「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

住民のデザインによる南欧風の街並みづくり
千葉県館山市 館山駅西口地区街づくり協議会
 房総半島の最南端、南欧風のオレンジの屋根と白い壁の建物が並ぶまち、館山。一年中花が咲き乱れる温暖の地に映えた美しい街並みは住民と行政の協働によって実現したものだ。「館山駅西口地区街づくり協議会」(代表・山田忠義さん、メンバー数50人)は学習会や意見交換会を重ね、住民・行政に提言し、街づくりをリードしてきた。


住み良さに加えて個性ある街づくり

 館山駅西口地区はJR館山駅に隣接した中心市街地。しかし同駅には西口がなかったことから東地区と分断され、整備が遅れていた。特に道路、水路等が未整備なことから、防災・交通・衛生面等の環境阻害が見られた。それらの改善とあわせ、館山駅東西歩道橋の建設が求められていた。
 市が西口地区土地区画整理事業をスタートさせたのは昭和63年。これを契機として「住み良さに加えて個性ある街にしたい」と地区内の有志が集まり、平成3年の同会設立に至った。
 同会が提言したのは、温暖な気候、海と花と緑の恵みを活かした南欧風の街づくり。建築物の屋根はオレンジのS瓦、壁は白、高い塀は造らずに生垣とし、電柱は民有地内に入れる等約束事をつくった。さらに同会は住民・行政の協働を得るため様々な研究を行った。S瓦の材質・色彩の検討、値引き交渉。潮風に強い樹木の研究、植栽実験。安全・景観を考慮して無電柱化を市に要望。その他様々な街並みのデザインも研究した。
 その結果、今では地区の90%近い人々が南欧風建物を建築、表札や商業用の看板等も南欧風に改められた。行政は歩道、街路灯、案内板などに同会のデザインを採用、無電柱化についても地区全体とはならなかったが、都市計画道路・駅前交通広場については採用された。もちろん水路等も改善され、住みやすく個性のある街並みが実現したのである。
 駅歩道橋建設については、通路だけでなく橋上駅を要望、平成4年に2万7000を超える署名を添えて請願書を提出、市議会において採択された。しかも南欧風のデザインが取り入れられ、「関東の駅100選」に選ばれた素晴らしい駅舎が平成11年に完成したのである。