「ふるさとづくり'01」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

里山はふるさとの母になって
千葉県船橋市 丸山サンクチュアリ
 市内丸山地区のゴミが散乱していた雑木林の里山を、地主から借り受け清掃し、ボランティアで野鳥の森や野の花ゾーンに蘇らせ、マイフィールドとして会をつくり、活動しているのが、丸山サンクチュアリである。
 同会のメンバーは、森のボランティアとなって、里山にビオトープをつくり、自然観察会をはじめ、小学生や一般市民に自然の姿を指導している。
 昭和61年頃のこと、この里山周辺には広く田んぼがあり、いろいろな水鳥もおり、ホタルも沢山生息していた地帯であった。
 この里山での活動は、わがまち丸山の自然保全10年のあゆみと300年の歴史と文化財をまとめ、題して「自然への心」を出版、自然と文化財の保全に役立てている。


里山にビオトープをつくる

 平成2年、この森は市が地主から直接借りて、丸山市民の森(1.6ヘクタール)となった。
 さらに、平成4年に、藤原市民の森(2.1 ヘクタール)も出来、指定されたのである。
 この2つの森に、4つのゾーン考え、丸山サンクチュアリのメンバーは、ビオトープを造って、市民に自然の指導をしたり体験できる活動を行っている。
 その4つのゾーンは、
(1)野鳥の森。餌台と水場をつくり、野鳥の好む実がなる木を植え、シジュウカラ用の巣箱を12個、森の木々に取り付けている。
(2)カブトムシ牧場。この森には、クヌギとコナラの大木が多く、晩秋には沢山の落葉でジュウタンのように美しくなる。この落葉を腐葉土にして牧場をつくり、カブトムシを飼育している。
(3)野の花ゾーン。ここでは自生のキンラン、ヤマユリ、クララ、タチツボスミレが見事でありセンニンソウ、ヒヨドリジョウゴ、カラスウリも咲いている。ヒトリシズカ、フタリシズカ、エビネ、キツネノカミソリもあって、春から秋まで花を楽しむことが出来る。
(4)シイタケ園。昨年、藤原市民の森で、今年、丸山市民の森でコナラを間伐し、シイタケのほだ木にして、50本に菌を植え付けた。栽培は4、5年先であり養成中である。
 このように、里山にビオトープを造るには本当の自然を知らなければならず、森のボランティアのみでは困難である。会の代表は、10年間安孫子野鳥を守る会で、毎月手賀沼の探鳥会に参加、そして、伊豆沼、三宅島、富士山麓まで遠出し野鳥観察をした経験がある。
 したがって、メンバーは毎月1、2回こうした観察会を実践している。
 同会の目的は、自然を愛する人づくりである。そのため、二つの活動を行っている。
 一つは、森のボランティアと自然観察会である。もう一つは、里山に小さな生き物のいるビオトープをメンバーの手で造り、昔の自然の姿に保全し、地域の人々に喜んでもらうことである。
 森のボランティアは、毎月第1火曜日・第3土曜日が丸山市民の森で、第2火曜日・第4水曜日は藤原市民の森で、いずれも9時から12時まで、10人〜15人が出て案内、説明、指導の活動をしている。
 一方、こうした活動を、わがまち丸山の自然保全10年のあゆみと300年の歴史の文化財をまとめた「自然の心」を、第百生命フレンドシップ財団等の援助で、1200部出版、県・市関係者や地域の人々に無償で配布し自然と文化財の保全に役立てた。


小学校は森の探険を授業に組み入れ

 この森の遊歩道沿いには、万葉植物の木や野草が64種類もある。それぞれに万葉歌の札を付け、1000年以上前にもこうした木があり、人がこの名で歌を詠んだことを知らせている。草々にも名札を立て、散策やジョギングに訪れる人々が分かるように表示している。
 保育園の園児が、先生と共に自由に遊んだり、幼稚園児は、昼食の場に活用している。
 小学校は、船橋市立が4校あり森の探険を授業に組み入れている。
 平成11年、丸山小学校から、児童に直接自然のままの小さな生き物に触れさせたいと申し出があった。丸山市民の森では、森の野鳥と野の花、カブトムシ牧場で幼虫・蛹を見せ各組みに3匹づづ与え、飼育を指導した。
 法典東小学校は、沢山の落葉クヌギ、コナラ、シラカラのドングリ拾いをした。校長先生がネットを張って1坪程のカブトムシ牧場を造ったので、落葉が必要だったのである。
 藤原市民の森では、法典小学校が、地域の人々と関わりを持ちたいと、森のボランティアの日に、秋の野花を勉強しドングリ拾いをした。法典西小学校は、研究会で14人の先生が勉強に訪れ、会のリーダの案内で秋の花と実を勉強した。今年4月には、視覚障害者の会も里山の自然観察を始めている。
 里山は、ふるさとの母となって、森のボランティア活動が展開されている。