「あしたのまち・くらしづくり2006」掲載
<企業の地域社会貢献活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

イベントによるまちおこし―きらきらフェスティバル事業並びにYOSAKOIさせぼ祭り―
長崎県佐世保市 させぼ四ヶ町商店街協同組合
背景と事業の概要

 佐世保市は長崎県北部に位置し、人口25万人、県都長崎市に次ぐ県内第2の都市であり、長崎県北部の中心都市である。造船・水産業等の外、西海国立公園の九十九島を始めハウステンボス等観光都市でもある。
 明治22年旧海軍の鎮守府が設置され、戦前は軍港として栄えた。明治35年村から一拠に市となり、平成14年には市制100周年を迎えた。
 しかしながら他の地方都市と同様、人口の流出、高齢化の進行、郊外の大型住宅地の開発、ロードサイドショップの増加、九州の中心都市福岡天神への流出の増加(車で1.5時間)等、厳しい状況が続いている。
 このような状況の中で平成9年郊外型大型SC(ジャスコシティ大塔:店舗面積約3万平方メートル)が進出した。
 このジャスコシティ大塔の進出計画に対し、商店街に危機感が生まれ商店街の活性化施策として「きらきらフェスティバル」が誕生した。
 きらきらフェスティバルは、中心商店街の中心に位置する島瀬公園を中心にアーケード街や近隣の公園をイルミネーションでライトアップし「光り輝く街を演出して市民や観光客に感動と歓びを与えたい。」として平成8年から開催、平成17年度は第10回を数え、市民に定着し、今では佐世保の冬の風物詩として一大イベントに成長している。
 一方、YOSAKOIさせぼ祭りは、きらきらフェスティバルスタッフの夢会議で、次なるイベントを検討する中で、札幌のYOSAKOIソーラン祭りをビデオで見て感動し、その年(平成9年)のYOSAKOIソーラン祭りを札幌で視察し、新たな感動を覚え、その年のおくんちさせぼ祭りイベントに、さるくシティ403(よん・まる・さん)チームを含め2チームが、参加したのが始まりである。平成10年は6チーム、平成11年は16チーム、平成12年は44チーム、平成13年は67チームと毎年増加し、平成14年は市制100周年を迎え100チームを目標に努力し、103チームとなった。平成17年には141チーム、約7500名が全国各地から参加し、今では高知・札幌と並んで3大YOSAKOI祭りの一つに数えられるようになった。


きらきらフェスティバル

 平成8年(翌年ジャスコシティ大塔が出店)郊外大型店対策として、商店街活性化施策を検討する中で、きらきらフェスティバルは誕生した。
 販売に直結するイベントについても検討したが、商店街の役割として、物を売る経済的な役割と、人と人とが出逢う場所としての社会的役割、情報を発信する文化的役割があり、今求められているのは賑わいの創出であり、人は人が集まるところに集まる!! 人を集めるにはイベントが最も効果的であり、クリスマスの時期に街をイルミネーションでライトアップし、光り輝く街を演出しようとする案にまとまっていった。事業は、中心商店街の中央に位置する島瀬公園を中心に、アーケード街や近隣の公園、街路樹等をイルミネーションで装飾するとともに、期間中の土・日・祭日を中心に各種のイベントを実施し、市民や観光客に感動と歓び、楽しさと憩いの場を提供するとして以下のとおりイルミネーションやイベントを実施した。

(1)イルミネーション
①島瀬公園イルミネーション
 公園内の木々・クリスマスツリー・イルミネーションタワー・ミニログハウス・オブジェ等、メイン会場として最も重視してイルミネーションで装飾する。
②島瀬美術館壁面イルミネーション
 美術館の壁面(縦37メートル×横27メートル)をキャンバスとして、その年のテーマをイルミネーションでデザインする。これは他に類のない特色である。
 デザインは公募(平成17年は市内中学2年生の作品)
③松浦公園・佐世保公園・夜店公園・国道35号線(JR佐世保駅~三角公園)沿いの街路樹等をイルミネーションで装飾。
④四ヶ町・三ヶ町商店街(アーケード街)
 アーケードをイルミネーションで装飾

(2)イベント
 期間中、土・日・祭日を中心にイベントを実施し、イルミネーションと相乗して市民や観光客に楽しみ、憩いの場を提供し、来訪者の増加を図る。
 イベントの主要なものは次のとおり
①点灯式
②1キロメートルのアーケード街で5000人の大乾杯を行なう「きらきらチャリティ大パーティ」
③島瀬公園の特設チャペル(ミニログハウス:チャペル型)で、多くの市民が祝福する中でカップルが誕生する「きらきらウェディング」
④100名のサンタクロースがパレードする「サンタクロース大集合」
⑤1500名で「第九」歓喜の歌をドイツ語で大合唱する「市民で歌う歓びの歌」
⑥12月24日の夜グラスに水を入れフロート式のローソクを浮かべ点灯する「キャンドルを灯そう」
⑦人工雪(氷を砕き)を降らせ、子どもさんたちに雪遊びを楽しんでいただく
「クリスマスの佐世保に雪が降る」(佐世保では雪ダルマができるような積雪は近年にはない)
 平成17年度は青森市新町商店街から、本物の雪を航空便でプレゼントしていただき、大いに盛り上がった。
⑧食のイベント
 地元の特産品である佐世保バーガー、九十九島の牡蠣焼きをお楽しみいただけるよう屋台村を開設する。
 平成17年度は食のイベントの充実を図り来訪者に好評であった。
Ⓐ佐世保バーガー(佐世保はバーガーの発祥地)
Ⓑ九十九島の牡蠣焼き(きらフェス会場で牡蠣焼きが楽しめる)・土産用殻付牡蠣
Ⓒ海軍さんの入港ゼンザイ・海軍さんのカレーライス
Ⓓおでん
Ⓔおにぎり
Ⓕドリンク(コーヒー・各種ペットボトル・缶ビール・缶コーヒー等)

(3)企画や運営上の特色
①市の助成金が引金として、企画を立ち上げたが、資金の調達はきらきらフェスティバルの応援団として応援(支援)をいただいている。
 企業からの協賛金(市民参加のイベント、市民のためのイベントと理解していただいている)
 個人の応援団(1口1000円で応援団になっていただく―私のイルミネーションでできている―参画意識を持っていただく)
Ⓐきらきらチャリティ大パーティ等有料の事業を企画
 アーケード街内で、5000人による大乾杯
 参加費1人1000円 乾杯用のワイン・パーティハット等を準備
 飲み物及び食べ物は持ち込み自由
②まちを挙げての(市民参加)イベントとして推進
 県・市・商工会議所・関係団体・企業・一般の市民からのボランティアとして応援をいただいて事業を推進
③企画は、全て手作り
 夢会議(朝会議)の中でアイデアを発掘し、委員会で練り上げ実行している。
 イベント企画会社等の提案でないところが、スタッフのやる気となり、このことがボランティアに通じ、市民参加の大イベントに繋がっている。
 夢会議:「夢を語ろう」がキーワード、朝7時~9時までバイキングの朝食を食べながら夢を語る会議、(朝食は自前:参加しやすいように仕事前の朝食時間を活用)
 誰でも参加できる。(来る者を拒まず)

(4)成果
①平成8年から平成17年の10年間継続(平成18年は企画中)して実施できた。常に新しい企画を追及しながら事業の発展に努めた結果、市民や観光客に高く評価され、今では佐世保の冬の風物詩として定着している。
②平成17年度の来訪者は55万人を数え、各イベントへの参加者は8.3万人で、商店街はもとより長崎県北地域並びに佐世保市の活性化に寄与した。
 賑わいの維持・創出については、中心部の一地点の10時から19時までの通行量が、休日3万2800名、平日2万5100名(17年8月調査)で、同じ規模の他都市に比し高くなっている。
 日本政策投資銀行の藻谷参事役からは、20万都市で日本一元気な商店街と評価されている。


YOSAKOIさせぼ祭り

(1)事業の概要
 毎年10月の最終の金・土・日の3日間開催、踊り連141チーム、8000名の踊り子(平成18年実績)がメイン会場(名切公園特設ステージ)の外、ハウステンボス・パールシー・四ヶ町アーケード街等14会場を移動しながら演舞する。
 これを見物に訪れた観光客は、3日間で延26万人(平成17年)。佐世保の街が、踊り一色となる。
 テーマは「出逢いそして感動」踊り子自らが最も楽しみ・感動する。

(2)経緯
 きらきらフェスティバルで始まった夢会議で出てきたアイデア、夢会議で札幌のYOSAKOIソーラン祭りのビデオを見て感動したのがきっかけ、その年(平成9年)34名が現地で、実際の祭りを見たいと自腹で札幌へ、祭りの熱気により大きな感動を覚え、その年のおくんちさせぼ祭りに2チームが出場した。
 平成10年は6チームで第1回ダンスバトルをおくんちさせぼ祭りの場で開催、翌平成11年は16チーム・平成12年は44チームが参加、この年(第3回)から「YOSAKOIさせぼ祭り」として開催した。平成13年は67チームが参加。
 平成14年は、市制100周年、市長から100チーム出場の要請を受け努力の結果、103チームが参加し、市政100周年の行事を盛り上げた。
 平成15年は123チームが参加、平成16年が134チーム参加、平成17年は141チーム、踊り子約7500名が全国各地から参加して開催、見物のための観光客も26万人を数え、ハウステンボスやパールシーリゾートを含め市内14会場で演舞し、ものすごい熱気でまちに活力を生み出してくれた。
 踊りは最終的に審査され、大賞等の賞をメイン会場(名切お祭り広場特設ステージ)で発表、次いで総踊りで3日間の幕が降りるが、総踊りにおいては入賞したチームも、そうでないチームも最後の踊りを楽しみ、熱気・涙と感動で最高潮に達する。

(3)成果の概要
①出場チーム数  141チーム
②出場者数     7500名
③観光客数      26万名
④高知・札幌に肩を並べ日本3大YOSAKOI祭りの一つと評価されるまでに成長
⑤成果の記録
下表のとおり
年度 名称 参加チーム数 参加踊り子数 観客動員数(万人) 経済効果(億円)
10年 第1回ダンスバトル 600
11年 第2回ダンスバトル 16 1,000
12年 第3回YOSAKOI
させぼ祭り
44 2,600 20 5.5
13年 第4回YOSAKOI
させぼ祭り
67 4,500 20 7.5
14年 第5回YOSAKOI
させぼ祭り
103 7,000 18 7.5
15年 第6回YOSAKOI
させぼ祭り
123 7,500 26 18
16年 第7回YOSAKOI
させぼ祭り
134 7,500 25 18
17年 第8回YOSAKOI
させぼ祭り
141 7,500 26 20