「ふるさとづくり2001」掲載
<企業の部>ふるさとづくり振興奨励賞

バリアフリー環境の実現に向けて
徳島県羽ノ浦町 羽ノ浦町商工会青年部
 羽ノ浦町は、那賀川に接し川上の林業に関連した加工業を中心に発展してきた。全国的な少子・高齢化の傾向は、同町も急速に進み、高齢者対応型の地域づくりが注目されている。
 これまで、イベント中心の活動であった「羽ノ浦町商工会青年部」(代表・橋本栄一さん、メンバー数・19人)は、話し合いの中で、各自の仕事を見直し、時代の流れに添い、商売人の跡取りが地域に貢献する「小番頭」活動を開始。町内のバリア・障壁調査、人に優しいスーパー改装、下駄箱で段差解消装置製作等、若者の目線で住みよい町づくりを進めている。
 まず、町内のバリア・障壁の現状把握は、建築士の部員たちが車椅子に乗って、役場を始め公共施設や商店等、l00か所について入口の有効幅員・通路・段差・駐車場等を調査した。
 調査の結果は、スロープがあり、踊り場はない、入口は開き戸で不便なケース。一方、駐車場から入口までフラットで、店内の陳列台やレジも低めに設定し車椅子でも便利な商店のケース。新しい店舗で有効幅員が狭い等バリアは大きく、障害者や高齢者には不便な現状であることが判明した。


人にやさしいスーパーに

 改造調査データを検討する中で、仕事に活かすにはバリアフリーに関する専門知識の習得が必要であるとの結論に達した。そして、徳島ユニバーサルデザイン研究会に参加、理論的裏付けと専門的な役割を習得。さらに、昨年度から東京で実施の、福祉住環境コーディネーター試験を部員2人が受験し取得した。
 こうした経緯から、部員の事業所に、新しい店舗は誰でもが利用しやすい店にと要望があった。そこで、県の条例で定められた施設はバリアフリーの対象だが、対象外の施設でも必要との考えで計画、レジ回りのレイアウト、主通路の幅員、入口は二重の自動ドア等、バリアのない店舗に改造した。
 一方、建設関係の部員は、高齢者の家庭で下駄箱を利用し段差解消の装置を製作した。県内家具業者団体のデザイン展で好評を得、徳島市の豊齢化商品・Gブランド認定を受けた。
 同部員は仕事にユニバーサルデザインの視点を取り入れ、今年の福祉住環境コーディネーター試験に、残る全員が挑戦する。