「ふるさとづくり'95」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

この地域を「元気ないなか」に
新潟県両津市 両津市羽二生21委員会
 「山のお地蔵さんは今夜はゆっくり眠れることと思います」「若いもんがお地蔵さんを大切にしてくれて、ありがたいことです」
 これはグループ「羽二生21委員会」(代表・親松東一さん、メンバー13人)が行った「お地蔵さんマップづくり」の模様を伝えるテレビニュースの一こまである。
 羽二生の山林には何百年も人目に触れることなく、多くのお地蔵さんが安置されている。私たちの身近なところから歴史を見つめたい。そんなことから計画した「お地蔵マップづくり」であったが、お地蔵さんにつける頭きんや腹かけ、おだんごや奉納のぼりが、話を聞きつけた人たちによって準備され、その反響の大きさに驚いた。まる1日かかって、お地蔵マップには21個の印がつけられた。


今あるものを見直し生かす

 羽二生地区は、佐渡ケ島の両津市街地から車で15分、戸数50戸、人口170人余の集落である。この羽二生21委員会は、平成4年12月に「自分たちの住むところは自分たちで良くしていこう。羽二生を元気ないなかにしよう」と、若い世代の男女13人で結成し「和」(話し合い)「学習」(見学・研修)「実行」(行動)を基本にスタートした。
 「お地蔵マップづくり」はその活動のひとつである。ないものを数えて「なにもできない」のではなく、今あるものを見直して生かそうということで、そばの栽培にも挑戦した。荒れ地を耕すところから始めて、収穫、そして集落の人たちに味わってもらうまで、すべて自分たちの手で行った。


将来の夢は船上での桜を観る会を

 「どんなことでも良いから、やりたいことを全部話してみよう」と、次の計画が検討された。羽二生総合開発計画を作りたい。羽二生をそばの村にしたい。山一面に桜の木を植え、満開の桜を船の上から見てみたい。いろんな夢が話された。その中で「お茶室づくり」にスポットが当てられた。羽二生にはかつて俳句結社や演劇クラブなどがあって、文化の発信地でもあったのだ。その地盤を生かし、お茶室を通して羽二生に外からの新しい風をふかせたい。設計、木材調達、資金の捻出、そして作法の練習と、それぞれの得意分野を生かし、近隣の町もまきこんで、個性を生かした地域づくりに向けた活動を繰り広げている。