「ふるさとづくり2002」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり賞 内閣官房長官賞

住民の4倍を超えた『Eメール村民』の村
石川県 尾口村
 尾口村は、石川県の東南部に位置し、金沢市から南に約35km離れた日本三名山の一つ霊峰白山の麓にあります。石川県で一番人口の少ない村で、全国で30番目の少ない村です。(平成14年7月6日現在住民787人・Eメール村民は3251人です)
 少ない住民を増やすことが村の活性化になる、しかし現状ではなかなか増えない。人口が増えなければ、住民を増やすことで村の活性化になるのではないか…と、平成11年11月1日にスタートしたのがEメール村民制度です。
 Eメール村民制度をスタートした時は、尾口村のホームページは4年間で4040件のアクセスでした。白山麓1町5村の地域では一番多く、次に多い村で600件以下でした。現在、10万3500件を超え、スタートした1年は、毎月3000件くらいのアクセスがあり対応に苦労しました。どうPRしていこうか悩んでいたのですが、今で言うIT時代の先取りでマスコミに取り上げていただき、小さな村、尾口村が全国に大きく紹介されました。現在も都市部から地方へと話題になり、『Eメール村民』希望と…何件かのアクセスがあるとその地方の何かで紹介されたのだなと思います。

 霊峰白山麓の良さを、視覚(観光)・味覚(特産)・触覚(体験)と、さらに、聴覚(自然界の音)、嗅覚(自然の匂い)の五感に、六感の感性(歴史と文化を個人の感性でふれる)で、癒しの故郷として満喫していただき、その古里を出来るだけ多くの人たちに自然のままふれていただきたいのが、『Eメール村民』の目的です。
 Eメール村民制度と一般的メール会員制の違いは……一般的なメール会員は、説得して会員になってもらっていますが、『Eメール村民』は納得して準住民として登録していただいています。


第一の目的は、『Eメール村民』による……観光立村として集客対応
 毎年、落ち込む来客に歯止めを掛け集客に専念する。
 それには何でアピールするか……カタログでPRをしているが。
 マンネリ化…毎年同じく他の競合と同じ方法でPRしている。
 製作・発送に…コストがかかりすぎる。(特殊サイズの封筒送料)
 返答がない…ふれ合いがない
 欲しいときから…時間がかかり、届くまでに数日過ぎてしまう。


『Eメール村民』による……交流・親陸・情報交換
 インターネットを通して、早く・安く・多くの人にふれあえて、お客様が求めているものを直ぐに、その日の出来事でも伝えられ質問にも対応できる。いままでは、尾口村側で選んでいた時代が、消費者のお客さんが地域を選ぶ時代です。家族にも欠けている対話が、電子メール(パソコン・携帯電話)で身近に情報交換でき、都会や地方の方に自然の情報や味覚・文化を紹介して新たな出会いが始まっています。
 尾口村の住民も『Eメール村民』に登録しています。それは、四季を通じて情報で流していますので『Eメール村民』の方が尾口村の人たちより尾口村を旬でとらえていると思います。
 そして、訪問したお客さんと会話が出来るように、また、色々な特典が受けられることで…とムードが高まっています。また、『Eメール村民』自身がその土地で尾口村のアンテナや窓口の役割をしています……村民ですから。


『Eメール村民』による……地域の活性化
 情報(IT)にふれてもらうことが…それがインターネットで、情報の交換から興味を身近に感じてもらうために『Eメール村民』になり、古里として住民登録をし、準住民として、いろんなイベントにも自ら企画立案を提供し参画実行してもらう…
 住民と『Eメール村民』との距離を無くし、村内で交流の場を持ち『Eメール村民』を住民して、ふれ合うことにより住民も尾口村の良さを自ら出し始めています。また商工会・観光協会も訪れる『Eメール村民』の重要性を認識していろんな企画で呼びかけ『Eメール村民』ネットワークを利用しています。そして、参加していただき全国から小さな村に大きなIT波が来ています。
 これからの山村は、新しい物(造形や色彩)は無くても、新しい物(発想)を自ら工夫していくことが生き残りであり、大切なことは伝統や文化は確実に伝承して、恵まれた自然に感謝して、新たな歴史を次世代のために造っていくことが何よりの、活性化であると思います。人口が減ることが過疎でなく、活性がなくなることの方が過疎だと思います。
 当初、尾口村には行政機関ぐらいしかパソコンがありませんでした。ホームページは、4件のみで一里野温泉では、2件でしたが今は21件。当時、ペンションCのマスターに、これからはインターネット時代と話していたのですが、景気が悪く電話とファックスで充分ですと言っていた彼に無理やり薦めて、平成12年4月から始めて今では、凝りだして自分でホームページを作り『Eメール村民』のPRとムードづくりを進んで手伝ってくれています。そのおかげで、白山一里野温泉にITムードが出来、『Eメール村民』が多く訪れるようになり、インターネットによる予約が6〜7割で、多くのアクセスが来ています。
 そして、昨年3月尾口村商工会・7月に一里野温泉協会のHPが発信しました。そして、彼らが指導者になり一里野IT委員会を立ち上げ女将さんたちにわが宿のHPづくりをしています。観光協会の宿泊者のアンケートもインターネットをすごく評価しています。


訪問とアンケート・意見がたくさん来ています
 この企画が、平成11年11月1日に、スタートして、2年8か月間で3251人以上を登録し、毎日100件以上のアクセスがあります。日頃、自然の感覚から縁遠い方々からのアクセスが多いようです。
 尾口村の姿勢が伝わり、いろいろアドバイスやご意見がきて自分たちの村のように親身になってくれています。
 特にうれしいのは、
・将来、尾口村に住みたいので空き家がないですか。
・子どもが喘息できれいな空気のところで住みたい。
・大型犬がいるので自然の中で暮らしたい。
・都会生まれで都会しか知らないので、故郷が出来てうれしい。
・今までは、一里野ファンでしたが住民『Eメール村民』になれてうれしいです。
・長年入院で何処も行けない人から『Eメール村民』になりたいでも訪れることが出来ないのですが…尾口村の自然情報が何よりうれしいです。
・海外の『Eメール村民』は15人位います。
・日本の四季を学校で利用している。
・いろいろの地域から、視察が増えました。


尾口村役場には変わったところがもう一つあります
 商工観光課に、行政では珍しく専属の営業マンがいます。民間から転職して平成11年10月1日から勤めていますが、住まいは小松市です、尾口村をだれよりも好きになり、そんな気持ちで外から見た目と中からの目で『Eメール村民』と交流して伝えています。
 今はIT(アイティ)時代ですが、必ず、あいてぇ(Meet)ふれあいに戻ると思います。
 今までは、名所旧跡を見て歩き観光で、光の当たるところの観光地(かんこうち)でしたが、尾口村は感じて体験、交流・親睦ふれあって・知っていただく、感交知(かんこうち)をめざしています。知っていただくことは伝えたくなる効果があります…リピーターづくり。
村内で『Eメール村民』に対するムードづくり。
 ・IT講習会・IT委員会
 ・文化祭で、ふれあいインターネットコーナー
 ・老人会、生き生きサロンでインターネットとは何かと体験
 ・役場内での講習会とEメール村民のムードづくり
 ・Eメール村民親睦会の写真展
地域活性の利用方法
観光だけでなく、地域の商工会のムードづくり
 ・ITお菓子で…PR
 スキー場のポスター・一里野温泉の観光ポスターをお土産お菓子の包装紙として使用してホームページアドレスを箱サイドに大きく書き、食べるITお土産として又カタログとしてたくさん販売しました。商工会が総仕入れして、村の第三セクターや各温泉宿などで販売して収益を上げています。
 ・ITシールキャンペーン…みんなの意識改革として。
 昨年10月1日〜31日、ITシールを村外へ出たら必ず1枚以上貼ってくる。
 ・商工会のメンバー全員で参加する。
 ・イメージキャラクター・HPアドレスをPRする。
 ・土産や書簡物に貼る。
 ・Eメール村民は、全国の年齢男女問わずで、この方々にアンケート調査などお願いするといち早くたくさんの回答や意見が頂けます、本当にありがたいことです。
 石川県のアンケート・調査にも利用しています。
 ・特殊血液が必要になり、緊急のお知らせをメーリングで呼びかけ、たくさんの意見・情報、輸血提供者などの返事が短時間にきました、また、Eメール村民のFMアナウンサーの方から電波に変えて呼びかけ目的が達成できた、心のふれ合いメーリングにもなりました。
 今年7月9日からEメール村民農園を開園しました。
 村の空いている畑を利用して、Eメール村民にオーナー制度を設け、高原野菜つくる。
 寒暖の差がありとても美味しい。参加できる人には来ていただき、皆さんと交流し耕し・種蒔き・肥料・草取り・収獲と交流の機会が多くなります。特に、Eメール村民の区画を村民番号と名前とコメント(草が生えています)入れてHPに載せます。遠く離れていても自分の畑の状況が解りEメールで参加できる人達と連絡して、地元の老人の方々と一緒に管理指導をしていきます。