「ふるさとづくり'01」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

緑あふれる自然環境を活かしたまちづくり
新潟県上越市 平山町内まちづくり協議会
 上越市の西部、日本スキー発祥の地・金谷山にほど近い平山地区は、豊かな緑の広がるなかに開けた310余世帯が住む新興住宅地だ。それだけに住民相互の融和と連帯を求める声や、住民参加による地域づくりの機運が起こり、市行政の支援もあって、平成8年「平山町まちづくり協議会」が発足した。


住民自身で「まちづくり構想」つくる

 平成8年、まちづくりの拠点の一つに数える地区内キャンプ場の活性化を図るため、先進地を視察したり、住民の考えをアンケートで集約したりした。また、平山タウン・ウオッチングを実施し、平山町の夢やビジョンを語り合い、まちづくりについて協議し、住民自身で「自然環境を活かした平山町内まちづくり構想」を策定。市当局に提出した。
 新しいコミュニテイセンター建設には、計画段階から住民が参加して進めた。古くなった平山公民館は、手狭で老朽化していた。そのため新しい施設を望む声は多かったが、実現するまでには至らなかった。しかし、8年の協議会発足を契機に前進した。協議会は全世帯を対象にアンケートなどで住民の意見を取り入れながら、先進地の視察や建設予定地の測量・整地、施行業者との折衝、会館の名称公募、竣工式の準備・運営等々、建設までの多くを会員のボランティアで取り組んだ。
 こうして、新設となったコミュニティセンターは、車椅子でも入れる玄関やトイレなどを備えたバリアフリーにも配慮されていて、他地区のモデルにもなっている。住民のこの誇れるセンターは、いま、各種団体の研修・交流や多彩な趣味グループの活動拠点として、また、葬儀会場になるなど利用者は多い。
 協議会で管理運営している平山キャンプ場は、豊かな自然に囲まれた広大な広場と、静かな立木に囲まれたキャンプサイトがあって、町内のイベントなどを催す場として親しまれている。また、市内外から訪れるキャンパーの数も次第に増えている。この広場やキャンプ場の整備を、春、夏、秋にかけて行ってきた。八重桜や吉野桜、ヤマボウシ、ナナカマドなどを植樹し、車椅子も可能な水洗公衆トイレや大型テーブル、ベンチ、炊事場などを設けて、年々充実させてきた。
 12、13年には、会員と町内のボランティアで、広場周辺の雑木の枝落しや公衆トイレの雨樋取り付けと同トイレ前の花壇造成、 野鳥の餌台作製、大案内板の設置、子どもたちのためにカブトムシの繁殖などを試みた。


楽しいイベントや快適な環境づくり

 夏の子供会バーベキュー大会や町内納涼盆踊り大会、冬のさい神祭りなどは、年を追うごとに盛大になり、近隣町内からの参加はもとより、なかには遠く北海道や九州・鹿児島からも訪れたキャンパーもいて、楽しい集いの場となっている。
 花いっぱい・ゴミゼロの快適な環境づくりにも力を入れている。主に老人会の定例活動や夏季休暇中の中学生らのボランティア活動がそれを支えている。平成10年には、二つの県道が交わる交差点脇に、30坪からの大型花壇を造成し、また、県道の街路樹下にコスモスなどの草花を植え、いま、美しい花が咲き誇っている。
 地区内には、人目に付かないところで、家庭ゴミや冷蔵庫などの家電製品、農機具などが不法投棄されていた。こうした現状に対処して、ゴミゼロを目指す町内一斉クリーン活動を春、夏、秋の3回実施している。この活動も年々盛んになり、家族総出で参加する家も増えている。
 また、協議会では、ゴミ分別とリサイクル率アップを狙いに、広報活動に力を入れているが、12年には、「市環境まちづくり事業」の指定を受け、「ごみの減量化と分別学集会」を開き、住民の環境問題に対する意識を高めた。子どもたちには、「子供版地球環境パスポート」を発行したり、市の「親子環境体験ツアー」でリサイクル施設を見学するなど、子どもたちも貴重な体験を積んでいる。
 住民自身で策定した「まちづくり構想」は、着実に地域に根を下ろしてきた。まず、活動の過程から、住民の間に「自分たちのまち」という連帯意識が次第に高まってきた。町内3大行事「盆踊り大会」「大運動会」「さいの神祭り」をはじめ、さまざまなイベントやボランティア活動などに大勢の住民の参加が見られ、交流の輪が広がっている。
 古くからいる人も、転入して間もない人もへだてない融和が生まれている。そして、まちづくりなども「こんなことをしてはどうか」や「誰々さんはこの仕事が専門だから頼もう」というような、積極的な姿勢に変わってきた。
 「町内は人材の宝庫」も実感している。さまざまな職業の人がいて、建築や防災、救急医療、看板づくり……などの問題で、事欠かないほどに需要があり「町内人材バンクの登録」も待たれるこの頃である。