「あしたのまち・くらしづくり2008」掲載
<企業の地域社会貢献活動部門>あしたのまち・くらしづくり活動賞 主催者賞

「安全」と「環境」を届ける
東京都江東区 佐川急便株式会社
 公道を、トラックを使用して事業を営む総合物流企業である佐川急便株式会社。常に交通事故の危険性を抱え、排気ガスによる大気汚染を引き起こしながら事業を行なう中、地域の「安全」と「環境」を守ることは当然の使命と考えています。かけがえのない生命、未来の美しい空を守るためにできることは何か。グループ統一スローガン「安全 環境 そしてサービス」の精神のもと、地域で様々な活動を行なっています。


「さがわきゅうびん交通安全教室」

活動開始時期…2003年4月~
活動頻度…年間合計700回以上
活動主体…全従業員
対象…全国の保育園児、幼稚園児、小学校低学年児童、高齢者

全国開催のきっかけ
 佐川急便の営業店では、長年にわたり、地元の教育機関やPTA、警察等の依頼を受けて、各地域で個別に子どもたちへの交通安全指導を行なってきました。そんな中、2003年2月、ある幼稚園の方から「卒園する子どもたちに交通安全教室を催してほしい」とのご依頼がありました。それをきっかけとして、全国統一のマニュアルを作成し、横断幕・看板・標識・信号機・パンフレットなどを用意して、『未来ある子供達の生命を悲惨な事故から守る』をテーマに「さがわきゅうびん交通安全教室」の全国展開がスタートしました。

子どもたちの関心を集める教室
 交通安全教室の対象は、保育園児、幼稚園児、小学校低学年児童が中心です。まだ人の話を集中して聞くこともできない年齢の子どもたちに、どうやって事故の危険性や交通ルールを伝えていけばよいのか。たくさんの社員が試行錯誤しながら、長年この課題に取り組み、様々な工夫をするようになりました。
 進行役は、「交通安全お姉さん」となった女性社員。子どもたちの目線に立って、語りかけ、問いかけ、交通ルールについて伝えます。日頃ハンドルを握っているドライバーもこの日は子どもに扮して、「トラックの下にボールが入ってしまったときは、どうすればよいのかな?」と質問をします。また犬や猿などの動物たちや、「ひきゃく君」マスコットの着ぐるみを着て、子どもたちと一緒に横断歩道を渡ります。
 トラックの死角を体感するための「車両かくれんぼ」や、交通安全クイズでは、子どもたちが楽しみながら交通ルールの大切さに気付く仕掛けをしています。
 交通安全教室では、当社が環境負荷低減のため導入している天然ガス自動車を用いて、地球環境の大切さも同時に伝えています。ディーゼル車と天然ガス車の排気口に白いタオルを当てて、エンジンをふかすと・・・ディーゼル車は「真っ黒だ~!」、一方天然ガス車は「こっちは触ってもきれいだよ~!」と、違いが一目でわかり、車と空気の関係について学びます。

教える側の安全意識向上に
 交通安全教室では社員やドライバーが自ら内容の詳細を企画し、当日参加します。開催に向けて自主的に練習に取り組み、子どもたちに説明や実演をすることで、教える側も安全意識を再確認し、日々の業務でハンドルを握るときの心構えにつながっています。何より、子どもたちの笑顔や元気いっぱいの姿から、「この子たちを絶対に交通事故に遭わせてはならない」と身が引き締まると、参加した多くの社員から声が挙がっています。

5年間で2230回開催
 2007年度は全国で、合計769回、12万1660名の子どもたちを対象に交通安全教室を開催しました。当社ドライバーも2066名が参加しています。2003年度からの5年間では、合計2230回、34万2496名の子どもたちを対象に教室を開催してきました。
 交通安全教室が終わったあとには、営業店に、「ちゃんと左右を見てどうろをわたっています」といったお手紙や、「きてくれてありがとう」とクレヨンで描かれた絵などがたくさん寄せられ、開催するドライバーや社員のさらなる励みにもなっています。

高齢者対象の交通安全教室
 こうした園児、小学生に対する交通安全教室開催の経験から、近年では各地で高齢者を対象にした交通安全教室の開催も始めました。警察庁からの発表によると、2007年の交通事故による死者5744名のうち、65歳以上の高齢者の占める割合が半数近い47.5%という結果が出ています。高齢者の安全に対する意識を高めることが、交通事故を減らす上で大変重要と言えます。すべての人々が安全で安心できる社会の実現に向けて、今後も開催の対象や規模を少しずつ広げていきながら、機会を増やしていきたいと考えています。


「さがわきゅうびん自然体験学習」

活動開始時期…2007年5月~
活動頻度…毎年5月~9月頃
活動主体…当社本社・支社スタッフ
対象…従業員、従業員の家族、地域住民

自然と触れ合う田植え体験
 自然を身近に感じ、大切にする心を育てるには、自然とじかに触れ合い感じることが大事との考えから、2007年度より開催している「さがわきゅうびん自然体験学習」。滋賀県守山市の農家の方からお借りした田んぼで、田植えや草とり、稲刈りといった昔ながらの米づくり体験を通して、自然の恵みや食べものの大切さを感じてもらうのが目的です。2008年5月に行なった田植え体験には、従業員の家族や地域住民の方など約200名が参加し、約390坪の水田で機械を使わない手植えでの田植えを行ないました。
 都市で暮らす人が増える中、田んぼに入るのは初めてという参加者がほとんど。歩くだけでも一苦労、また作業体験を通し、農家の方々の苦労を味わったとの声が多く挙がりました。子どもたちは泥んこになって大喜び。自然を満喫するとともに、米づくりの大変さに触れたことから、その後家でご飯を残さなくなったとの報告が挙がってきています。

一連の米づくり作業を経験
 5月の田植えの後、無農薬の田んぼを利用し、琵琶湖で絶滅が危惧されているニゴロブナの稚魚育成や、草とりを行ない、秋には稲刈り体験を行ないます。収穫したお米は、参加者に配布され、自分たちで育てたお米を食べることでさらに食べものの有難さを感じることを狙いとしています。


「クリーンアップデー」

活動開始時期…2003年4月~
活動頻度…年4回
活動主体…全従業員
活動内容…自営業店周辺の美化活動

SGホールディングスグループ環境行動
 佐川急便では、1997年京都で開催されたCOP3をきっかけに、京都に本社を置く地元企業として環境保全に貢献できないかと考え、天然ガス自動車導入をはじめとした環境保全活動を本格的にスタートさせました。その中で、全社を挙げて活動を行なっていく上で不可欠となる、社員一人ひとりの環境に対する意識向上を目的に、2003年度より環境行動指針を策定しました。グループ全従業員参加型で、毎月環境保全活動を実施しています。

地域の人々と行なう清掃活動
 その環境行動の一環として行なっているのが、営業店周辺の清掃活動を行なう「クリーンアップデー」。従業員のゴミ問題に対する意識向上とともに、地域美化推進に貢献することを目的としています。2003年当初、年1回であった取り組みが、現在では年4回となり、従業員の間で確実に根付いている活動となっています。
 クリーンアップデーでは、営業店のみでなく、地域の自治体やNPO団体、近隣企業と共同で実施することを呼びかけています。2007年度はのべ3万1508名の従業員が参加し、自治体や企業等との共同実施は83件となりました。近隣企業や団体との実施も恒例となり、協働できる取り組みとして歓迎されています。

営業店独自の地域での取り組みへ
 こうして全国統一の活動として清掃活動を実施する中、営業店独自で、各地域での清掃活動や緑化活動に積極的に参加するようになりました。新潟店では、日本海東北自動車道沿線で行なわれる「市民植樹祭」に、新潟店従業員と家族が3年連続で参加し、従業員にとっても恒例の行事となっています。気仙沼店では、気仙沼市が国道沿いで実施する清掃活動・植栽作業に参加し、独自に従業員の意識向上に取り組んでいます。根付いてきた活動は確実に、営業店の自主的な地域活動へと広がりを見せています。


「高尾100年の森プロジェクト」

活動開始時期…2006年4月~
活動頻度…毎週(森林管理作業・ミーティング等)
活動主体…当社従業員、NPO、大学、地域のボランティア
活動内容…市民・大学・企業等の協働による森林管理
     CO2吸収源・環境教育の場としての活用

社有林の活用
 当社は東京都八王子市高尾に、約50ヘクタールの森林を所有しています。この森林を地域に役立つ形で活用できないかと考え、「高尾100年の森プロジェクト」が始まりました。
 このプロジェクトは、「市民・大学・企業等の協働」による森林管理を通して、「脱温暖化に役立つ里山」、「人と自然が共生する里山」の再生を、「100年」という言葉に象徴されるゆったりとした枠組みで楽しみながら進めることを、コンセプトとしています。

活動のための体制・環境整備
 活動を様々なセクターと協働して行なうために、プロジェクトへの協力を呼びかけ、(財)水と緑の惑星保全機構、NPO法人太陽の会、NPO法人樹木・環境ネットワーク協会、早稲田大学、立教大学等、多くの団体や大学、ボランティアの参加のもと実施していく体制が整いました。また市や町内会、近隣施設等へプロジェクト内容を説明し、理解をいただきました。
 多くの方々の協力を得て開始した現場整備では、手付かずの状態となっていた山林に人が入れるようにするため、毎週有志が集まり、山道整備や下草刈り、間伐作業を実施しており、現在も少しずつ整備が進んでいます。

里山の森林管理実習モデル実験
 2007年7月には、プロジェクト対象の里山の実態把握を目的に、森林管理実習を実施。市民・大学・企業から約30名が集まり、里山を構成する森林の樹種、材積、炭素固定量の調査を行ないました。
 約300平方メートルの調査地点において、計59本のスギ、ヒノキ、コナラなどが認められ、その総材積は15.839立方メートル、炭素固定量は6.413トンとの調査結果が得られました。

環境教育現場としての活用
 整備・調査が進んできた2008年3月、環境教育の場として里山を提供し、首都圏を中心とした地域の小・中学生を対象とした環境イベント「ラブ・高尾の森」が開催されました。このイベントでは、大学生ボランティアが中心となって企画・準備を行ない、当日約70名の子どもたちが自然の中でのオリエンテーションや間伐体験を楽しみました。子どもたちにとって1日自然と触れ合う機会となり、またスタッフとして参加した大学生ボランティアにとっても、企画・準備作業を通じて多くを学べる貴重な機会となりました。
 今後もこうした形で、より多くの地域住民に森林を活用していただけるよう、NPOや市民との協力のもとに、活動を進めていく予定です。