「あしたのまち・くらしづくり2011」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

地域社会のニーズを受け止め行動する生活学校
栃木県那須塩原市 那須塩原市生活学校
平成21・22年度の運動方針並びに事業計画
1.運動方針
 那須塩原市生活学校は、増え続けるプラスチックごみの発生を抑制するために3R作戦+1R運動を展開し、環境に極力負担を掛けないライフスタイルに転換し、究極的には、ごみ0社会を構築し、低炭素社会の実現を目指すために、消費者の意識を高める必要があると考え、生活学校運動を展開して参りました。増え続けるごみの量を減らすためには、ごみの発生を抑制(Reduse)し、不要になったものは、再使用(Reuse)する。再使用できないものは、資源として再利用(Recycle)する。即ち、資源ごみとしてリサイクルのルートに載せるための努力をすることが大切です。この3つのRを実現するためには、私たち一人ひとりの生活を資源を大切にし、環境に極力負荷を掛けないライフスタイルにしていくと共に、こうした気持ちを生かせるような社会生活の仕組みを構築しなければなりません。レジ袋などのごみの排出を抑制するためには、エコバッグの普及が欠かせない条件であり、消費者運動に携わる私たちが「自ら(自主的に)、皆で(協働して)」という意識を持って、エコバッグの普及に取り組む必要があります。
 環境問題は、このままだと大変なことになりますが、毎日の暮らしを少しずつでも変えていけば、環境問題から地球を守ることに繋がるはずです。そこで、「暮らしのエコ、もう一歩先へ進めたい」と考え、「暮らしと省エネ、もう一歩先へ進めたい」と考え、「暮らしと省エネ、省資源」を切り口にして、「創造力で、未来を開く」ための運動を展開して参りました。

2.運動のテーマ(21年度~22年度)
暮らしのエコ、もう一歩先に進めよう ~創造力で、未来を開こう~
・増え続ける、かさばる容器包装ごみを減らす。
・エコバッグの普及を強力に推進する。
・積極的にレジ袋の受け取りを断る。
・他の消費者団体との連携を強化し、協働して容器包装ごみの削減に努める。

3.活動内容
(1)研修活動を強化する。
・環境保全に積極的に取り組む事業所を視察し研修に努める。
(2)生活課題、環境問題の解決(社会的要請)に向けた活動を展開する。
・エコバッグを普及し、容器包装ごみを台所に持込まない。
(3)環境問題や生活課題解決のための市民フォーラムを開催する。
・「創造力で、未来を開こう」
・実践の発表とディスカッション
(4)関連団地との連携を強化し、地域の課題の解決に努める。
・他の消費者団体と協働して、地域の課題に取り組む。
(5)劇による環境問題の啓発活動
・劇(クロイソエコクラブ)の発足

4.活動内容
(1)研修活動を強化する。
・矢板市エコモデルハウスを視察する。
 エコモデル事業では、「環境基本性能の確保」「自然・再生可能エネルギーの活動」「エコ・ライフスタイルと住まえ方」の3つのテーマを基本的な考えとして、地域の特性を十分に生かした家作りを提案してた。
・日立ホーム&ライフリューション(株)栃木事業所見学
 栃木事業所冷熱事業部を見学した。家電製品の使い勝手や機能性と共にエネルギーの消費効率などについて、理解を深め豊かな地球環境を永く後世に引き継ぎ、さらに、生活の質を高める地球環境や私たち一人ひとりがどう行動したらよいか考えた。
(2)消費生活課題、環境問題解決のための活動を推進する。
 3R作戦+1R運動を強力に展開し、エコバッグの普及に努める。
 3R運動の一環としてのエコバッグキャンペーンを今年もスーパーの店頭を借りて実施した。チラシを配布し、「買い物には、エコバッグを持参しよう」とエコバッグを持参し、「レジ袋を断ろう」と呼び掛け、アンケートも行なった。
 アンケート調査(調査数296件)
○レジ袋の有料化をどう思いますか。
・賛成:84.7% ・やむをえない:14.2% ・反対:1.0%
 賛成とやむをえないを合わせると約99%で、この結果から見ると「レジ袋有料化」は、消費者の意識の高まりと共に、社会的に認知されていると言える。
○買い物には、レジ袋を持参しますか。
・持参する:46.6% ・時々持参する:32.4% ・持参しない:20.9%
 エコバッグ持参は、消費者の間で定着してきていると見ることができるが、21%もの持参しない人々を、どのようにして「エコバッグ持参運動の輪に巻き込んでいくか」が課題となる。
 「買い物には、エコバッグを持参しよう」とエコバッグ持参運動に取り組んで、早や12年もの歳月が流れましたが、当時はエコバッグを持参する人は少なく、多くの買い物客が大きなレジ袋を下げて店から出てくるのが普通の情景でした。会員手作りのエコバッグを配布したり、ガールスカウトのみなさんが応援に駆け付けてくれ、チラシ配りや買い物客への呼び掛けなど積極的に参加してくれた。12年間で約40回ものエコバッグキャンペーンを行ないました。今ではスーパーから出てくる買い物客の多くがエコバッグを使っているのが目につくようになりました。
(3)那須塩原市生活学校フォーラムを開催する。
 栃木県は1990年比で、温室効果ガスの5%削減を掲げていますが、平成20年度の時点で11.3%増加し、削減目標を11.8%も上回っています。この事実は、温暖化防止に関心はあっても、実践には繋がっていないことを示しているものと考えられます。
 環境問題は、このままだと大変なことになりますが、毎日の暮らしを少しずつでも変えていけば地球を守ることに繋がるはずです。
○温暖化防止シンポジウム
①実践事例の発表
 節水 シャワーの蛇口を節水型にしたら年間で、プール1杯分の水を節約することが出来た。
 節電 家庭の白熱球型蛍光ランプに替えたら室内照明のための消費電力を5分の1に減らすことが出来た。
 ごみの排出抑制 プラスチック容器や空き缶や瓶を徹底的に分別し、資源ごみとしてリサイクルのルートに載せる努力をしている。
②討論
 私たちの暮らしを環境に負担を掛けないスタイルにしていく必要がある。地球の温暖化を止めるためにも、その原因である私たちの暮らしを変える必要があります。
○賢く行動し、脱「つもりエコ」
 暮らしを「資源を大切にし、究極的にはごみ0社会を構築し、低炭素社会の実現を目指すためには消費者の意識を高める必要がある」と呼び掛け、3人の意見を聞き、討論に移った。
・近くでの買い物には、自転車で行くようにしている。宇都宮などへ行くときは公共機関を利用するように心掛けている。二酸化炭素排出抑制に努めている。
・我が家の省エネ度の低いのに気付き、我が家の省エネの重点をどこに置いたらよいか考えた。早速、節水シャワーヘッドを取り付け、節水に努めている。
・スーパーの店長から「市内の商店の足並みが揃えば、レジ袋を有料化したいと考え準備を進めている。過剰包装の抑制、野菜や果物のバラ売りなど環境にやさしいサービスを積極的に取り入れているが、スーパー側の考えを押し付けたくない」と話した。
・地球の温暖化を止めるためには、原因である「私たちの暮らし」を変える必要があります。これまでの資源やエネルギーの使い方を見直し、自然の力を借りたエネルギーにシフトしていくことです。小さなことでも皆でやれば大きな力になります。
 地球の温暖化を止めるには、その原因の一つである私たちの暮らしを変える必要があります。小さなことでも皆でやれば大きな力になります。「暮らしのエコ、もう一歩先へ進め、創造力で未来を開こう!」
(5)劇による環境問題の啓発活動
 劇を始めた動機は、生活展と環境展に生活学校の活動をホワイトボードに発表していたが、来場者の足を止められなかった。
 そこで、劇なら動きがあり見てもらえるかと思い始めた。知り合いが出演していたりして、興味を持って見てもらえたので、現在まで続けている。
・平成11年から平成23年までの12年間、活動回数98回
 活動 公民館講座、小学校、中学校、消費者のつどい、老人大学、環境保険センター、婦人会、自治会研修、お年寄りサロン、NPO環境団体、夏季講座などで公演している。
 レジ袋を学校へ持って行こう、賢い消費者になろう、マイバッグで買い物、私のエコクッキング、もったいないばあさんがくるよ、還付金詐欺にご用心などを取り上げました。
 メンバー 10名(生活学校会員)
・依頼先からは、お礼の手紙などを頂き、明日の活動への力としています。

5.まとめ
 家の中にあるものを見回してみると、パソコン、プリンター、電話機、冷蔵庫、エアコンなどどれも原料に化石燃料が使われています。石炭や石油は古代の植物や動物の化石が原料になっているのです。化石なら掘りつくせばそれで終わりです。
 ごみは資源だ。リサイクルしようとする動きがありますが、最も良いのはリデュース(ごみを減らす)です。いらないものは持たないようにする。いいものを長く使って、ごみにしない。もう一度使うリユースも優等生です。何かを作るときは必ずエネルギーを使うのです。化石燃料の使えない暮らしを想像すると、とても大変です。便利な生活に慣れた私たちが生きていけるか心配になります。私たちの世代で終わりではありません。次の世代にも残せるように今ある資源を大事にしよう。
 私たちは、増え続けるプラスチックごみの排出を抑制するために3つの「R」に、1つ「R」を加え、買い物にはエコバックを持参し、レジ袋を「断わる」運動を展開していきたいと考えています。