「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

よみがえらせよう成ケ島
兵庫県洲本市 成ケ島を美しくする会
 成ケ島は、洲本市由良町を囲むように浮かび、海浜性植物が群生し、ハヤブサなどの営巣地であり、ウミガメの産卵も確認される豊富な自然が残る島である。かつての国民宿舎やキャンプ場が、昭和61年に宿舎も定期渡航船も廃止された。この荒れ放題の無人島を蘇らせようと、平成元年「成ケ島を美しくする会」(代表・山中千春さん、メンバー数160人)を結成。
 清掃活動・松の植樹・成ケ島祭り・由良中学校生徒のクリーン作戦や自然観察会等の活動を通じ、行政や住民の関心を高め、水洗トイレが設置される等、数々の成果を挙げている。


自然の渚を残す清掃活動

 同会の活動は、成ケ島を美しくするために、発足当初から定例の清掃活動を続けている。しかし、綺麗にしたはずの島は、次の清掃時には、前回と同じようにごみが多く漂着し、ひどい汚れである。はじめは、由良地区住民のマナーが悪いと嘆いていた。ところが、大量に漂着するごみの原因は、専門家の研究によると、大阪湾に流れるごみが、埋め立て護岸や港の垂直護岸には漂着せず移動し、時計回りの海流に乗って、自然海岸や自然の渚が残る成ケ島に流れ着くということが分かった。
 このことから、大阪湾に流れる河川に何気なく捨てたり、落したごみが、成ケ島の貴重な海岸なぎさの汚染原因であることを周知する対策を立て、広域にわたる活動展開を考えている。
 また、清掃後のごみを以前は、海岸で野焼きで処分していたが、由良中生徒がクリーン作戦の際、ダイオキシン発生が気がかりと指摘され、現在は市の協力を得て、島から搬出し市の焼却場での処分に切り替わっている。


成ケ島の魅力を次の世代へ

 この島の現状やこれからの島を考えるをモットーに、年に1度、成ケ島まつりを実施している。釣り大会・お茶の接待・漂着物コンテスト・グランドゴルフ等、皆で楽しむ企画である。
 昨年は、5回目を迎え、老人・婦人・子ども会、由良小PTA、あわじぼんぼこおやこ劇場等の協力で「成ケ島・鬼を助けにゴミ退治!」と銘打ち、ウォークラリーの中に、ゴミ拾いのプログラムも組んだ。500人の参加者で島はにぎわった。
 また、3年前から由良中学校成ケ島クリーン作戦が、生徒会主催で実施されている。当日は、PTAも参加し豚汁とおにぎりで接待、一緒に清掃活動にも参加する。全員半日がかりで努力するが、大量の漂着ゴミは一部分がきれいになるだけで、生徒たちはこの先どうすればよい環境に保てるかを自覚している。
 今年、同中学校からトライやるウィークに、「島で清掃活動を希望する五人の生徒を指導して欲しい」との要望があった。会員は、午前中は清掃、午後は島の魅力を肌で感じられる自然観察プログラムを立て対応した。島のよき理解者を得たと思っている。
 さらに、由良小学校の土曜ふれあい学級では、5、6年生に環境問題や島に関する授業を行った。こうした活動は、行政や一般市民の理解を高め、平成8年に定期渡船が復活、翌年には水洗トイレの設置を見る等、成果が現れてきている。