「ふるさとづくり2002」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

市民協働による賑わいのまちづくり
岐阜県大垣市 大垣まちづくり市民活動支援センター運営会議
事業の趣旨・実施の背景

 大垣市においては、市民と行政との協働型まちづくりに関する調査研究として、「公民パートナーシップによるまちづくりに関する研究(岐阜経済大学と岐阜県の共同研究、平成8年)」、「住民主体型まちづくりシステムの調査研究(岐阜経済大学と岐阜県の共同研究、平成9年)」、「まちづくり市民活動の育成・支援のあり方に関する調査研究(岐阜経済大学、大垣地域産業情報研究協議会及び大垣市の共同研究、平成11年)」が行われてきた。
 これらの成果をもとに、平成12年8月、公募による市民、学識経験者及び行政関係者等による「まちづくり市民活動支援研究会」を設置し、大垣市及び西濃地域におけるまちづくり市民活動に対する支援内容や支援組織のあり方についての調査研究を行ってきた。研究会では、その調査研究の結果を、広範な市民の参加のもと、「市民が主役のまちづくり研究発表会」として発表し、「大垣まちづくり市民活動支援センター」設置の必要性を呼び掛けてきた。また、研究会に参加した市民が中心となり、一般公募した市民等の参加を得て「大垣まちづくり市民活動支援センター運営会議」を設置した。
 平成13年4月からは、大垣商工会議所が商店街空き店舗対策モデル事業として設置している「ちゃれんじ横丁まちの駅」を活用し、市民が事業運営を担う「公設市民運営」方式による「大垣まちづくり市民活動支援センター」を設置し、実証実験事業を行っている。支援センターは、行政との協働関係を通して、市民参画型のまちづくりをめざす市民活動団体やNPO法人の活動をはじめ、新たにNPO法人や市民活動団体の設立、また、これらのまちづくり市民活動団体への参加をめざす個人や初動期のまちづくり市民活動団体を積極的に支援していくことを目的としている。
 こうしたなか、大垣まちづくり市民活動支援センター事業の大きな柱のひとつである「交流・研修機会の提供」機能として、多くの市民の参加を得て、「まちづくり賑わい月間」を開催し、まちづくり市民活動のネットワークによる賑わい創出への構築方法などを研究することにより、地方分権時代の市民参画型賑わいのまちづくりの意義と諸条件を実践的に検証した。

【事業費】
 総事業費 300万円
 補助金額 300万円

【事業のテーマ】
 市民(まちづくり市民活動団体を含む。)協働による賑わいのまちづくりの創出


事業実施体制(委員会等の体制、関係団体、市町村等の支援体制)

 大垣商工会議所が商店街空き店舗対策モデル事業として設置している「ちゃれんじ横丁まちの駅」において、大垣市及び西濃地域のまちづくり市民活動団体や中心商店街等との連携のもと、大垣まちづくり市民活動支援センター運営会議が「まちづくり賑わい月間」事業を実施した。
 事業実施にあたっては、大垣市をはじめ、大垣商工会議所及び大垣地域産業情報研究協議会から、場所の提供をはじめ、広報PR活動や事業参加等の支援を受けた。


事業内容

(1)実施期間 平成14年2月3日(日)〜平成14年3月3日(日)

(2)実施場所 ちゃれんじ横丁まちの駅 岐阜県大垣市郭町2―6

(3)事業概要
 大垣市及び西濃地域におけるNPO法人、市民活動団体、ボランティア団体などのまちづくり市民活動団体の活動内容を紹介し、まちづくり市民活動団体と市民、市民と行政との間などにおける協働への出会い、相談の機会をつくる「まちづくり賑わい月間」を開催した。

【1】まちづくり市民活動団体の紹介及び発表の機会の提供
 大垣まちづくり市民活動支援センターの利用登録団体をパネル等で紹介する「まちづくり賑わい広場」を設置するとともに、利用登録団体等によるイベント等を実施した。(2/3〜3/3)
(1)オープニングセレモニー及びオープニング交流会(2/3)
(2)城下町大垣美濃路再発見(2回(2/3、2/10))
(3)人形劇(2/9)
(4)世界のことばで遊ぼう(2/9)
(5)食感交流会(5回(2/9、2/16、2/17、2/23、2/24))
(6)名画を楽しもう会(2回(2/9、3/1))
(7)利き水大会(2回(2/10、3/2))
(8)環境にやさしいコミュニティビジネス(2/16)
(9)「みて・きいて・さわって!」〜パソコン・インターネットを楽しもう〜(2/16)
(10)チャリティバザー(2/16)
(11)まちかどコンサート(3回(2/16、2/17、2/23))
(12)公開講座(5回(2/16、2/17、2/26、3/2午前・午後))
(13)名阪近鉄バスのノンステップバス試乗会及び交流会(2/23)
(14)忍者ウォーキングラリー(2/24)
(15)環境保全のための活動(2/24)
(16)自然観察会(2/24)
(17)大垣市女性アカデミーアメリカ研修紹介(3/2)
(18)チャリティビンゴゲーム(3/2)
(19)クローズドセレモニー(3/3)

【2】賑わいのまちづくりに向けた研修の機会の提供
 先駆的なまちづくり活動の実践者、まちづくりの専門家等を迎え、市民、まちづくり市民活動団体、行政職員等を対象とするセミナー及びシンポジウムを開催した。
1.まちづくりセミナー(3回(2/10、2/19、2/26))
〔第1回〕
テーマ「都市景観とまちづくり」
講師 まちづくりプランナー 古田菜穂子氏
〔第2回〕
テーマ「松江市の中心市街地活性化政策について」
講師 松江商工会議所振興部長 熱田幹裕氏
〔第3回〕
テーマ「地域通貨とまちづくり」
講師 NPO法人地域づくり考房みなと代表理事 井上淳之典氏
2.まちづくりシンポジウム(3/3)、
(1)基調講演
テーマ「これからの市民活動とまちづくり」
講師 NPO法人グットライフサポートセンター理事長 村瀬美代子氏
(2)パネルディスカッション
テーマ「市民活動支援センターの今後の展望」
コーディネーター 岐阜経済大学教授 鈴木誠氏
コメンテーター NPO法人グットライフサポートセンター理事長 村瀬美代子氏
パネラー 大垣まちづくり市民活動支援センター代表 山田祥子、副代表 坂忠男、副代表 中村哲也、副代表 田中禎一

【3】まちづくり市民活動における相談の場の提供
 NPO法人の設立を希望する市民活動団体、あるいは、まちづくり市民活動団体への参加を希望する個人などに対して、相談業務を行った。
1.まちづくり実践相談(9回(2/3、2/9、2/10、2/16、2/17、2/23、2/24、3/2、3/3))
 まちづくりに関するいろいろな課題の相談、まちづくりをはじめようとする個人や有志のグループ、これからNPO法人の設立を希望する市民活動団体等に対して実践的ななアドバイス等を行うため、大垣まちづくり市民活動支援センターの利用登録団体による「まちづくり実践相談」を開催した。
2.まちづくり相談(先進地・犬山市の事例に学ぶ)(3/3)
 市民、企業、行政による協働型まちづくりが進められている犬山市及び犬山市市民活動支援センターから講師を招き、犬山市におけるこれまでの取り組みなど先進的事例について学習するとともに、大垣まちづくり市民活動支援センター運営会議メンバーや利用登録団体との意見交換の機会を設け、大垣まちづくり市民活動支援センターにおける今後の活動の方向性を探った。
講師 犬山市市長公室企画調整課主任主査 松田昇平氏
犬山市市民活動支援センター企画運営委員長 水野晴彦氏

【4】「まちづくり賑わい月間」等の成果の提供
1.まちづくり市民活動団体の活動内容や大垣まちづくり市民活動支援センターの取り組み等を紹介するパンフレットを作成し、「まちづくり賑わい月間」におけるセミナーやシンポジウム、まちづくり実践相談等における資料として活用した。
2.市民やまちづくり市民活動団体と行政との協働型まちづくり活動のあり方に関するこれまでの調査研究、「まちづくり賑わい月間」の開催による成果等をもとに、まちづくり活動に関するノウハウや手順等をまとめ、実践に役立つ小冊子を作成し、広く紹介した。
3.「まちづくり賑わい月間」の実績を報告書としてまとめ、その成果を広く紹介した。


事業効果

・中心市街地における市民参加型の賑わいの創出への構築方法などを実践研究することにより、地方分権時代における市民参加型まちづくりの意義と諸条件を検証することができた。
・大垣市及び西濃地域におけるまちづくり市民活動団体による活動発表の場として、「まちづくり賑わい広場」を設けることにより、まちづくり市民活動団体と市民、市民と行政の間などにおける協働への新たな出会いを創出することができた。
・市民が主体となって中心市街地を考える場として、「まちづくり賑わいセミナー(地域コミュニティ(地域通貨)、都市快適環境(都市景観・都市環境)、都市活性化(都心居住)」や「まちづくり賑わいシンポジウム」を開催することにより、今後の都市活性化をはじめ、まちづくり活動を担う人材の育成を図ることができた。
・まちづくり市民活動団体による「まちづくり実践相談」やまちづくりコーディネーターによる「まちづくり相談」の場を設けることにより、新たなNPO法人や市民活動団体の設立が促進されるとともに、まちづくり市民活動団体への参加を希望している市民の掘り起こしや、初動期のまちづくり市民活動団体の高度化を図ることができた。
・市民(まちづくり市民活動団体を含む。)と行政との協働型まちづくり活動のあり方に関するこれまでの調査研究や「まちづくり賑わい月間」による成果をもとに、まちづくり活動に関するノウハウや手順等をまとめた小冊子を作成・配付することにより、中心市街地における賑わいの創出に向けた、新たなまちづくり市民活動の促進を図ることができた。