「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

福祉を土台に古里づくり
奈良県奈良市 平城西地区社会福祉協議会
 平城西地区は、昭和40年代に京阪神のベッドタウンとして開発された地域の一部で、自然に恵まれた高級住宅地である。
 住民は、地域活動への関心が薄く、地域連帯や触れ合いの機会も少ない状態にあった。そこで、福祉活動を通じふるさとをつくろうと、昭和60年「平城西地区社会福祉協議会」(代表・石橋孰さん、メンバー数75人)を設立。老人給食・在宅福祉・子ども教室活動等で触れ合いの古里づくりに励んでいる。


老人給食活動

 同会が、最初に取り組んだ活動は老人給食、メンバー5人で個人の台所を借りて炊事し、一自治会を範囲に月1回、十食程の配食であった。希望者が増えても対応できる能力がなく、細々の開始から2年続け、対象者との触れ合いを深めた。
 ところがこの活動は、地域で評判となり、折しも計画中の自治公民館建設に拍車をかけ、炊事場の利用を確認、本格的な給食体制を整えることができた。そこで同会は、全地域の80歳以上の独り暮らし・寝たきり老人、身体障害者に給食希望を募ったところ30人もあった。その後、年々増える状況で、炊事・配食のボランティアを募った。嬉しいことに80人余の参加があり、今日まで給食準備・炊事を交替制で対応している。
 さらに、給食者の増加に伴い、最近新築の自治会集会所に移転、ここでは、会食と同時に健康相談等も行っている。この他・高齢者居住の門標表示(火災等有事の時の優先先)・介護教室教材の充実(講習教材の無料貸し出し)・よろず相談委員の設置(行政との諸手続きや施設案内等)・高齢者保護対策協議会結成(保健婦、消防、交番等の連携)、と在宅福祉を視点に入れた数々の活動は評価され、マスコミも注目し、報道している。


子ども教室の開設

 学校5日制がスタートした翌年、地域の動きが見えないことから同会は、児童福祉の立場で「水彩画・囲碁将棋教室」開設を決め希望者を求めた。水彩画教室は、小学校の学習とも一致し父兄の評判もよく30人も希望してきた。改築の新集会所を教室に、老人クラブ絵画趣味会の会員3人が指導に当たった。
 この1月後、囲碁将棋教室を開催、50人もの男子児童が集まり、道具が不足し交替で使ったり、初心者は1か所に集めて駒の動かし方を説明したりの苦慮があった。
 一方、囲碁はちょっとむずかしいとあって、当初は4人程での熱心な対戦であった。ところが、こうした中から県大会で優勝し、全国大会に出場した者も生まれている。現在、この教室は女生徒も混じり40人程に定着し、7人が指導に当たっている。
 それから2年遅れで、女子児童に向けて「編み物教室」を開設した。これは、会の活動を取材に来た読売ライフの女性記者の言葉がヒントになり、幸い地域に編み物同好会が活動していて、会員四人が指導を引き受けている。会では、編み針・毛糸等を負担し、小学校で作品を展示している。参加者は20人程で開設当時と変化はない。この会の活動は、10数年の積み重ねが相乗効果をあげ、触れ合いの和をますます広げている。