「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

猿鬼伝説で地域おこし
石川県柳田村 当目公民館
 地域に残る「猿鬼伝説」に着目。“猿鬼”(さるおに)にこだわった様々な特産品を開発するなど、過疎化に悩む山村の活性化に意欲を燃やすのが「当目公民館」(代表・棚田昭男さん、メンバー数・26人)で、自治会代表や地区選出村会議員、各種団体代表者らで運営審議会を構成、広く全住民の活動に発展している。
 昭和62年、過疎化による地域の衰退に憂いを抱く地区の青年たちが、「明日の当目を考える会」を結成、地域独自の「オンリーワンのまちづくり」として、「猿鬼伝説」に着目した。まず、伝説にちなんだアイデアなどを村民から募集し、活動を始めたが、その後活動母体は既存組織の当目公民館に移り、同館を拠点に各種団体が協力して取り組む、全住民の活動となった。


キャラクター商品やビッグイベントを次々と

 猿鬼伝説が村の民俗文化財に指定されていることを知る人はごく一部の人に限られていた。それをより多くの人に伝えるために、ストーリーを15枚のマンガにまとめて紙芝居を作った。
 平成2年には、当目小学校の仲谷教頭が物語に曲を付けて、猿鬼伝説のオペレッタを作り上げた。子どもたちの授業に取り入れ、生まれ育った地域に誇りを持たせたい思いからだった。
 猿鬼伝説は、調べていくにしたがって、能登半島一帯に広く分布していることが分かった。それらをひとつに集大成した猿鬼伝説の本を平成5年に出版。盛大に祝賀会を開いた。
 村で栽培するブルーベリーのワインにも、「能登ワイン猿鬼伝説」とネーミング、村の特産品としての地域色をアピールした。
 7年には、第3セクター「柳田食品(株)」を設立、村内でワインを醸造できるようになった。また、村内のそば屋も「猿鬼そば」をメニューに加えるなど、「猿鬼」は、地域のキャラクター商品として、すっかり定着した。
 「猿鬼歩こう走ろう健康大会」は、走るだけではなく、野山や川辺を歩いて自然とのふれあいを大事にするというユニークな企画が人気を集め、11年の13回大会には全国から2000人もの参加者を集めるビッグイベントに成長した。また、夢だった全国鬼サミットの開催も来年に決まり、本年度の村の事業で、猿鬼の宮周辺の整備や案内板の設置も予算化された。