「ふるさとづくり2001」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり振興奨励賞

地域コミュニティの構築による地域の活性化
熊本県 長洲町
 かつて、半農・半漁で栄えた長洲町。昭和39年新産業都市の指定以来、工業の町に変貌した。町は、道路を始め箱物等の公共施設の整備、いわゆるハード面を中心に行政主導でまちづくりを推進し、住民福祉の向上を図ってきた。
 一方、企業の進出による新住民は、地域のしきたりに馴染めず新旧住民の合意形成はおろか、区の奉仕作業や地域行事への住民参加も減少、地域の伝統行事の継承も危うい現象が現れた。
 そこで、地域の特性と住民の声を広く、行政施策に反映させ住民とのパートナーシップでまちづくり「一区一創運動」を推進、地域コミュニティの構築に向け、平成10度から実施。


住民参加によるまちづくりの推進「一区一創運動」

 一区一創運動は、住民に積極的な行政参加を促し、住民主体で、自主性と創意工夫を生かし、地域の現状に即し「夢・ひと・モノ・和を創る」活動を通じて、地域コミュニティの形成を図り、活き生きした町を創る運動である。
 その取り組みのひとつ、広場や公園がない永方区。区民が無償提供した1000平方メートルの竹林を全区民の労力や技術を結集して伐採、整地して「ふれあい広場」を造った。現在、花壇づくりやグラウンドゴルフ等で賑っている。
 次に、老人世帯や1人暮らしが、半数を超える西新町区。「地場(爺=じい・婆=ばあ)ネットワーク」を創り「向こう3軒両隣」的な活動で、区を5班に分け、輪番で班長・緊急連絡・家庭訪問係を決め、話し掛けや買い物の手伝い等。地域の再構築と高齢者が安心して暮らせる地域を目指している。
 また、赤田区「環境美化ビレッジ」は、町道の空き地を花壇に。「地域を見つめ直すウォッチング」活動をする出町区等。各区それぞれ現状を踏まえ、話し合いを重ね、環境・健康・福祉・教育・伝統文化等をテーマに取り組んでいる。
 町には39の行政区があり、3年目の現在、30区で取り組みが見られるが、新旧住民の混在する区は、未だ話し合いの動きもない状況だ。主体的な住民活動を支援・調整する姿勢で、住民同士の対話を粘り強く働きかけている。今後は、町全体へのまとまりへと広げ、まちづくり推進協議会の設立を目指している。