「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

魅力ある山里づくり
秋田県山内村 麓友会
 10年前、地域のコミュニケーションを深め楽しい村を築こうと、住民の力を結集し、冬期間でも安心して活用できる集会施設「麓友館」を建設、周辺に子どもの遊び場も造成した。これを契機に「麓友会」(代表・下タ村基作さん、メンバー数10人)を結成。村祭りの復活や雪中運動会の実施、遊水の里づくり構想の提言や自然の恵みを利用した施設を手作りで整備する等、魅力ある山里づくりを目指した活動を展開している。


ミニ水力発電を考案設置

 ここ山内村三又は、人口400ほどの集落である。かつては共同作業などを通じ住民間の強調性も培われ、伝統的な行事も活発であったが、次第に薄れてきた。集落の中心地の小高い丘は鎮守の森で、400年以上の歴史をもつ大山祗神社があるが、春秋の例年祭も淋しくなっていた。
 そこで同会は、何とか昔の賑いを取り戻したいと話し合い、子どもたちが喜ぶ手作りの屋台やゲームで楽しむコーナーを設けてから、年々賑やかになってきた。それに、集落を3地区に分け、輪番制でかくし芸の発表会を行い、伝統の三又神楽も復活した。今では、地域の老若男女が大勢集う、一大イベントになって継続している。
 つぎは、数ある砂防ダムの落差を利用した、ミニ水力発電の考案設置である。最初は、水車の羽根にトラクターの、廃物となった代かき用車輪を利用。2番目には、ステンレスのボールを溶接し使用。現在は、消火器の筒を利用し五年ほどになる。このクリーンエネルギー電力は、約100ボルトで山頂にジャンボイルミネーションを設置、黄・赤色1000個の電球で通年ライトアップしていて、地域のシンボルとなっている。
 冬期間、2メートルを越す豪雪地帯での楽しい行事に、雪中運動会がある。馬力競争や子どものスキー大回転、婦人の風船割競争等、盛りだくさんの種目で楽しむ。
 同会は、前夜祭と当日競技のジャンボ迷路を作ったり、ミニかまくら300個にローソクを灯し、山頂のイルミネーションとマッチさせ、メルヘンの世界を写し出す。近年は、見物や写真撮影の人びとも多い。


遊水の里づくり

 この集落は、横手川の源流にある。川に清流を取り戻すため河川の草刈りやクリーンアップを実施するとともに、渓流に建造されている砂防ダム12か所、治山堰堤20か所の水辺空間を利用した「遊水の里づくり」を構想し、同会が提言した砂防工事も、自然にマッチした石積み工法で進んでいる。
 ここに、水遊び場・釣り場・かじかの館・炭焼き場を作り、交流広場や憩いの場に整備する計画でいる。また、清流には、サンショウウオやカジカなどの放流を考え研究を続けている。
 これまで、自然型工法で工事の進んだ沢では、お盆に帰省する仲間を迎え、毎年「渓流まつり」を開催してきた。
 沢に1000匹の魚を放ち、内外の人びとが参加する釣り大会・イワナ400匹を放ち、子どもたちのつかみ取りなどをする。会員はこの日に向け、沢水を利用したマスの中でイワナを養殖している。
 同会は、遊水の里づくり構想の実現に向かって励んでいる。