「あしたのまち・くらしづくり2009」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

アートによる島おこし
愛知県一色町 島を美しくつくる会
 島を美しくつくる会は、島民の自主的かつ創意あふれる活動を通して、自然、風土、歴史、産業といった佐久島固有の資源を発掘・研磨し、島の活性化(経済的発展、交流人口の増大、定住人口の確保など)を推進することを目的に平成8年に設立され、島に在住する人によって構成され、島外の人々とも協働しながら活動を推進しています。会では、「アートと地域の協働」(アートによる島おこし)をテーマに、「ひと里」「美食」「漁師」「いにしえ」の四つの分科会を構成し、主に次のような活動を行なっています。
(1)定住対策の推進
(2)商品開発の推進と企業精神の喚起
(3)住・観の調和のとれた景観づくり
(4)伝統・歴史の保存を通した地域文化の復興
(5)アートとの交流の場づくり
 これらの活動は島民や島外からの参加者の交流の接点となり、楽しみながら島全体を元気にしていく原動力となっており、設立当時から地道に着実に活動を続けてきており、各分科会等の平成20年度の主な活動と実績は以下のとおりです。


ひと里分科会

◇梅園、雑木林、花畑の手入れ…11回実施、253名参加(島外ボランティア募集イベント)
◇黒壁による景観形成…1回実施、336名参加(島外ボランティア募集イベント)
◇大島公園梅園、水仙園の完成…10回実施、10名参加
黒壁、梅園ボランティアイベント
平成21年2月15日(日)

ボランティア定員100名のところ、島外から250名のボランティア参加がありました。写真は黒壁塗りの風景。

担当:ひと里分科会


美食分科会

◇名物料理試食会…1回実施、70名参加
◇提案料理の創作…1回実施、2名参加
◇名物料理の登録、発表…12回実施、47名参加


漁師分科会

◇藻場の再生のためのアマモの移植…1回実施、103名参加(島外ボランティア募集イベント)
◇漁村環境保全…1回実施、7名参加
アマモ移植ボランティアイベント
平成20年7月21日(日)

佐久島中学生がデザインしたアマモTシャツを着て、アマモの移植作業を実施しました。参加ボランティア103名。写真は作業後の記念撮影。

担当:漁師分科会


いにしえ分科会

◇島民展の開催、模様替え…1回実施、2名参加
◇文化財周辺保全整備…1回実施、46名参加(島外ボランティア募集イベント)
◇古墳周辺保存整備…1回実施、41名参加(島外ボランティア募集イベント)
◇弁天祭り、八日講祭り、東西盆踊り太鼓打ち込み…4回実施、88名参加
古墳周辺整備ボランティアイベント
平成21年10月19日(日)

当日は、島内にある3ヶ所の古墳「エベス塚」「石垣」「平地」の周辺整備(草刈、清掃)を行いました。参加ボランティア41名。写真は作業後の記念撮影。

担当:いにしえ分科会


定住促進

◇空家情報収集、定住希望者のリスト化、相談、現地案内 随時 相談件数25件、Iターン4名、Uターン2名


イベント・交流

◇総会…1回実施、58名参加
◇企画調整会議…12回実施、62名参加
◇正副会長・分科会リーダー会議…8回実施、84名参加
◇イベント・展覧会等への参画…4回実施、760名参加
◇マスコミ取材対応…4回実施、20名参加


現在までの成果

 佐久島は、愛知県下で最大の島で、昭和の大合併を機に、昭和29年、一色町に編入され、一部離島として現在に至っております。かつては、島の人口は1947年の1634人をピークに減少が続き現在では人口はおよそ300人となり、高齢化と過疎化に悩んでおり、限界集落となっています。
 しかし、開発の手が入らなかった分、素晴らしい島嶼景観や豊かな自然などが多く残され、それを保存しようとする人の営み(伝統・文化)が今でも続いています。その舞台での活性化事業のスタートは非常に難しいものでした。まず、佐久島にある固有資源をブラッシュアップし、「気付き」による付加価値付けは島民の意識改革と誇りと自信を持つことが出来るようになりました。発足当時から行政より人材育成費補助金を受けており、これを活動費として行政の実施する「アートによる島おこし」と協働し、様々なボランティアイベントを企画したり、伝統の太鼓や祭りなどの文化伝承活動も積極的に行っており、毎年恒例になったイベントも数多くあります。
 最近では、「アートによる島おこし」の独自性と島を美しくつくる会の地道な活動がマスコミにも取り上げていただけるようになり、来島者の口コミなどで交流人口が少しずつではありますが増えてきました。交流人口が増えてきたことにより、島では島民にビジネスチャンスが増え色々な活動が芽を出してきました。お年寄りたちの参画による無人市「里の市」では採れたての野菜が並び、民宿や食堂での名物料理の開発、レンタルサイクル業、Iターン者による飲食店の開業など新しい動きも生まれてきています。また、島を散策する来島者と畑仕事をしている島のお年寄りたちが歓談する光景も多く見られるようになりました。「近ごろは、ふんとに若いお客さんが多なったねえ。こないだは、スイカを一口あげたら、甘くてうまいって喜んでくれただよ。」こんなうれしい声も聞かれるようになり、活動の新たなエネルギーとなっています。
 島を美しくつくる会を立ち上げ活動を始めて14年目を迎え、交流人口やボランティアの数も増えてきており、ようやく成果が現れてきたと感じることができるようになりました。島おこし(地域おこし)は、終わりのない永遠のテーマであり、しっかりとした理念を持ち継続していくことが大事であると思っています。