「あしたのまち・くらしづくり2009」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

次世代へ引き継ぐ商いや街のための活動をしよう
静岡県掛川市 掛川おかみさん会
 掛川おかみさん会が発足したのは、商店の女性の集まりである「おかみさん会」の本家、浅草おかみさん会の冨永会長さんの話を聞いたことがきっかけです。会長の熱意とバイタリティに刺激を受け「私たちも何かしてみようよ!」と、掛川にもおかみさん会を創り、平成8年4月から活動を始めて13年目になりました。
 掛川おかみさん会は、「商売繁盛のため、街の発展のため、そして、次世代へ引き継ぐ商いや街のための活動をしよう」と、老若男女それぞれをターゲットとしたイベントを企画しています。「楽しみ」がなければ街に御客様は来ないと考え、モノを売るだけではない「お楽しみ」を付加しようと工夫しています。
 これまでもイベントだけでなく、教養講座や勉強会など様々な活動をしてきました。試行錯誤を繰り返し、現在も継続している活動について紹介します。


おかみさん市

 平成8年11月スタート。毎月第2土曜日 午前9時30分~正午。
 掛川駅の北側の中心市街地の歩道でテントを張り、街の食品館やデパ地下のつもりで朝市を行なっています。近郊の農家や一般の方々にも呼びかけて、安全安心な採れたて野菜や手作り食品、作りたての総菜などを販売しています。地元住民だけでなく、市内の各地からお客さんが集まり、観光客にも喜ばれています。
 また、平成17年から3年間は、静岡県のヘルシー商店街推進事業に指定されました。
 事業が終了した現在も引き続き、市の協力で保健師による血圧測定や健康相談、健康イベントを朝市で開催して、お客さんには毎月楽しみにしていると好評です。


街中美術館

 平成8年12月スタート。毎月第2土、日、月曜日の3日間展示。
 掛川市内の保・幼・小・中学校の児童生徒の絵100枚を商店街の歩道上や店舗前などに飾ります。1口1万円の市民オーナー制により購入した額とイーゼルを用います。出品者全員に「街中美術館賞」の賞状をプレゼントします。平成11年からは掛川市二の丸美術館の協力のもと、「掛川城とその周辺を描く会」写生大会作品の展示も開始しました。
 子どもの絵を街中にちりばめて、絵をさがしながら普段覗いたことのない街中を歩くことで色々な発見をしたり、思いがけないふれあいやあたたかな楽しい印象を持っていただこうというのが狙いです。


チョークアートフェスティバル

 平成10年11月スタート。商工まつり。
 1000人分の4色チョークを無料配布して、歩行者天国になった道路に落書きをして遊んでもらうイベント。街で遊んだ楽しい思い出を子どもたちに持ってもらいたいという願いから始まりました。


デッキブラシ隊

 平成11年11月スタート。商工まつり。
 チョークアートフェスティバルの落書きを、地元中学生に協力依頼して消してもらう。街なかの美観や地域の清掃活動等を考える機会になればと思います。


赤ちゃんオリンピック

 平成11年11月スタート。商工まつり。
 まだチョークで遊べない赤ちゃんのハイハイ・ダッシュ競争。120人くらいの赤ちゃんの参加を受け付けるが、受付開始後すぐに定員に達するほどの人気で、お母さんたちにもこのイベントが周知されています。賞品の紙オムツなどは、おかみさん会の活動に賛同した地元企業ユニチャームプロダクツさんが無償で提供してくれます。


赤ちゃんヘルパー隊

 平成12年11月スタート。商工まつり。
 赤ちゃんオリンピックの手伝いを、地元中学生に協力依頼して子守等をしてもらいます。
 少子化や核家族化で、赤ちゃんと触れあうことの少ない中学生に子育てや慈しみの心を感じてもらいたいと考えています。


おかみさん 街ん中 ギャラリー

 平成15年2月スタート。
 個人の営利を目的としない運営をすることを条件に、中心市街地の空き店舗を安価で借り、ギャラリーに改装。街中美術館の作品展示及び一般市民の作品などを展示したり、会員店舗のPR催事などに活用しています。


街なか&美術館 アートコラボ大作戦

 平成20年スタート。
 街なかと二の丸美術館が協力し、店頭に美術館の展覧会紹介板を設置し、お店の話題づくりや顧客サービスとして、美術館の割引券と二の丸茶室の割引券を渡しています。また、回遊性を高めるためにスタンプラリーを行ない、美術館・店舗の双方の集客をアップさせ、アートの街「掛川」の情報発信をしています。

 「街全体を嵩上げしよう。そうすればいずれは私たちの店にもお客様が訪れてくださるようになる。風が吹けば桶屋が儲かる」という気持ちの、一風変わった商店街活動から始まった私たちの活動です。とにかく今よりは少しでも街を店を良くして次の世代に渡したいとおかみさんたちは考えました。子育てや介護、家族の食事の心配など家事と店の経営をこなしながらも街の発展のための活動をするとなると、様々な制約があります。その制約のなか、出来ることをしようと活動を展開してきました。
 まず、自分たちの活動費は、出来るだけ自分たちで稼ぎ出す努力をしよう。また稼いだお金は、自分たちの親睦や遊興のために使わず、街の発展のために使おうと活動しています。そのおかげで、平成15年の「かけがわ街づくり株式会社」設立時には、持ち株20株の株主になることができました。活動を続けるなか、商店街の活性化を商店主だけが考えるのではなく、市民の皆様にも関心を持っていただき参加していただくことが大切であるとわかりました。私たちは、市民と街のかけ橋にもならねばならないと思うようになり、実行委員会組織の「掛川ひかりのオブジェ展」で10年間縁の下の力持ちをし続けたり、掛川の現代美術研究会と「街なか&美術館 アートコラボ大作戦」を仕掛けてみたりしています。それ以外にも、NPO法人「スローライフ掛川」に法人会員登録し、NPO法人「全国おかみさん会」の会員登録もできるようになりました。
 高齢化の進む掛川の中心市街地(市内で高齢化率が山間部の原泉地区に続き第2位)ですが、子どもたちや市民の皆さまが「私たちの故郷の街」と誇りを持ってもらえるよう、素敵な思い出と温かなつながりを作り続けていきたいと思っております。