから、日本の文化はつつむ文化だということですね。 私は以前包装機械(メーカー)にいたんですが、当時デパートで包んでいる機械を作ろうということで、3年間ぐらい掛けてデパートと同じものを作ろうということでやったんですけれども結局作れなかった。要するに人間の感性による微妙なところがありましてね、これは日本の文化だなという感じがしたんです。 ■日本の包装文化の特性 (織さん)日本は包装文化だと。そこは世界の他の国と違うということですね。そうすると、つつむという文化を持っている私達の容器包装廃棄物のリサイクルというのも、アメリカやドイツや他の国とは違うアプローチというのを当然考えていかなければならないと思うんですけれども、高月先生、先程の講演との絡みでこの辺りを少し。 (高月さん)はい。今ご説明ありましたけども、日本では、どちらかと言うと容器の方は液体を入れる入れ物という感じで使い分けがあると思いますけれども、以前はそれをひっくるめて包装材ということでした。包装材の方は、トレーとか、プラスチックの袋とかいうイメージがありますけれども、厳密な区別は別にしまして、液体を入れるものと、それ以外の包装材と言うのは、やっぱり形態が違いますので、リサイクルするにしろ、分別するにしろ、やり易さということがあって、容器包装リサイクル法の中でも順番が少しずれてきたという経緯があると思います。 日本でのつつむ文化というのは独特のものがありまして、日本人というのは中のものを直接外に触れずに木目細やかに包んで見えない状態で人に渡すという意味合いでのつつむという文化というのが非常に過大になっている訳ですけれども、もう一方では、日本人というのは非常に清潔好きというのか、衛生観念が昔から発達していまして、これはきれいな白いというイメージが非常に強いものを尊ぶ様な古来の文化が脈々とあって、それがまたつつむ文化とも繋がって生きてるということですので、必ず新しいものでつつむというイメージが強くなってきている訳です。それが残念ながら、指摘しました使い捨ての方に繋がつて行っているのではないかと。 そういう点では、昔ながらのリユース、何度も使って、それを詰め替えて、外側は変わらずに中味だけをサービスとして受けるというこの辺の使い分けというのをこれから考えていかなければならないんだろうと思ってます。 ヨーロッパ辺りは結構、外側は傷ついても中味さえ手に入ればいいというんですが、日本ではなかなか外側傷ついたものは受け入れ難いと、その辺皆さん方と一緒に考えていきたいと思います。 日本本来の文化性が、つつむところに、いい面もありますけれども、一方では法律改正の方に繋がってきている面もあるんだということで、皆さん方と議論したいと思います。 (織さん)今お話があった様に、容器はある程度機能的な部分があって、一方日本では昔から袱紗ですとか或いは水引といった様な形で見えない様にして行って気持を表すという文化がある、それは一つでも大切にものを使うことにも繋がっているけれど、もう一方で、きれいなものを求めるあまり使い捨てというところに来てしまいますねというお話があったと思うんですね。 その関係で、田口さんに、百貨店の方から、実際にお客様がすごいこだわりがある、衛生面上でこだわりがあるなぁと思われた具体例を、少しご披露していただいてよろしいでしょうか? (田口さん)日本のお客様が、衛生だけではなくって品質というものに対してものすごく厳しいというのは、一般的にも良く言われている話でして、バラでお客様がチョイスをしてパッケージをするというお某子があったんですが、それをお客様がお選びになったものをじゃあこれをお願いしますということで販売員に申し付けたときに、販売員がうっかり落としてしまったんですね。落としたものをそのままお入れする訳にいかないので、同じ商品を販売員が選び直したのですが、そのときにお客様からお叱りを受けたのは、お客様は、沢山あるものを一つひとつ確認して一番賞味期限の長い、一番新しいと思われる商品をお選びになったらしいんです。置いてあるものは当然すべて賞味期限内なので何か問題がある訳ではないんですが、お刺身のような生ものではなく、焼き菓子なんですが、少しでも新鮮なものという風にお選びになったものを、販売員はそこまで気付かずに普通にどれでも同じ商品だからというつもりで選んだら、お叱りを受けたという様な事例がありまして、どうしても私達は消費期限内でも少しでも鮮度の高いものを選びがちです。あとお洋服なんかでもそうですね、着たときに影響はないだろうという様なところまで、ちょっとしたところをすごく気にされるという事例はたまにあります。 (織さん)実は私も海外いろいろな所に行って生活もしてきているんですけれども、スーパーマーケットで牛乳が並んでたときに、後ろから取るのは日本人だけなんです。もう1点、本屋さんで平積みになっている本があって、あれを2番目から取るのも、日本の本屋さんでしか見たことがない現象ということで、そういう風に考えていくと、そのこだわりが、実は過剰包装や過剰な原料の使用に繋がつてしまうという可能性があるかも知れないということですね。そうすると、先程高月先生のパワーポイントの中で一つ問題提起で出ていたんですけれども、必要な包装、必要な容器というものは必要ですよね。だけども、過剰なものは要らないんじゃないかということなんですね。そこの過剰と必要のラインというのは、私達なかなか見極めが難しいところだと思うんです。それで水口さん、容器に求められる機能というか、何故容器が必要なのか、どういうのが必要な容器なのかという辺りを分かりやすく説明していただけますでしょうか。 ■容器包装の必要性と機能 (水口さん)東京都の条例によりますと、容積が20%、価格が15%未満に収めることというのが自主規制としてある訳です。その内側であれば適正な包装であるということなんですけれども、ただ、適正か適正でないかというのはかなり難しい問題がある訳です。例えば、大きな袋の中にお菓子がいっぱい入っていたとき、一個一個包んであるものと、全然包んでないものがあったということになりますと、大勢で一遍で食べる場合には、一枚一枚包んでないものがいい、それが適正包装だと。ところが、毎日一枚ずつ食べようといった場合には、大きなものだと湿気てしまって、全部後で捨ててしまうということがあります。その場合には、一枚一枚包んである方が適正包装だということになる訳です。ですから、過剰か過剰でないかは、場面とか使う場面とか状態によって随分違ってくるという風に思うんです。 (織さん)そうすると、前のパワーポイントのところでいろいろ食生活とか皆さんのライフスタイルが変わってきたので包装が変わってきたというお話があったんですけれども、その辺りで、今迄は必要でなかったけど、逆に包装というものがあったから生活が便利になってきた、或いは包装がないと本当に困るという何かそういう具体例を挙げていただきますか。 例えば、包装がなければ逆に病気になってしまう可能性があるとか、衛生上いろいろ問題があることですとか、私達普段スーパーなんかに行っていると、包装がなくてもいいんじゃないか、何でもかんでも過剰包装だと思ってしまいがちですけれども、実はこの包装の素材があるからこそ、いいところがあるっていう辺り聞かせていただければ。 (水口さん)はい。包装には、先程お話しました様に、世界的な潮流として、品質、街生、安全、環境というのがありますけれども、この中で、包装の役割が目立つのは、衛生ということです。通常包装がなかったとしたらば、手で持って入れたりしますから、空気中にありますバクテリアとかが付く訳です。包装されたものの中では、例えば、包装されたお寿司、あれは非常に衛生的なんです。特に袋のフィルムのところに抗菌性の、例えばわさびとか生姜とかを塗っておくと、衛生的であってかつ抗菌性が出てくるということがありまして、包装があるからおいしく長持できるというのがかなり多い訳です。 (織さん)なかなかそこの区別が難しいので、その辺皆さんでまた議論していきたいと思いますけれども、崎田さん、今迄の話の流れで、消費者の観点から。 (崎田さん)はい。先ず容器包装が大事だな、有難いなと思ったことが一つあって、主人の母が、父がなくなって一人で暮しているんですけれども、危ないので火を余り使わない様にということで、いつもいろいろなものを買い置いておく様にしているんですね。そうすると最近本当に個包装の小さなお豆腐が小さなパックに入っているとか、牛乳が小さなので常温保存ができる様なのがあるとか、母が一人で暮していくには丁度ぴったりくらいの食べ物が長く保存できる様にあるという意味では有難いものもあるんですね。 ■容器包装についての情報を伝え合う ですから、いつも個包装ばっかりがいけないなんてことはないんですけど、ただいつも全部が、ちっちゃな、沢山包装があるとか、いつも丁寧にしていただくって、その辺の程度問題を、私達やお店の方やものを作っている皆さんも、皆で考えていくことが大事なんじゃないかなと思ったんです。それで、デパートなんかでお買い物をするときにも、お遣い物に何かやりたいときには、きれいに包んでいただいて、真心を籠めたいと思うんでお願いをするんですが、自宅遣いのときなんかはもう簡単にしてもらいたいと思うので、そういうことを言える様な感じになっていくといいなと思うんですね。そのお客様が、どの程度の安心安全とか、どの程度の丁寧さを要求しているかというのは、その場所とかケースによって違うと思うんで、それをきちんと私達も表明できるし、うまく聞いて下さる様な、そんな感じが定着するといいと思うんですね。 例えばレジ袋を削減しましょうということでいろんな処でお話が出ていますけれども、容器包装リサイクル法の話し合いの中などでも、もっともっと事業者の方が自主的に取り組める計画も立てて下さいということで、今いろいろなスーパーの方が、レジ袋の削減をポイント制にするとか、有料化にするとか、チャレンジして下さってますけど、先日ある方にお話を伺ったときに、何か小さいものをお買いになるときに、「レジ袋入れますか?」って聞くと、大抵皆さん「はい!」ってお答えになるので、レジ袋に入れることになっちゃうので、それじゃいけないので、「このままで宜しいですか?」っていう風に言葉を変えたそうなんです。そうすると、一遍に30%減ったというデータが出て、あるコンビニチェーン全店にマニュアルを変えたっていう話を伺ったんです。そういう様なことで、一つひとつ情報をきちんと伝え合いながら、ライフスタイルに活かしていく様な感じでやっていくことが今本当に重要なんじゃないかなって思っています。 (織さん)ありがとうございました。今情報を伝えるということなんですけれども、どうでしょうかね、西武百貨店さんの方で4割削減できたというものの背景に、今みたいな取組ですとか、或いはこういうことがあったから4割削減できたんですよっていう様なお話があったら伺いたいと思います。 (田口さん)今お話がございました様に、西武百貨店では、レジに簡易包装トークシートというのがございまして、それは先ずカウンターにお客様がいらっしゃったら、「ご自宅用ですか、ご進物ですか?」という聞き方をします。「自宅用です」というお答えをいただいたら、「簡単な包装でよろしいですか」「簡易包装でよろしいですか?」という風に言うと大抵は、「いいです」と言っていただけます。そういう意味でお客様にご理解いただいてご協力いただいた結果ということだと思います。「贈り物です」と言えば、当然きちんと包装をして紙袋にお入れします。そうやって進めてきましたので、最初のうちは年間で言うと10%ぐらいずつ非常に大きな削減が出来ていましたが、半分ぐらいまで減ってくると、これ以上減らすのは、百貨店はギフトの用途が多いですから、なかなか難しいかなと思っております。ただ、ギフトでもいわゆるお中元やお歳暮、業界では慣例ギフトという言い方をするんですが、そういうやや儀礼的なものは、トークの中で「簡易包装でよろしいですか?」とお声を掛ける様にしています。個人的な贈り物についてはきちんとお包みしますが、私共のちょっとしたアプローチの仕方で、多分返ってくる答えは違うということだと思います。 (織さん)そうすると、ちょっとしたアプローチの違いで、やっぱり無駄だと思っていらっしゃる方は結構多いので、語り掛けてみると4割削減までは包装については可能だというお話になってきますね。 ただ、現実にその4割から以下っていうのは、なかなか難しいというところが実際にはあるということになってくると思うんですね。この辺りを伸ばしていく何か考え方とか、或いはこの辺りは、百貨店としては、百貨店にお客様が求められてくるイメージからいくと、4割をキープっていうのは限界なんでしょうかね? |
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(田口さん)先ず一つは、百貨店全体で取り組んでいることですが、「スマートラッピング」ということで、これ“カンガエルー君”と言うんですが、地球のためにできることを考えよう、ご自宅用だったら包装は簡単でいいでしょう、贈り物だったらきちんと心を籠めて包ませていただきますというキャンペーンを全体でやっています。 それから他には、西武百貨店では、3年ぐらい前からラッピングステーションというのを設けておりまして、これは有料のラッピングコーナーです。通常、百貨店でつつむと言うのは、包装紙も紙袋もサービスなんですね。サービスですので、どっちでもよければ「じゃ貰っておこうか」という気持ちも働くかも知れません。今スーパーさんのレジ袋を有料化しているというのは、「お金を取られるんだったらマイバッグ持って行こう」という動機付けになっている訳ですが、まだまだ日本の中では百貨店が包むというのは無料のサービスの領域なんですけれども、ここでは紙の種類で季節にもよりますが100種類以上あり、リボンもそのくらいの種類があり、いろいろな包み方を提案して「贈る気持ち」を包んでいます。正にこの包むという行為自体を商品として売っている、それによって、包むことを無料のサービスと少し切り離していくという様なことにも取り組んでいます。 |
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■参加者の思い (織さん)いかがでしょうかね、皆さん。今のお話なんですけども、包装っていうのは日本の文化に根付いていって、ある程度気持的なところがあると。そこについては今迄サービスの一環として無料でやってきたというところを、過剰包装を減らしていくために有料でやっていこうということですよね。そういう試みをなさっている。これが、仮に消費者の方が、「いやっ、西武百貨店さんはそういうサービスもただでやってくれないんだったら、伊勢丹に行ってしまおう」とかいうことになってしまうと、西武百貨店さんとしてもなかなか続けにくいということ。 ちょっと会場からご意見をお伺いしたいと思うんですけれども、例えば、包装という点が有料になったとしたときに、そこを環境を考えて、実際皆さん使うっていう気持になられるかどうか?如何でしょうかね? (参加者A)そうですね、先程からお話に出ましたけれど、よそ様にお上げするとかプレゼントということであれば、本当にプレゼントしたいという気持を籠めて包装がかなり経済的なもので暮らしに必要としても、そんな風に贈らせていただきたいと思いますし、自分用であれば、経済優先で、製品が良ければ包装にはあまりお金を掛けたくないというのが本心でございます。 (織さん)ありがとうございます。もうお一方ぐらいお伺いいたしましょうかね。 (参加者B)やっぱり目的に応じてということで選んでいきたいと思うんですけれども。外国からクリスマスプレゼントとかいう場合なんか大きい茶封筒に入ったままで、それにクリスマス用のラッピングをしてたりとかっていうこと、ありますけれども、アメリカでちょっと暮したことがあったんですけれども、本当に包装とかないのが普通で、茶封筒の大きな紙袋にというのがスーパーでの買い物でもデパートでもそうだった様な気がして、そういう文化は日本にもあってもいいかなっていう風に思います。 ■消費者と事業者の信頼関係を (織さん)はい、ありがとうございます。場合場合によってということですね。多分、西武百貨店さんも、このサービスを踏み切られてみて、皆さんが全然利用しない、或いは包装についてはサービスが当然だと思って他のお店に行かれてしまうとそっちの方に流れてしまうということになってくると思うので、矢張りここは先程高月先生がおっしゃってたグリーンコンシューマー意識というのがキーワードになってくるかと思いますね。高月先生、この辺り如何でしょうか? (高月さん)はい。皆さん方のご意見、いろいろ面白く聞かせていただいているんですけれども、やっぱり多様性があると思うんですよね。ですから、必要なものは勿論必要なんですけれども、しかしながらどうも日本人の場合は特に業者の方々にお願いしたいのは、かなり思い込みがあってですね、こうしてしまうともう消費者は離れてしまうという恐怖感でなかなか、例えばレジ袋の話も、読み込めないと。恐らくスーパーさん、百貨店さんにしろ、あれも結構お金掛かるもんですから、減らせることなら減らしたいというのは本音だろうと思うんですけれど、ただし横並びですので、我が社だけがやればもうかなりお客さんが離れてしまう心配があると思うんです。 ただし、日本の場合、今日はおそらく生活学校の方も来ておられると思うんですが、昔飲料缶の外す外さないという話の、あのプルタブをステイオンタブに替える運動を長くやって、事業者の方が衛生観念の発達した日本人には受けられないんだということでずっと来られたんですけれども、踏み切られるとあっという間にもう当たり前になってしまいました。もう今はビールの缶も全部ステイオンタブになっている。 その辺消費者が本当に求めているのか?あの缶に口を付けて飲むのが不衛生だから絶対消費者は離れるというのを、ちゃんとリスクコミュニケーションを消費者と事業者の方がやられて、いろいろな商品開発に繋げていってほしいなぁと思う訳です。 今回のレジ袋の話にしましても、本当に消費者が全部離れてしまうか、この辺、生協さんは前から有料化になってますし、特にそれで離れたという話も聞いてませんし、ヨーロツパは全部有料化になってる訳ですから、日本だけが何故そういうことに踏み切れないのかというのは、もう少し消費者側と事業者側が正にパートナーシップで議論し合って、いい方向に進める様にしてもらうことが非常に重要で、お互いに譲り合えるところは譲ってやっていくというのがこれからのやり方ではないかなという風に思った次第です。 (織さん)ありがとうございます。私達もついついただで貰えるもんだと貰ってしまおうという気持がやっぱりどっかにあるんだと思うんですね。レジ袋に関して言えば、おうちでもう一度利用しないで、押入れにいつぱい貯めていらっしゃる方が本当に多いんですね。これを石油製品で換算してみると、皆さんそれぞれ1戸の家が石油備蓄基地の様な状態に現在わが国はなっているんではないかなと思っているんです。 ただ、事業者の方もこれを辞めたら消費者が離れてしまうというのは毎回毎回すごく議論されているんですね。 ところが消費者の方に話をしてみると、最初は戸惑うかも知れないけれども、なければないで別にいいわ。あるいはそんなにこだわってないわっていう方が多いんですよね。だからそこら辺がまだまだコミュニケーションが不足してるし、消費者の皆さんが事業者に伝える場がないというのが問題なのかなという気がしております。 崎田さん、この辺りいかがでしょうか? (崎田さん)本当にお店の方は、消費者が離れるんじゃないかという恐怖感がというのは、私も最近お話を伺ってつくづく思いました。実は話合いの場をたくさん持った方がいいということで、今東京のある区の中で、区が呼び掛けて下さって、地域の消費者団体の代表者の方と住民団体の代表者の方、そしてその地域の商店街の代表者の方とスーパーとか、コンビニのチェーンの代表者の方と、十数人で輸になって、月に1回お話合いをして、3回か4回やっているんですけれども、最初の頃は、「本当に容器包装を減らしていいんなら減らすけど、そういう風にすると必ずサービス悪いって言ってくるお客様いるんですよ。出来るもんならやりたいんです」って事業者の方が本気でおっしゃるんですね。 今は多くの人が、選べればいい、或いは少し費用が掛かっても、ちゃんとしてほしいときにはそれを頼むとか、多くの方が思っているんだということを真剣に伝えていく、そしてノーレジ袋デーを、例えばお店の前で消費者グループの方が一緒に応援する様な雰囲気でキャンペーンをやるとか、お店の方と消費者グループが連携してそういう呼び掛けをやるなんていう風にしていって、町の市民の方や他のお店の方と信頼関係を作っていくという、そういうことが大事なんじゃないかなって思うんですけど。 ■コミュニケーションの方法 (参加者C)田口さんにお伺いいたしますけど。百貨店で贈り物を買いますと、黙ってても百貨店の袋へ入れて下さるんですね。私の母の経験ですと、風呂敷を持っていきまして、上等のものは上等の風呂敷に包んで帰ってた記憶があるんですが、百貨店の方で、「お包みのものはお持ちですか」という一言はどうなんでしょうか?私もときどき持ってくんですけれども、そういう暇もなく袋に入れられちゃいますので、如何なもんかなとお聞きします。 (織さん)なるほど。お包みのものを持ってらっしゃるお客様が多いことを前提にして「お包みをお持ちでしょうか?」と聞くのは如何でしょうかというご提案ですけれども如何でしょうか? |
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(田口さん)お客様がこの会場にいらしている様な環境意識の高い方ばかりだとありがたいと思います。例えばマイバッグを持参しやすい食品売り場では、肉や魚の様な生鮮食品には、こういう保冷材を使ってこういう風に包むという一定の基準が安全衛生上ある訳で、そういうことに対して、そこまでやるのは過剰包装じゃないかというご意見をいただくことも確かにあり、どのあたりにお客様の「常識」を置いてトークするかというのは難しい問題です。 ただ、壊れやすいものなど矢張り守らなくてはいけない安全だとか衛生ですとか、そういう基準は必要でしょうし、どちらの声が多いか。今のところそこまでは考えていませんでしたが、おっしゃっていることは百貨店にとっては非常にありがたいことで、そういう声が本当に多くなってきたら、勿論、事業者側から先にそういうことを発信していけとお叱りを受けるかも知れませんけれど、丁度今容器包装リサイクル法の改正で社会の機運が盛り上がっている中では、早晩そういったマニュアルに、変更を加えさせていただくこともあるかも知れません。 冒頭根本議長からも少し風呂敷のお話がございましたが、風呂敷が去年おととしぐらいからクローズアップされておりまして、売り上げも伸びているという話ですが、包装自体が悪い訳ではなくて、問題は、包装する素材がゴミになるということですので、納豆を藁で包むだとか、おにぎりを経木で包むとか、お寿司を笹の葉で包むとか、そういった自然素材、或いは繰り返し使えるもので包むということは私達が伝統的にやってきた文化でして、そんな中で、風呂敷というのは、優れ物で形状に合わせて包めますので、例えばこんな形で、「風呂敷ってこんなに便利よ」ということをお客様に知っていただくこともやっております。最近ですと若い方用ですとかお子様用のデザインのちょっとキャラクターの入った風呂敷なんかも出てきていますので、もっともっとこういうものが見直されていくといいかと思っております。 |
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■必要な容器についての知識と、リユースヘの期待と課題 (織さん)包装については、意識の仕方ですとかコミュニケーションの仕方で随分削減できる様な気がしてまいりましたけれども、容器について、先程水口さんの方から何が過剰なのか、何が必要なものなのか見分けがつかない、なかなか難しいというお話があったと思うんです。これは大きなテーマだと思うんです。 私達は過剰包装とか過剰容器を止めていきたいと思っている、高月先生からもご提案があった様に、必要でない容器は要らないと言える様な社会になっていきたい。ところが何が必要な容器なのか、何が必要でない容器なのかって言うのは、実は消費者にとっては、非常に見分けがつきにくいところなんですね。 例えば、PETボトルなんですけれども、私はPETボトルを買って水を飲みます。そうすると、また新しいPETボトルを買うのもったいないので、水を飲み終わった後、もう1回水を入れて何回も自分で使っていて「あこれは環境にやさしい」と、一人「良くやっているな」と思っております。 ところが、飲料メーカーの方にお伺いしたら、「それは止めて下さい」と言われました。何故かと言うと、唾液が私達が思っているより、細菌がすごく繁殖している。だから却って不衛生なことをやっている。環境にはもしかしたらやさしいかも知れないけれども、容器本来の趣旨から考えてみると、良くないことをやってしまっているという可能性があるということですね。 その辺りですね、この容器は何のためにこういう形状でこういうことがあるんだということが分かるとですね、要らないもの要るものっていうのの区別がつくと思うんですけれども。高月先生、その辺り科学的に。科学者として如何でしょうか? (高月さん)はい。PETボトルというのは、テレフタレートというものの略なんですね。これは酸素のバリア性がいい素材ですので、最初はお醤油とか、そういう保存性の効く液体容器として発達してきたんですけれども、最近はミネラルウォーターとか、或いはお茶とか、いわゆる若干使い捨て型の容器にこれがどんどん入ってきているというところが問題だろうと思う訳です。 もう一つ、PETボトルを1回使ったというのをまた使うことは、確かにある面では不衛生な面があるでしょうけれども、日本人というのは、私は異常なほど潔癖すぎないかと思います。抗菌グッズや何かが出てきて、もう非常に日本は清潔になったんですけれども、余りにもそれが過剰になった、だから海外に出てちょっと何かすると直ぐ下痢してしまうとか、そういう雑菌に対して非常に弱くなった国民になったんですね。ですから、その辺バランスを考えないといけないんですよね。 今朝、新聞読んでましたら、フランスでミネラルウォーターをPETボトルで売っている有名な会社が「水道水はいろいろ問題があるから、PETボトルでミネラルウォーターをどんどん飲みましょう」という広告を地下鉄でバーっとやって、フランスの水道業界とか政府から反発を食ってるんですが、これ象徴的なことですね。 PETボトルを作るというのは結構エネルギー掛かりますし、それを運ぶことにもたくさんエネルギーが掛かってるんですよ。ただし、利便性という面では、消費者はある面それを求めていく訳ですね。 一方、水道というのは、日本でもそうですが、それなりに消毒もして配って、衛生的な面も担保しているはずなんですけれども、その辺を衛生面で議論するよりは、私は環境面も含めて議論をしていただきたいなと。 PETボトルがどんどん増えていくことによって、消費者の利便性も増しますけれども、一方では、環境に対しての負荷が掛かっていっているということもちゃんとしたところで議論して、本当にこれが必要な容器なのかというのを議論しないといけない。 日本の包む文化じゃないけど、お茶の文化、ちゃんとした井戸水にしろ、水道水にしろ、水を使ってお茶を入れるというのを、自動販売機からお茶をポっと買ってしまう文化に変わってしまっていいのか、この辺考えないといけないなという、ちょっと余分なことを申しあげましたが、要は、容器のそういう使い方、衛生的な面も含めて、消費者の賢い選択がこれから求められてくるんではないかなという様に思う訳です。 (織さん)はい。今面白い問題提起をしていただいたと思うんですね。容器、衛生上は必要な部分というのはあると思うけど、一方で使ったエネルギーというものを考えて、本当に一回きりでいいのか、或いはきれいなものじゃなくちゃいけないのかっていうことを、消費者の方も考えてみたらどうだろうということですけれども。 そもそも、容器がどれくらいエネルギーを使っているのか、或いは石油製品なのかという知識が、一般の方にはなかなか届きにくいというのが現状だと思うんですね。 今日の高月先生のパワーポイントを拝見して、私初めて、「食品の一日の摂取当たりのカロリーより、2,400カロリーですかね、容器包装のカロリーの方が大きいんだ」というのは、びっくりしました。私現在ダイエットしておりますのでね、2,400カロリーを1,200カロリーにするために日夜努力しているんですけれども、食品の容器の方もダイエットしなくちゃいけないなと思ったんですけれども、今日みたいな話を初めて聞かれた方はどう思われたのか、会場からお伺いしたいと思うんですけれども。如何でしょうか? (参加者D)容器のダイエットについて、こういう風にきちんと伺ったのは、今日初めてです。本当にびっくりいたしました。 こういう会場に参加する人達は、日頃から気にされている人達が多いと思います。私も気になりますから、なるべくスーパーのレジ袋はいただかない努力はいたしますし、‘もったいない’とか、‘無駄’とかいう様なことも考えます。 大人がそういう姿勢を持つことも大切ですけれど、子供のときからそういう教育を少しずつしていく必要があるなというのは実感です。 (織さん)はい、ありがとうございました。高月先生のお話ですよね。ああいう形でカロリーでどれくらいかとか、エネルギーを使っているかという情報が、実際なかなか事業者の側から消費者の方に来ないというところがネックになっているという気がしますけれども。 水口さん、エネルギーを使っているとか、或いは環境を考える材料みたいなものは、どうやって入手すればいいんでしょうか?或いは、私達一般の消費者にとって、こういうのを聞く機会っていうのはあるんでしょうか? (水口さん)実はLCA※というのがありまして、科学的に数値化した方がいいんじゃないか、エネルギー化を全部やった方がいいんじゃないかということがありまして、これISOにしようじゃないかという様なことがいろいろあったんですが、今現在正式になっていないんです。何か?と言いますと、エネルギーに換算するときに条件がものすごく多いんです。科学的な、絶対的な数字というのがなかなか出て来ないもんですから、比較する場合には何と何と同じ条件で比較しないと出来ないという様なことがありまして、なかなか難しいんです。 例えば、ポリエチレンとか、PETの作り方はもう決ってますから、それに対するエネルギーはすぐ出てくるということですけれども、包装の材料から最後の使われるところまでの、それからリサイクルされて、ガラスビンの場合には洗ビンというのがあります、それから途中輸送するというのがあります。それから、ガラスビンなんていうのは、生産地と消費地が違う訳で、遠ければ遠いほど輸送費が掛かる、しかも空気を運んでいるということになりますから、条件がどこからどこまでかを特定してエネルギー計算を比較しないと難しいということ。 ただ、言えることは、紙容器っていうのはエネルギーが意外に少ないんです。ですから、包装材料のメーカーは、紙化はいろいろな意味でかなり進めてやっています。例えば、容器の場合は、紙とプラスチックを使うときは一緒にしておいて、捨てるときにはプラスチックと紙とを分けて、紙は紙の分別をしてリサイクルする、プラスチックはプラスチックとして容積をなるべく小さくする形で減容化をして捨てるという動きに現在どんどんなってるんです。 そういうことでエネルギーの計算ってのは難しいんですけれども、省資源化という意味で行きますと、そういう動きになっているということになります。 (織さん)今のお話は、容器の業界の方でもいろんな素材があって、単純に比較することはできない中で、いろいろやっていこうというお話だったと思います。PETはPETで利便性があって、いいところもいっぱいある、PETじゃないといけないというところもありますし、ガラスはガラスの良さというものもあるかと思います。ですから、消費者が自分たちで判断できる材料が、もっとコミュニケーションしながら、出てくるといいかなって思ってるんですけれども。 ただ、先程高月先生がおっしゃって下さった重要なポイントが一つあるんですね。それは、私達がどこまできれいさとか、衛生さというのを求め続けるのか、これが実は環境となかなかマッチしないというのを認識する必要があるかなと思います。例えばPETをもっとリサイクルしましょうという話が出てきています。ガラスビンのリサイクルもそうなんですけれども、日本の消費者は、傷がついていないビンの方を選んでしまうと、リユースが良くって何回も使えるけれども、企業としては消費者が買ってくれなくなるから止めようと、逆に事業者の方が慮るというところが現実にはあると思うんですね。ここをどう打破できるかっていうのは、すごく大きな課題、どこまで新品同様きれいなものじゃなくちゃいけないのか、それが環境を考えたときにどうなってんのかということを少し考えていかなくちゃいけないと思うんですけれども、崎田さん、この辺り如何でしょうか? (崎田さん)はい。私は、「消費者がちょっとでも傷があると選ばない、こういうことでものがどんどん残っていくんです」という話を伺うことがあるんですね。でもやっぱり傷があれば選ばないというのは普通の気持ですので、今日本にあるのは牛乳のビン、ビールのビンなんですけれども、ビールのビンは割に皆さん安心して使っているんですけれども、それ以外には調味料のビンとかそういうのが少し生協などで出ていますとね、生協などはきちんとやってますけれども、もし今度新しいそういうのが出るんだったら、例えば、「これはリターナブルビンで、外に傷はついているけれど中はきれいです」ってきちんと上のラベルに大きく書いてあるとか、分かりやすくしていただくってのもいいのかなあなんていう風に感じました。 あと、何度も使うっていうのも私はすごく大事だし、自分の中でやりたいと思ってるんですけれども、それができる様な仕組ってのは日本の中でまだまだ少なくって、今お話した様なビールのビンとか牛乳のビンとか、一部の生協さんがやっている様なRビンなどですよね。 それ以外で、もっと身近な処でできることは何かなって考えながら伺っていたんですが、例えばスーパーの中には、自分でボトルを持って来て、それでおいしい水を入れて下さることをサービスにしているスーパーさんがあったりしますよね、勿論あのときには、ボトルをそこで先ず買わなきゃいけないとかあるんですけれども、洗う責任は自分ですよね。ですから、何かあったら自己責任を持ちながら一緒に付き合っていくという感覚も必要なんだなと思います。それで、そういうスーパーで水を、今結構増えてきているという風に伺っていますので、自分が容器を持っていく、さっき私がお話した中で、仙台の方のJリーグの会場では、リユースカップなんですけれども、一般に言われている様な何度も使えるコップを一回ずつ洗ってきて使ってもらって回収するんじゃなくて、消費者が先ず500円でコップを買って、それでビールを入れてもらうときには100円安くなるんだそうで、ジュースだと20円安くなるっていう風に伺いましたけれども、それで家に持って帰って自分で洗って持って来るという、自分も協力して、そういうシステムの定着に協力し合っていって、だんだんそういう段階を経て、そういうものを使い捨てにしない暮らしって気持がいいねっていう実感を増やしていくっていうのも必要なんじゃないかなって感じました。 (織さん)ありがとうございます。スーパーの水の例が出てきました。よく事業者の方と話しているときに、一般の方は重たいものとかリユースするときに持ってくるのをなかなか嫌がるので、どうしてもリユースに進めないっていうお話をしているときに、「でもスーパーの水なんかは、自分で重たくってもおいしいお水を飲みたいので持ってったりしますよね、何かそういうプラスアルファのインセンティブがあれば、実は動くんですよ」っていう例として良く出てくると思うんですけれども、今のお話で、情報をもう少し出してもらって、「これ(ビン)はきたないけど中味は安全なんです」とか、或いは「そういうことがあれば消費者としては買っていくんだよ」っていうこと、多分そこは事業者の方は、「本当にそうなの?」って思っているところだと思うんです。如何ですかね?実際、そういう、出て来たら買いますかね? (参加者E)確かに、「外見は傷が付いているんだけれども中味は完全に保証します」ってラベルに表示されているとかいうのがあると多分買うのではないかと思いますし、私自身もそういう趣旨の下で発展すれば、実際買うと思います。 (織さん)ありがとうございます。如何ですか? (参加者F)はい。私も今の方と同じなんですけれども、中味が同じで外が云々であれば、例えば3円でも5円でも安いって言われれば、市民感覚として皆さんは買われるんじゃないかっていう風に思います。 (織さん)ええっとどうでしょうかね。そこは難しいとこなんです。安くできれば買っていただけるってことなんです。だけど、リユースしてて新品と一緒だけど中味は一緒だけどやっぱり安くなんないと買ってもらえないですかね〜?男性の方に聞いてみましょう。 (参加者G)中味によっていろいろ分かれると思うんです。例えば、お酒、お酒のビンを見ながら、ラベルを眺めながら、チビリチビリ飲む様なときには新品じゃなければいけないと思いますけれども、日常使うものについては、醤油だとか、そういう傷がついても問題はないと思います。 (織さん)安くなくてもいいですか? (参加者G)値段同じでいいと思います。特に安くするってことは必要ないと思います。 (織さん)安くなくてもいいですか? (参加者H)先ず今日は、パネラーの方々のお席に水差しがあるのは、すごく新鮮でした。今多分PETボトルが多いんですよね、中の水は、因みに水道水なのかしら? (織さん)(笑) (参加者H)PETボトルに入った水なのかしら?そこまで思ったりしておりますが。 さて、その容器使い回し、洗浄した容器にちょっと傷があってもそういうものを使うかどうかということが投げかけられているんですけれども、私共が環境にいかにやさしいものを選びとって買うかという視点を、いろんな意味でPRしていかなければいけない、私共の意識も変わっていかなければいけない、そういう努力がなされている様で、店先で直接消費者がその商品を選ぶとき、手に取って見ようとするときに、そういうアプローチが少ないのではないかなというのを感じております。 (織さん)はい。ありがとうございました。お隣一言、なにかいいですか? (参加者I)私は、ビンのビールが好きで、酒屋さんからビンでビールを取るんですけど、酒屋さんがダンボールに1ダース詰めて来る中には、かなりかすれたビンもあったりしても、それは全然気にならないんですね。ですから、さっき証紙を貼るっていうのもあったけれども、こういう基準でビンを検査してるとか、こういう風になったら処分するということを消費者に知らせる手立てがあれば、使い回しができるんじゃないかと思うんです。 ただ、私が不満に思ってるのは、ビンのビールが高いっていうことなんですよね。バーゲンには絶対なくて、皆アルミ缶なんですよ。だから経済的に懐が寂しいときは、もうビンは買えないな〜っていう風に思ってます。そこら辺を、ビンも、使い捨ての缶も、消費者の懐の中で同じ様になる様に業界でも考えてもらいたいと思うんですね。聞くとこによるとドイツなんかはビンを買う方がむしろ安い、使い捨てのものを買う方が高くつくんだという様なこと聞きます。そういう風になるといいなと思ってます。 (織さん)はい。ありがとうございました。今日もし会場に飲料メーカーの方がいらっしゃいましたら、(ビン)ビールも是非バーゲンしていただきたいなと思います。 今いろいろ会場からお話があったんですけど、コストが一つのポイントになってきますけど、コストを考えないためには、情報がきちっと出ていれば、同じ値段でも確証が持てればいいということになってくるかという様なお話だったと思います。非常に重要なポイントだと思います。 (参加者J)先程、崎田先生からお話が出てました東京都日野市から参りました。私共はマイバッグ運動を2年間毎月続けました。 それはともかくとして、今のお話の続きですが、リユースの場合のビンにつきましては、お店に持ってけば5円で引き取ってくれる、そういう形で安くなればいいんじゃないかなと思います。 それから、もう一つは、リサイクルのお店をやってるんですね、私共の店は、もう10何年か続けてやっているんですが、最初から袋は出しません。マイバツグをお持ち下さいという形でやっておりますが、この頃は皆さんね、スーパーのバッグを畳んで持ってくる方もいますし、徹底してやることで、皆さんの気持が変わってくるというのを実感しておりますので、是非マイバッグを持参する運動を進めていただければと思います。それから、西友さん何かも判子押したりしてやってますし、いろいろなお店で、日野の場合はやってはいますけれど、まだ袋の有料化までは進んでいないので、これから働き掛けを続けていこうと思っています。 (織さん)はい。ありがとうございました。事業者の方に踏み切っていただければいいなっていうと、今デポジットのお話もありましたけれども、コストがポイントになるかなということ。はい、どうぞ。 (参加者K)もう少し企業の方の専門性を活かしていただくという点では、例えば法的な制度もそうなんですけれども、容器包装リサイクル法とかをもう少し踏み込んで、その処理の仕方に生産者の方の責任をもう少し拡大して、その制度が進めば、もっともっと企業さんの方が、ものを資源化するやり方とか、もっと省資源でものを作るとかというところでは進んでおられると思うので、企業の方の努力というんでしょうか、それを責任というところでシェアしていただけると前に進むんじゃないかなと思います。 PETボトルなども、ラベルにしている胴巻きが厚かったりしているのをもっと薄くする、外国から輸入されているものなんか薄いですし、その容器にも、私達はこんなところでエネルギー消費を図ってますよっていう様な、コマーシャリズムの面もそうだし、それから、作ったものに対する責任に対してもやってますよっという努力も、今の日本の制度では必要なんじゃないかなと感じています。 (織さん)ありがとうございます。どうぞ。 (参加者L)私は、新宿の中央公園にあります環境センターで、いつも崎田先生にお世話になっている者です。先程、コーディネーターの方と崎田先生のお話を伺っていまして、私はマイバッグに、ずっと以前から大賛成なんです。それで、先生にしても、コーディネーターの方にしても、一戸の家の中に、押入にたくさんそのレジ袋が畳んで入っている方のおうちが多いんじゃないですか?っていう様なお話をなさってましたんですけども、それは消費者だけの責任ではないと私は感じております。企業の方が、マイバッグを持ってくことに、本当に心から賛成していただけるのかどうかということが先ず問題になるのではないかなと感じているんですが、必ずレジ袋に入れられてしまうんですね。企業の方のお話ですと、買って行った品物と、ここで区分けをしなければならないという様な言葉が出てくる訳ですよ。そういうのは問題にならないのでしょうか?警察問題とか、良からぬ気持の方がいて、自分のものと人のものとが区別できない様な方も中にはいらっしゃるので企業の方がどうしてもマイバッグを推進することができないという様な、一つの線というのがあるのじゃないでしょうか?だから、そこについて、先生方が本当にお考えがあるのかどうか、お伺いしたいなと思います。 (織さん)ありがとうございます。今個別の論点は、多分ここでは時間がないのですけれども、今、お二人とも共通しておっしゃってたことは、企業にもっと踏み込んでもらいたいというところだと思うんです。 つまりマイバッグなり何にしても、環境にいいことやっているということを、もつと強くアピールしてもらう、逆にそれを武器にして訴えてもらえれば、それを消費者が選択するんだということに自信を持ってもらいたいということが一つあると思うんですね。 それを例えば法的責任という形でやるということも勿論あると思うんですけれども、私企業の方とお付き合いが長くって、いろんなメーカーの現場も見てきております。そのときに一つだけ力強く思うことは、企業を動かしている、変える力というのは、法律とかそういったものでは決してないんです。 皆さん、企業の方が思っているのは、消費者からこういうことをやったときに見放されるんではないか、本当に消費者が付いてきてくれるんだという実感をどこまで持てるか、これが大きなポイントだと思うんですね。企業の現場を見ていない人には分かりにくいかも知れないんですけれども、「それでも確実に消費者は付いてくる、買ってくれるんだ」ということが何らかの形で企業に伝われば、必ず変わっていくと個人的には思っています。 ■まとめ 高月先生、この辺り如何でしょう?この点に関して、それぞれパネラーの方に、消費者と企業との連携の有り方を含めて、まとめ的なお話をさせていただいて、今日は丁度時間で御終いということにさせていただきたいと思います。高月先生から順番にお願いします。 (高月さん)はい。今日大分レジ袋の話が出ましたけれども、今ご存知のとおり京都でも始めてますが、あるスーパーさんと提携して、いわゆる協定の形でレジ袋を有料化する試みをとにかくやってみないと、なかなか頭の中で空想して、消費者が離れるんではないかということばかり気にしているということでなくて、少し踏み込んでそういうことを始めてみると、そこから打開策が出てくるんではないかと思ってます。 それから、事業者の責任という面では、確かにご指摘のとおり、まだまだ日本の社会では弱いところなんですけれども、これも実は消費者と事業者の力関係で違ってきます。消費者の声が大きくなれば、必ずやその方向が出てくる様に思います。ここは、我々消費者側の頑張りどころだと思っています。 (崎田さん)私も、こういう問題は、消費者と企業と、システムづくりに力のある行政と、皆がしっかりと話し合って、本当に本音を言い合う様な場をたくさん持っていくということが大事だと思っております。 たまたま私今環境学習センターを運営していますけれども、そこに出入りして下さっている方だなと思いまして、有難うございます。実はそこでは、企業の皆さんが環境にどんなことを取り組んでいるかという報告書を毎年出しているんですが、今400冊ぐらい送っていただいて、全部常備しています。企業の方と話し合う環境報告書を読む会というのを増やしているんですけれども、普段話し合えない様な、本音が言い合える様な場作りを広げて行きたいと思っています。そこには地元のスーパーの方とかデパートの方も参加して下さってますので、そういう環の中で、市民の本音というのが販売店の方の心を動かしていく、そういう場を増やしていくっていうことも大事なんだろうなって思っています。 私、実はいつも三種の神器というのを持っておりまして、私の三種の神器は風呂敷と、マイ箸とマイ水筒というこの三つなんですね。でもこれを人に押し付けるんじゃなくって、自分がそういうのを使った方がいいねというときにさり気なく使うことで、「こういう風なライフスタイルをしている人が社会に増えて来たんだな」ということを、何となく多くの方に気付いてもらうことが大事なんだと思っています。こういう消費者側のさり気ない動き、或いはコミュニケーションの場、そういうことがお店の方を動かして、レジ袋の有料化であったり、新しい仕組みで消費者に選択してもらう様な仕組みを創るというのを社会に増やしていくということが大事だし、そういう分け目、お店の方に信頼関係を伝える、何かそういう境目なんじゃないかと思います。きっと今日はかなりこの熱意を感じて下さったんじゃないかなと思いますので、もう何ヶ月かしてこちらのお店に行くともっと変わるとか、そういうのはないですか? (笑)はい。私はこういう場を増やしていって、市民も変って、メーカーの方も変わるというシステムの中に定着させていくということが大事だと思っています。今日は本当に有難うございます。 (田口さん)私も風呂敷とマイバッグと、PETボトルに詰め替えたお茶を持って歩いていますが、先程、マイバッグを持って行っても、やや否定的なお店もあるんじゃないかという様なお話でしたけれども、私もいつもマイバッグで買い物に行くんですが、確かに、こちらが何も言わないと何も聞かずに袋に入れられることもありますが、そういうときは自分から「袋は要りません」と断って、シールを貼ったりして持参した袋に入れています。確かに万引なんかで困っている業種もあるかと思いますが、基本的には、今大抵の小売りでは、マイバッグをお持ちいただいて包装を断ることに対して否定的なところは少ないと思います。 一方で企業の立場として、まだまだ情報の発信が足りないという様なお話をいただいた中では、私は環境報告書を作ったり、ホームページを毎月更新したり、一所懸命情報を出しているつもりですが、最後は売り場の一人ひとりの販売員の方達が、どれだけお客様にいろんな情報をお提供できるかという意味では、まだまだ売り場の方達を動かしていく力が不足をしていると思ってますし、それこそが自分の仕事なんだろうと改めて感じました。 崎田先生から、行政と消費者と三位一体でという話がありましたけども、私がお店の担当者によく言っているのが、行政の方と一緒になってイベントを組んで行きましょう、それを目標化して年何回かやりましょうと言うことです。というのは、こういう場にいらしてる方はもともとご関心もあるし意識も高い訳ですが、例えば、市役所で何かセミナーをやるとすると、矢張り本当に興味のある方しかわざわざ行かないと思うんですね、でも百貨店というのは、常にいろんな方が往来してますから、そういう場でたまたま環境のセミナーをやっていた、それまで全く関心がなかった方が、ふと見たらそこで何かセミナーやってるから立ち止まってみたら、何?2,400カロリー使っているじゃないかという新しい情報を得てそこから興味が持てたという様なことって、百貨店の使い方としては、大事な使われ方、利用のされ方だと思いますので、勿論、簡易包装もお願いしますし、パックを肉薄化したり、そういうこともやってまいりますけれども、併せて、お客様と一緒に、こういった問題を考えていく場を、もっと創っていきたいと考えております。 (水口さん)今企業で求められていることは、社会的責任ということなんです。消費者、又は生活者、又は従業員という、告発なんていう問題がありますからね、企業としては透明性と情報の提供というのが非常に大切なんです。ですが、これからいろいろな問題点を解決するためには、企業だけの努力だけじゃ駄目です。それから生活者だけの努力でも駄目だと思うんです。お互いに情報の交換をし合いながら、透明性を持って、隠さないで、お互いに話合いをしながらいい方に進めていかなきゃいかんじゃないかと思うんです。 企業は企業なりに、例えば包装材料メーカーっていうのは、新製品を開発するときに先ずこれは環境に負荷がかからない材料なのか、それからエネルギーはどうなのかっていうことを真剣に考えてやっている様です。 それから先程使い捨ての問題、リユースの問題がありましたけど、ドイツでは、PETボトルは、20回ぐらい使っているので、傷がいっぱい付いてるんですが、ドイツ人は、中味さえ良きゃ同じなんだと。勿論リユースするから日本で売っているPETボトルより厚いです。 でも日本では、ライフスタイルを変えない限りいリユースは浸透しないと思ってるんです。やっぱり徐々にライフスタイルを変えていかないとまずいんじゃないかと思うんです。 (織さん)どうもありがとうございました。ポイントは、事業者から、本当に消費者が必要な判断できる、これは過剰か過剰じゃないか判断できる情報を出してもらうこと、でもその情報を出してもらうためには、私達は一声掛けていくっていうことが重要だと思うんです。ですから今日これから会場が終わってから、皆さん何かこう一言事業者に聞いてみる、声を掛けてみる、そういう動きに繋がっていけばいいかなという風に思っています。今日は長い間有難うございました。パネラーの皆さんも本当に有難うございました。 ■追加質問 賞味期限について (質問要旨) 先程、日本の生ゴミは、年間1千万tだというお話がありましたが、例えば、毎朝食している納豆などいろいろな食品に書いてある賞味期限は、どうやって決めているのですか。 また、賞味期限が過ぎた食品は、食べると毒でしょうか。 少人数の家族の場合、例えば納豆を1個ずつ売っていれば、必要に応じて買えばいいのですが、店では5つとか10個とかをまとめて売っています。その辺を直さないと、日本の生ゴミは、なかなかリデュースしないんじゃないかなあという気がします。 (応答要旨) 食品には消費期限と賞味期限があります。消費期限は五日と決められていますが、賞味期限、メーカーが、どの程度の安全率を持たせるかによって違いますので、何日とは言いにくいですが、かなりの安全率をもって賞味期限を設定されています。 納豆の場合には、大体、消費期限が表示されていますから、五日以内にお使い下さいというのが多い様です。ただ、例えば水分が少ない様なもの(塩納豆に近い様なもの)は、賞味期限が表示されています。 (質問要旨) 冷蔵庫に入れておけば、もう少し長く保存してもよいのでしょうか。 (応答要旨) 賞味期限は、おいしく食べられる期間というのを表示したもので、消費期限は、期限を過ぎたら捨てなくてはいけない期間を表示したものです。 ですから、いおいしく食べられなくなってもいいという場合と、もう危ないよという場合も、実は一日過ぎたらすぐ危なくなる訳ではなく、一応誰からもクレームがつかない様に、安全係数を考えて決めているので、一日二日経ってもまあ大丈夫であろうと、かなりの確率で三日四日は平気であろうということは言えると思います。ただこれは、人によりけりですので、誰彼にお勧めすることではありません。 (紙面の都合で一部要約しています) |
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