「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

身近な川を大切にする心を養う
沖縄県具志川市 具志川市水と緑を考える会
 年々汚染が進み、生活用水や環境への悪影響を問題にしていた市婦人連合会といどばた生活学校の活動を前進させて、行政や市民団体が広く結集した「具志川市水と緑を考える会」(代表・佐々木末子さん、メンバー数・70〜100人)を結成。全市的に、清流を取り戻すふるさとづくり運動を展開している。
 平成9年4月に発足した同会は、子孫に残せる水と緑の環境保全のために、流域環境の現状や将来のあり方、調査・研究や活動の波及・浸透などを狙いに活動に着手した。全長12キロメートル余の「天願川水系河川環境管理計画」を知るため、天願川流域ウォッチングツアーや河川工事現場の説明会などを実施。今後の課題で県や市の関係行政機関との研修会や講演会、専門家を交えた環境フォーラムなどを開いた。


市民参加で多彩な調査・研究から取り組む

 行政で助成している「調査・研究」から、まず取り組んだ。小中学生や地域子ども会、PTA、自治会などが協力して、1.水棲生物調査、2.河畔林調査、3.野鳥観察、4.河川環境調査、5.一斉採水調査、6.排水路・流量24時間リレー調査、7.流量解析、8.水質の季節変化調査、9.湧水調査―と実に多彩だ。
 この調査結果から、提案も生まれている。1.「春の小川」改修工事では、瀬や淵など生態系に配慮したビオトープ(生物棲息空間)を創出する、2.行政と共同で排水路に浄化升の設置、3.天願川の清掃や筏下りを通して、青少年の自然と親しむ機会や環境学習に役立てる、などだ。
 活動は、一般市民や子どもたちが、自由に参加して、調べることの楽しさ、発見した時の感動を共有する喜びにウェイトをおいた。そこから、身近な天願川を大切にする心を養うことにも通じるからである。現に、天願川流域8自治会で「流域子ども会」が発足。保育所職員や親子で「ちょうちょ愛好会」の設立も近い。また、「第2回川づくりワークショップ全国大会」では3位入賞も果たしている。
 活動には、多様な人材が集まっている。子ども会やPTA、教職退職者、大学人、水質・植物・行政・マスコミなどの研究家等、宝のような多数の“わか者、よそ者、ばか者”たちだ。