「ふるさとづくり2003」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

アスネットねぎしの活動により地域の活性化
青森県八戸市  アスネットねぎし推進委員会
 アスネットねぎしは、八戸市河原木根岸地域住民のボランティア組織の総称のことであり、根岸地域は、平成5年ごろから自主的なボランティアグループの活動が活発になってきていた。この30程の活動推進団体や自主グループが一つのネットワークに入り、一層結び付きを強固にし、「明るく活力のある住みよい街づくり」をしようと、平成11年3月に「アスネットねぎし推進委員会」が組織された。
 地域住民一人ひとりがアスネットねぎしの一員であるという考えで地域の皆にPRし参加を呼びかけている。現在は、八戸市教育委員会に、教育支援ボランティアとしても登録し(団体として、231名登録)、主に次のような社会参加活動に取り組んでいる。


ほたる崎里山づくり


 アスネットねぎしの「ほたる崎里山創設推進委員会」のグループが中心となり、昔、ほたるヶ崎と言われ、八戸八景の一つに数えられていた八太郎山一帯の自然の森の風土景観を保全し、日常的に自然とふれ合うことのできる場として守り育てようと、毎年継続して次のような活動を展開している。
(1)児童・生徒と一緒にゴミ拾いや草刈りなど清掃作業の実施。(年6回程)
(2)平成11年12月に、展望台を設置し、八戸市民の利用に供している。
(3)昆虫や小鳥などが観察できる森の小径づくり。
(4)太平洋や市街・階上岳等を眺望の小径づくり。
(5)義経伝説のある神社など散策の小径づくり。((3)〜(5)年3回程実施)
(6)児童と一緒に湧き水を利用して作ったホタルやメダカの住む「水辺の里」の整備作業の実施。(年4回程)
(7)随時、児童と一緒にホタルの飼育・観察(産卵・孵化・幼虫・成虫の過程)やメダカの飼育。
 ほたる崎里山は、ふるさとのふれあいの森として、児童・生徒の皆がウォークラリーをしたり、地域の皆が自然の散策を楽しんでいる。この「ほたる崎里山」は、八太郎山の高台に位置しているので眺望がすばらしく、八戸市民も散策をしながら、太平洋や市街の景観を楽しんでいる。
 この里山は民有地であり、地主の好意によって利用するものであるから、皆の手で自然を守り、ゴミ捨ての防止やクリーン作戦を継続しておこない、環境の美化に取り組んでいる。また「ホタル」や「メダカ」の飼育・観察ができるように、児童と一緒に小規模のビオトープづくりをおこなっている。


郷土学習資料室の整備・活用及び根岸音頭の製作と踊りの普及

 アスネットねぎしの「郷土学習資料室運営委員会」のグループが中心となって、昔、根岸地域で使用していたもので、現在も残っている生活用具や農・漁具等を地域住民の協力を得ながら、約500種、1000点を収集し、八戸市立根岸小学校の2室に展示している。この収集整備は平成8年から開始し、平成9年9月から地域住民に開放している。主な活動は次のとりである。
(1)現在も引き続き農・漁具等の収集活動を実施している。(随時)
(2)児童の社会科学習や総合学習等の時間に、民俗史料ガイドグループの皆が説明や生活用具・農具などを使って体験学習をおこなっている。
(3)平成11年5月に、根岸言葉諺辞典を作成し、郷土学習資料室に展示するとともに、児童・生徒の総合学習などに活用している。
(4)平成12年12月に、根岸言葉による郷土カルタいろは四十八選を小冊子にまとめ、郷土学習資料室に展示するとともに、児童・生徒の総合学習などに活用している。
(5)平成13年12月に、残したい地域の屋号と屋印(焼き印)を調査し、小冊子にまとめ、郷土学習資料室に展示するとともに、地域住民のふるさと探訪の参考にしている。
(6)平成14年12月に、根岸地域のマップづくりをおこない、地域住民の地域探訪に供している。
(7)平成7年に、根岸地域のシンボルとして根岸音頭を製作し、踊りと合わせ普及を図っている。とくに、根岸地域の夏祭りなど諸行事の際には、参加者が根岸音頭を踊り行事を盛り上げている。
 根岸地域の多くの住民の協力によって、消滅しつつある江戸時代から昭和30年代ごろまで使用されていた地域の民具や農・漁具を少しでも収集できたことと、地域で使われていた方言や諺そして、屋号・屋印(焼き印)などを編集整理できたことによって、根岸地域の文化を少しではあるが、後世に伝えていくことができる。


地域の小学校(2校)・中学校(1校)の児童・生徒の総合学習支援

 アスネットねぎしの「ふれあい体験学習グループ」や「芸能伝承グループ」等の皆が学校からの依頼により、児童・生徒の総合学習(年10回程)の支援をおこなっている。
(1)昔の遊び伝承グループの皆が、竹馬乗りや竹とんぼづくり・お手玉遊びなどの指導。
(2)わら工芸伝承グループの皆が、縄ないやぞうりづくりなどの指導。
(3)昔のおやつづくりグループの皆が、豆しとぎやよもぎ餅づくり・ばほり餅づくり・手打ちそばづくり及び漬物づくりなどの指導。
(4)芸能伝承グループの皆が、根岸音頭や八太郎おしまこ踊りの指導。
(5)民俗史料ガイドグループの皆が、根岸地域の昔語りの実施。
 小・中学校の総合学習や地域の清掃などで、児童・生徒の皆さんと一緒に取り組み、学社融合に大きな成果をあげている。
 各グループの皆は、高齢者が多いので後継者探しが大事である。


根岸公民館と一体となり、活発な活動の展開

 公民館の生涯学習の各種講座に、地域住民が多数参加し、学習したことを特別養護老人ホームを訪問し、施設に入所している皆さんと一緒に楽しむなど社会参加活動に役立てている。また、公民館の家庭教育学級などの開講に際しては、ボランティアとして次のような支援活動をおこなっている。
(1)家庭教育学級(子育てわんぱくランドねぎし)の講座では、会場づくりやおやつづくり及び若い母親たちとの子育て相談。(年8回程開講)
(2)家庭教育学級(アスネットねぎし)の講座では、児童・生徒たちとの交流会をおこない、人生経験の話し合い等をおこなっている。(年20回程開講)
(3)根岸地域近傍の老人ホームの夏祭りには、模擬売店の開設や歌・踊りなど披露し喜ばれている。年間10回程施設訪問し一緒に楽しんでいる。
 根岸地域のボランティアの拠点は「アスネットねぎし」であり、活動の中心となっているのが根岸公民館である。地域と公民館が一体となって「明るく活力のある住みよい街づくり」に一所懸命取り組んでいる。
 アスネットねぎしの広報誌として「アスネットねぎしだより」を適宜発行(年4回程)、地域の各家庭に配布し「アスネットねぎしの活動」や「地域の情報」をお知らせしている。