「ふるさとづくり'01」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

地域をはじめ家族ぐるみの国際交流
秋田県小坂町 小坂町国際交流協会
 小坂町に、国際資源大学校が開設され、平成3年3月には、世界20か国からJICA(国際協力事業団)の研修員が、3か月間滞在し研修することになった。
 町では、外国の方々と日常的に接するようになり、町民は、学校卒業以来もう2度と使うことはないだろうと思っていた英語に、また悪戦苦闘する状態になったのである。
 母国を、そして家族と離れて3か月間生活する世界各国の研修員に、小坂での研修を楽しんでいただこう、町民も世界の文化に触れさらに日本の文化を紹介しようと、平成4年4月1日小坂町国際交流協会を設立した。
 町民1人1人が熱意をもって、交流基盤づくりや交流活動を通して国際感覚を身につけ、いつでもどこの国の人とでも気軽に接することができる環境「国際フレンドリータウン」づくり活動を展開することになった。
 そして、町民を対象にした研修事業では、中高生海外体験旅行、英会話教室や国際町小坂づくり等を実施している。国際交流事業では、JICA研修員の国旗描きを始め、国際料理教室、フリートーキング、家庭交流プログラム、送別会等幅広く活動を進めている。


中高生海外体験旅行

 将来を担う若者たちに、国際交流を根付かせ世界へ向けて羽ばたかせる、中高生海外体験旅行は、昨年9回目を迎え、カナダ・ナナイモ市に10日間の日程で10人参加した。
 生徒に世界への目を開かせ、語学力のみならず国際社会で臆することのない資質を備えた青年「国際人・こさか青年」の育成に力を入れているのが、研修事業の一つである。
 英会話教室は、毎週木曜日に開催、35人が参加している。
 その他、ハロウィーンパーティー、役員事務局員研修、英会話カナダ研修旅行がある。
 「国際町小坂」づくり活動では、アカシアまつり(ストリートホッケー大会やフリーマーケット)、ワイン祭り(ホームページ体験や活動写真展)を実施している。また、広報「KIS通信」(年8回)発行、ホームページ更新(日本語・英語2か国語で国内外へ情報発信)等で組織強化を図っている。


JICA研修員との国際交流

 研修員との文化交流は、幅広く、機会あるごとに研修員と触れ合い、世界の文化に触れると同時に、日本の文化やしきたりを紹介している。小さな町ならではの付き合いは、人と人との心の絆を結び、少しずつではあるが確実に、世界に友人の輪を広げている。
 平成3年第1回以来、来町した国際資源大学の研修員は338人、67か国にのぼり、交流の広さを物語っている。
 町の中央公園の芝生を取り囲むメモリアルウォールに研修の記念に国旗を描く活動は、研修員が母国の国旗を描くという誇りと喜びを持ち、色具合一つにもこだわり熱心に描く結果は、大変好評を得ている。
 国際料理教室は、研修員が自国の料理を、町民と一緒に調理すものである。以前に来たことのある研修員から聞いて、日本で手に入らない材料を持ってきたり、全く料理の経験がない研修員は、家族からレシピを取り寄せ初挑戦するなど、楽しい和気あいあいの行事である。世界各国の代表的な料理を食し、その料理に込められた人々の思い、材料などを聞いてその国の文化の一端に触れることが出来るまたとない機会である。
 つぎに、研修員が1人45分程の持ち時間で、自国について紹介するフリートーキングがある。最近では、パソコンのパワーポイントを駆使しての発表になって、聞く側も直接映像によって、それぞれ国の民俗衣装や風景を見る事ができ理解しやすく、日本人に対してのみならず、研修員が互いに国の理解を深める一助にもなっている。
 一方、1家族あるいは数人の友だちグループがホストファミリー・ホストフレンドになって、研修員2人を1組みとして受け入れる、家族ぐるみの交流プログラムである。
 それぞれの家庭を訪問して夕食をともにしたり、誕生日を祝ったり、一緒に買い物・観光ドライブ・ピクニックに出掛けたり、その交流の仕方は様々であるが、ただお客様をもてなすのとは異なる暖かさがあり、本当の家族と同じように過ごしている。
 研修員は、ありのままの日本の家庭生活・文化・しきたりに触れる貴重な体験と、研修員と受け入れ家族が人と人との心の絆を深めるまでに至っているのである。
 今、日本中で国際交流イベントが盛んに行われるようになった。しかし、この国際交流は一時のお祭りムード的なところもあり、各方面でまだ閉鎖的であることは、否めない事実である。同会は、この閉鎖性をなくし、毎年20か国もの世界の文化に直接触れる、このJICA研修員との各種プログラムの継続と、新たに工夫をしさらに多くの人が参加する国際交流活動を展開する事にしている。