「あしたのまち・くらしづくり2015」掲載
あしたのまち・くらしづくり活動賞 振興奨励賞

少子化社会へ向かっている中での「子どもの健全育成の充実」
愛知県犬山市 特定非営利活動法人犬山市民活動支援センターの会
 現在一番求められているのは子どもたちへの健全育成事業です。

1 背 景
 子どもの世界から集団による「遊び」が無くなってから久しい。このことが子どもたちの間に「いじめ」、「学校に行けない」、「仲間とうまくつきあえない」などの問題が多く発生してきたと考えています。この現状に対して、何らかの解決策を考える必要性があります。
 また、地域のコミュニティ組織、NPOの活動の中でも子どもの健全育成は十分ではありません。また、ボーイスカウト、ガールスカウト活動はとても沈滞しています。

2 活動内容
(1)子ども大学の開校
 そこで真っ先に考えたのは、子どもたちに、自然の中での活動、文化的な活動などの多くの体験の場を作ることでした。平成16年度には、1講座最低10回開催を条件に「君もエジソンになれる」、「本当の国際理解って」、「子どもと福祉」、「原始人クラブ」、「太鼓の達人」など12講座で196人の子どもが参加してくれました。指導者は、地域の市民活動団体、高齢者などにお願いしています。
 平成17年度は17講座287人、平成18年度は18講座363人、平成20年度は21講座436人、平成22度22講座473人、平成26年度は20講座420人の参加となっています。子ども世代が減少する中でも400人台を確保しています。現在では犬山市内ばかりでなく周辺市町の参加者もわずかですがあります。ほとんどが小学生ですが、犬山市内に限定すると児童10人に1人参加している状況です。

(2)木曾川源流 夏・冬の交流合宿
 自然の中での活動は、子どもたちの心をとても素直にさせて友だちづくりに最適と考え2泊3日で子ども25人の参加を得て「夏の交流合宿」を平成19年度より開始しました。「冬の交流合宿」は平成23年度より開始しました(子ども25人)。
 活動内容は、夏は「砂金・水晶採り」、「沢登り」、「森林アドベンチャー」(樹上5メートルのところの綱を渡ったり、材木の上を渡ったり、木のブランコ風の上を渡ったりと危険を含んだものになっています。)
 冬は、「イグルーづくり」(雪をかごの中に入れ踏み固めてブロックをつくりそれを積み上げて家を作る)、「カンジキ履いての山登り」、「雪あそび」などです。
 危険とスリルを含んだプログラムでやり遂げた時に「ヤッター」を叫びたくなる感動体験を大切にしているプログラムです。「感動体験」は子どもたちに「やる気」を誘導するものです。

(3)東日本大震災避難者親子と犬山の子ども自然交流事業
 愛知県には東日本大震災で、被災され避難されてこられた方が、500世帯、1500人ほどおられます。その親子の方々に自然一杯の犬山で、犬山の子どもたちと活動を共同して行うことによって、ひとときの安らぎと楽しさを味わってほしいと計画しています。
 この事業は平成25年より秋に実施しています。活動内容は、例えば「ツリーアドベンチャー」、「魚を釣って食べよう」、「土と遊ぼう」などの5個の選択プログラムと、夜はキャンプファイヤー。2日目は、「熱気球搭乗」「防災教室」(トランシーバー交信体験、紙の食器づくり、伝言ゲームなど)などです。
 参加者は、避難者親子30人、犬山の子ども40人です。

3 活動成果
(1)子ども大学
 子どもたちが、自然の中であるいは文化的な活動を通して、多くの体験をすることと10回の活動の中で仲間との付き合い方、接し方を自然に身につけていけることができていると考えています。また、子ども大学で学習していた仲間と中学校へ行った時は、すでに友だちになっていることができます。
 「体験」は子どもたちにとっては、心の中に宝物を一杯詰め込むことです。大きな財産になります。

(2)木曾川源流 夏・冬の交流合宿
 自然一杯の中での活動は、友だちづくりに最適な場所であります。上流の自然環境が素晴らしいから下流域の水がとてもおいしいという。環境教育に最高の舞台です。
 子ども大学で、子どもにとって体験は「宝物」であるという意識が保護者の間に行き渡り、募集開始して3日程で定員に達しています。

(3)東日本大震災避難者親子と犬山の子どもとの自然交流事業
 犬山の子どもは活動の中で宿泊しながら仲間づくりに貢献できます。避難者親子は、この機会に避難者同士の交流もできとても喜んでもらっています。自然の中でわずか2日間ですが十分英気を養って帰っておられる様子がわかります。

(4)年間活動率
 4事業を通して、年間213日活動していることになります。年間活動率58・8%になります。

(5)地域との関わり
 各プログラムとも地域で活躍されている市民活動団体であったり、地域で活躍されている高齢者の方々です。この活動を通して、ネットワークを広げ、地域での子どもの健全育成に励んでおられます。