「ふるさとづくり2005」掲載
<企業の部>ふるさとづくり賞 内閣総理大臣賞

子や孫に残そう熊本の水―肥後銀行の水資源愛護活動―
熊本県熊本市 株式会社肥後銀行(財団法人肥後の水資源愛護基金)

 私ども肥後銀行は本業である銀行業務以外においても、環境保全や福祉、文化活動など、豊かな地域社会づくりのお手伝いをしています。なかでも、ふるさと熊本の貴重な財産である水資源の涵養保全活動には長年、力を注いで参りました。「子や孫に残そう熊本の名水」は、広く地域の皆様に水愛護を呼びかけるキャッチフレーズとして用いているものです。


熊本の貴重な財産「水」

 熊本都市圏約90万人の水道水は、すべて高品質の地下水で賄われており、よほどのことがない限り渇水の心配はない恵まれた状態にあります。これは人口50万人を超える都市としては日本一です。質的にも極めて優秀で、熊本市の水道水は、厚生労働省の「おいしい水研究会」の利き水コンテストで全国ベスト3に入賞しました。
 このように質量ともに高い評価を得ている熊本の水ですが、年間の地下水涵養量と熊本都市圏での消費量(地下水の収支)をみますと、平均して年間1200万トン〜1300万トンの“赤字基調”だと言われています。さらに近年では、農薬や畜産し尿、生活雑排水などによる水質悪化の進行も憂慮されています。


肥後の水資源愛護賞

 「ふるさとの貴重な財産ともいうべき地下水を枯渇と汚染から守ろう」と、当行の長野吉彰常任顧問(当時頭取)が提唱し、熊本県、熊本日日新聞社との共催で昭和62年に「肥後の水資源愛護賞」を創設いたしました。熊本の水資源の涵養保全、水質汚染防止、節水等に熱心に取り組み、着実な成果をあげておられる団体、個人の方を対象とする顕彰活動で、創設以来18年間の受賞者は213団体・10個人にのぼっております。


(財)肥後の水資源愛護基金

 この顕彰活動は、平成4年に設立した財団法人「肥後の水資源愛護基金」に引き継がれました。当基金では顕彰活動のほか、啓発活動(水資源保全にかかわるシンポジウムの開催/節水器具展/節水コマの配布/勉強会への講師派遣等)、保全活動(江津湖清掃/水源涵養林への植樹等)を行なっております。この多年にわたる活動に対し、平成8年には国土庁長官から水資源功績者として表彰されました。


法人の森林制度への参加

 「法人の森林制度」とは、60年の契約期間を設けて、企業が一定の費用を負担して国有林を国と共有し、契約期間後の伐採による収益をさらに森林の育成に当てるという制度です。当行は平成5年、西日本の金融機関としては初めてこの制度に参加し、緑化資源保護支援をしています。また、平成7年には、肥後銀行創立70周年を記念して「肥後銀行の森林」の広場に山桜の苗木を植樹しました。


水源涵養林への植樹

 先に述べましたように、肥後銀行および肥後の水資源愛護基金では平成13年より毎年、熊本市域の水を育んでいる水源涵養林を育成するために植樹を行なっています。これまでに、阿蘇郡久木野村河陰の国有林、菊池渓谷深葉の国有林、西原村俵山にある大津町所有地に合計6000本の広葉樹の苗木を植えました。植樹作業は当行役職員やその家族、退職者、関連会社役職員等のボランティアによるものです。


環境を配慮した店舗、事務用品等

 店舗設計に際しては、町並みに調和する外観を心がけるとともに、雨水の地下浸透式駐車場、雨水の散水利用システム、節水コマや泡沫蛇口の利用、女性用トイレへの凝音装置設置等、環境面にも配慮しています。
 また、銀行で使用する封筒・紙袋類、コピー用紙等は再生紙を利用しており、お客さまへの頒布品もできるだけ環境負荷の少ないものを取り入れています。


ISO14001認証取得

 このように当行は水資源愛護活動をはじめ環境問題に対して積極的に取り組んでまいりました。これらの活動をさらに充実させ、継続性のあるものにするため、平成16年、環境管理の国際標準規格であるISO14001の認証を取得いたしました。取得対象は本店本館・別館内の各部署および、関連会社等(肥後の水資源愛護基金を含む)です。九州の金融機関では当行が初めての取得になります。
 昨年秋に行なわれたISO14001の認証審査では、地域に根ざした取り組みを長年、地道に取り組んできた(財)肥後の水資源愛護基金の活動が高く評価されました。ISOの特色である環境経営管理システムを活用し、これからも地域の皆様とともに実効性のある環境保全活動に取り組んでまいります。