「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

地域を守り育てる心―小さな地区の大きな夢―
岐阜県明宝村 小川ふるさとづくり委員会
 村の中心部から車で40分も入った山間の小川地区は戸数80戸。ご多分に漏れず若者の流出などで地区人口は減り、過疎化や高齢化は進むばかり。こうした問題に対処して地域の活力を引き出そうと「小川ふるさとづくり委員会」(代表・山口忠次さん、メンバー数・100人)を組織して、活動が始まった。
 小川村自体は、近年、観光産業としてのスキー場や特産品の生産・販売等が軌道に乗っていたが、山間僻地の小川地区は、その恩恵を受けることができなかった。しかし、素朴な農村景観や水辺環境あり、伝統文化あり、人々のふれあいありという良さを生かして、地域に活力を取り戻そうと、昭和55年、小川ふるさとづくり委員会を組織して、活動は始まった。


環境美化や楽しいイベントに心躍らせ

 地区では、以前から地域の景観保全や環境美化活動に熱心に取り組んできた。集落内の道路や家の周りなどの花いっぱいが、春から秋の3シーズン見事な競演を繰り広げる。加えて今年4月、県道沿いに2000本の花桃の木を住民総出で植えて、早くも来年5月、花の咲くのを楽しみにしている。
 平成2年からは、普段渓流釣りを楽しめる地区内の弓掛川で「あゆまつり」を始めた。子どもから大人まで、住民みんなのコミュニケーションを深めようと、毎年8月、鮎の網解禁の日に合わせて開催している。祭りは年々スケールアップし、地区外からも大勢の人が訪れ、地区の一大イベントになっている。
 11人の児童が学ぶ小学校は複式学級だ。この学校も活動の大事な拠点となっている。伝統的に花づくりを教育に取り入れている学校では、父母や委員会のメンバーも一緒になって土づくりや花壇づくりに励む。また、12月から2月の冬季には、子どもたちのために学校の近くの空き地に水を張り凍らせてスケート場を作り、教職員やPTA、委員会のメンバーたちで、期間中真夜中まで子どもたちの滑走を見守ってやるのである。
 伝統文化「地芝居」は、役者から道具係りの全てを住民が担う中で、地域の団結も確認する。また、今年は鎮守の森につながる延長500メートルの遊歩道を2か月かけて完成させた。100人からのボランティアの惜しみない協力があった。