「あしたのまち・くらしづくり2009」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

企業の街が第二のふるさと
愛知県刈谷市 かりや消費者生活学校
 刈谷市は愛知県西三河地域の市の中では最も名古屋市に近い市であり、JRの快速列車で17分で名古屋駅に着く程の利便性の住みよい街と市民も満足している市であります。地形は南北に細長く、南と北の距離は13キロもあり、隣接の市へ行く方が近い地区がたくさんあります。その南から北から会員が集まってきて昭和47年以来、営々と活動が続いてきました。
 市の中心地には、デンソーなどのトヨタ系企業が点在する正に企業城下町であり、市の財政は、全国でも10位以内に入る程の豊かな市と言われてきました。
 昭和40年代企業従事者として多くの人々がこの地に定着しましたが、この人々に刈谷市を第二の古里として認識してもらうには、私たちの活動も市民との接点を持つことが、最も必要と考えて行動をしてきました。


地産地消を進めて20年

 企業城下町のイメージは、それはそれとして西三河平野に位置するこの地は、農地もたくさんあります。市内の水田は、1000ヘクタールもあり、果実・野菜類の生産も盛んであります。ただ、消費地でもあるため地元の産物を知らない市民も多いことから、生活展などでPRをしたり、学校自身が柿のオーナーになり秋の収穫には、市民の人も誘って1日収穫を兼ねた生産者との交流を図ってきました。もう15年くらいになります。
 また、「いいともあいち賞」を2度も受けた「かりや米を食べる会」のネーミングで実施した稲作体験事業は、平成4年から12年間実施してきました。一般市民を巻き込んで市内の営農組合員の指導のもと田植・水の管理・草取り・穂肥の実施・稲刈と6回ほどの作業を終えるのですが、収穫した米20キロを市内の老人ホームに寄付するのも年中行事の一つでした。


環境に配慮した市民の生活と共に

 平成11年から開設した刈谷市との協働事業であるリサイクルプラザは、もう10年を過ぎました。事業内容は、市民に家庭で使われなくなった衣類や雑品を持参してもらい、本人が付けた価格で約4週間展示販売をしてあげるというシステムだが、そのためのルールとして出品者登録をし、1回の出品数は20点まで、月曜日が定休日だが1日に7人受け付ける。このようなことが挙げられますが、会員の仕事としては、出品の受け付け・パソコンヘの入力・展示・販売・売れ残り品の引揚げ・精算金の支払などがあります。これを毎日2人の会員が10時から午後4時まで勤務するのですが、今でこそ「チームジョブ」方式が話題になっていますが、私たちは10年前より正にチームジョブ方式で出られる人が連携を取り合い、申し送りノートに記載しながら運営を行なっています。
 また、出品者は精算金を受け取るとそのお金で欲しい品を買って帰るというエコマネーとでもいえる環境型社会が出来上がっています。ところが、10年の間に出品希望者が増加し、現在3500人近い登録者数となり、出品日を持つ人が2か月以上待つという状況になったため、今年の4月から第2号店を開設しました。こちらも順調に運営がなされているのですが、勤務する人も若い人に依頼し今後の10年を見据えているところです。
 リサイクルプラザ1号店では、この施設で再生補修家具の入札販売事業を刈谷市が行なっていますが、この事業にも2年前から委託事業として契約し実行中です。
 また、この施設を拠点とすることができたので昨年度愛知県が募集をした「地域から広げるゴミ減量化」事業に応募し、県下で4団体推奨された中の一つに入りました。事業内容は「布と傘の修理屋さん」のネーミングでマザーズ工房を立ち上げ、市民の方に古着類を持ってきてもらい、それをウエス用・海外寄付用・再生用と分け、それぞれ活用しています。特に、和服はリホームと称しベストなどに作り、展示販売をして利益を上げています。また、傘の修理はプロの方に来ていただき講習を受け、今では会員の何人かが上手に修理をしています。産業フェスティバル・ミニ環境フェアー・生活展などの会場ではその場で修理してあげるというパフォーマンスも行なっています。現在までに150本ほどの傘を修理しました。


過去の実践と今後の展望

 そして、このイベントですが、会場は街の一つの商店街の人たちが活性化のために自分たちでショッピングセンターを建て、大型スーパーがテナントとして入っているというユニークなセンターですので昔からの知り合いの人が交替で社長や役員になっておられることもあり、もう20年以上もこのセンターのメーン広場を無料で貸していただき生活展・ミニ環境フェアーを年1回ずつ開催しています。この折に古布で作ったコサージュ・袋物などリサイクル作品のバザーも行ない、自分たちの資金にしていますが、何しろ100人の会員が開催中は入れ替り訪れるので、帰りにはこのショッピングセンターで何らかの買物をしていき、お互いにギブアンドテイクの構図が出来上がっています。
 そのうえ、地元の中部電力さんから朝顔の種をいただきポットで育て6月環境月間に合わせたミニ環境フェアーで配布をし、市民の方に緑のカーテンで省エネに努めていただいております。
 もう一つの事業としてリサイクルプラザの敷地内にある瓶・缶などの資源ごみの収集ボックスの管理も2年程前から委託され、土曜日・日曜日に持ち込まれるこれらを整理をしていてたくさんの人々と交流を図ることができたと自負しています。
 10年を経たリサイクルプラザ1号店、10年先を見据えた2号店と合わせて1日に11人の出品者が220点の品を出品し、100人以上の来客者が訪れ、売上げも年600万円のこの事業が100年に一度の不況というこの時代には、市民が最も必要とする場所になったと実感し、今後さらなる充実を図らねばと気を引き締めているところです。