「あしたのまち・くらしづくり2013」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

鎌倉市における安心・安全に関わる支援活動
神奈川県鎌倉市 鎌倉ガーディアンズ
1.活動開始の経緯
 平成21年、毎年恒例の鎌倉市花火大会開催を前にして、現代表の大津定博は、主催者より約13万人に上る来場者の誘導等のための警備要員として、ボランティアを確保してほしいとの要請を受けた。以前より鎌倉市の各地域で、防犯パトロールの指導や年80回に及ぶ防犯教室・防犯講習等を継続して行なってきた大津は、ボランティアへの参加を市民に呼びかけ、同年7月鎌倉ガーディアンズ(略称はKG)が結成された。
 結成後、KGは、「自分たちの愛する街を自分たちの手で守る」という理念の下に、主に鎌倉市、鎌倉市観光協会、鎌倉市内の自治町内会、神社仏閣、教育機関、公益団体等の主催する催事・イベントの警備・防犯活動を開始した。

2.活動の概要及び実績
 結成以来4年、現在KGの活動は、①催事、イベント等の警備、②世界遺産登録候補地の見守り事業、③地震対策として、家具転倒抑止のための「突っ張り棒」取り付けのお手伝い(「死なない防災」事業)の三分野に大別され、これを「KGの三本の矢」と称している。

1.催事・イベント等の警備(第一の矢)
 KGは全国でも珍しい「イベント型防犯ボランティア団体」として、活動モデルを構築し、地域の方々に防犯活動に加わる契機を提供してきた。平成24年度(24年4月~25年3月)の活動実績は、32の行事、38回の出動で、参加者数は延べ489名である。これに後述の世界遺産登録候補地の見守り事業を加えると、69回の出動で、参加者数は延べ688名となる。
 催事・イベントの規模は、KGの参加者数でみると3~50名と様々である。APEC参加各国首脳夫人やオバマ米大統領の鎌倉来訪時の警備(平成22年11月)等国家的要請に対応した活動の一方で、地域に密着した活動を志向し、地元の自治町内会等財政規模の小さな主催団体のイベントにも積極的に参加するなど、きめ細かな対応に努めてきた。
 警備内容も来場者の誘導等の場内警備、神輿やパレードの随行警備等様々であるが、いずれの場合も催事・イベントに来訪される方々(観光都市鎌倉は市外からお越しになる方も多い)が、事故や事件に巻き込まれずに、楽しい思い出を胸に帰宅されるようにとの「おもてなしの心」をモットーに取り組んできた。4年間大きな事故もなく、急病人や遺失物への対応等に対し、主催者宛に礼状を多数いただいている。

2.世界遺産登録候補地の見守り事業(第二の矢)
 平成24年2月、世界遺産登録候補地である法華堂跡(源頼朝墓)が損傷されるという事件があり、KGは当日自主的に警備に駆けつけた。同年7月鎌倉市より正式に依頼され、ほぼ毎週、法華堂、朝夷奈切通、化粧坂(いずれも登録候補地)の「見守り」を続けてきた。(平成24年7月~25年3月で31回、延べ参加者199名)
 周辺の整備状況に変化があれば直ちに鎌倉市に報告した。また法華堂については、来訪される方々に歴史や由来を説明して理解を深めていただくよう努めた。
 鎌倉市の世界遺産登録については、残念な事態となったが、KGは今年度も歴史遺産保護のために「見守り」を継続している。

3.家具転倒抑止用「突っ張り棒」取り付けのお手伝い・「死なない防災」事業(第三の矢)
 平成25年4月より鎌倉市内のご家庭を対象に、家具転倒抑止のための「突っ張り棒」取り付けのお手伝いを開始した。
 防災の専門家によれば、家具の即時転倒を防止し、数秒でも転倒に至るまでの時間を稼ぐことが重要とされているが、実際はこのための器具の取り付けが、高い場所での力仕事となるため、特に高齢者や女性からは、作業が大変そうなので、取り付けていないという声が多く聞かれた。
 KGは地震そのものの揺れで命を落とさない=「死なない防災」の一環として、取り付けのお手伝いを行なうことを決定し、数ヶ月にわたり器具や取り付け方法の調査、取り付けの試行、KGメンバーへの取り付け方法の研修等の準備を行なった。
 取り付けを希望された方のうち、6月までに22件のお手伝いを実施したが、取り付けられた方より「1年以上も前に「突っ張り棒」を購入していたが、自分で取り付けることができなかったので、本当に助かった」などの声が寄せられている。今後も自治町内会のPRや、ホームページの活用に努めるなどして、月5~6件程度着実に実施していく方針である。

3.ボランティア組織としてKGが志向してきたことと今後の課題
 結成以来ほぼ4年を経過し、鎌倉市におけるKGの知名度、活動への理解度は相当程度高まっていると認識している。催事・イベント等の警備は、春、秋のシーズンにはほとんど毎週、各所で担当している状況にあり、警備を要請される主催団体からも現場における活動について、信頼いただいている。ボランティア組織としてKGが志向してきたことと今後の課題について以下の通りまとめた。

1.自主・自立(自律)型のボランティア組織
 KGはまさに地域の中から市民の手で、自主的に結成された組織であり、今後も地域に根ざし、地域住民の方々のために、お役に立つ自立(自律)した組織でありたい。現状120名の登録会員のうち、2回以上活動に参加した会員は80名であるが、この会員の中からコアメンバーというべき方々をさらに拡大していきたい。また自立(自律)化のためには、財政基盤をより強固にしていくことが必要である。

2.ボランティア組織としての自己完結型マネジメント
 KGの活動は、例えば催事・イベント毎に必ず担当リーダーを置き、リーダーを中心にP‐D‐C‐Aのマネジメントサイクルを徹底するよう心がけ、組織としての次の実践に生かしていくように努めている。会員がいかに共通の理念、目的意識を持てるかがポイントである。

3.訓練・学習と情報発信
 これまで警備については、警察、警備会社、病院等から雑踏警備の留意点や救急医療の基本等について実習、訓練を受け、また「死なない防災」事業では、活動の品質向上のため相当程度準備を行なってきた。引き続きこうした面での努力を積み重ねるとともに、世界遺産登録候補地の見守り事業のように、鎌倉市内の歴史遺産等の歴史や由来などについてより豊かな情報発信ができるよう研鑽していきたい。

「鎌倉を日本一安心・安全な町に!」を合言葉に、これからも鎌倉ガーディアンズは地域の防犯・防災に取り組んでまいります。