「ふるさとづくり'95」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

地球家族の交流から世界の見えるまち
栃木県馬頭町 馬頭町国際交流会
 栃木県の東端、人口1万4千余人の農村地域である馬頭町で、国際交流を通して地方の特性を生かした市民レベルでのまちづくりができないものかと、昭和52年4月、民間団体として「馬頭町国際交流会」(代表・菊地千秋さん、メンバー30人)が誕生した。将来、さまざまな分野で国際化が推進し、都市、農村を問わず諸外国との関係を無視しては成り立たなくなるのではとの考えからのスタートである。


最初にアジアとの交流

 ノウハウもないまま、近隣の町に留学生か学んでいるアジア学院があったので、アジア・アフリカの人々のホームステイに取り組み、ホームステイに交流を加えた「アジアの夕べ」(9年継続)をはじめ、相互の国の文化・料理・音楽などを理解し、認識し合うシンポジウムや講演・集会などが次々に誕生した。6年前からは行政と一体になって「国際交流フェスティバル」を開催、ホームステイ・交流・創作活動など、県内外の留学生や技術研修生を招き、県内各地の参加者と共に交流の集いを開催している。
 4年前からは国際交流員が国から馬頭町に派遣され、学校・団体など町ぐるみの交流活動は以前にもまして活発になっている。アメリカのホースヘッズ村との姉妹都市の締結、中・高校生の交流もそのひとつである。


広がる草の根大使の交流

 諸外国の人々との交流の場が生まれ、活動を体験し、学び、継続してきたことによって物事をグローバルな視点で考えることが町民の中に芽生えている。そして、国際交流の実践が県内外に波及し、人と人とのネットワークが構築されるようになった。ホームステイの受け入れ家庭は約800世帯に及び、交流した国も約70カ国になっている。
 人種、宗教、価値観などの違いを理解し、相手を認めることから国際交流活動をスタートさせたが、これは今日の社会が抱えている偏見、差別、人種などの諸問題と共通している。それだけに外国の人々との交流から学ぶことで日本社会を客観的に見つめることもできる。
 馬頭町は世界から見れば小さな点でしかないが、諸外国の人々を迎える時は日本を代表しているという心構えをいつも胸に秘め、世界の人々と分け隔てなく普段着の交流をし、未来をしっかりとみつめ、民際交流の発展を図っていきたいとしている。