「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

おいしいあわびでマチづくり
北海道熊石町 北海道熊石観光協会
 豊富に湧き出る温泉を利用した、あわびの養殖施設と生産体制が整備され通年供給を可能にした熊石町。平成7年から「あわびの里くまいし」をキャッチフレーズに、「あわび食街道・いにしえ食街道・浜焼き街道」等のコーナーを設けたフェスティバルを開催し、水産と観光産業の振興を目指し、昭和36年発足の「北海道熊石観光協会」(代表・長水憲一さん、メンバー数130人)は、マチおこしに励んでいる。


見て・食べて・遊べるイベント

 当地のあわびは、江戸時代、松前藩を通じ幕府に献上した歴史的な関わりにスポットを当て「あわびの里くまいし」をキャッチフレーズにした祭りである。
 このイベントでは、三つのメイン食コーナーがある。1つは「あわび食街道」で、あわび北海鍋・浜のかあちゃん鍋・あわび釜飯・あわびちらし寿司・生あわび丼・あわびカレー等、あわびづくし料理を提供。「いにしえ食街道」では、くじら汁・鯨の身入りソーメン・ほたておこわ・イカから揚げ・つぼこ・べこ餅等、町の郷土料理。
 もう1つの「浜焼き街道」は、活あわび・青柳貝・イカやホッケを常設の炭火焼き台で、自分で焼いて食べられる。新鮮で「贅沢な・懐かしい・豪快な」食材目当てに長蛇の列で大変な賑わいを見せている。
 この他、漁協は、イカやホッケの一夜干しを目玉に新鮮な海産物の販売。農協は、農産物や黒石米のおにぎり販売。商工会青年部は、ビヤガーデンを担当、食コーナーを盛り上げる。
 また、ステージでは郷土芸能「奇岩雲石太鼓や相沼奴道中」の披露を始め「あわび殿様献上儀式」、「あわび宝もちまき」「あわびつかみ取り」、「スッポンダービー」、「よさこいソーラン踊りや歌謡ショー」等、来場者のみんなが参加できる多彩なイベントに工夫を凝らしている。


通年型観光地を目指し

 このフェステバルは、総括・全体進行・食材計画・イベント計画・会場設営・特産品販売・交通警備・接客案内の八部門の組織で、1年かけて協議や準備をし開催している。
 開催初年の来場者は5000人であったが、今年第5回は、15000人にまでに膨らんだ。これは、同会がテレビやラジオ等、マスコミを通じて、イベント宣伝の強化を図ったことや町当局の助成もあった。それに、何よりも町民のマチおこしに対する意識が高まったことと、より質の高いイベントを追求する、運営メンバーの努力が活性化をもたらしたのである。
 こうした、予想以上に高まったイベントの効果が、漁業者に生産意欲を向上させ、さらなる、あわび養殖施設の整備拡充につながっている。
 同会は、このイベント効果の持続を考え、町内の旅館や飲食店にあわび販売用の水槽を設置、観光客にいつでも供給できる体制を整備した。今年は、あわび販売業者用ののぼりも設置する予定でいる。それに、これまでの、夏型や通過型観光地から通年滞在型観光地への脱却を目指し「あわびの里くまいし」のマチおこし活動が続いている。