「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

住む人も訪れる人も楽しい村づくり
新潟県栃尾市 とちお 夢しお21
 “住むも楽しく、訪れるも楽しい”ふるさとづくりの展開を目指し、栃尾市の天平、沖布、大野原の3集落の有志で、「とちを 夢しお21」(代表・葛綿弘義さん、メンバー数・76人)を組織。過疎化・高齢化の進む農山村で、特産品の開発や花いっぱい運動などで、地域に夢の計画をひとつひとつ実現している。
 平成7年10月、定年退職した幼馴染の3人が発起人となって、地域の将来の構想や夢を描いてみようと呼び掛けた。それに応じた33歳〜70歳の男性41人、女性11人の計52人で、月1回の勉強会がスタート。活動は、歴史や文化を掘り起こす文化部、農業を考える生産活動部、資源の活用を研究する開発部、健康な暮らしを創る生活環境部、ふれあいと交流のイベント部、ボランティア活動を進める奉仕部の6部をベースに始めた。


展望広場・農業生産・協業化と次々実現

 活動は、地域の探検・診断から取り組んだ。石仏、不動尊、伝説の塩井などを宝物探しと位置付ける一方、アンケート調査では、小学生以上のほとんど全住民を対象にし、住民のニーズ、総意の把握に努めた。その結果を「夢づくり計画」にまとめ、夢の実現に向けてメンバーは動き出した。
 平成9年からは、遊休地を借り上げ、共同で野菜づくりに取り組んでいる。粟やソバ、雪化粧かぼちゃ、ししとうなどを栽培し、「夢しおフレッシュ野菜」と銘打ち、女性たちも負けずに、婦人高齢者活動資金の融資などで「手作り工房・夢しお」を建設。共同で粟餅や白餅、草餅、笹だんごなどの加工食品を、これも「夢しおブランド」と銘打って、ともに販売している。
 「楢山展望広場」は、小山の頂上付近の雑木や笹を伐採して作った2アールほどの広場からの眺望もよく、散策コースとして親しまれている。昨年8月に完成した「夢語る丘公園」は、村をあげて取り組んだ。山裾に桜、その上にもみじなどを植樹、頂上のぶな林の中に東屋を建てた。植樹した木々は、区民がオーナーになって管理にあたり、「区民の憩いの場・交流の場」となっている。各種交流会も始まり、炭焼き工房も完成した今、次への大きな夢としてメンバーが描いているのは、温泉「弘法伝説塩の井」を活かした「健康ランド」の建設などだ。