「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

よしよし音頭と国際交流
埼玉県草加市 吉町親睦会
 吉町は埼玉県南の日光街道沿いで「せんべい」と「奥の細道」ゆかりの宿場町である草加市中央に位置する。市は高度経済成長期から束京への通勤圏として人口が散増し、今年で創立30年を迎える吉町親睦会(代表・中島正直さん、120世帯)は新住民が6割を占める新興住宅地である。近年は定住外国人が増加し、地域コミュニティに大きな変容が見られるなか『何でも手づくり』を自慢としたユニークな町会活動でふるさとづくりを進めている。


手づくりの味を大切に

 草加市の吉町親睦会では『何でも手づくり』をモットーに活動しており、毎年恒例となっている納涼盆踊り大会でも会場となる広場の草刈りから始まり、舞台設営、模擬店の設置、大会当日会場で販売する品もすべて自作か寄付によるものである。また、皆が親しみ後世に誇れる郷土の町内ソングをつくろうと、役員から発案があり地元に住む専門家が作詞作曲、振り付けをした「草加よしよし音頭」も生まれた。
 また、バスハイク、廃品回収など様々な行事を展開するなか、平成3年、東南アジアや中南米をはじめ在日外国人主婦を対象に、気軽に日本語を学び相談にのれる場として教室を開いたのである。この外国人のための日本語学校の開設は、国際交流を深める契機になった。市内に2、361人、吉町にも91人の外国人登録者がおり、日常生活に困っている場面を見かけたことから開いた教室であった。現在、増え続ける外国人とも融合し、ふれあいを大切に、人と人との絆を強めることが、町の活性化を生み出す源であると思っている。


路上駐車を一掃した国際花壇づくり

 一方、町内を東西に走る248メートルの道路上は、常時約30台の違法駐車が横行し、通行の妨げや火災の危険もあった、駐車禁止の貼り紙をしたが無視されていた。思案のあげく「プランターを置いて花を植えたら」と思いつき、市役所との粘り強い折衝を重ねながら、平成6年ようやく実現の運びとなった。花壇は遊歩道を含めて500平方メートルと草加最大の規模で、住民はもとより多くの外国人の参加を得て、盛大に植え込みが行われた。このように地域では徐々に国際認識が高まり、7年度文部省委嘱事業である彩の国地域づくり「外国人にも住みよいまちづくり」に積極的に参画し先駆実践役として貢献している。