「ふるさとづくり'95」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

私たちは「森の番人」自然はかけがえのない宝物
三重県宮川村 フォレストキーパーズ
 平成4年7月、宮川村の中央を流れる“宮川”が、全国1級河川の109水系中、建設省主催の“最もきれいな川”に選ばれ、水質日本一と認められたのである。三重県の中西部、面積307平方キロの約96%を森林で占める激しい過疎の山村で、人々の誇りを呼び起こす出来事だった。感動し、美しい川をさらに後世に伝えようと、同年10月「フォレストキーパーズ」(代表・門野正信さん、メンバー27人)を結成。


水源森林を守ることから

 宮川を守るには、水源を育む森を守ることだと考え、「森の番人」=「フォレストキーパーズ」と名付けたのである。翌5年にはボートなどを使い、宮川の掃除を行い、たくさんのビニール袋や発泡スチロール、空きビン、空きカンなどを回収した。また、「伊勢文化村」や「伊勢の水を考える会」の人々とも交流が始まり、勉強会などを重ねるうちに、宮川を挟んで、源流と河口の市民の交流・提携の輪が生まれていった。
 会は、水を商品化することも考えた。国が全国で初めて、“水”を「林産物」と認め、補助対象事業「特用林産産地化形成事業」の「特認事業」となり、事業費は国が5割、県が1割、村が3割、そして住民が1割を分担し、第3セクター「春日谷特用林産物生産組合」を設立して取り組むことになった。平成5年12月のことである。こうして、6年3月1日、大勢参加して工場の完成式を挙行。その夜、伊勢文化村音楽部の協力で開いた「心のふるさと、あの日にかえろうコンサート」が、集まった大勢の聴衆を魅了した。


ナチュラルウオーターの発売

 水の商品名は「森の番人」。キャラクターは「森作(もさく)じい」で、石膏像の案内看板も完成。新しい村づくりのために、また、安定した職業を退職してまでこの事業に身を投じてくれた仲間たちのためにもと、事業の成功を期している会員たちである。
 同時に会では、「水」事業の利益でいろいろな活動を考えている。宮川の上流・下流の市町村が一致して水質保全に心掛ける「宮川流域水サミット」や「川サミット」を宮川村で開催したり、水にこだわった文化やスポーツイベントとか、ナチュラルウオーターを通して、都市との交流も図り、ミネラルウオーターでは本場として知られるフランスの村との交流・提携も夢見ている。そして、間近に迫った「まつり博みえ’94」に参加し、108日間、宮川の“水”「森の番人」など、宮川村をアピールすることにしている。