「あしたのまち・くらしづくり2007」掲載
<食育推進活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

食物アレルギーの子どもと一緒に「キッズ クッキング」
鹿児島県鹿児島市 母親クラブ エンジェル スマイル
活動内容

・第1回講演会 実施:平成16年7月25日 参加者:238名
 テーマ:知っておきたい 命に関わる 子どもの食物アレルギー
・第2回講演会 実施:平成17年7月24日 参加者:180名
 テーマ「食物アレルギー除去食とその解除について」
・勉強会:「子どもの病気とケガの手当て」~調理中の事故防止と安全対策
 実施:平成18年5月17日 参加者:12名
・「あそびにおいでよ!かごしまっ子 食育フェスティバル」
 実施期日:平成18年8月5日(土)参加人数:250名
 食育活動の事例発表 2団体  活動紹介 エンジェル スマイル
 ワークショップ:9団体  展示:6ブース
 ・ワークショップ
 「野菜ソムリエによる、野菜を食べよう(クイズなど)」ベジフルかごしま会(野菜ソムリエ)
 「おはし上手に使えるかな?」NPO法人霧島食育研究会
 「おいしいお茶入れよう」鹿児島県茶業会議所(日本茶インストラクター)
 「おやつの中身大研究」今村学園 ライセンスアカデミー
 「食育エプロンシアター」鹿児島女子短期大学 食物栄養学専攻科 など
・キッズクキング~11回実施:平成18年6月11日~平成19年2月10日 参加者:326名
①カレーを作ろう:カレー、しめじとピーマンのサラダ、赤しそジュース
②夏野菜の収穫:オクラ、とうもろこし、トマト、なす、ピーマン
③カレーを作ろう2:カレー、野菜サラダ、甘夏ジュース
④夏野菜を使った料理in加治木:ラタトゥウイユ、すまし汁、ご飯、すいか
⑤夏野菜を使った料理in薩摩川内:ラタトゥウイユ、すまし汁、ご飯、梨
⑥野菜ソムリエとお料理しよう:鮭のホイル焼き、味噌汁、さつま芋ご飯、ぶどう
⑦米味噌作り
⑧秋の和菓子を作ろう&日本茶の入れ方教室:栗ようかん、芋ようかん、冷茶、上級煎茶
⑨クリスマス会:パテシエと一緒にケーキをデコレーションしてみよう
⑩冬野菜を使った料理:ご飯、すまし汁、豚肉の生姜焼き、カブの塩もみ、白和え、キンカン煮
⑥郷土料理:ご飯、すまし汁、豚骨、ほうれん草としめじの煮浸し、キャロブケーキ
協力:今村学園ライセンスアカデミー、日本茶インストラクター、野菜ソムリエ、和菓子職人など


活動の成果

(1)「また参加したい!」との声を子どもや保護者の方々から多く聞くことができました。
 実際子どもたちの表情も明るく楽しそうである。また、自分の調理した物はきちんと摂取し残食も少なく、お替りする者が出るなど保護者が一番驚いていたようだ。
 野菜・お米洗いから後片付けまで,子ども主体で活動するため、子どもたちの達成感や保護者側のわが子に対する励ましにも力が入るようである。
 野菜をみんなで切ったり、炒めたり、他の子の調理している姿がお互いの刺激となり強調性を育む場ともなっている。
 現在まで材料を吟味し、統一した手順で実施しているため、アレルギー発症の事故もなく、参加者は親子で安心して楽しく作れた。また、子どもたちは集中して料理の手順を聞いたり、包丁を使用しているためか当初心配していた病院に行くほどの切り傷・やけど等の事故も起こっていない。
 調理する過程を子どもと一緒に楽しむためには、できるだけ家でも親子で台所に立とうと保護者の意識も変わってきている。終了1か月以降のアンケートでも現在のところ、回答者全員「時々お手伝いをしている」「毎日お手伝いしている」と答えており、キッズ クッキングに参加したことにより、家庭での実践に役立っているようである。
 調味料に頼らない自然な味の美味しさを求め、食について当たり前のことを改めて考える家庭での食育につながっている。その実態を把握するためにも、1か月後アンケートを引き続き行なっていきたい。
 キッズ クッキングヘの参加者は、アレルギーっ子とアレルギーなしの子どもと約半々である。アンケートを通じて、アレルギーのない子どもの保護者より「多くの子どもさんが様々な悩みを抱えている現状を再認識出来た」また「近所の子どもたちにおやつ一つ与えるのにも気を使いながら、楽しく食事などが出来るような配慮を心がけたいと思った」という意見も聞かれ、アレルギーっ子に関する支援や理解に繋がっているようである。
 またアレルギーっ子の保護者からは「自分のレシピが偏っていたりワンパターンだったりするので色々なメニューを知ることが出来てよかった」「工夫ひとつで料理も色々あると感じた」「今まで周りにこの様な環境がなかったので今後は様々なイベントに参加したいと感じた」「子どもがアレルギー疾患なので安心して参加できた」
「外で食べるときは、アレルゲンとなるものを気にしないといけないが、安心して食材に触って調理ができ、食べることができ、うれしく思った」
「みんなと同じものを作り、食べることができ子どももリラックスしているように思う。いつもみんなと同じものが食べられるか、食べられないか気にしていると感じている様子なので」という意見が聞かれ、おおむね前向きな感想が返ってきた。
 会を重ねるごとに父親の参加も見られるようになってきたので、子育て支援の一環としても充実した企画を考えていきたい。
 母親クラブ「エンジェル スマイル」のメンバーの研修を深め、野菜ソムリエ、日本茶インストラクター、和菓子職人などのような地元の専門家も協力して下さり、充実した内容のクッキングを展開中である。今後も、広がったネットワークを活用し子どもたち・その保護者と活動していきたい。

(2)その他について
 地元紙に『卵・牛乳・大豆・小麦を使わない子供のおやつ作り教室』と募集したが、アレルギー疾患のない子どもたちが約半数応募してきた。わたしたちスタッフにとっては、意外であり、たくさんの人たちがわが子にとって、安全な食べ物を求めていることを痛感した。今後も子どもたちの目線を忘れることなく、子どもたちの笑顔を広げていく活動を続けていきたい。